有価証券報告書-第88期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
<経営理念>革新と挑戦と夢 夢に向かってイノベーションを起こし挑戦し続けるという、当社グループに受け継がれる創業精神を表したもの。
<社 是>感謝 即 実行 自然の恵み、お客様や取引先様をはじめすべてのステークホルダーに対して感謝の心を持つこと、そしてそれを実行(行動)によってお返しすることを表したもの。
<理念体系>
(注)Well-beingとは、Well(よい)とBeing(状態)からなる言葉で、個人の権利や自己実現が保証され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念のことです。当社グループにおいては、その範囲を「人」に留めず、私たちを取り巻く自然環境や地域社会においてもWell-beingであることを目指しています。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、地政学リスクの顕在化、世界的なインフレに伴う消費活動の減退など、対応すべき様々なリスクが存在していると認識しております。
(国内食品事業)
国内食品事業を取り巻く経営環境は、全体として厳しい状況が継続すると想定しております。賃金の上昇が徐々に浸透しつつあるものの、エネルギー価格や食料品価格などを受けて物価高は継続しており、消費者の節約志向も依然として続くと予想しております。また、中長期的には、日本の総人口は減少局面にあり、今後も高齢化率を上昇させながら総人口は減少していくことが確実視されております。その一方、国内食品事業の主力商品であるスリミ製品は、50代から70代の年齢層をロイヤルユーザー(主要顧客層)としており、統計上この年齢層の人口は当面は増加するとされております。
また、ライフスタイルの変化・多様化を背景に、共働きや単身世帯の増加、女性の就業率上昇により、平均世帯人員の減少と世帯数の増加が進んでおります。これらの影響により、簡便性や即食性の高い商品や賞味期限を長期化した商品、健康志向に応える高付加価値食品の需要が増加し、加えて宅配、中食市場の拡大が予想されます。
(海外食品事業)
海外食品事業を取り巻く経営環境は、先進諸国におけるインフレによる消費意欲の減退や、長期化するウクライナ情勢及び不安定な中東情勢等の地政学的リスクに加え、各国の通商政策の導入による世界経済の不透明感など、予断を許さない状況が続いております。
その一方、日本政府観光局(JNTO)が発表する訪日外客数は依然として高い水準を記録するなど、日本文化や和食・日本食への関心は世界的に高まっております。それと同時に、世界的な健康志向も高まっており、和食・日本食の市場規模の成長・拡大は継続すると想定しております。このような環境のもと、スリミ製品のうち、「カニカマ」は、消費量は年々拡大を続け、既にグローバルに認知されている食材となっており、「SURIMI」という呼称で呼ばれています。
加えて、特にアジア諸国においては、人口の増加と購買力が向上する中で、品質を重視する方向へ消費者の嗜好が変化しております。
(食品関連事業)
食品関連事業を取り巻く経営環境は、通信販売の拡大に伴い物流需要が急激に増加する一方、物流の担い手不足を受けたトラック乗務員の労働環境や処遇の改善を背景とした、物流の「2024年問題」と称される規制が強化され、地政学リスクの高まりを受けたエネルギーコストの高騰も相まって、厳しい事業環境が続くものと予想されます。
これら経営環境の変化に端を発し、物流業者間の提携や合併の動きも活発となっております。さらに安全・安心、環境への配慮も求められております。加えて、荷主企業や物流事業者に対しての荷待ち時間の短縮や積載率の向上等といった物流の効率化に関する規制、いわゆる物流の「2026年問題」への対応が本格化することから、多様な物流サービスを提供するソリューションの展開はさらに活発化すると予想され、当社グループが展開する共同配送事業への注目が高まっております。
また、AIやIoT等の高度化した情報技術と、車の自動運転やドローン等の新技術が融合し、物流現場における省人化や自働化への応用が活発化していくことにより、市場規模だけでなく物流サプライチェーン自体が変容していく可能性があります。
(3)中期的な経営戦略等
当社グループは、創業100周年を迎える2038年に向けて長期戦略を策定し、その目指す姿として『おいしさと共に健康に貢献する「総合食品グループ」』、『新たなおいしさと楽しさを創造する「開発型企業」』、『おいしさで世界の食文化に根付く「グローバルカンパニー」』としています。そこからバックキャストすることにより課題を抽出し、3ヶ年ごと計5段階からなる経営計画を立案し、その実現に向けて歩みを進めております。
<2038年の「目指す姿」>① 総合食品グループ ・・・・・ おいしさと共に健康に貢献する
スリミ製品を中心に、魚肉以外のタンパク質製品の拡充も進め、中核事業として「タンパク質製品」・「日本食」という軸を確立する。また、健康面での価値を積極的に発信し続けることで、「健康の紀文グループ」というイメージをより強固なものとする。商材の拡大とともに、物流や調達をはじめとする関連機能を強化し、総合食品グループへと成長する。
② 開発型企業 ・・・・・・・・ 新たなおいしさと楽しさを創造する
マーケティング・商品開発機能の強化を進め、既存事業にとらわれすぎない新たな事業を開拓する。将来のニーズに対応できる商品の開発に力を入れ、新技術も積極的に採用することで、開発型企業としての組織力を強化し、新たな価値を持つ商品・事業を創造し続ける。
③ グローバルカンパニー ・・・ おいしさで世界の食文化に根付く
企画・開発力を高め、商品の具現化サイクルを加速する。
日本食の横展開と商社機能をドライバーに、海外でのマーケティング強化と商流の構築を進め、地域ごとのおいしさと食文化に対応した製品の展開に力を入れ、グローバルカンパニーへと成長する。
<「中期経営計画2026」における基本方針>2024年4月から開始した「中計2026」では、その第1段階として、収益性向上・財務体質改善による『持続的に成長できる強固な企業体質の構築』を活動の軸としております。既存事業領域における確実な成長と事業領域の拡大による「成長戦略の推進と新たな価値創造」を総合食品グループへの布石とし、また、成長を促進する収益構造への変革を見据えた「資本効率の改善」と、今後の成長を支える「経営基盤の整備」に取組んでおります。
① 成長戦略の推進と新たな価値創造
既存領域における確実な成長と事業領域の拡大により、「目指す姿」の一つである「総合食品グループ」の実現に向けた布石とすべく、マーケティング・商品開発機能を強化し、健康機能の付加や健康コンセプトを確立するほか、消費者の食嗜好の変化に対応してまいります。また、差別化や競争優位性の源泉となるブランディング戦略を構築し、実行してまいります。
(国内食品事業)
国内シェアの更なる伸長が期待できるカニカマ・竹輪のカテゴリーを、供給能力の増強や製品ラインアップの拡充を通じて重点的に強化してまいります。また、気温による需要の変動が少ない商品の開発、拡販に注力してまいります。高たんぱくや低脂質、低糖質などの健康志向と簡便性、たのしさ等のお客様のニーズに合致した商品ラインアップの充実、SNSを活用したプロモーションの実施、小売店での店頭演出の強化に取り組んでまいります。
また、業務用を中心にチャネルを拡大し、スリミ製品をはじめ農産物・畜産物・鶏卵等の販売を強化することによって、着実な成長を図ってまいります。
加えて、今後の成長に向け当社の有する経営資源を活用した新たな事業領域の拡大に向けた探索も続けてまいります。
(海外食品事業)
スリミ製品を中心とした日本食をコア領域とし、マーケティング機能と商品開発の強化により和食・日本食を通じた現地食文化への「紀文ブランド」の浸透と、市場トレンドである健康志向ニーズに対応した商品展開を進めるとともに、新規市場開拓を進めてまいります。また、それを支えるグローバルワイドでの供給能力の増強も図ってまいります。
(食品関連事業)
ITと物流の高度な連動をさらに強化し、高品質かつ環境負荷に配慮したチルド物流サービスを推進するとともに、グループ企業との事業で培った食の「安全・安心」に関わるノウハウ等の外販にも取り組んでまいります。
② 資本効率の改善
売上規模拡大による成長とコスト削減や生産性の向上による収益性の改善とともに、運転資本をはじめとする投下資本の圧縮を通じたROIC経営の推進に取り組み、キャッシュ創出力を高めてまいります。
こうして生み出したキャッシュは、株主様還元の向上、借入金の圧縮に振り向けつつ、生産能力の増強・新商品や新規事業の対応や生産性の向上、環境負荷低減に向けた投資に加え、国内工場の老朽化や将来的な供給機能強化のため、準備をしてまいります。
③ 経営基盤の整備
将来の成長に向けた経営基盤の整備に取り組んでまいります。
「企業は、“人”だけ」の理念に基づき、多様な人財による多彩な能力の発揮を期待し、人財への投資を通じて働きやすさと働き甲斐を高めることで、今後の当社グループの成長に資する有能な人財の育成と社員のWell-beingの実現に貢献してまいります。
また、当社グループの将来の成長に向けた新たな商品価値創造の基盤となる研究開発の推進と、より高いレベルでの食の「安全・安心」の実現を推進してまいります。
加えて、サステナビリティに関する課題にも積極的に取り組み、より高いコーポレート・ガバナンス体制の構築を目指した経営の進化を続けます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く環境は、国内においては消費者の節約志向が強まる中、世界的な原材料価格の上昇傾向、生産現場と物流における人件費とエネルギーコストの上昇が起きております。また、海外では、世界的な和食・日本食への関心の広がり、健康志向の高まり等から、当社グループ事業の成長・拡大の機会が予想される中、現地の需要にマッチした商品の供給能力拡大が求められております。
加えて、エシカル消費などの生活者の意識・行動の変化及びサステナビリティに対する意識の高まりがみられ、企業行動にも変化を求められております。
こうした中で、当社グループが対処すべき課題は、以下のとおりと認識しております。
① 収益力強化への取組み
国内事業の安定成長のために、流通企業との直接取引による全国販売網・チルド配送システム等によって築いてきた、スリミ製品市場における高いシェアという強みを活かし、また物流の高度化にも取組むことで、既存商品市場でのより一層の事業規模拡大に取り組みます。
また、国内外における健康志向の高まりを事業機会とするため、スリミ製品によるたんぱく質摂取等を訴求して、健康価値を備えたおいしい商品を多様なチャネルで提供してまいります。
さらに、これらの取組みを支えるものとして、生産設備の刷新により生産能力の向上を図るとともに、生産効率の改善により製造原価の低減にも取り組んでまいります。
② 経営効率の改善
2025年度の「中計2026」における各KPIのうち、自己資本比率は32.0%となり、「中計2026」で掲げた目標の30%を上回ったものの、ROEは4.7%、ROICは4.8%、営業キャッシュ・フローは14億円と、大きな課題を残しました。
この改善に向けて、売上拡大とともに事業・製品ポートフォリオの見直しを通じた収益性の向上、運転資本の圧縮やコスト削減等を通じたROIC改善に取組み、資本コストを意識した成長を促進する収益構造へ変える取組みを進めてまいります。事業活動の各領域におけるデジタル技術の活用、既存商品生産設備の更新による継続的な生産効率向上や自働化を推進します。加えて、高付加価値商品の生産能力増強によって収益性の向上に取組んでまいります。
③ 経営基盤の整備
将来の成長に向けた経営基盤の整備に取り組んでまいります。
当社グループでは、“人”を成長可能な資本、つまり“人財”として捉え、人財への投資を通じて働きやすさと働き甲斐を高め、多様な人財が多彩な能力を発揮できる環境を整備し、今後のグループの成長に資する有能な人財の育成に取組んでまいります。
また、食の「安全・安心」という何よりも大切にしなければならない責務を果たすため、品質管理体制の向上と安定した運用を図ってまいります。さらに、人の身体のみならず地球環境にとっても「すこやかなおいしさ」を実現していくため、研究開発体制を強化してまいります。
④ 原材料調達力から製造段階までの一貫した競争優位性の追求と研究開発
世界的な「魚」の需要拡大や、海洋環境の変化、資源保護・資源管理の強化、気候変動、感染症の拡大等さまざまな要因から原材料価格が急激に変動していることに対して、原材料の統合や集約を進めるとともに、これまで未利用の原材料探求、新規エリアの開拓等による調達の多様化、フードテックに関する情報収集、製造技術の革新、配合ノウハウの蓄積まで、あらゆる段階での競争優位性を追求します。こうした取組みを通じ、原材料相場に左右されない経営体質の構築を図ってまいります。
⑤ サステナビリティ課題への取組み
現「中計2026」の基本方針における「経営基盤の整備」の一環として、当社グループを取り巻くさまざまな社会課題の解決と、当社グループの持続的な成長の両立を軸として特定した「サステナビリティ課題」は、その対応が事業環境におけるリスク低減であるとともに、収益機会でもあります。世の中に“すこやかなおいしさ”を提供し続けるため、当社グループが重点的に取り組むべき課題を「重要取組課題(マテリアリティ)」として特定しております。
そのうち、特に重要であると判断した項目については、「2030年までの目標」として、測定可能な目標を以下のとおり設定しております。これらの目標の実現に向けた各施策の遂行状況や、経営方針・経営計画をサステナビリティ視点で横断的に検討・議論し、その内容を取締役会に報告・提言を行うことでサステナビリティ経営を推進してまいります。なお、その詳細は「第2 事業の状況 - 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
また、当社グループにおいて、気候変動は、地球環境や企業活動に重大な影響を及ぼすものであり、気候変動問題への対応や改善に向けた取組みにより当社グループの持続可能性(サステナビリティ)が高まるとの考えのもと、TCFD提言に基づく情報開示に取り組んでおり、その内容は「第2 事業の状況 - 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 - (2)気候変動への対応」に記載しております。
重要取組課題と当社「2030年までの目標」
※ IUU漁業・・・Illegal, Unreported and Unregulated漁業(違法・無報告・無規制に行われている漁業)
(5)経営上の目標達成のための指標等
当社グループは、2024年度から2026年度までの「中計2026」において、最終年度の連結業績として、売上高1,203億円、営業利益60億円を目指しておりましたが、計画策定時に想定していなかった地政学リスクの高まり、米国の通商政策による混乱、原材料価格の高騰による国内食品事業と海外食品事業の減益を受けて、目標数値を下方修正いたしました。新たな目標数値となる2026年度の業績見通しについては、売上高1,168億円、営業利益52億円、経常利益43億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円としております。
今後は、国内食品事業と海外食品事業とで、しっかりと収益性を伴った成長への回帰を図り、長期戦略の実現に向けて取り組んでまいります。これらを含む、経営上の目標達成のための管理指標は以下のとおりです。
注)ROICは、税引後営業利益÷投下資本(純有利子負債+純資産)で算出しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
<経営理念>革新と挑戦と夢 夢に向かってイノベーションを起こし挑戦し続けるという、当社グループに受け継がれる創業精神を表したもの。
<社 是>感謝 即 実行 自然の恵み、お客様や取引先様をはじめすべてのステークホルダーに対して感謝の心を持つこと、そしてそれを実行(行動)によってお返しすることを表したもの。
<理念体系>

(注)Well-beingとは、Well(よい)とBeing(状態)からなる言葉で、個人の権利や自己実現が保証され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念のことです。当社グループにおいては、その範囲を「人」に留めず、私たちを取り巻く自然環境や地域社会においてもWell-beingであることを目指しています。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、地政学リスクの顕在化、世界的なインフレに伴う消費活動の減退など、対応すべき様々なリスクが存在していると認識しております。
(国内食品事業)
国内食品事業を取り巻く経営環境は、全体として厳しい状況が継続すると想定しております。賃金の上昇が徐々に浸透しつつあるものの、エネルギー価格や食料品価格などを受けて物価高は継続しており、消費者の節約志向も依然として続くと予想しております。また、中長期的には、日本の総人口は減少局面にあり、今後も高齢化率を上昇させながら総人口は減少していくことが確実視されております。その一方、国内食品事業の主力商品であるスリミ製品は、50代から70代の年齢層をロイヤルユーザー(主要顧客層)としており、統計上この年齢層の人口は当面は増加するとされております。
また、ライフスタイルの変化・多様化を背景に、共働きや単身世帯の増加、女性の就業率上昇により、平均世帯人員の減少と世帯数の増加が進んでおります。これらの影響により、簡便性や即食性の高い商品や賞味期限を長期化した商品、健康志向に応える高付加価値食品の需要が増加し、加えて宅配、中食市場の拡大が予想されます。
(海外食品事業)
海外食品事業を取り巻く経営環境は、先進諸国におけるインフレによる消費意欲の減退や、長期化するウクライナ情勢及び不安定な中東情勢等の地政学的リスクに加え、各国の通商政策の導入による世界経済の不透明感など、予断を許さない状況が続いております。
その一方、日本政府観光局(JNTO)が発表する訪日外客数は依然として高い水準を記録するなど、日本文化や和食・日本食への関心は世界的に高まっております。それと同時に、世界的な健康志向も高まっており、和食・日本食の市場規模の成長・拡大は継続すると想定しております。このような環境のもと、スリミ製品のうち、「カニカマ」は、消費量は年々拡大を続け、既にグローバルに認知されている食材となっており、「SURIMI」という呼称で呼ばれています。
加えて、特にアジア諸国においては、人口の増加と購買力が向上する中で、品質を重視する方向へ消費者の嗜好が変化しております。
(食品関連事業)
食品関連事業を取り巻く経営環境は、通信販売の拡大に伴い物流需要が急激に増加する一方、物流の担い手不足を受けたトラック乗務員の労働環境や処遇の改善を背景とした、物流の「2024年問題」と称される規制が強化され、地政学リスクの高まりを受けたエネルギーコストの高騰も相まって、厳しい事業環境が続くものと予想されます。
これら経営環境の変化に端を発し、物流業者間の提携や合併の動きも活発となっております。さらに安全・安心、環境への配慮も求められております。加えて、荷主企業や物流事業者に対しての荷待ち時間の短縮や積載率の向上等といった物流の効率化に関する規制、いわゆる物流の「2026年問題」への対応が本格化することから、多様な物流サービスを提供するソリューションの展開はさらに活発化すると予想され、当社グループが展開する共同配送事業への注目が高まっております。
また、AIやIoT等の高度化した情報技術と、車の自動運転やドローン等の新技術が融合し、物流現場における省人化や自働化への応用が活発化していくことにより、市場規模だけでなく物流サプライチェーン自体が変容していく可能性があります。
(3)中期的な経営戦略等
当社グループは、創業100周年を迎える2038年に向けて長期戦略を策定し、その目指す姿として『おいしさと共に健康に貢献する「総合食品グループ」』、『新たなおいしさと楽しさを創造する「開発型企業」』、『おいしさで世界の食文化に根付く「グローバルカンパニー」』としています。そこからバックキャストすることにより課題を抽出し、3ヶ年ごと計5段階からなる経営計画を立案し、その実現に向けて歩みを進めております。
<2038年の「目指す姿」>① 総合食品グループ ・・・・・ おいしさと共に健康に貢献する
スリミ製品を中心に、魚肉以外のタンパク質製品の拡充も進め、中核事業として「タンパク質製品」・「日本食」という軸を確立する。また、健康面での価値を積極的に発信し続けることで、「健康の紀文グループ」というイメージをより強固なものとする。商材の拡大とともに、物流や調達をはじめとする関連機能を強化し、総合食品グループへと成長する。
② 開発型企業 ・・・・・・・・ 新たなおいしさと楽しさを創造する
マーケティング・商品開発機能の強化を進め、既存事業にとらわれすぎない新たな事業を開拓する。将来のニーズに対応できる商品の開発に力を入れ、新技術も積極的に採用することで、開発型企業としての組織力を強化し、新たな価値を持つ商品・事業を創造し続ける。
③ グローバルカンパニー ・・・ おいしさで世界の食文化に根付く
企画・開発力を高め、商品の具現化サイクルを加速する。
日本食の横展開と商社機能をドライバーに、海外でのマーケティング強化と商流の構築を進め、地域ごとのおいしさと食文化に対応した製品の展開に力を入れ、グローバルカンパニーへと成長する。
<「中期経営計画2026」における基本方針>2024年4月から開始した「中計2026」では、その第1段階として、収益性向上・財務体質改善による『持続的に成長できる強固な企業体質の構築』を活動の軸としております。既存事業領域における確実な成長と事業領域の拡大による「成長戦略の推進と新たな価値創造」を総合食品グループへの布石とし、また、成長を促進する収益構造への変革を見据えた「資本効率の改善」と、今後の成長を支える「経営基盤の整備」に取組んでおります。① 成長戦略の推進と新たな価値創造
既存領域における確実な成長と事業領域の拡大により、「目指す姿」の一つである「総合食品グループ」の実現に向けた布石とすべく、マーケティング・商品開発機能を強化し、健康機能の付加や健康コンセプトを確立するほか、消費者の食嗜好の変化に対応してまいります。また、差別化や競争優位性の源泉となるブランディング戦略を構築し、実行してまいります。
(国内食品事業)
国内シェアの更なる伸長が期待できるカニカマ・竹輪のカテゴリーを、供給能力の増強や製品ラインアップの拡充を通じて重点的に強化してまいります。また、気温による需要の変動が少ない商品の開発、拡販に注力してまいります。高たんぱくや低脂質、低糖質などの健康志向と簡便性、たのしさ等のお客様のニーズに合致した商品ラインアップの充実、SNSを活用したプロモーションの実施、小売店での店頭演出の強化に取り組んでまいります。
また、業務用を中心にチャネルを拡大し、スリミ製品をはじめ農産物・畜産物・鶏卵等の販売を強化することによって、着実な成長を図ってまいります。
加えて、今後の成長に向け当社の有する経営資源を活用した新たな事業領域の拡大に向けた探索も続けてまいります。
(海外食品事業)
スリミ製品を中心とした日本食をコア領域とし、マーケティング機能と商品開発の強化により和食・日本食を通じた現地食文化への「紀文ブランド」の浸透と、市場トレンドである健康志向ニーズに対応した商品展開を進めるとともに、新規市場開拓を進めてまいります。また、それを支えるグローバルワイドでの供給能力の増強も図ってまいります。
(食品関連事業)
ITと物流の高度な連動をさらに強化し、高品質かつ環境負荷に配慮したチルド物流サービスを推進するとともに、グループ企業との事業で培った食の「安全・安心」に関わるノウハウ等の外販にも取り組んでまいります。
② 資本効率の改善
売上規模拡大による成長とコスト削減や生産性の向上による収益性の改善とともに、運転資本をはじめとする投下資本の圧縮を通じたROIC経営の推進に取り組み、キャッシュ創出力を高めてまいります。
こうして生み出したキャッシュは、株主様還元の向上、借入金の圧縮に振り向けつつ、生産能力の増強・新商品や新規事業の対応や生産性の向上、環境負荷低減に向けた投資に加え、国内工場の老朽化や将来的な供給機能強化のため、準備をしてまいります。
③ 経営基盤の整備
将来の成長に向けた経営基盤の整備に取り組んでまいります。
「企業は、“人”だけ」の理念に基づき、多様な人財による多彩な能力の発揮を期待し、人財への投資を通じて働きやすさと働き甲斐を高めることで、今後の当社グループの成長に資する有能な人財の育成と社員のWell-beingの実現に貢献してまいります。
また、当社グループの将来の成長に向けた新たな商品価値創造の基盤となる研究開発の推進と、より高いレベルでの食の「安全・安心」の実現を推進してまいります。
加えて、サステナビリティに関する課題にも積極的に取り組み、より高いコーポレート・ガバナンス体制の構築を目指した経営の進化を続けます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く環境は、国内においては消費者の節約志向が強まる中、世界的な原材料価格の上昇傾向、生産現場と物流における人件費とエネルギーコストの上昇が起きております。また、海外では、世界的な和食・日本食への関心の広がり、健康志向の高まり等から、当社グループ事業の成長・拡大の機会が予想される中、現地の需要にマッチした商品の供給能力拡大が求められております。
加えて、エシカル消費などの生活者の意識・行動の変化及びサステナビリティに対する意識の高まりがみられ、企業行動にも変化を求められております。
こうした中で、当社グループが対処すべき課題は、以下のとおりと認識しております。
① 収益力強化への取組み
国内事業の安定成長のために、流通企業との直接取引による全国販売網・チルド配送システム等によって築いてきた、スリミ製品市場における高いシェアという強みを活かし、また物流の高度化にも取組むことで、既存商品市場でのより一層の事業規模拡大に取り組みます。
また、国内外における健康志向の高まりを事業機会とするため、スリミ製品によるたんぱく質摂取等を訴求して、健康価値を備えたおいしい商品を多様なチャネルで提供してまいります。
さらに、これらの取組みを支えるものとして、生産設備の刷新により生産能力の向上を図るとともに、生産効率の改善により製造原価の低減にも取り組んでまいります。
② 経営効率の改善
2025年度の「中計2026」における各KPIのうち、自己資本比率は32.0%となり、「中計2026」で掲げた目標の30%を上回ったものの、ROEは4.7%、ROICは4.8%、営業キャッシュ・フローは14億円と、大きな課題を残しました。
この改善に向けて、売上拡大とともに事業・製品ポートフォリオの見直しを通じた収益性の向上、運転資本の圧縮やコスト削減等を通じたROIC改善に取組み、資本コストを意識した成長を促進する収益構造へ変える取組みを進めてまいります。事業活動の各領域におけるデジタル技術の活用、既存商品生産設備の更新による継続的な生産効率向上や自働化を推進します。加えて、高付加価値商品の生産能力増強によって収益性の向上に取組んでまいります。
③ 経営基盤の整備
将来の成長に向けた経営基盤の整備に取り組んでまいります。
当社グループでは、“人”を成長可能な資本、つまり“人財”として捉え、人財への投資を通じて働きやすさと働き甲斐を高め、多様な人財が多彩な能力を発揮できる環境を整備し、今後のグループの成長に資する有能な人財の育成に取組んでまいります。
また、食の「安全・安心」という何よりも大切にしなければならない責務を果たすため、品質管理体制の向上と安定した運用を図ってまいります。さらに、人の身体のみならず地球環境にとっても「すこやかなおいしさ」を実現していくため、研究開発体制を強化してまいります。
④ 原材料調達力から製造段階までの一貫した競争優位性の追求と研究開発
世界的な「魚」の需要拡大や、海洋環境の変化、資源保護・資源管理の強化、気候変動、感染症の拡大等さまざまな要因から原材料価格が急激に変動していることに対して、原材料の統合や集約を進めるとともに、これまで未利用の原材料探求、新規エリアの開拓等による調達の多様化、フードテックに関する情報収集、製造技術の革新、配合ノウハウの蓄積まで、あらゆる段階での競争優位性を追求します。こうした取組みを通じ、原材料相場に左右されない経営体質の構築を図ってまいります。
⑤ サステナビリティ課題への取組み
現「中計2026」の基本方針における「経営基盤の整備」の一環として、当社グループを取り巻くさまざまな社会課題の解決と、当社グループの持続的な成長の両立を軸として特定した「サステナビリティ課題」は、その対応が事業環境におけるリスク低減であるとともに、収益機会でもあります。世の中に“すこやかなおいしさ”を提供し続けるため、当社グループが重点的に取り組むべき課題を「重要取組課題(マテリアリティ)」として特定しております。
そのうち、特に重要であると判断した項目については、「2030年までの目標」として、測定可能な目標を以下のとおり設定しております。これらの目標の実現に向けた各施策の遂行状況や、経営方針・経営計画をサステナビリティ視点で横断的に検討・議論し、その内容を取締役会に報告・提言を行うことでサステナビリティ経営を推進してまいります。なお、その詳細は「第2 事業の状況 - 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
また、当社グループにおいて、気候変動は、地球環境や企業活動に重大な影響を及ぼすものであり、気候変動問題への対応や改善に向けた取組みにより当社グループの持続可能性(サステナビリティ)が高まるとの考えのもと、TCFD提言に基づく情報開示に取り組んでおり、その内容は「第2 事業の状況 - 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 - (2)気候変動への対応」に記載しております。
重要取組課題と当社「2030年までの目標」
| 取組カテゴリー | 重要取組課題 | 当社「2030年度までの目標」 |
| 地球環境の保全 | ・気候変動への適応と抑制 ・食品ロスの削減 (・持続可能な資源利用) | ・当社の事業活動におけるCO₂総排出量を30%削減(2015年度比) ・食品廃棄物量を20%削減(2013年度比) ・食品廃棄物の再生利用率99%以上 |
| 持続可能な資源調達 | ・持続可能な資源利用 ・プラスチック使用量の削減 ・生物多様性の保全 ・サプライチェーンの人権尊重 | ・資源管理が証明されたすり身の使用率75%以上 ・IUU漁業(※)や児童労働、強制労働が疑われる資源の調達ゼロ ・石油原料由来プラスチックの新規使用量を30%削減(2018年度比) |
| 多様な人財の活躍 | ・安全・安心な職場環境 ・ダイバーシティの推進 ・多様な活躍機会の提供 (・サプライチェーンの人権尊重) | ・女性管理職比率15%の達成 ・男女別の育児休業取得率100%の達成 ・職場における安全衛生の推進 (労災発生ゼロ、健診受診率100%の維持) |
※ IUU漁業・・・Illegal, Unreported and Unregulated漁業(違法・無報告・無規制に行われている漁業)
(5)経営上の目標達成のための指標等
当社グループは、2024年度から2026年度までの「中計2026」において、最終年度の連結業績として、売上高1,203億円、営業利益60億円を目指しておりましたが、計画策定時に想定していなかった地政学リスクの高まり、米国の通商政策による混乱、原材料価格の高騰による国内食品事業と海外食品事業の減益を受けて、目標数値を下方修正いたしました。新たな目標数値となる2026年度の業績見通しについては、売上高1,168億円、営業利益52億円、経常利益43億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円としております。
今後は、国内食品事業と海外食品事業とで、しっかりと収益性を伴った成長への回帰を図り、長期戦略の実現に向けて取り組んでまいります。これらを含む、経営上の目標達成のための管理指標は以下のとおりです。
| 管理指標 | 2026年度 当初目標 | 2026年度 見通し | <参考>2025年度 実績 |
| 売上高 | 1,203億円 | 1,168億円 | 1,110億円 |
| 営業利益 | 60億円 | 52億円 | 32億円 |
| 売上高成長率(2023年度比) | 12.8% | 9.7% | 4.2% |
| 海外売上高比率 | 13%以上 | 11.1% | 10.3% |
| 営業利益率 | 5.0%以上 | 4.5% | 2.9% |
| 自己資本比率 | 30%以上 | 33.5% | 32.0% |
| ROE | 15%以上 | 9.6% | 4.7% |
| ROIC(投下資本利益率) | 10%以上 | 7.5% | 4.8% |
| 営業キャッシュ・フロー | 年間 50億円以上 | 年間 35億円以上 | 年間 14.4億円 |
注)ROICは、税引後営業利益÷投下資本(純有利子負債+純資産)で算出しております。