有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/18 15:00
【資料】
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【項目】
155項目

事業内容

当社グループは、当社と連結子会社3社(株式会社検校、株式会社NSK及び株式会社KYマネジメント)により構成されており、国内において、酒類をはじめとする食料品の販売事業及び卸売事業を行っております。
なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであります。
(1)株式会社カクヤス
当社が現在のビジネスモデルを作るきっかけは、平成10年に酒類免許規制の緩和が決定されたことでした。新たな販売モデルとして、「お客様の利便性を中心としたお届け販売事業」を経営の中心とすることとし、東京都23区内において、1店舗の商圏を半径1.2kmとモデル設定し、「23区内どこでもビール1本から2時間以内(当時)で無料配達」する体制作りをスタートし、受注からお届けまで一貫して自社で提供するワンストップのサービスを作り上げてまいりました。
当社グループの事業の核は、業務用向と個人向のお客様に対する酒類の販売になります。一般的な酒類販売業者は、業務用向販売と個人向販売の手法の違いから、業務用向販売に特化又は個人向販売に特化する形で事業運営を行っておりますが、当社は両方のお客様に対し販売を展開することで、商圏エリアの配達量を増加させ、短時間でお届けできるよう効率的な配達サービスの実現を目指しております。当社ではブランド毎に以下のサービスを展開しております。
①なんでも酒やカクヤス
ピンクの看板で、東京都23区を中心に横浜や大阪等にドミナント展開しており、個人向けにおいては、店頭での販売の他に、東京都23区及び横浜市・川崎市・大阪市・東京都下の一部のエリアにおいて、お客様のご自宅をはじめとしたお客様が指定する場所に「1時間枠」で無料で配達を行っております。また、各店舗からは、業務用向けの配達もしており、業務用センターからの出荷機能を補完する役割も果たしております。近年は、ワイン類の販売をメインとする店舗として「KAKUYASU class」という看板にて出店もしております。業務用向けにおいては、店頭での販売を行わない出荷拠点もあり、小型倉庫の役割を果たしながら、料飲店等向けに販売を行い、「なんでも酒やカクヤス」の看板を掲示しない店舗もあります。店舗網の構築にあたっては、お客様の配達時間の短縮や配達効率向上のため、店頭での販売を行わない小型倉庫等の拠点も含めて、出店を検討しております。
宅配の受注は、コールセンター及びWEBサイトで行っております。WEBサイトは自社サイトの他に外部サイトへも出店を行い、WEBセンターを拠点とした全国向けの出荷にも取り組むなど、お客様との接点の拡大に努めております。「なんでも酒やカクヤス」の拠点は、令和元年10月末現在、店舗・小型倉庫及びWEBセンターで、173箇所となっております。
②KYリカー
神奈川県を中心に東京都下や埼玉県の川口市などの郊外に酒の大型専門店として出店しております。「お酒の楽しさ販売」をコンセプトに、来店されたお客様を中心に、接客方法を創意工夫しながら営業活動を行っており、豊富な品揃えのもと、飲み方提案や独自イベント等を企画しております。「KYリカー」の店舗は、令和元年10月末現在、29店になります。
③CORK
個人向けギフト花需要にお応えするために、お酒とお花をセットで販売しているセレクトショップ(コンセプトに合った商品を選定して販売しているお店)です。ワインソムリエやフラワーアートディレクターを店舗に配置し、パーティ需要やギフト需要に対応した品揃えで、酒屋から脱却した新しいスタイルの事業展開を行っています。「CORK」の店舗は、令和元年10月末現在、新宿店1店舗となっております。
(2)株式会社検校(子会社)
日本各地から和酒(日本酒・焼酎)を取寄せて販売しております。また、小容量から和酒をお楽しみいただける有料試飲を店舗にて行っている和酒専門業態であります。「検校」の店舗は、令和元年10月末現在、銀座店1店舗となっております。
(3)株式会社NSK(子会社)
取引先等への投資及び投資管理を行っております。
(4)株式会社KYマネジメント(子会社)
社員向け社宅等の運営・管理を行っております。
[事業系統図]
当社及び連結子会社について、事業系統図によって示すと次のとおりです。
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当社の物流体制における各施設の役割、商材の流れは以下の通りです。
①業務用センターについて
業務用センターを首都圏と大阪府で11箇所(令和元年10月末現在)に配置し、業務用顧客コードを当社が付す料飲店等のお客様への配達を行っております。営業面では、業務用のお客様に対して、個別に対応できる配達体制の構築に努めており、例えば、業務用顧客には、大手で全国にチェーン展開している業務用顧客と、地域で個別展開している一般業務用顧客、ホテルやレストランの顧客では、求められる商品の種類・配達量・決済方法・アフターフォローの頻度・その他販売条件等の各ニーズが大きく異なります。当社では、様々な業務用顧客に応じた営業体制・物流体制とすることで、各顧客へのきめ細やかなサービスの提供に努めております。
基本的には、卸・メーカーより各業務用センターに配達される物流体制となっておりますが、PB商品や業務用センターで仕入れロットが組めない商品等につきましては、大型の社内物流センターである平和島流通センターを経由して各業務用センターに配達される仕組みとなっております。
②店舗・小型倉庫について
基本的には、社内物流センターである平和島流通センターを経由する物流となりますが、一部イレギュラーな配達として、業務用向のビール・ルート配達の飲料・冷凍食品(アイス・氷含)・タバコに関しては店舗や小型倉庫がメーカー・卸より直接仕入れを行っております。また、一部の業務用商材において、各店舗が仕入ロットを組めない商材(メーカー直送での最低発注数量に達しない商材)等については、業務用センターで仕入れを行い、各店舗・小型倉庫に配達しております。
店舗と小型倉庫等を173箇所(令和元年10月末現在、WEBセンター含む)に配置しており、リヤカーや軽自動車で小商圏(各店舗・小型倉庫に近隣のお客様)でのピストン配達(注文の都度お届け)によるクイックデリバリーを行っております。店舗からの配達では、料飲店等のお客様への配達及び一般のご家庭や指定場所への配達を行っており、それらに加え、各店舗の店頭での販売を行っております。また、小型倉庫からの配達では、料飲店等のお客様への配達を行っております。特に料飲店等には、定期注文の業務用センター出荷に加えて、追加注文・スポット注文などには、店舗・小型倉庫から出荷で、タイムリーに対応しております。
また、花見やパーティなど、ご自宅以外の配達需要にも対応すべく、屋外の公園やバーベキュー場などにも配達しております。お届け商品は、酒類や飲料に限らず、氷やレンタルビールサーバーなどもあり、また、商品の状態として「冷やし」のご要望にも対応しております。さらに、小商圏でのクイックデリバリーが可能なため、届け方による商品の付加価値化にも取り組んでおります。
③平和島流通センターについて
首都圏の各店舗への配達を行う社内物流センターとして、平和島流通センターを設置しております。メーカーが各店舗に配達する場合、その物流コストは仕入価格に付加されることになり、これまで仕入価格の値上げ要因になってきました。当社グループでは、販売価格の低減、配達サービスの拡充等を目的として、自社グループ内の各店舗・小型倉庫への配達を受け持つ社内物流センターを設置しております。
以上のように当社では、当社独自の受注・販売体制ならびに物流ネットワークを連携させ、業務用向・個人向における様々なお客様のニーズに対して、きめ細やか且つ、フレキシブルな配達サービスを提供できる体制を整えております。
[当社物流体制図]
当社の主な物流の体制は、下図のフローとなっております。
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また、当社グループは酒類販売事業の単一セグメントでありますが、売上高を「業務用売上」、「宅配売上」、「POS売上」、「卸その他売上」の4つに区分しております。
①業務用売上
当社グループでは、お客様の業態・配達量・決済方法・発注頻度等に応じて顧客管理を行っており、主に料飲店、販売契約を締結していただいている企業等の法人顧客に対して、業務用顧客として顧客コードを付して管理しております。業務用売上は、業務用顧客コードが付されたお客様の売上であり、主に、大手居酒屋チェーン、料飲店、その他の法人顧客に対する売上を表しており、各業務用センター及び各店舗・小型倉庫から配達された売上となっております。
②宅配売上
宅配売上は、一般のご家庭やオフィス等(業務用向以外のお客様)からご注文を受け、各店舗・小型倉庫からご自宅や指定場所に配達することで発生する売上となっております。
③POS売上
POS(注)売上は、主に、各店舗にご来店いただいたお客様に、店舗のPOSレジを通して購入いただくことにより発生する売上となっております。
④卸その他売上
卸その他売上は、主に、同業の酒類販売事業者に対する、卸売売上となっております。
(注)POSとは「Point of sale system」(販売時点情報管理システム)の略であります。