有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/12 15:00
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【項目】
167項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
第10期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、雇用環境の変化による労働力不足が足かせとなる中、企業業績の持続的な改善に加え、個人消費の持ち直し、内需の拡大に支えられ景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、世界経済においては、米国経済が回復を継続しており、中国経済に減速が見られるものの、全体的には緩やかな回復傾向が継続いたしました。しかし世界において米中の貿易摩擦の長期化や中東情勢の緊迫化、日本においては相次ぐ自然災害による影響、東京五輪特需も峠を越えつつあり、見通しが悪化しつつありました。
介護業界におきましては、高齢化がさらに進み、介護サービスの需要は高まっているもののサービスを担う人材の十分な確保が難しく、人材確保が介護事業者の大きな経営課題になっております。これら介護人材の不足に対しては、国の施策として2019年10月の消費税増税に合わせ「介護職員等特定処遇改善加算」が創設され、介護スタッフへのさらなる処遇の改善が図られました。当社も事業所の管理者を中心に還元の強化や賞与回数を増やし、人材確保と定着のための環境を整備することに努めてまいりました。
このような状況の下、当社グループは当連結会計年度において内部管理体制を強化し、経営基盤の構築に努めてまいりました。
また、当連結会計年度末時点のサービス付き高齢者向け住宅の運営状況につきましては、2019年12月に兵庫県加古川市に69室の大型物件(アンジェス加古川)を開設するも、20棟630室の全社稼働率は90.5%、開設後1年以上経過拠点に限っては稼働率が97.3%となりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
ⅰ.資産
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ5億23百万円増加し、20億67百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ1億55百万円増加し、8億17百万円となりました。これは主として、販売用不動産の減少75百万円があったものの、現金及び預金の増加1億50百万円、売掛金の増加31百万円及びその他の増加45百万円があったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ3億68百万円増加し、12億49百万円となりました。これは主として、建物及び構築物(純額)の増加3億14百万円、土地の増加74百万円等があったことによるものであります。
ⅱ.負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ4億47百万円増加し、19億32百万円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ70百万円増加し、6億31百万円となりました。これは主として、短期借入金の減少70百万円があったものの、前受金の増加49百万円、未払法人税等の増加27百万円及び賞与引当金の増加15百万円があったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ3億76百万円増加し、13億1百万円となりました。これは主として、長期借入金の増加3億91百万円があったことによるものであります。
ⅲ.純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ76百万円増加し、1億35百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加76百万円によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は、23億85百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益は1億11百万円(同63.9%増)、経常利益は1億7百万円(同76.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は76百万円(同2.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
ⅰ.介護事業
介護事業におきましては、当連結会計年度において、兵庫県に1拠点を開設いたしました。当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅では、過去最大規模の69室モデルとなります。当連結会計年度は新規開設を1棟に抑え、翌連結会計年度以降の新規開設に向けた社内体制整備と、既存拠点の稼働率・収益力向上に努めました。
その結果、当連結会計年度の売上高は19億62百万円(前年同期比24.7%増)、セグメント利益は1億43百万円(同215.6%増)となりました。
ⅱ.不動産事業
不動産事業におきましては、当連結会計年度において、2棟のサービス付き高齢者向け住宅の建築を完成させ、当初は販売目的で建築を行っていた1棟を自社保有することといたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は4億22百万円(前年同期比29.3%減)、セグメント利益は19百万円(同70.5%減)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が解除された後においても、雇用情勢の悪化と共に個人消費も減少が続きました。また、新型コロナウイルス感染第2波により、さらに景気が急速に悪化する状況に陥り、介護事業所の倒産も増加する状況が続きました。一方、世界経済においても同様に、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、多くの国で移動制限、活動制限が実施され、輸出入、企業活動、個人消費などの経済活動全般に停滞が見られました。
一方、感染に縮小傾向が見られ始めた国や地域では、経済活動を優先させるために制限解除が進められたことに加え、我が国では企業に対して大きな財政・金融政策が、個人消費に対しては旅行支援が実施され、経済の持ち直しが図られました。
介護業界におきましては、高齢化がさらに進み、介護サービスの需要は高まっているもののサービスを担う人材の十分な確保が難しく、引き続き、人材確保が介護事業者の大きな経営課題になっております。これら介護人材の不足に対しては、2019年10月に国の施策として創設された「介護職員等特定処遇改善加算」により、引き続き、介護職員への処遇の改善が図られております。当社も事業所の管理者を中心に引き続き還元の強化を実施し、人材確保と定着のための環境を整備することに努めてまいりました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業で営業自粛が求められましたが、介護業界では利用者やその家族が健やかに生活を送る上で必要不可欠なサービスであることから、政府・自治体より事業継続要請が出ておりました。当社も事業継続及び感染予防を強化しており、衛生用品の確保、面談の自粛等、持ち込ませない・持ち込まないための対策に、最善を尽くしてまいりました。
当第3四半期連結会計期間末時点のサービス付き高齢者向け住宅の運営状況につきましては、2020年3月に静岡県焼津市に拠点を開設し、さらに2020年6月に愛知県一宮市に開設した拠点では事業計画値を上回る入居ペースで推移しております。また、当第3四半期連結累計期間において、営業体制の立て直し、経営上の重要指標の強化等を行い、経営成績は計画を上回る形で着地いたしました。稼働率も当第3四半期連結会計期間末時点での22棟688室の全社稼働率は92.6%、開設後1年以上経過拠点に限っては稼働率が97.2%となっております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
ⅰ.資産
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は20億36百万円となり、前連結会計年度末に比べて30百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が71百万円、売掛金が36百万円増加した一方で、未成工事支出金が47百万円、建物及び構築物(純額)が44百万円減少したこと等によるものであります。
ⅱ.負債
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は18億19百万円となり、前連結会計年度末に比べて1億12百万円減少しました。これは主に、工事未払金が23百万円、短期借入金が20百万円増加した一方で、前受金が82百万円、未払法人税等が15百万円、長期借入金が58百万円減少したこと等によるものであります。
ⅲ.純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ81百万円増加し、2億16百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加81百万円によるものであります。
b.経営成績
当第3四半期連結累計期間における売上高は22億43百万円、営業利益は89百万円、経常利益は1億18百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は81百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
ⅰ.介護事業
介護事業におきましては、当第3四半期連結累計期間においては、アンジェス西焼津、アンジェス一宮奥町が新規開設しております。その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は17億79百万円、セグメント利益は1億7百万円となりました。
ⅱ.不動産事業
不動産事業におきましては、当第3四半期連結累計期間において、大阪府岸和田市、神奈川県相模原市の2つの建築が完成し、引渡しを行いました。その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は4億63百万円、セグメント利益は21百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
第10期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億49百万円増加し、4億9百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、1億92百万円(前年同期は42百万円の使用)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益1億6百万円、仕入債務の増加額15百万円、減価償却費55百万円、前受金の増加額49百万円等の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、3億60百万円(前年同期は3百万円の使用)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出3億64百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、3億17百万円(前年同期は43百万円の獲得)となりました。これは主として長期借入れによる収入5億7百万円という増加要因、長期借入金の返済による支出1億4百万円、短期借入金の純減額70百万円等の減少要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループでは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の不動産事業の建築請負業務における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第10期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
受注高
(千円)
前年同期比(%)受注残高
(千円)
前年同期比(%)受注高
(千円)
受注残高
(千円)
不動産事業598,12520.7386,863132.933,23718,050
合計598,12520.7386,863132.933,23718,050

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の業務以外については、受注実績の記載になじまないため、記載をしておりません。
c.販売実績
第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第10期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
介護事業1,962,572124.71,779,891
不動産事業422,90370.7463,920
合計2,385,476109.82,243,812

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第9期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第10期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
滋賀県国民健康保険団体連合会353,69516.3378,82815.9300,49313.4
プロスモンテ株式会社223,64610.3----

3.プロスモンテ株式会社は完成工事売上のため、第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間においては販売実績がありません。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りが必要であり、これらの見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に関する認識及び分析・検討内容
第10期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度における売上高は23億85百万円(前連結会計年度は21億72百万円)となりました。介護事業においては、前連結会計年度中に開設した3拠点の稼働率向上による売上増加、既存拠点の営業強化による稼働率の向上、2019年10月から開始された新加算である「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)」の取得による訪問介護売上の増加によるものであります。不動産事業においては、2棟のサービス付き高齢者向け住宅及び1棟の戸建住宅の建築請負工事が完成しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は19億83百万円(前連結会計年度は18億83百万円)となりました。これは主に、入居者数の増加による売上高の増加に伴う労務費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は4億1百万円(前連結会計年度は2億89百万円)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2億89百万円(前連結会計年度は2億20百万円)となりました。これは主に、上場準備に伴う費用、管理部門の強化による人件費等の増加によるものであります。この結果、営業利益は1億11百万円(前連結会計年度は68百万円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は29百万円(前連結会計年度は17百万円)となりました。これは主に、拠点数拡大のための人員増加による助成金収入の増加、建築遅延に伴う損害賠償金収入によるものであります。営業外費用は33百万円(前連結会計年度は25百万円)となりました。これは主に、銀行からの融資に伴う支払手数料の増加によるものであります。この結果、経常利益は1億7百万円(前連結会計年度は60百万円)となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度において特別利益の計上はなく(前連結会計年度は0百万円)、特別損失は0百万円(前連結会計年度は計上なし)となりました。これは、連結子会社の遊休土地の減損損失の計上によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税等は30百万円(前連結会計年度は△16百万円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は76百万円(前連結会計年度は78百万円)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は、22億43百万円となりました。介護事業において、2019年12月開設の「アンジェス加古川」が当第3四半期連結累計期間の収益に寄与したこと、既存拠点の稼働率向上、2019年10月から開始された「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)」による訪問介護売上の増加等によるものであります。また、不動産事業においても前年同期と比較して大型の受注案件があり売上高に寄与いたしました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は、18億88百万円となりました。これは主に売上の増加に伴う労務費、地代家賃等の経費の増加等によるものであります。この結果、売上総利益は3億54百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は、2億65百万円となりました。これは主に、管理部門の強化による人件費等の増加によるものであります。この結果、営業利益は89百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は47百万円となりました。これは主に「アンジェス加古川」の建築に係る補助金収入29百万円等によるものであります。営業外費用は18百万円となりました。これは主に、支払利息17百万円によるものであります。この結果、経常利益は1億18百万円となりました。
(特別利益、特別損失)
当第3四半期連結累計期間において特別利益及び特別損失は発生しておりません。
(親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は、81百万円となりました。
c.キャッシュ・フローに関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、拠点開設の際の初期費用及び設備資金であります。運転資金のうち主なものは、売上原価に計上している拠点従業員の労務費等であります。運転資金及び拠点開設の際の初期費用は自己資金で、新規拠点の土地・建物取得のための設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。なお、当社グループは第10期連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4億9百万円であり十分な資金流動性を有していると判断しております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、新規開設居室数、売上高経常利益率、訪問介護の利用単価、稼働率及び人件費率を経営成績に影響を与える重要な経営指標として捉えております。
a.新規開設居室数
第10期連結会計年度における新規開設居室数は69室(前連結会計年度は86室)、第11期第3四半期連結累計期間における新規開設居室数は58室となりました。
新規拠点を開設し運営居室数を増やすことが当社グループの業績拡大に重要であることから、新規開設居室数を重要な経営指標として捉えており、毎年5棟もしくは150室の開設を目標としております。
b.売上高経常利益率
第10期連結会計年度における売上高経常利益率は4.5%(前連結会計年度は2.8%)、第11期第3四半期連結累計期間における売上高経常利益率は5.3%となりました。前連結会計年度以前に開設した拠点の稼働率が向上したこと、第10期連結会計年度は新規開設が兵庫県加古川市1拠点で初期投資が少なかったことで、当社グループ全体として売上高経常利益率が向上しました。
当社の事業は労働集約型であり、助成金等を活用した営業外収益が上がることや、連結子会社が賃貸物件を保有しており営業外費用として利息が発生していることを踏まえ、売上高経常利益率を重要な経営指標として捉えております。
c.訪問介護の利用単価
第10期連結会計年度における訪問介護の利用単価は158,344円(前連結会計年度は148,858円)、第11期第3四半期連結累計期間における訪問介護の利用単価は167,926円となりました。2019年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」の制度が開始されたことが主な要因であります。訪問介護の利用単価は、月額にて「訪問介護の年間売上額÷年間の延べ賃貸借数」で計算しております。
介護事業の売上の約52%が訪問介護収入であり、この売上額について、年度毎や拠点毎の単価の推移を見ていくことが当社グループにとって重要であると考えていることから、訪問介護の利用単価を重要な経営指標として捉えております。
d.稼働率
第10期連結会計年度末における開設後1年以上経過した拠点の平均稼働率は97.3%(前連結会計年度末は96.0%)と、前年比で1.3ポイント改善しております。また、第11期第3四半期連結会計期間末における開設後1年以上経過した拠点の平均稼働率は97.2%となっております。経営理念に基づき看取りまで行う介護運営を続け、入居者の紹介元に対して継続的に挨拶回りを行っており、当社の特徴である営業活動の成果を測る上で重視しております。稼働率は、「賃貸借契約数÷総提供可能居室数」で算出しております。
稼働率が売上に直結し、利益を上げるための重要なポイントであることから、稼働率を重要な経営指標として捉えております。
e.人件費率
第10期連結会計年度における人件費率は64.0%(前連結会計年度は69.3%)と、前年比で5.3ポイント改善しております。これは、年度の新規開設拠点数が減少したことによる初期投資の減少に加え、拠点の人件費最適化の活動によるものです。人件費率は、「労務費÷介護収入(介護保険関連収入+サービス付き高齢者向け住宅における生活支援関連収入)」で算出しております。
また、第11期第3四半期連結累計期間における人件費率は64.1%となりました。
当社の事業は労働集約型であり、効率的に人件費が売上を生んでいることが経営上重要であることから、人件費率を重要な経営指標として捉えております。