有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/17 15:00
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【項目】
146項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済環境の変化によるリスク
<原材料などの調達>当社グループにおいて仕入れる鉄、非鉄金属スクラップや産業廃棄物は、建築物などの解体工事や製造工場のライン機械などのリプレース、一般消費者による製品の購入・消費動向などの影響により、発生量が大幅に減少する可能性があります。原材料などの仕入の減少によって、売買数量及び価格や製品製造に影響を及ぼし、その結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<原材料、製・商品の相場変動リスク>当社グループにおける原材料、製・商品である鉄スクラップや非鉄金属の価格は、鉄鉱石や銅鉱石といった資源価格や金属製品価格等の影響を受けます。当社グループの原材料、製・商品の仕入価格と販売価格は、基本的には相場に連動いたします。当社グループは相場変動に応じて仕入価格の変更を行い収益への影響を最小限に抑える対応をとりますが、相場の急激な変化の影響を受けて契約内容によっては利益の減少や損失が発生する場合があります。また、同様に製・商品在庫価値についても相場の影響を受ける可能性、相場の低迷の長期化により利ざやが縮小する可能性があります。1トン当たりの鉄スクラップ価格における(一社)日本鉄リサイクル工業会 ウェブサイト 価格推移表 ■鉄スクラップ(鋼スクラップ)の推移は、下表のとおりであります。
(注)業界団体である(一社)日本鉄リサイクル工業会の資料を出典として、過去5年間の鉄スクラップ相場変動推移を集計しております。
■鉄スクラップ 販売単価
期間平均単価(トン)通期平均単価
第8期第1四半期2014年 7月~2014年 9月32,333円27,313円
第2四半期2014年10月~2014年12月27,583円
第3四半期2015年 1月~2015年 3月24,333円
第4四半期2015年 4月~2015年 6月25,000円
第9期第1四半期2015年 7月~2015年 9月20,000円17,979円
第2四半期2015年10月~2015年12月14,833円
第3四半期2016年 1月~2016年 3月16,500円
第4四半期2016年 4月~2016年 6月20,583円
第10期第1四半期2016年 7月~2016年 9月18,833円23,813円
第2四半期2016年10月~2016年12月23,417円
第3四半期2017年 1月~2017年 3月27,667円
第4四半期2017年 4月~2017年 6月25,333円
第11期第1四半期2017年 7月~2017年 9月30,417円33,458円
第2四半期2017年10月~2017年12月33,500円
第3四半期2018年 1月~2018年 3月36,083円
第4四半期2018年 4月~2018年 6月33,833円
第12期第1四半期2018年 7月~2018年 9月36,083円32,458円
第2四半期2018年10月~2018年12月32,667円
第3四半期2019年 1月~2019年 3月31,333円
第4四半期2019年 4月~2019年 6月29,750円
第13期第1四半期2019年 7月~2019年 9月25,500円
第2四半期2019年10月~2019年12月23,584円24,542円

<国内鉄スクラップの流通量の減少>(一社)日本鉄源協会が発表した「クォータリーてつげん Vol.83 2020-新年号」によると、国内鉄スクラップ消費量は、2014年の28,407千トンから、2015年25,645千トン、2016年26,924千トン、2017年28,622千トン、2018年28,925千トンと、全国的には回復基調であります。しかし、米中貿易摩擦をはじめ消費税増税や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会後の内需及び景気動向が不透明であり、製造業をはじめ各業界の設備投資や建造物建て替えに影響が生じることが想定されます。当社グループは収益構造の見直しやコスト削減を図り対応いたしますが、鉄スクラップの流通量が想定する予測を超え減少する場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<廃棄物処理業における業績変動>当社グループでは、各グループ会社において処分する際に発生した廃棄物の処理を委託できる外部処理業者に限りがあります。また、廃棄物処理後に回収した鉄、非鉄金属、プラスチック類、紙資源等の資源価格は国内及び世界的な需給の状況や投機等の動向に影響を受け変動します。外部処理業者の経営状態が悪化した場合や処理費用が高騰した場合、廃棄物処理後に回収した再生資源価格の変動には、外部処理業者の見直しや受取処理単価の改訂を行う対応を行いますが、新規の処理業者への処理委託ができない場合や受取処理単価への転嫁ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<有利子負債>当社グループでは2020年6月期第2四半期においては、有利子負債(リース債務を含む)が95億円あり、総資産に対する割合は37.86%であります。今後、財務体質の健全化の維持に尽力いたしますが、今後借入金利が大きく上昇した場合には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 法的規制・訴訟に関するリスク
<関連する主な法的規制>当社グループが事業活動を行う上で関わることになる主な法的規制には以下のようなものがあります。
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
・特定家庭用機器再商品化法
・使用済自動車の再資源化等に関する法律
・使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
・古物営業法
・貨物自動車運送事業法
・道路交通法
・特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律
・計量法
・労働安全衛生法
・都市計画法
・建築基準法
・消防法
<事業の停止命令や許認可の取り消し>当社グループが事業活動を営むにあたり、事業会社又は役員が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定める欠格要件に該当し、事業の停止命令や廃棄物処理業に係る許認可が取り消されることになった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<環境に関する規制強化や問題の発生>当社グループは大気、水質、土壌などのほか、様々な環境関連法令への対応のため、産業廃棄物などの処理過程で生じる騒音、振動、粉塵、排水に対して、適切な設備を各工場に設置し、環境汚染を防止しています。しかしながら、不測の事態によりこれらが流出してしまうなどした場合に、賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより一層厳しくなった場合には、設備の改修、入替、増設などのために多額の支出が生じ、これにより当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<情報セキュリティ>当社グループでは事業の過程で取引先の機密情報や顧客の個人情報を受け取ることがあります。また、当社独自の営業秘密や従業員の個人情報も取り扱っています。当社グループでは「情報セキュリティ管理規程」を制定し、これらの重要な情報を適切に扱うよう全従業員に周知徹底をしていますが、意図的な行為や過失などにより外部に流出する可能性があります。これら情報の流出により賠償責任が生じる可能性があり、対策のための多大な支出が発生する可能性があります。また、当社グループの事業やイメージが悪影響を受ける可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<労働災害、労働安全衛生>当社グループでは原材料や製品の処理や運搬などの際に多くの重機や大型の設備を使用しており、従業員や顧客に対する安全管理が必要と認識しております。そのため、グループ会社横断での合同安全衛生会議を実施して、徹底的に事故防止に努めています。また、集合研修やe-Learningでハラスメントに関する教育を行い、さらに時間外労働の管理も強化しており、メンタルヘルス不調の従業員が発生しないように努めております。しかしながら、万が一、重大な事故や労働災害などが発生した場合には被害者への補償の発生や当社グループの事業やレピュテーションに悪影響を受ける可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社グループの事業活動に関わるリスク
<競合他社との競争>当社グループの事業分野には大きなシェアを持つ全国的な企業は存在せず、各エリアに得意分野を持つ中小企業が多数存在して価格やサービスを競っています。法的な規制の強化や社会的なニーズの高まりによって今後はより高度な廃棄物処理と再資源化技術が求められる可能性があり、当社グループもこうした動きにいち早く対処した事業展開をしてまいります。一方で海外資本を中心とした大規模事業者が参入する可能性、また財務体力や技術不足を補完するための企業合併が多数発生する可能性もあります。こうした新規参入や業界再編といった事業環境の変化によって当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<新事業のリスク>当社グループの事業領域や事業規模拡大のため、新規事業や設備開発等に積極的に取り組んでおりますが、新規事業の展開には不確定要素が多く、事業計画通り達成できなかった場合には、それまでの投資負担が、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<顧客の資金状況・財政状態>事業活動のなかで、当社グループが売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限通りの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<固定資産の減損リスク>当社グループは、工場、機械設備等多くの有形固定資産を保有しております。当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価しておりますが、当該資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少し、回収可能性が低下した場合、固定資産の減損を行う必要が生じ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、工場、機械設備等多くの有形固定資産を保有しておりますが、PMI(事業の再編、効率化及びコスト削減)の進展により除却等の損失が発生する可能性があります。また、多額の設備投資を行う際には、市場調査や回収可能性を慎重に検討いたしますが、当初期待した成果を得られず投資の全部又は一部を回収できない可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<他社との提携・企業買収等の成否>当社グループでは今後の事業の拡大を図るための手段として、他社との提携や企業の買収を行う可能性があります。対象の企業については、財務内容や契約関係などについて詳細なデューデリジェンスを実施し、慎重に選定していくことになりますが、それにも関わらず買収後に偶発債務や未認識の債務が生じる可能性があります。また、当初期待した成果を得られず、投資の全部又は一部を回収できない可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一方で当社グループと商圏が重なる領域において、海外資本を中心とした大規模事業者が参入する可能性、また財務体力や技術不足を補完するための企業合併が多数発生する可能性もあります。こうした新規参入や業界再編といった事業環境の変化によって当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<人材確保・育成のリスク>当社グループの将来の事業拡大のためには、優秀な人材の確保と育成に大きく依存することになります。しかしながら今後少子化による若年層の労働人口が減少することから人材確保における競争は高まってまいります。さらに採用した人材が諸般の事情で退職する可能性もあります。今後当社グループの魅力を高める努力を行い、人材育成の環境を整備してまいりますが、人材の獲得・確保・育成に問題が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<輸送費の上昇リスク>当社グループは、原材料の仕入、廃棄物の引き取り、生産工程における当社グループ工場間での移動、製品等の販売において、当社グループの輸送部門を担うイツモ(株)を中心に、当社グループ各社での輸送、運送会社の活用など、最適な配送網を構築しております。しかしながら、足元における原油価格の高騰や配送ドライバーの人手不足問題等により更なる物流コストが上昇した際には当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<ダスト処理費の増加>当社グループの主要設備であるシュレッダーより排出されるシュレッダーダストは、その処分先である管理型最終処分場又は焼却処分場の延命措置のため受入規制が強化されており荷受制限を行う処分場が増えております。そのため処分費用の値上げや、より遠方への処分場へ運搬する輸送コストが増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 自然災害・火災・事故などに関するリスク
<自然災害>当社グループの本社及び工場の多くは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に存在しており、首都直下型地震が発生した場合、また、異常気象等によるゲリラ豪雨、落雷、降雪等によって、工場建屋や機械設備が多大な損傷を受け、長期間稼働不能となる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<爆発・火災>主要な機械設備であるシュレッダーは爆発や火災のリスクが比較的高い設備であり、爆破抑制装置や消火設備等の安全対策を実施しておりますが、不測の事態により大規模な爆発や火災が発生した場合には機械設備が長期間稼働不能となる可能性や賠償問題が生じる可能性があります。これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
<停電>大規模な地震やその他の自然現象、テロなどの発生、その他不測の事態により電力供給がストップした場合には、工場の機械設備の停止や、バックアップ電源等を有しているITシステムに何らかの影響があった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。