訂正有価証券報告書-第11期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/10/29 14:50
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(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた緊急事態宣言の発令により雇用情勢の悪化と共に個人消費の減少に繋がりました。株価は上昇するも実体景気としては極めて厳しい状況となり、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、介護事業者の倒産も増加しております。一方、世界経済においても同様に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に歯止めがかからず、多くの国で移動制限、活動制限が実施され、輸出入、企業活動、個人消費などの経済活動全般に停滞が見られました。
介護業界におきましては、高齢化がさらに進み、介護サービスの需要は高まっているもののサービスを担う人材の十分な確保が難しく、引き続き、人材確保が介護事業者の大きな経営課題になっております。当社は「介護職員等特定処遇改善加算」を活用し、事業所の管理者を中心に引き続き還元の強化を実施し、人材確保と定着のための環境を整備することに努めてまいりました。
このような状況の下、当社グループは当連結会計年度において内部管理体制を強化し、経営基盤の構築に努めてまいりました。
また、当連結会計年度のサービス付き高齢者向け住宅の運営状況につきましては、2020年3月に静岡県焼津市にアンジェス西焼津を、2020年6月に愛知県一宮市にアンジェス一宮奥町を、2020年10月に京都市右京区にアンジェス嵯峨広沢を、2020年11月に相模原市緑区にアンジェス相模原を新規開設しました。また、当連結会計年度では経営上の重要指標の強化等を行い、新型コロナウイルス感染症の影響としては衛生用品のための費用増加等が一部発生したものの、助成金を活用しカバーできたことなど、全社的な業績への影響はほぼ無かったことで、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は予算を上回って着地しました。稼働率については、当連結会計年度末時点での24棟746室の全社稼働率は92.1%、開設後1年以上経過拠点に限っては稼働率が97.1%となっております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
ⅰ.資産
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ10百万円減少し、20億56百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1億14百万円増加し、9億32百万円となりました。これは主として、販売用不動産の増加1億22百万円、売掛金の増加46百万円、未収入金の増加21百万円に対し、未成工事支出金の減少52百万円、その他の減少27百万円があったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億25百万円減少し、11億24百万円となりました。これは主として、建物及び構築物(純額)を販売用不動産に振替えたこと等による建物及び構築物(純額)の減少1億34百万円等によるものであります。
ⅱ.負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1億13百万円減少し、18億18百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ30百万円減少し、6億円となりました。これは前受金の減少87百万円、工事未払金の減少23百万円及び未払法人税等の減少8百万円に対して、未払費用の増加40百万円、短期借入金の増加20百万円及び賞与引当金の増加8百万円があったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ82百万円減少し、12億18百万円となりました。これは主として、長期借入金の減少74百万円があったことによるものであります。
ⅲ.純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1億2百万円増加し、2億37百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1億2百万円によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は、29億30百万円(前年同期比22.9%増)、営業利益は89百万円(同20.4%減)、経常利益は1億34百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億2百万円(同33.7%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
ⅰ.介護事業
介護事業におきましては、当連結会計年度において、新たに4拠点を開設いたしました。3月に静岡県焼津市に「アンジェス西焼津」を、6月に愛知県一宮市に「アンジェス一宮奥町」を、10月京都府京都市に「アンジェス嵯峨広沢」を、11月に神奈川県相模原市に「アンジェス相模原」を新規開設しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は24億36百万円(前年同期比24.1%増)、セグメント利益は1億25百万円(同12.1%減)となりました。
ⅱ.不動産事業
不動産事業におきましては、当連結会計年度において、2棟の建築を完成させました。また、期中より、2019年12月に新規開設した「アンジェス加古川」の賃貸収入も計上開始となり、賃貸収入も増収となっております。
その結果、当連結会計年度の売上高は4億94百万円(前年同期比17.0%増)、セグメント利益は16百万円(同15.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて6百万円減少し、4億3百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、1億24百万円(前年同期は1億92百万円の獲得)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1億34百万円、減価償却費73百万円、たな卸資産の減少額52百万円等の増加要因に対し、前受金の減少額87百万円、売上債権の増加額46百万円、法人税等の支払額43百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、74百万円(前年同期は3億60百万円の使用)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出73百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、56百万円(前年同期は3億17百万円の獲得)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出67百万円、短期借入金の純増加額20百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の不動産事業の建築請負業務における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
不動産事業51,081△91.58,650△97.8
合計51,081△91.58,650△97.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の業務以外については、受注実績の記載になじまないため、記載をしておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
介護事業2,436,17024.1
不動産事業494,75717.0
合計2,930,92722.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
滋賀県国民健康保険団体連合会378,82815.9399,78613.6

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りが必要であり、これらの見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は29億30百万円(前連結会計年度は23億85百万円)となりました。介護事業においては、前連結会計年度中に開設した拠点の稼働率向上と当連結会計年度における拠点開設(4拠点)による売上増加、既存拠点の営業強化による稼働率の向上、2019年10月から開始された新加算である「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)」の取得による訪問介護売上の増加が通年で発生したことによるものであります。不動産事業においては、2棟のサービス付き高齢者向け住宅等の建築請負工事が完成しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は24億66百万円(前連結会計年度は19億83百万円)となりました。これは主に、入居者数の増加による売上高の増加に伴う労務費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は4億64百万円(前連結会計年度は4億1百万円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は3億75百万円(前連結会計年度は2億89百万円)となりました。これは主に、上場準備に伴う費用、管理部門の強化による人件費等の増加によるものであります。この結果、営業利益は89百万円(前連結会計年度は1億11百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は69百万円(前連結会計年度は29百万円)となりました。これは主に、一定の要件を満たすサービス付き高齢者向け住宅の建設・改修に対して交付される補助金、人員増加による助成金収入の増加等によるものであります。営業外費用は24百万円(前連結会計年度は33百万円)となりました。これは主に、前連結会計年度において計上した銀行からの融資に伴う支払手数料の減少によるものであります。この結果、経常利益は1億34百万円(前連結会計年度は1億7百万円)となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度において特別利益の計上はなく(前連結会計年度の計上もありません)、特別損失は0百万円(前連結会計年度も0百万円)となりました。これは、事業用資産の減損損失の計上によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は32百万円(前連結会計年度は30百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1億2百万円(前連結会計年度は76百万円)となりました。
c.キャッシュ・フローに関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、拠点開設の際の初期費用及び設備資金であります。運転資金のうち主なものは、売上原価に計上している拠点従業員の労務費等であります。運転資金及び拠点開設の際の初期費用は自己資金で、新規拠点の土地・建物取得のための設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。なお、当社グループは当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4億3百万円であり十分な資金流動性を有していると判断しております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、新規開設居室数、売上高経常利益率、訪問介護の利用単価、稼働率及び人件費率を経営成績に影響を与える重要な経営指標として捉えております。
a.新規開設居室数
当連結会計年度における新規開設居室数は116室(前連結会計年度は69室)となりました。
新規拠点を開設し運営居室数を増やすことが当社グループの業績拡大に重要であることから、新規開設居室数を重要な経営指標として捉えており、毎年5棟もしくは150室の開設を目標としております。
b.売上高経常利益率
当連結会計年度における売上高経常利益率は4.6%(前連結会計年度は4.5%)となりました。2019年12月期に新規開設した加古川の稼働率が向上したこと、補助金収入等も計上され、4棟の新規開設費用をカバーし、当社グループ全体として売上高経常利益率が向上しました。
当社の事業は労働集約型であり、助成金等を活用した営業外収益が上がることや、連結子会社が賃貸物件を保有しており営業外費用として利息が発生していることを踏まえ、売上高経常利益率を重要な経営指標として捉えております。
c.訪問介護の利用単価
当連結会計年度における訪問介護の利用単価は167,961円(前連結会計年度は158,344円)となりました。2019年10月から介護職員特定処遇改善加算の制度が開始されたことが主な要因であります。訪問介護の利用単価は、訪問介護の年間売上額÷年間の延べ賃貸借数で計算しております。
介護事業の売上の約52%が訪問介護収入であり、この売上額について、年度毎や拠点毎の単価の推移を見ていくことが当社グループにとって重要であると考えていることから、訪問介護の利用単価を重要な経営指標として捉えております。
d.稼働率
当連結会計年度における開設後1年経過した拠点の平均稼働率は97.1%(前連結会計年度末は97.3%)と、前年比で0.2ポイントと悪化しておりますが、僅かな差であります。理念に基づき看取りまで行う介護運営を続け、入居者の紹介元に対して継続的にご挨拶回りを行っており、当社の特徴である営業活動の成果を図る上で重視しております。稼働率は、「賃貸借契約数÷総提供可能居室数」で算出しております。
稼働率が売上に直結し、利益を上げるための重要なポイントであることから、稼働率を重要な経営指標として捉えております。
e.人件費率
当連結会計年度における人件費率は64.7%(前連結会計は64.0%)と、前年比で0.7ポイント悪化しております。これは、2019年が1棟新規開設(2019年12月開設のため、2020年も立ち上げ初期段階であった)であり、2020年は4棟新規開設であったことによる初期投資の増加によるものです。人件費率は、労務費÷介護収入(介護保険収入+サービス付き高齢者向け住宅事業の生活支援費売上)で算出しております。
当社の事業は労働集約型であり、効率的に人件費が売上を生んでいることが経営上重要であることから、人件費率を重要な経営指標として捉えております。