有価証券届出書(新規公開時)

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2021/03/02 15:00
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148項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在にて、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業価値向上支援パートナーとして、
・企業価値向上を「人」の視点からアプローチ
・永続的な成長にむけて、企業において不可欠となる「リーダー開発」
・そして、リーダー開発を通じた、勝ち残っていく「企業風土の醸成」
を支援しております。
(1)経営方針
当社グループは、これまでの既存事業を更に進化させると同時に、今後も人と企業の可能性を広げる新たな事業・市場創造に果敢に挑んでいくことで、コーポレートスローガンである「Activate Your Potential(可能性が動き出す)」を実現し続けたいと考えております。そして、顧客企業及びプロフェッショナルタレントにとって必要不可欠な存在であり続け、社会になくてはならない存在価値の高い企業を目指し、株主を始めとするステークホルダーの皆様の利益に貢献してまいります。
当社グループは、これまでも企業の経営リーダーたちの想いを形にする施策を企画し、その実行を長期的に寄り添いながら支援してきたと自負しております(顧客基盤の拡充)。そのため、顧客企業の課題を通じて、社会の課題を極めてリアルに認識してきたと考えております。その経験から、大手企業は「社会の縮図」であると認識しております。社会が不連続的に大きく変化し続け、その加速度が増すほど、大手企業は常に新たな人・組織の課題を設定し続け、その解決に向けて様々な策を講じていきます。
今後は、これまで培った社会課題と企業の人・組織課題の洞察力、解決力に一層磨きをかけることで、顧客企業への更なる貢献を追求する(ソーシャルイシューR&D)のはもちろんのこと、新たな事業・サービスを生み出し、更には新たな市場を創造していきたいと考えております。
(この考えを図式化したものが、下図「当社グループの成長の方程式」です。)。
[当社グループの成長の方程式 図表]

(2)経営指標
当社グループは持続的な成長を図るためには、健全な収益水準を意識すべきと考えております。当社グループは、のれん償却が多額、且つ、長期間に亘るため「のれん償却前営業利益」は重要な経営指標であると考えております。適切な収益性を投資家と共有することで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
(3)経営環境
経営環境に影響を与えうるマクロ環境要因として、今現在、大きな4つのうねりが存在していると考えております。
第一には、第4次産業革命の到来であり、AIやIoTに代表されるテクノロジー・技術革新に伴い、産業構造が大きく転換していく時代であると捉えております。
第二には、人生100年時代の到来により、働き方・生き方・学び方の見直しが求められ、新しい社会が形成されつつある中、個々人でのライフプランの再設計が求められていく時代であると考えております。
第三には、地球規模で持続可能な成長が求められていると認識しております。
そして、第四には、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による社会の秩序や人々の価値観の大きな変化です。新型コロナウイルス感染症終息後の“ニューノーマル”は上記の3つのうねりと相まって、世界的規模で個人の生活や企業活動にかつてない変化をもたらすであろうと考えられます。
このようなマクロ環境の下、社会や企業を取り巻く環境として、下記に掲げるテーマは社会課題として大きく取り上げられていると考えております。
・デジタルテクノロジー市場は成長が著しく、当社グループの事業に関連するHRテック市場は約349億円の市場規模(2019年度)、学校教科・教育機関も含まれるEdTech市場においては、約2,044億円の市場規模(2019年度)と推定されております。これらの市場は、向こう5年間で拡大し続ける見込みが出されています。(出典:HRテック市場‐ミック総研「HRTechクラウド市場の実態と展望2020年度版」 、EdTech(教育)市場-野村総合研究所「ITナビゲーター2021年度版」)
・人生100年時代といわれる中、自分の価値観に基づいてキャリアを構築することを志向し一つの会社にとらわれない働き方を志す個人が増えてきていると認識しております。その流れを反映して、フリーランス人口は増加し続け、既に1,000万人を超えています。その経済規模は年々増加しており、2020年2月調査時点で17兆円以上と推定されております。(出典:ランサーズ フリーランス実態調査2020年版 )また、会社員を取り巻く環境整備として、厚生労働省がモデル就業規則を発表した影響もあり、副業を許可している企業はここ3年で倍増しています(出典:2019年パーソル総合研究所「副業の実態・意識調査」)。長期間労働との兼ね合いもあり、今後大幅に増加するとは見込んでおりませんが、着実に浸透してきているものと考えております。これを受けて、会社員で副業をしている人のうち約4割は副業を開始してから1年以内であるとのことです(出典:2019年パーソル総合研究所「副業の実態・意識調査」)。
・高齢化社会を背景に、企業においても定年延長や継続雇用がますます進んでいく中、65歳以上の就業者数は2020年時点で約902万人となっており、近年更に増加傾向にあります。(出典:総務省統計局「2020年6月30日公表の労働力調査」)
・企業の新卒採用・育成に関する市場は平均7%成長し、市場規模は新卒採用支援に関する市場規模だけでも1,286億円(2019年度)と見込まれております。(出典:矢野経済研究所「2020年版 新卒採用支援市場の現状と展望」)
・持続的発展、持続可能な社会を目指していく指針として、2015年に国連で採択されたSDGs(※1)が広く浸透し始め、企業は一層の社会的役割の発揮や社会的価値が求められております。ダイバーシティ&インクルージョン(※2)に関連するビジネスもSDGsに含まれる領域でもあり、複数の目標カテゴリーにまたがりますが、少なくとも100兆円以上(2017年調査時点)といわれております。(出典:デロイトトーマツコンサルティング「SDGsビジネスの可能性とルール形成」)
(※1) SDGs:
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
(出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html))。
(※2)ダイバーシティ&インクルージョン:個々の「違い」を受け入れ、認め、活かしていくこと
・持続的な成長を実現する企業の在り方として、コーポレート・ガバナンスの強化が求められております。その中で、2018年に改定されたコーポレートガバナンスコードにおいて、「上場会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割、責務を適切に果たすため、その役割、責務に係る理解を深めるとともに、必要な知識の習得や適切な更新等の研鑽に努めるべき」と明記されたこともあり、上場企業において役員の研修を行っていることを対外的に公表する企業が増加しています。2019年5月株式会社東京証券取引所発行の「東証上場会社 コーポレート・ガバナンス白書2019」によると、上場企業の約7割が公表しており、前回調査からおよそ倍増しています。これは、質の高い役員向け研修への関心が高まっていることも背景の一つであると考えております。
・新型コロナウイルス感染症の流行により加速された在宅勤務やリモートワーク、オンライン会議の普及・浸透は、個人の働き方の選択肢を増やす一方で、企業には組織体制やマネジメント体制、オフィスの在り方の見直しを迫っています。今後、安心・安全、且つ、柔軟で多様な働き方が出来るか否かは、個人にとって企業選びの重要な要素となり、企業の優秀な人材の採用・定着に大きな影響を与えることが予想されます。
上記のテーマと市場環境から推察されるように、社会課題は「人と企業の課題」に強く結びついており、それぞれの市場は顕著に成長し続けていると認識しております。企業は利益成長だけではなく、社会的価値、いわば社会における存在価値の向上に努めていくことを目指すことが増えてきており、より一層市場価値の高い人材の獲得と活躍・育成に向けた経営活動が強く求められていると考えております。そのような環境変化の中、数多くの大手企業との深い関係をもつ当社グループは、その一翼が担える企業グループであると考えております。
(4)経営戦略等、経営重点テーマ
上述の経営環境の中で、当社グループは「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」というビジョンの実現に向け、既存事業の成長と、新市場の創造に取り組んでまいります。 そのための中期的な経営重点テーマは、以下のとおりです。
①既存事業の成長
既存事業の更なる成長と提供価値向上に向けた経営重点テーマは、以下の4つであります。
i 顧客基盤の一層の拡充
当社グループの主要顧客は売上高1兆円以上の大手企業であり、このセグメントにおける更なるシェア拡大を目指します。加えて今後は、これまでに培われた知見を活かして、売上高2,000億円以上1兆円未満の準大手企業への開拓・深耕を積極化してまいります。
現在、当社グループの当該セグメント企業の取引数は、売上高5,000億円以上1兆円未満の企業40社(EDINETデータを基にした㈱ユーザーベース集計データより当社調べ)、売上高2,000億円以上5,000億円未満の企業35社(同前)であり、シェア拡大に大きな余地があると考えております。
ⅱ 既存顧客企業における連結グループ企業及び人事以外の各部門との取引拡大
当社グループの主要顧客は、本社人事部門が行う全社共通の人材開発以外にも、社内カンパニーや事業部、及び各機能部門で一定規模の人材・組織開発を計画的に取り組んでいます。特にここ数年は、世界企業の経営モデルに倣って、HRBP(HRビジネスパートナー:個人と組織のパフォーマンスを最大化し、事業成長に貢献することを担う役割)人員を各部門に配置し、事業戦略の加速のための人材開発、ビジョン浸透、組織間連携を強化するチームビルディング等に、本社人事部門と連携しながら戦略的に取り組む動きが広がっていると認識しております。また、顧客企業は海外子会社も含めた数多くの関連子会社も有しており、自社固有の状況に合わせた人材開発を行なっています。特に昨今は、グループ一体で企業価値を高めていくために、グループ内の事業連携、人事連携の取り組みが年々強くなっていく傾向にあると判断しております。
こうした動きの中で、当社グループは部門及び関連会社の取引を拡大させていくことに一層注力してまいります。顧客企業が有する海外子会社も含めた関連会社数は、非常に多いと考えられるため、顧客企業とのパートナーシップ強化と取引拡大の余地は大きいと考えております。
ⅲ 好循環サイクルと顧客リピートの維持
長期的な取引から生まれる顧客との信頼関係が、当社グループの知見やノウハウの蓄積に繋がり、それが更なる顧客満足と顧客基盤の強化につながる、という好循環サイクルを今後も維持していくことが極めて重要であると認識しております。
そのためには、経営人材育成に代表される、顧客にとって重要度の高い案件のリピートを維持することと、本社人事以外の部門や関連会社等に取引窓口を広げ、顧客人脈を増やし続けていくことが必要であると考えております。
ⅳ プロフェッショナルタレント基盤の拡充
当社グループの顧客への提供価値の決め手となるテーマ・ニーズに合わせたプロフェッショナルタレント基盤の更なる拡充は極めて重要であると認識しております。社会と企業の課題は刻々と変わっていきます。例えば、2000-2010年頃の顧客の主要課題は、チェンジマネジメント(事業ポートフォリオ再構築)、グローバル戦略、M&A、経営理念浸透等であり、2010年以降では、ダイバーシティ&インクルージョン、コーポレート・ガバナンス、オープンイノベーション、デジタルトランスフォーメーション等に比重が移っていきました。このように経営課題の変化を一歩先取りして、プロフェッショナルタレントの基盤を充実させてきました。今後も、社会課題・企業課題に沿ったプロフェッショナルタレントの拡充に取り組んでまいります。
②新市場の創造への取り組み
当社グループでは、新市場創造のための事業・サービスの芽を絶え間なく発掘・育成すべく、新事業R&Dを担う組織「経営企画部」と、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を運営する組織(当社子会社:アリストテレスパートナーズ㈱)をグループ内における事業創造の横断組織として位置づけ、外部パートナーやベンチャー企業と連携しながら日々活動しております。
現在、1-2年以内の事業化に向けたフィージビリティースタディ(実現可能性の検証)を進めているものは、主に人材開発投資対効果を一層高めるための技術であるHRDアクトロジー(HRDは人材開発Human Resource Development、アクトロジーは当社の造語で、アクティベーションとテクノロジーの掛け合わせ。可能性を駆動させるテクノロジー) と、プロフェッショナルとしての専門性を持つフリーランス人材を活用して、プロジェクト形式で案件を推進する「プロランサー」事業があります。事業内容については、下記のとおりであります。
[事業化に向け実現可能性を検証し開発を推進しているもの]
ⅰ HRDアクトロジー:人材開発(HRD)を活発に(ACTivate)する技術(technoLOGY)
企業研修の現場は、実務では把握しきれない個々人の視座の高さ、視野の広さ、経営・事業・組織への問題意識、戦略思考力、事業構想力、財務的判断力等の発揮状況を観察できる場でもあります。このような研修現場ではこれからの人材開発・組織開発に繋がる能力データが収集できると考えております。具体的には、研修における課題の回答や成果物、発表・発言、研修の最終成果物としての「経営提言」の内容とプレゼン力等であります。これらのデータをテクノロジー活用し、収集・解析するサービスを提供することで、人材開発・組織開発における提供価値の拡大を図っていく予定であります。
ⅱ プロランサー:プロ(PROfessional)ランサー(freeLANCER)
プロランサーとは「専門性を備え、複数社と業務を行い独立して生計を立てる、あるいは在籍会社の副業制度を活用しながら、複数の顧客企業・関係先に複層的に価値提供する働き方を選択した人材」の総称です。
予定しているサービスは、プロランサーが一定期間クライアント先に常駐し、課題解決を支援するものであります。
昨今、働き方改革や生産性向上が顧客企業において求められています。それに伴い、初めて取り組むプロジェクト等不慣れな業務や、スピード感が求められているにもかかわらず社内スタッフでは対応しきれない業務が頻発しているため、外部のプロ人材の活用機会があると考えております。コンサルティング会社のコンサルティングフィーに比べて比較的低コスト且つスピーディーに対処することができると同時に、社内にノウハウを蓄積したり、社内メンバーの成長を促したりする等の付加価値を顧客企業に提供することを目指しています。
[検討段階の事業]
これらの事業の推進に加えて、新たな事業化に向けた検討を推進していきます。上述のとおり、第4次産業革命と人生100年時代の到来により、個人の市場価値向上への関心は高まっていると認識しております。こうした人材育成ニーズを事業機会と捉え、以下の事業構想を設定し、ソーシャルイシューR&Dを進めてまいります。
コーポレートユニバーシティアライアンス(企業内大学のオープンな連携)
当社グループでは、市場価値ベースの人材像を軸に、コーポレートユニバーシティアライアンス(企業内大学のオープンな連携)という形で人材を育成していく法人会員制ビジネスモデルの立上げを推進してまいります。各社のリーダーが、企業の壁を超えて出逢い、お互いの人脈、経験と各々が有する経営資源にアクセスできる「リーダー創発プラットフォーム」を各社共通のプラットフォームとして共同で運用していくモデルを立ち上げることで、コーポレートユニバーシティの進化、ひいては人材育成にイノベーションを起こしていきたいと考えております。
(5)対処すべき課題
上記のような状況を踏まえ、当社グループは、人と企業の可能性を広げる新たな事業・市場創造に果敢に挑んでいくことで、コーポレートスローガンである「Activate Your Potential(可能性が動き出す)」を実現し続けたいと考えております。当社グループが更なる成長に向けて対処すべき課題は以下の通りです。
①積極的なIT投資による生産性の向上と事業機会の創造
IT、RPA(Robotic Process Automationの頭文字で、業務プロセスを自動化すること)を活用し、業務プロセスを適正化することにより、業務の生産性の向上を図ります。特に、研修運営オペレーション業務の効率化や、スピーディーな経営指標管理に向けたIT投資を行ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症の流行により加速された在宅勤務やリモートワーク、オンライン会議の普及・浸透が進む環境において、働きやすい環境を整えるための施策を講じてまいります。
一方、HRテックを活用したデータ分析サービスの開発やオンラインを活用した研修の提供等、事業開発のための必要十分なITインフラ投資にも積極的に取り組んでまいります。
②データマーケティングによる顧客とのパートナーシップ強化
企業の人材・組織開発への投資意欲が高まったり弱まったりする要因は、マクロな経済環境に加えて、顧客企業ごとの業績、経営トップの交代、事業や組織の再編、中期経営計画の見直し等様々ですが、こうした顧客企業の経営状況を一元的にデータで管理することで、予測精度を向上させることが出来ると考えております。また、日本を代表する企業の人材開発体系と受注した研修履歴等のデータ分析により、次にどのような人材・組織開発ニーズが発生するかを予測することができる可能性があり、さらに、当社グループとの窓口となる顧客企業のご担当者やご責任者の異動後も関係性を継続することに努め、顧客内の人脈ネットワーク構築につなげていきたいと考えております。以上のようなデータマーケティングを積極化し、顧客企業への更なる貢献を追求する(ソーシャルイシューR&D)のはもちろんのこと、新たな事業・サービスを生み出し、顧客企業との更なるパートナーシップ強化を図ってまいります。
③CVC事業の推進
当社グループのオープンイノベーションの実践及び収益機会の多様化に資する事業を開発する目的で、当社の取締役であり、且つ、ベンチャーキャピタリストの古我知史が代表取締役社長であるアリストテレスパートナーズ株式会社を無限責任組合員とする出資規模3億円のHRテック投資事業有限責任組合を組成いたしました。経営コンサルタントであり、数多くのベンチャー企業の支援の経験を有する古我知史は、当社の前身である株式会社セルムの設立当初から顧客企業とのパートナーシップ深耕に貢献したプロフェッショナルタレントであり、MBO実施後の会社の更なる発展に非常勤取締役の観点からの助言が期待できることから、2016年12月に当社の取締役として選任しております。なお、プロフェッショナルタレントとして実施した研修に対する対価については役員報酬とは別に支払っており、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」の記載のとおりであります。また、組成にあたり、古我知史が別途運営するクールジャパン投資事業有限責任組合とは競業関係にない旨、確認を行っております。
投資先はスタートアップやアーリー、ミドルステージの会社が中心となっており、顧客企業の人材・組織開発により高い付加価値を提供するための新しいテクノロジーや知財・人材を有する国内外のHRテックベンチャー企業であります。投資方針は、1.当社グループの既存事業とのシナジーがあるか、2.将来、当社グループの既存事業モデルのディスラプター(代替者)になり得るか、3.自前の経営資源を使うよりもスピーディーかを基準として選定し、すべて30,000千円を上限とするマイノリティ投資とします。投資判断の意思決定においては、HRテック投資事業有限責任組合としての投資委員会を設置し、当社の代表取締役、常勤取締役2名及びアリストテレスパートナーズ株式会社の代表取締役と、この4名が協議によって決定した1名を含む全5名の投資委員の参加を条件として開催し、必要十分な協議の上で、原則投資委員全員の賛成をもって投資判断してまいります。なお、投資委員会においては、投資の意思決定のみならず、投資先のモニタリング状況等についても報告を行っております。
また、CVC事業における投資状況や投資先のモニタリング状況については、親会社である当社取締役会において報告を行う体制とすることで、ガバナンス体制を構築しております。
④経営管理体制の強化
当社グループは、現状、小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。今後、「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」というビジョンの実現に向け、既存事業の成長と、新市場の創造に取り組み、持続的な成長を図っていくためには、事業の成長や業容の拡大に合わせた経営管理体制の充実・強化が課題であると認識しております。また、株主を始めとするステークホルダーの皆様に信頼される企業となるために、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取組みが不可欠であると考えております。そのため、人材の採用・育成により、業務執行体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するような仕組みを強化・維持していくとともに、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいります。
⑤オンラインを活用した新たな人材開発市場の拡張
当社グループにおいて、コロナ禍以前は対面形式での研修やコンサルティングが中心であったものの、顧客・講師との強いパートナーシップを活かすことにより、コロナ禍においても、研修やコンサルティングをオンライン形式で提供出来る体制を短期間で構築してまいりました。現在、当社が提供する研修の約8割(2021年1月現在)はオンライン形式にて実施しており、顧客企業の研修企画・運営を効率的にサポートするための運用ノウハウを蓄積出来たと考えております。
今後は、対面での集合研修とオンラインを活用した研修を融合し、これまで以上に時間効率や投資効率が高い研修サービスを提供してまいります。また、時間的制約等により限定的な取り組みとなっていた経営メンタリングやグループ・コーチングをオンラインで実施する等、オンライン環境を活用した新たな人材開発・組織開発の機会を追求することに注力してまいります。
⑥その他事業の収益向上に向けた店舗拡大
その他事業において、バイリンガル教育によるプリスクール事業を代官山で運営しているRISE Japan㈱は、設立から5年が経ち、収益の安定化を図ることができました。代官山という立地でのフラッグシップ化が確立され、ハイブランドのプリスクールというポジショニングを築くことができたと考えております。このブランド力を活かし、更なる収益基盤の拡大に向け、事業計画に沿って新店舗の開発を進めてまいります。