有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/19 15:00
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「最適な市場情報をタイムリーに提供することにより、お客様の意思決定を支援し、各業界・産業界の活性化に“情報”というフェイズから貢献し、ひいては社会の発展に寄与する」ことを経営理念として、事業の運営と発展に努め、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
また、当社は、2020年12月期を初年度とした3か年の「2020 中期経営計画」において、中期的な経営方針を「市場・技術動向情報のトップオブマインドを目指して」と定めております。取扱い商品レパートリーの充実、顧客サービス品質の向上等を通じて、当社を利用いただくお客様にとっての利便性を高めることで、市場・技術動向調査を検討する際に、第一に当社を想起して選んでいただける存在となるべく、下記の経営戦略に従い、各施策の実行に努めてまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社の主要商品である市場調査レポートの市場は、国内においては、日本企業の海外進出、技術革新、新規事業の開拓等に伴い、成長を続ける市場であると考えており、海外においては、特にアジア圏の新興国の経済成長に伴い、市場情報、技術動向に関する情報の需要が国内以上に増加すると予想しております。
一方で、当社の仕入先である海外調査出版会社の近年の動向としましては、安価で豊富な労働力を背景に、最新のビッグデータ解析技術等を駆使して欧米系を量的に凌駕するインド系・中国系の新興調査出版会社の著しい台頭や調査出版会社自身による直販部門の戦略的強化など、当社を取り巻く環境は大きく変化しております。
当社は、このような外部環境の変化に必要な経営戦略を可視化し、的確かつ迅速に対応するために、2020年12月期を初年度とする3か年の「2020 中期経営計画」を策定しております。「2020 中期経営計画」には、外部環境の変化を踏まえ社内資源の最適配分を考慮して、取組むべき中期的な経営戦略及びアクションプランを定め、2022年12月期までの数値計画を策定しております。当社は、この「2020 中期経営計画」を達成することで競合他社との比較優位性を高め、事業の発展並びに企業価値の最大化を図ってまいります。
(経営戦略)
当社は、「2020 中期経営計画」において、下記を経営戦略として掲げ、これらの実現に向けて定めたアクションプランの実行に取り組んでおります。
① 仕入先との関係強化
当社は、今後より一層多様化することが予測されるお客様のニーズに応え続けるべく、多種多様な商品を供給し続けることが重要であると認識しております。そのため、世界各国の新規調査出版会社及び国際会議等開催者の開拓及び既存仕入先とのコミュニケーションの促進等による関係強化を取り進め、より盤石な商品供給体制の構築に努めてまいります。また、当社は、主要市場であるアジア圏において、他社との競合を避けるため、同地域での総代理店契約を締結する仕入先の増加を目標の一つとして掲げております。
② 顧客との関係強化
経済のグローバル化が進み、お客様の市場・技術動向に関する情報の需要は、年々多様化していると感じており、当社は、より多様化するお客様の情報ニーズに寄り添い、頼られ続ける存在となることを目指しております。今後、サービス品質の向上による更なる信頼獲得に努め、包括購買契約を締結するお客様の増加に取り組んでまいります。
③ ブランド力の向上
当社事業を拡大する上で、市場・技術動向調査の際に、お客様に第一に選んでいただけるよう、当社のブランド力を向上させることが重要であると考えております。商品情報プラットフォームである当社WEBサイトの認知度を向上させると同時に顧客サービスを更に充実させ、お客様に選ばれ続ける企業となるよう努力を続けてまいります。
④ 商品登録プロセスの効率化
お客様の情報ニーズに対応するため、提携仕入先数及び取扱い商品の増加に努める一方で、増加する商品数に対応するため、仕入先から提供される商品情報の登録プロセスを効率化する必要性があると認識しております。商品情報のデータベースへの受入、販促材料の翻訳、WEBページの作成・アップロードまでの工程の自動化及び簡略化を推し進めることで、当社WEBサイトで紹介できる商品数を増やすことができると同時に、新規発行商品に関する情報を素早く届けられるようになり、お客様の意思決定に必要な情報をタイムリーに提供することができると考えております。
⑤ 海外拠点の強化
当社は、これまで経営リソースを主に、日本を中心とし、韓国、台湾等アジア地域に投入してきました。その結果、地域ごとの売上高構成では、アジア地域における売上高比率が9割以上を占めております。一方、当社は、北米、欧州の市場・技術動向調査の市場規模は、アジア市場以上に大きいものと考えており、今後は、これまで売上が少なかった当該地域においても、当社英語版WEBサイトの改善等を通じて競合他社と競える体制を整え、市場シェアの獲得に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、業容の拡大と適正利益の確保を最優先事項として掲げ、新規取引先の開拓、新規調査出版会社、会議開催会社の開拓等に努めてまいりました。そのため、事業規模を示す「売上高」及び利益の源泉である「売上総利益」を重視しており、中でも「売上総利益」の増加率を経営の最重要指標と位置付けております。
更に、業容の拡大を進める一方で、効率よく利益を上げるためのコスト削減にも最大限取り組んでいることから、「売上高」、「売上総利益」の増加率に加え、「営業利益」の増加率を重要指標として捉え、継続的な成長を目指してまいります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、対処すべき課題として以下の施策に取り組んでまいります。
① 「2020 中期経営計画」の実践
「2020 中期経営計画」で定めた取組むべき中期的経営戦略から、各部門のアクションプランにブレークダウンし、経営目標と各部門のベクトルを一致させながら、月次単位で進捗管理を行い、経営目標達成に向けて取り組んでまいります。
② 有能な人材の確保と育成
当社は、事業の継続的な発展を実現するためには、有能な人材の確保と育成が不可欠であると考えております。そのために、収益性を考慮した人員の最適化を図っていくとともに、事業構造や事業展開等を勘案した上で必要な人材を適時採用するほか、社内の育成環境の強化を推し進めてまいります。
また、社員の処遇向上、福利厚生の充実等、社員一人ひとりが責任と誇りを持って満足して働く環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
③ コーポレート・ガバナンス、内部管理体制の強化
当社は、環境変化へ迅速に対応しつつ持続的な成長を維持していくためには、コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の強化が重要な課題の一つと認識しております。
そのために、内部監査による定期的なモニタリングの実施等により内部統制の実効性を高め、リスクマネジメント、コンプライアンスを含めたコーポレート・ガバナンス体制の構築と運用を図ってまいります。
④ 新規事業の開拓
当社はこれまで、市場調査レポート事業、年間情報サービス事業、委託調査事業、国際会議・展示会事業の4つの事業を柱に据え、着実に成長を続けてきました。しかしながら、当社を取り巻く市場環境は急速に変化しており、その変化に柔軟に対応し、機動的に事業展開することが、今後の更なる事業発展にとって極めて重要であります。2020年1月に設立した子会社の事業の拡大を進めると同時に、その他新規事業の開拓に積極的に取り組み、早期の事業化を実現させることが必要であると考えております。