有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/19 15:00
【資料】
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【項目】
101項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「つながりを常によろこびに(Delight in Every Connection)」をミッションに掲げ、「As In Your Hometown」というビジョンの実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。
①つながりを常によろこびに ソーシャルメディアやコミュニケーションサービス等の多様化・発展によってもたらされた「つながり」は、人と人がつながるからこそ起きる新たな問題を生み、ときには社会問題のような大きな課題に発展することもあります。「つながり」から生じる課題を解決することを通じて、「つながり」が「よろこび」であり続けられる世の中の実現を目指しております。
②As In Your Hometown 情報技術の発展により、人と人とのやりとり、生活、コミュニティや社会のあり方が大きく変化しております。一方で、個人がアクセスできる情報の質や種類、量は立場や経験により大きく異なっており、同じ情報であっても、皆が同じようにアクセスでき、同じように感じるわけではありません。このような時代において、インターネットを通じた社会が、利用者にとって健全で心地よい「居場所」となるよう貢献していきたいと考えております。
このミッション及びビジョンのもと、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが提供するカスタマーリレーション事業は、ストック型ビジネスモデルであると認識しております。このため、契約獲得数の増加及び契約保有数に対する解約率を意識しております。その上で、企業価値の増大を目指すため「売上高」「経常利益」を重要な経営指標としております。
(3)経営環境
当社グループが提供するカスタマーリレーション事業は、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)(注1)市場に属しており、2022年度の国内非IT系BPO市場は1兆8,021億円(事業者売上高ベース)に達すると予測されております(注2)。このうち、当社グループのカスタマーリレーション事業においてサービスを提供している主な事業領域は、ソーシャルメディア領域、ソーシャルアプリ領域、シェアリングエコノミー領域、Fintech領域、MaaS領域であります。当社グループの顧客企業が属するシェアリングエコノミー領域では、国内シェアリングエコノミー市場規模(資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額ベース)が2018年度において1兆8,874億円と推計されており、現状のペースで成長した場合は、2025年度には3兆6,833億円に到達すると予測されております(注3)。またFintech領域においても大きな成長が見込まれ、2022年度の国内Fintech市場規模(Fintech系ベンチャー企業売上高ベース)は1兆2,102億円に達すると予測されております(注4)。加えて、当社グループが注視しているMaaS領域においては、国内MaaS市場規模は2025年には2兆1,042億円に達すると予測されております(注5)。このように当社グループがサービスを提供し得意としている事業領域においては、今後も顧客企業の属する市場のさらなる拡大が見込まれており、市場拡大とともにカスタマーリレーション事業の需要拡大が見込まれる経営環境となっております。
(4)経営戦略
当社グループは、創業間もないスタートアップ企業から時価総額1,000億円を超える大手企業まで幅広くサービスを提供し安定的な成長を続けております。今後のさらなる成長に向け、当社の得意とする事業領域に引き続き重点を置き、各事業領域におけるサービス提供ノウハウを集約することで、顧客企業に対しより最適かつ最新のサービスを提供してまいります。 又、重点事業領域において事業を展開している顧客企業に対し、顧客企業のサービスの初期段階からカスタマーリレーションにおけるパートナー企業として当社グループのサービスを提供することで、顧客企業のサービス成長に寄与し、当社グループの付加価値をより一層高めてまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
今後当社グループが成長を成し遂げていくために、対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
①市場環境の変化に対応した価値提供
インターネット上では次々と新しいサービスが提供されており、それらに対応した新しい価値を提供しつづけることが当社グループの成長において重要であると考えております。当社グループはインターネット上で新たに発生する課題を随時リサーチしながら、サービス開発を進めてまいります。
②人材の獲得
当社グループの継続的な成長には、当社グループの企業理念に共感し高い意欲を持った人材の確保、並びにその育成が重要であると認識しております。そのため、社員の紹介による採用の促進や採用PR活動を通して当社グループの認知を高めるとともに、社員ひとりひとりがそれぞれのキャリア構築ができることを目的としたタレントマネジメントに取り組んでまいります。又、当社グループでは、各サービスを提供していく上で、多数のオペレータースタッフを雇用しておりますが、労働人口の減少に伴い人材獲得における競争が激化しております。採用活動のさらなる高度化を図るとともに、従業員が働きやすい環境基盤の整備を一層強化してまいります。
③技術の革新
当社グループは、人の目による精度の高いサービス提供を中心に行ってまいりましたが、昨今のAI(注6)やRPA(注7)等による自動化が広がりつつあり、これらを活用した業務プロセスの効率化が求められております。当社グループはそのための技術研究開発を行っており、継続して推進してまいります。
④内部管理体制の強化
当社グループは、今後もサービス開発を行っていくことで事業の拡大を見込んでおりますが、事業の拡大及び継続的な成長を実現していくためには、コーポレート・ガバナンスの更なる強化が重要であります。内部統制及び管理部門を強化し、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。
⑤財務体質の強化
当社グループは、安定した財務基盤のもと、手元資金の充実を図ることで財務健全性を確保し、成長への計画的な投資及び機動的な投資等に対応できる体制を整えるとともに、原価及び販売費及び一般管理費のコントロール等によるフリーキャッシュ・フローの確保に取り組み、財務体質の強化に努めてまいります。
(注)1.「ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)」とは、業務プロセスの効率化を目的として、企業が社内の業務の一部を外部に委託することを表す言葉であります。
2.出典:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2018-2019(矢野経済研究所調べ)
3.出典:シェアリングエコノミー市場調査 2018年版(情報通信総合研究所調べ)
4.出典:2019 FinTech市場の実態と展望(矢野経済研究所調べ)
5.出典:2019年度版 MaaS市場の実態と将来予測 -サービス化する自動車産業1 市場分析編-(矢野経済研究所調べ)
6.「AI」とは、Artificial Intelligenceの略で人工知能を指し、人間の知的ふるまいの一部をソフトウェアを用いて人工的に再現したものであります。
7.「RPA」とは、Robotic Process Automationの略で、ロボットによるホワイトカラーの業務の効率化・自動化の取り組みを表す言葉であります。