有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/07/03 15:00
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研究開発活動

第4期事業年度(自 2018年12月1日 至 2019年11月30日)
当事業年度の研究開発は先進技術ソリューションカテゴリーの基礎研究となっており、研究開発費の総額は17,285千円であります。当社は国立大学法人東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以降、CIES)と共同研究を進めており、2つのテーマの研究開発を行っております。
当社の研究開発は次世代半導体メモリとAIの融合をテーマとしております。現在CIESで研究開発されている次世代半導体メモリは、世界トップレベルの技術であり(*1)、これを搭載したマイコンやAIプロセッサの消費電力は、従来のプロセッサに比べ性能を落とすことなく1/100~1/1,000に低減できるという実績が報告されております(*2)。近年、自動運転・画像処理・IoT機器・ロボット産業といった分野の急成長には、低消費電力化が不可欠です。CIESの次世代メモリ及びそれを搭載したチップの研究成果は、上述した分野の実現に大きく貢献することが期待されています。CIESの取り決めにより、共同研究への参加企業は「1業種1社」とされており、当社はこの研究活動の中で、特にこれらに関連したソフトウエアの研究開発全般を担当致します。まず初期のフェーズでは、下記のテーマを中心に研究開発活動を行っております。
(1) 次世代半導体メモリの信頼性確保に向けた研究開発
半導体メモリはデータ書き込み時にエラービットが発生することがあるため(デジタル記録において、データを構成するビットが伝送・再生などの過程で損傷を受け、ビットが反転する)、メモリの信頼性を高めるエラー訂正は、次世代半導体メモリの製品化に必要不可欠な技術であります。当社では次世代半導体メモリに適したエラー訂正技術の開発を行っており、高可用かつハードウエア化が容易な技術の提案・実装を進め、信頼性の確保を目指しております。これまでにエラー訂正技術の調査・作成・評価を行っており、次世代半導体メモリが持つ低消費電力・高速応答といったハードウエア特性に適したエラー訂正技術を実装する準備を進めております。
(2) 次世代半導体メモリのAIプロセッサ用アプリケーションソフトウエアの研究開発
自動運転や産業用機器、IoT機器に搭載されるAIプロセッサは消費電力が少なく応答が速いことが期待されておりますが、現状ではまだ開発途上のステージにあります。消費電力と応答に優れた次世代半導体メモリをAIプロセッサに搭載することで、これまでの機器よりもさらに省エネ・小型化・高機能化を実現することが可能です。当社では、次世代半導体メモリを搭載した次世代AIプロセッサを用いた研究開発・実用化を促進させるために、次世代半導体メモリの特性や性能を活かしたファームウエアならびに、AIアプリケーションソフトウエアの設計・開発を進め、企業がAIアプリケーションボードを使って手軽に評価・開発ができる環境の提供を目指しております。これまでに、基礎研究としてAIプロセッサの性能と消費電力の調査、AIアルゴリズムの調査を行っており、ファームウエア・アプリケーションソフトウエア開発の準備を進めております。
第5期第2四半期累計期間(自 2019年12月1日 至 2020年5月31日)
当第2四半期累計期間の研究開発は先進技術ソリューションカテゴリーの基礎研究となっており、研究開発費の総額は12,081千円であります。当社は国立大学法人東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以降、CIES)と共同研究を進めており、2つのテーマの研究開発を行っております。
当社の研究開発は次世代半導体メモリとAIの融合をテーマとしております。現在CIESで研究開発されている次世代半導体メモリは、世界トップレベルの技術であり(*1)、これを搭載したマイコンやAIプロセッサの消費電力は、従来のプロセッサに比べ性能を落とすことなく1/100~1/1,000に低減できるという実績が報告されております(*2)。近年、自動運転・画像処理・IoT機器・ロボット産業といった分野の急成長には、低消費電力化が不可欠です。CIESの次世代メモリ及びそれを搭載したチップの研究成果は、上述した分野の実現に大きく貢献することが期待されています。CIESの取り決めにより、共同研究への参加企業は「1業種1社」とされており、当社はこの研究活動の中で、特にこれらに関連したソフトウエアの研究開発全般を担当致します。まず初期のフェーズでは、下記のテーマを中心に研究開発活動を行っております。
(1) 次世代半導体メモリの信頼性確保に向けた研究開発
半導体メモリはデータ書き込み時にエラービットが発生することがあるため(デジタル記録において、データを構成するビットが伝送・再生などの過程で損傷を受け、ビットが反転する)、メモリの信頼性を高めるエラー訂正は、次世代半導体メモリの製品化に必要不可欠な技術であります。当社では次世代半導体メモリに適したエラー訂正技術の開発を行っており、高可用かつハードウエア化が容易な技術の提案・実装を進め、信頼性の確保を目指しております。これまでにエラー訂正技術の調査・作成・評価を行っており、次世代半導体メモリが持つ低消費電力・高速応答といったハードウエア特性に適したエラー訂正技術を実装する準備を進めております。
(2) 次世代半導体メモリのAIプロセッサ用アプリケーションソフトウエアの研究開発
自動運転や産業用機器、IoT機器に搭載されるAIプロセッサは消費電力が少なく応答が速いことが期待されておりますが、現状ではまだ開発途上のステージにあります。消費電力と応答に優れた次世代半導体メモリをAIプロセッサに搭載することで、これまでの機器よりもさらに省エネ・小型化・高機能化を実現することが可能です。当社では、次世代半導体メモリを搭載した次世代AIプロセッサを用いた研究開発・実用化を促進させるために、次世代半導体メモリの特性や性能を活かしたファームウエアならびに、AIアプリケーションソフトウエアの設計・開発を進め、企業がAIアプリケーションボードを使って手軽に評価・開発ができる環境の提供を目指しております。これまでに、基礎研究としてAIプロセッサの性能と消費電力の調査、AIアルゴリズムの調査を行っており、ファームウエア・アプリケーションソフトウエア開発の準備を進めております。
*1 CIESは、世界初となる各実証に成功しており、世界トップレベルの技術を有していると認識しております。
・「スピントロニクス技術とCMOS技術の融合により、スピン軌道トルク型磁気トンネル接合(SOT-MTJ)素子を用いた不揮発メモリ(SOT-MRAM)チップの試作・実証に初めて成功」(2020年6月16日)
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/06/press20200616-01-sot-mram.html

・「4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)の材料・デバイス技術の開発により、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった車載スペックでの10年以上のデータ保持特性を維持しながら、1)10ナノ秒(ns)の高速書き込み動作と、2)21%の低消費電力動作と、3)1011回以上の高書込み耐性の同時達成を世界で初めて実証(2020年6月15日)
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/06/press20200615-01STT-MRAM.html

また、第14回産学官連携功労者表彰で、CIESの研究成果が「内閣総理大臣賞」を受賞しております。
*2 「日経エレクトロニクス」2020年6月号 P28~38 日経BP社