有価証券報告書-第14期(2023/01/01-2023/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度につきましては、新型コロナウイルスは2023年5月8日より5類感染症となり、一定の落ち着きを取り戻しつつありますが、経済の不透明感は引き続き続いております。一方で同ウイルスの感染拡大に背中を押される形で、学習や教育DXの急速な浸透が進みました。また、政府による経済政策である「新しい資本主義」の柱の一つ「人への投資と分配」によるリスキリング(学び直し)の意識も高まるなか、当社ビジネスの強みであるITを活用したオンライン学習ニーズは増加しております。ビジネスパーソンが専門性を高め自身のキャリア形成につなげていく志向の高まりや、各企業における優秀な人材の育成にむけ、個人、法人問わず、リスキリングの機運が拡大しました。
このような環境下、個人向け事業(スタディング)においては、前年に引き続きスタディング講座の新規開発や既存講座の改訂、サービス内容の充実や品質の向上、事業基盤を支える人材の確保、特にエンジニアやマーケティング人材の強化等に注力してまいりました。
個人向け事業における当期の主な取り組みとしましては、昨年に引き続き当社サービスのブランディング強化を目的として、スタディングのテレビCMを全国の主要地域で実施し「資格合格パートナー」というメッセージとともに、当社ブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。
講座ラインナップにつきましては、10月に「情報セキュリティマネジメント」講座を開講しました。情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から組織を守ることができる人材であることを示す経済産業省認定の国家試験です。また12月には同様に経済産業省認定の国家試験である「データベーススペシャリスト」講座を開講するなど、特にIT分野における資格講座の拡充に注力しました。
また講座の拡充以外に、7月には生成AI(GPTモデル)を活用し受講生がわからない用語を質問すると「AIマスター先生」がその場で回答してくれる「AI説明機能」をリリースいたしました。スタディングの学習コンテンツをもとにした信頼性の高い回答および、生成AI(GPTモデル)の知識を加えた詳しい回答を提供することで、受講者がよりスムーズに学習を進められるようにしています。受講者サポート面においては、11月に資格合格に向けた受講生の学習継続を支援する「スタディング チャレンジ」の提供を開始しました。スタディング チャレンジは、資格合格者の学習データ分析に基づいて設計された短期的な学習目標候補の中から自身の学習スタイルに合うチャレンジを選択し、その達成を目指す機能です。同じチャレンジに参加している勉強仲間の取り組みに刺激を受けながら目標を達成すると、さらに次のおすすめチャレンジに取り組めます。このようにゲーム感覚でチャレンジをクリアしていくことで、高いモチベーションを維持しながら、長期にわたる資格学習を継続しやすくなります。
また、新たな事業の取り組みとして、11月に「スタディングキャリア」を開始しました。当社アンケートによれば、資格取得者・学習者の49%が「資格を活かせる仕事・求人の情報」に興味を持っています。一方で、3割以上の方で転職経験がなく、「転職のタイミング」「転職先の選び方」等に不安を感じている人が多いことが分かりました。スタディングキャリアは、このような資格取得者の不安を解消し、キャリア形成を支援するサービスとして開発されました。スタディングキャリアは、資格取得者と採用企業・転職エージェントを直接つなぐ、ダイレクトリクルーティングプラットフォームです。資格を持つ利用者が求人に応募したり、企業が利用者に直接スカウトを送ることができます。さらに利用者は、スタディングキャリアを介して転職エージェントに登録し、転職相談ができるほか、動画コンテンツにより転職活動の方法を体系的に学ぶこともできます。
このように今後も、受講者の利便性や勉強効率を高める機能開発に注力しサービス機能充実・新規講座のラインナップ拡大等を通じ、難関資格に挑戦する人に合格まで伴走し、その後のキャリア支援まで対応する信頼されるサービスを目指してまいります。
法人向け教育事業につきましては、社員研修クラウドサービス「エアコース」のコンテンツ強化や新機能のリリースによるプロダクトの強化、新規案件受注獲得に向けた営業活動を積極的に行ってまいりました。エアコースにおいては、受け放題の動画研修コースである「標準コース」の開発に積極的に注力した結果、コース数は2023年12月末で856コースまで拡充し、前年同期比208コース増となりました(2022年12月末は648コース)。追加した主なコースとして「情報セキュリティ」「GPT活用コース」など、ITやDXに関する知識を習得できるコンテンツを充実させました。
新たな取り込みとして4月にAIにより教育動画から字幕を自動生成する「字幕機能」をリリースしました。
エアコースの字幕機能では、人工知能(AI)を活用した字幕の自動生成が可能です。直感的な編集画面で、誰でも簡単に字幕付き動画を作成・編集できるサービスです。既存の字幕ファイルを活用して字幕としてデータを取り込むことも可能です。
また、12月より新サービス「AirCourse AIナレッジ」を開始しました。AirCourse AIナレッジは、法人企業が安心して導入でき、誰でも簡単に日常業務に活用できる生成AIサービスです。AirCourse AIナレッジは、生成AIを利用する都度、複数あるGPTモデルから最適なモデルを選択して利用することができます。業務別のプロンプトのテンプレートを100種類以上搭載しているため、はじめて生成AIを利用する社員もすぐに業務で活用いただけます。さらに、ナレッジ共有機能との連動により、自社で作成したオリジナルのプロンプトや生成AIを使って得たナレッジを社内で共有することができます。これらにより全社員が生成AIを業務で活用し、ナレッジを共有することで生産性の向上が期待できます。
このように法人向け教育事業においても、ユーザビリティを高め、コンテンツを充実させていくとともに、最新のITを活用したサービスを並行して提供していくことで、SaaSモデルとしてより多くの企業に利用していただける、企業にとって不可欠なサービスとして事業拡大をしていく方針です。
このような状況のなか、当事業年度の経営成績は、売上高は3,798,741千円(前年同期比33.4%増)となり、営業利益は136,380千円(前年同期は183,381千円の営業損失)、経常利益は140,247千円(前年同期は183,199千円の経常損失)、当期純利益は112,252千円(前年同期は220,932千円の当期純損失)となりました。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は3,956,639千円となり、前事業年度末に比べ550,096千円増加いたしました。これは主に現金ベース売上増による現金及び預金の増加406,894千円、システム開発に伴うソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加50,697千円、及び事業拡張のためのオフィス開設に伴う敷金及び保証金の増加35,750千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は2,872,336千円となり、前事業年度末に比べ431,514千円増加いたしました。これは主に現金ベース売上増に伴う前受金の増加384,415千円、及び税金費用計上に伴う未払法人税等の増加40,082千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,084,303千円となり、前事業年度末に比べ118,581千円増加いたしました。これは主に、当期純利益112,252千円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べて406,894千円増加し、3,194,226千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は600,914千円(前年同期比91.6%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益128,872千円、現金ベース売上増に伴う前受金の増加額384,415千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は146,479千円(前事業年度は148,536千円の資金の使用)となりました。これは主に、システム開発に伴う無形固定資産の取得による支出108,126千円、事業拡張のためのオフィス拡張に伴う敷金及び保証金の支払いによる支出38,234千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は47,540千円(前事業年度は348,708千円の資金の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出47,664千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.当社は、e-learning・教育事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績については、個人向け資格取得事業(スタディング事業)は、2023年10月に「情報セキュリティマネジメント」講座を、同12月には「データベーススペシャリスト」講座をリリースし、講座カテゴリの拡張により簡単な資格から難関資格まで幅広く提供しており、30講座以上のラインナップとなっております。また、2023年12月期の新規有料会員数(ユニーク数)は78,122人となり、前年同期比で17.6%増、現金ベース売上高についても3,761,478千円となり、同24.7%増となり、昨年に引き続き高成長を実現しました。
当社にはサービス開始時より蓄積された、講座受講者の膨大な学習履歴データや問題、模試試験等の得点データが蓄積されています。これらデータを活用することで、受講者ごとに最適化した学習方法を提供するサービスの開発を引き続き進めました。なかでも、AI(機械学習)による学習の個別最適化を目的としたサービスの開発を引き続き積極的に進めており、2023年12月には、受講者がわからない用語を質問すると、「AIマスター先生」が質問に回答する「AI説明機能」をリリースしました。スタディングの学習コンテンツをもとにした信頼性の高い回答および、生成AI(GPTモデル)の知識を加えた詳しい回答を提供することで、受講者がよりスムーズに学習を進められるようになっております。また、昨年度にリリースした、個人の学習データから現在の実力をリアルタイムで確認できる「AI実力スコア」機能、AIが学習計画を作成、合格に向けた効率的な学習が可能な「AI学習プラン」機能の導入講座を拡張しております。さらに、オンライン学習においてデメリットになりがちな孤独感を排除すべく、よりコミュニケーションがとりやすく、お互いの進捗状況の共有や励ましあいを行えるような環境を提供する「勉強仲間SNS」機能も好評であり、2023年11月には、ゲーム感覚で資格学習を続けられる新機能「スタディングチャレンジ」をリリースしており、受講者のモチベーションを高めながら、長期にわたる資格学習の継続を支援しています。このように、今後もより受講者目線に立った利便性や学習効率の高いシステムを開発してまいります。
スタディング事業においては、先行投資となるWeb広告やマス広告への出稿による認知拡大により、無料会員を獲得し、その中から講座を購入(有料会員へ移行)していただくことが重要です。受講料の支払額の総額である現金ベース売上が積み上がり、その後、発生ベース売上として売上按分されることになるため、現金ベース売上の推移(貸借対照表上は前受金計上)はそのまま収益に影響を及ぼすことになります。
Web広告はGoogleやYahoo!等が提供する検索連動型広告(リスティング広告)に加え、各種メディアへのバナー広告、Youtube等への出稿を行っています。広告効果を高めるには、効果測定の結果分析や、きめ細やかな運用が不可欠となるため、当社では日次でデータをチェックし対応するための人的リソースの確保や、運用ノウハウの獲得を重視しております。集客をWeb広告のみに依存した場合、競合との関係から費用が増大するリスクがあるため、検索での流入を増やすSEO対策や、SNSの活用など様々な手法を取り入れ集客の増加を図ることを重視しております。また、昨年度に続き、当期においてもスタディングのテレビCMを全国主要地域で放映しており、「資格合格パートナー」というブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。短期的な集客効果に加えて、人々が資格を取ろうとしたとき、スタディングが第一想起となるよう中長期のブランディング強化をはかることで収益性を高めていくことが目的です。
当社の売上高は、従来はスタディング事業が大半を占めておりますが、中長期の経営戦略を考えたとき、収益源の多様化は重要な経営課題であると認識しております。
そのため、2018年7月に法人事業部を立ち上げ、法人向け事業を推進しております。法人事業では、企業にニーズの高い社員研修クラウドサービス(エアコース)の販売や、社員教育動画制作サービス、スタディング事業で展開している資格講座を法人向けに販売するなど売上増にむけて積極的に展開しております。主力のエアコースでは、大企業向けに、セキュリティの強化など新機能のリリースや、受け放題となっている社員教育研修コースの開発に注力しました。2022年12月末で648コースだったコース数は、2023年12月末で856コースまで拡充させ、前年同期比208コース増となっております。2023年度の新たな取り組みとしましては、4月にAIにより教育動画から字幕を自動生成する「字幕機能」をリリースしております。エアコース字幕機能では、人工知能(AI)を活用した字幕の自動生成が可能であり、直感的な編集画面で、誰でも簡単に字幕付き動画を作成・編集できるサービスとなっております。
その他法人部サービスにおいては、スタディング事業の資格講座の法人向け販売も伸びており、エアコースとスタディングを組み合わせ、企業の人材育成ニーズに合わせた提案力を強化することで、法人事業の売上を拡大してまいります。社員教育においても、各企業の成長ステージにおける課題解決を網羅していけるような社員教育プラットフォームを目指し、引き続き社員教育を革新するサービスを積極的に展開し、中長期的には法人事業の成長により収益源を多様化させていく方針です。
当社は、個人向け、法人向けサービス双方でITを駆使しております。スマートフォンやタブレット、PCなどの情報端末を活用した学習方法を提供しておりますが、それら情報端末の進化は著しく、また通信環境の改善により、ユーザーは動画を始めとするリッチコンテンツの閲覧や多様な情報の取得が可能となっております。したがってそれら技術革新を正しく理解し、品質の高いサービスの提供に向け高い技術力の確保が重要であると考えております。その実現のため、優秀な技術者の確保を加速するとともに、AIを含む最新の技術知識の獲得を加速させる方針です。
当社としましては、スタディング事業については新規講座の開発、既存講座の強化、認知度向上のためのマス広告(テレビCM)等への投資、AIのさらなる活用やシステム開発によるサービス力の強化等、売上拡大につながるための施策を引き続き積極的に展開してまいります。法人向け教育事業については、社員研修クラウドサービス「エアコース」のコンテンツのさらなる充実や、より利便性の高い新機能を開発しリリースしていくなど、より大企業での教育ニーズに沿ったプロダクトの強化を行う方針であり、これらを通じ、社員教育を革新するサービスを目指してまいります。
そのようななか、2023年12月期の新たな取り組みとして、11月に資格取得者と企業をマッチングするダイレクトリクルーティングサービス「スタディングキャリア」の提供を開始しております。これまで当社では「スタディング」を通じて資格取得に向けた学習を支援してきました。これに加え、今後はスタディングキャリアを通じて、資格取得のその先にあるキャリア形成まで支援の範囲を広げてまいります。リスキリングが求められる現代において、学習、仕事探し、転職、職場での活躍、ネットワーキングといったキャリア形成に必要な全プロセスをサポートできる「キャリア支援プラットフォーム」を構築してまいります。
また、12月には法人事業において、新サービス「AirCourse AIナレッジ」をリリースしております。AirCourseAIナレッジは、法人企業が安心して導入でき、はじめて利用する社員も簡単に日常業務に活用できるようにデザインされた生成AIサービスです。
当社の投資方針としては、中長期に高成長を実現させるため、成長の鍵となるマーケティング、システム・AI開発、および関連する特許戦略(知財戦略)、コンテンツ開発、といった分野に投資していく方針です。
事業運営面においても、中長期の持続的な成長を実現させるため、優秀な人材の採用や、社員の育成など人材の強化に努めてまいります。また、さらなる成長の鍵となるマーケティング強化、システム・AI開発における特許戦略(知財戦略)の展開、コンテンツ開発といった分野に投資し、競争優位性を高めるとともに高い成長を実現し、企業価値を高めていく方針です。常に顧客目線を心掛け、「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」というビジョンのもと、顧客への提供価値および企業価値を高める方法を追求してまいります。そしてそれこそが、私たちのミッションである「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」を達成することにつながると考えております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、これらに必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて最適な方法による資金調達を行う予定であります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,194,226千円であり、有利子負債の残高は481,327千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当事業年度につきましては、新型コロナウイルスは2023年5月8日より5類感染症となり、一定の落ち着きを取り戻しつつありますが、経済の不透明感は引き続き続いております。一方で同ウイルスの感染拡大に背中を押される形で、学習や教育DXの急速な浸透が進みました。また、政府による経済政策である「新しい資本主義」の柱の一つ「人への投資と分配」によるリスキリング(学び直し)の意識も高まるなか、当社ビジネスの強みであるITを活用したオンライン学習ニーズは増加しております。ビジネスパーソンが専門性を高め自身のキャリア形成につなげていく志向の高まりや、各企業における優秀な人材の育成にむけ、個人、法人問わず、リスキリングの機運が拡大しました。
このような環境下、個人向け事業(スタディング)においては、前年に引き続きスタディング講座の新規開発や既存講座の改訂、サービス内容の充実や品質の向上、事業基盤を支える人材の確保、特にエンジニアやマーケティング人材の強化等に注力してまいりました。
個人向け事業における当期の主な取り組みとしましては、昨年に引き続き当社サービスのブランディング強化を目的として、スタディングのテレビCMを全国の主要地域で実施し「資格合格パートナー」というメッセージとともに、当社ブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。
講座ラインナップにつきましては、10月に「情報セキュリティマネジメント」講座を開講しました。情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から組織を守ることができる人材であることを示す経済産業省認定の国家試験です。また12月には同様に経済産業省認定の国家試験である「データベーススペシャリスト」講座を開講するなど、特にIT分野における資格講座の拡充に注力しました。
また講座の拡充以外に、7月には生成AI(GPTモデル)を活用し受講生がわからない用語を質問すると「AIマスター先生」がその場で回答してくれる「AI説明機能」をリリースいたしました。スタディングの学習コンテンツをもとにした信頼性の高い回答および、生成AI(GPTモデル)の知識を加えた詳しい回答を提供することで、受講者がよりスムーズに学習を進められるようにしています。受講者サポート面においては、11月に資格合格に向けた受講生の学習継続を支援する「スタディング チャレンジ」の提供を開始しました。スタディング チャレンジは、資格合格者の学習データ分析に基づいて設計された短期的な学習目標候補の中から自身の学習スタイルに合うチャレンジを選択し、その達成を目指す機能です。同じチャレンジに参加している勉強仲間の取り組みに刺激を受けながら目標を達成すると、さらに次のおすすめチャレンジに取り組めます。このようにゲーム感覚でチャレンジをクリアしていくことで、高いモチベーションを維持しながら、長期にわたる資格学習を継続しやすくなります。
また、新たな事業の取り組みとして、11月に「スタディングキャリア」を開始しました。当社アンケートによれば、資格取得者・学習者の49%が「資格を活かせる仕事・求人の情報」に興味を持っています。一方で、3割以上の方で転職経験がなく、「転職のタイミング」「転職先の選び方」等に不安を感じている人が多いことが分かりました。スタディングキャリアは、このような資格取得者の不安を解消し、キャリア形成を支援するサービスとして開発されました。スタディングキャリアは、資格取得者と採用企業・転職エージェントを直接つなぐ、ダイレクトリクルーティングプラットフォームです。資格を持つ利用者が求人に応募したり、企業が利用者に直接スカウトを送ることができます。さらに利用者は、スタディングキャリアを介して転職エージェントに登録し、転職相談ができるほか、動画コンテンツにより転職活動の方法を体系的に学ぶこともできます。
このように今後も、受講者の利便性や勉強効率を高める機能開発に注力しサービス機能充実・新規講座のラインナップ拡大等を通じ、難関資格に挑戦する人に合格まで伴走し、その後のキャリア支援まで対応する信頼されるサービスを目指してまいります。
法人向け教育事業につきましては、社員研修クラウドサービス「エアコース」のコンテンツ強化や新機能のリリースによるプロダクトの強化、新規案件受注獲得に向けた営業活動を積極的に行ってまいりました。エアコースにおいては、受け放題の動画研修コースである「標準コース」の開発に積極的に注力した結果、コース数は2023年12月末で856コースまで拡充し、前年同期比208コース増となりました(2022年12月末は648コース)。追加した主なコースとして「情報セキュリティ」「GPT活用コース」など、ITやDXに関する知識を習得できるコンテンツを充実させました。
新たな取り込みとして4月にAIにより教育動画から字幕を自動生成する「字幕機能」をリリースしました。
エアコースの字幕機能では、人工知能(AI)を活用した字幕の自動生成が可能です。直感的な編集画面で、誰でも簡単に字幕付き動画を作成・編集できるサービスです。既存の字幕ファイルを活用して字幕としてデータを取り込むことも可能です。
また、12月より新サービス「AirCourse AIナレッジ」を開始しました。AirCourse AIナレッジは、法人企業が安心して導入でき、誰でも簡単に日常業務に活用できる生成AIサービスです。AirCourse AIナレッジは、生成AIを利用する都度、複数あるGPTモデルから最適なモデルを選択して利用することができます。業務別のプロンプトのテンプレートを100種類以上搭載しているため、はじめて生成AIを利用する社員もすぐに業務で活用いただけます。さらに、ナレッジ共有機能との連動により、自社で作成したオリジナルのプロンプトや生成AIを使って得たナレッジを社内で共有することができます。これらにより全社員が生成AIを業務で活用し、ナレッジを共有することで生産性の向上が期待できます。
このように法人向け教育事業においても、ユーザビリティを高め、コンテンツを充実させていくとともに、最新のITを活用したサービスを並行して提供していくことで、SaaSモデルとしてより多くの企業に利用していただける、企業にとって不可欠なサービスとして事業拡大をしていく方針です。
このような状況のなか、当事業年度の経営成績は、売上高は3,798,741千円(前年同期比33.4%増)となり、営業利益は136,380千円(前年同期は183,381千円の営業損失)、経常利益は140,247千円(前年同期は183,199千円の経常損失)、当期純利益は112,252千円(前年同期は220,932千円の当期純損失)となりました。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は3,956,639千円となり、前事業年度末に比べ550,096千円増加いたしました。これは主に現金ベース売上増による現金及び預金の増加406,894千円、システム開発に伴うソフトウエア及びソフトウエア仮勘定の増加50,697千円、及び事業拡張のためのオフィス開設に伴う敷金及び保証金の増加35,750千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は2,872,336千円となり、前事業年度末に比べ431,514千円増加いたしました。これは主に現金ベース売上増に伴う前受金の増加384,415千円、及び税金費用計上に伴う未払法人税等の増加40,082千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,084,303千円となり、前事業年度末に比べ118,581千円増加いたしました。これは主に、当期純利益112,252千円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べて406,894千円増加し、3,194,226千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は600,914千円(前年同期比91.6%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益128,872千円、現金ベース売上増に伴う前受金の増加額384,415千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は146,479千円(前事業年度は148,536千円の資金の使用)となりました。これは主に、システム開発に伴う無形固定資産の取得による支出108,126千円、事業拡張のためのオフィス拡張に伴う敷金及び保証金の支払いによる支出38,234千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は47,540千円(前事業年度は348,708千円の資金の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出47,664千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
| 当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 前年同期比(%) |
| 3,798,741千円 | 133.4 |
(注)1.当社は、e-learning・教育事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績については、個人向け資格取得事業(スタディング事業)は、2023年10月に「情報セキュリティマネジメント」講座を、同12月には「データベーススペシャリスト」講座をリリースし、講座カテゴリの拡張により簡単な資格から難関資格まで幅広く提供しており、30講座以上のラインナップとなっております。また、2023年12月期の新規有料会員数(ユニーク数)は78,122人となり、前年同期比で17.6%増、現金ベース売上高についても3,761,478千円となり、同24.7%増となり、昨年に引き続き高成長を実現しました。
当社にはサービス開始時より蓄積された、講座受講者の膨大な学習履歴データや問題、模試試験等の得点データが蓄積されています。これらデータを活用することで、受講者ごとに最適化した学習方法を提供するサービスの開発を引き続き進めました。なかでも、AI(機械学習)による学習の個別最適化を目的としたサービスの開発を引き続き積極的に進めており、2023年12月には、受講者がわからない用語を質問すると、「AIマスター先生」が質問に回答する「AI説明機能」をリリースしました。スタディングの学習コンテンツをもとにした信頼性の高い回答および、生成AI(GPTモデル)の知識を加えた詳しい回答を提供することで、受講者がよりスムーズに学習を進められるようになっております。また、昨年度にリリースした、個人の学習データから現在の実力をリアルタイムで確認できる「AI実力スコア」機能、AIが学習計画を作成、合格に向けた効率的な学習が可能な「AI学習プラン」機能の導入講座を拡張しております。さらに、オンライン学習においてデメリットになりがちな孤独感を排除すべく、よりコミュニケーションがとりやすく、お互いの進捗状況の共有や励ましあいを行えるような環境を提供する「勉強仲間SNS」機能も好評であり、2023年11月には、ゲーム感覚で資格学習を続けられる新機能「スタディングチャレンジ」をリリースしており、受講者のモチベーションを高めながら、長期にわたる資格学習の継続を支援しています。このように、今後もより受講者目線に立った利便性や学習効率の高いシステムを開発してまいります。
スタディング事業においては、先行投資となるWeb広告やマス広告への出稿による認知拡大により、無料会員を獲得し、その中から講座を購入(有料会員へ移行)していただくことが重要です。受講料の支払額の総額である現金ベース売上が積み上がり、その後、発生ベース売上として売上按分されることになるため、現金ベース売上の推移(貸借対照表上は前受金計上)はそのまま収益に影響を及ぼすことになります。
Web広告はGoogleやYahoo!等が提供する検索連動型広告(リスティング広告)に加え、各種メディアへのバナー広告、Youtube等への出稿を行っています。広告効果を高めるには、効果測定の結果分析や、きめ細やかな運用が不可欠となるため、当社では日次でデータをチェックし対応するための人的リソースの確保や、運用ノウハウの獲得を重視しております。集客をWeb広告のみに依存した場合、競合との関係から費用が増大するリスクがあるため、検索での流入を増やすSEO対策や、SNSの活用など様々な手法を取り入れ集客の増加を図ることを重視しております。また、昨年度に続き、当期においてもスタディングのテレビCMを全国主要地域で放映しており、「資格合格パートナー」というブランドイメージの確立と認知度向上、及び中長期的な成長を実現させることに注力いたしました。短期的な集客効果に加えて、人々が資格を取ろうとしたとき、スタディングが第一想起となるよう中長期のブランディング強化をはかることで収益性を高めていくことが目的です。
当社の売上高は、従来はスタディング事業が大半を占めておりますが、中長期の経営戦略を考えたとき、収益源の多様化は重要な経営課題であると認識しております。
そのため、2018年7月に法人事業部を立ち上げ、法人向け事業を推進しております。法人事業では、企業にニーズの高い社員研修クラウドサービス(エアコース)の販売や、社員教育動画制作サービス、スタディング事業で展開している資格講座を法人向けに販売するなど売上増にむけて積極的に展開しております。主力のエアコースでは、大企業向けに、セキュリティの強化など新機能のリリースや、受け放題となっている社員教育研修コースの開発に注力しました。2022年12月末で648コースだったコース数は、2023年12月末で856コースまで拡充させ、前年同期比208コース増となっております。2023年度の新たな取り組みとしましては、4月にAIにより教育動画から字幕を自動生成する「字幕機能」をリリースしております。エアコース字幕機能では、人工知能(AI)を活用した字幕の自動生成が可能であり、直感的な編集画面で、誰でも簡単に字幕付き動画を作成・編集できるサービスとなっております。
その他法人部サービスにおいては、スタディング事業の資格講座の法人向け販売も伸びており、エアコースとスタディングを組み合わせ、企業の人材育成ニーズに合わせた提案力を強化することで、法人事業の売上を拡大してまいります。社員教育においても、各企業の成長ステージにおける課題解決を網羅していけるような社員教育プラットフォームを目指し、引き続き社員教育を革新するサービスを積極的に展開し、中長期的には法人事業の成長により収益源を多様化させていく方針です。
当社は、個人向け、法人向けサービス双方でITを駆使しております。スマートフォンやタブレット、PCなどの情報端末を活用した学習方法を提供しておりますが、それら情報端末の進化は著しく、また通信環境の改善により、ユーザーは動画を始めとするリッチコンテンツの閲覧や多様な情報の取得が可能となっております。したがってそれら技術革新を正しく理解し、品質の高いサービスの提供に向け高い技術力の確保が重要であると考えております。その実現のため、優秀な技術者の確保を加速するとともに、AIを含む最新の技術知識の獲得を加速させる方針です。
当社としましては、スタディング事業については新規講座の開発、既存講座の強化、認知度向上のためのマス広告(テレビCM)等への投資、AIのさらなる活用やシステム開発によるサービス力の強化等、売上拡大につながるための施策を引き続き積極的に展開してまいります。法人向け教育事業については、社員研修クラウドサービス「エアコース」のコンテンツのさらなる充実や、より利便性の高い新機能を開発しリリースしていくなど、より大企業での教育ニーズに沿ったプロダクトの強化を行う方針であり、これらを通じ、社員教育を革新するサービスを目指してまいります。
そのようななか、2023年12月期の新たな取り組みとして、11月に資格取得者と企業をマッチングするダイレクトリクルーティングサービス「スタディングキャリア」の提供を開始しております。これまで当社では「スタディング」を通じて資格取得に向けた学習を支援してきました。これに加え、今後はスタディングキャリアを通じて、資格取得のその先にあるキャリア形成まで支援の範囲を広げてまいります。リスキリングが求められる現代において、学習、仕事探し、転職、職場での活躍、ネットワーキングといったキャリア形成に必要な全プロセスをサポートできる「キャリア支援プラットフォーム」を構築してまいります。
また、12月には法人事業において、新サービス「AirCourse AIナレッジ」をリリースしております。AirCourseAIナレッジは、法人企業が安心して導入でき、はじめて利用する社員も簡単に日常業務に活用できるようにデザインされた生成AIサービスです。
当社の投資方針としては、中長期に高成長を実現させるため、成長の鍵となるマーケティング、システム・AI開発、および関連する特許戦略(知財戦略)、コンテンツ開発、といった分野に投資していく方針です。
事業運営面においても、中長期の持続的な成長を実現させるため、優秀な人材の採用や、社員の育成など人材の強化に努めてまいります。また、さらなる成長の鍵となるマーケティング強化、システム・AI開発における特許戦略(知財戦略)の展開、コンテンツ開発といった分野に投資し、競争優位性を高めるとともに高い成長を実現し、企業価値を高めていく方針です。常に顧客目線を心掛け、「世界一『学びやすく、わかりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」というビジョンのもと、顧客への提供価値および企業価値を高める方法を追求してまいります。そしてそれこそが、私たちのミッションである「学びを革新し、誰もが持っている無限の力を引き出す」を達成することにつながると考えております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、これらに必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて最適な方法による資金調達を行う予定であります。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,194,226千円であり、有利子負債の残高は481,327千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。