有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/07 15:00
【資料】
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【項目】
156項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と会社が相互に育てあい、社会と顧客に喜ばれ、豊かな人生を作り上げる企業文化を育む」を経営理念として掲げ、「人」・「会社」・「社会」それぞれの成長が更に相互の成長を促す、そんな成長循環をスムースに回すことを目指す「SHINKA」経営を実践しております。




(2) 目標とする経営指標
当社グループは、お客様の満足をいただける付加価値の高いプロダクトを創造し、長期にわたってお客様から信頼されるサービスを提供することを基本方針とし、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しております。特に売上高と営業利益が重要であると認識し、最も重要な指標と位置付けております。また、資本効率を判断する指標として自己資本利益率(ROE)を重要な指標として位置付けております。
この結果、それぞれの2020年5月期における指標の実績は、連結売上高3,193百万円、営業利益292百万円、自己資本利益率(ROE)30.5%となりました。
(3) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。一方、消費増税による消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外の経済活動の制限により、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループのITソリューション事業及びビジネスプロダクト事業が属するITサービス市場においては、2020年1月のWindows7サポート終了に向けたPCの入替や、基幹系管理システムのリプレイス計画・実施、またワークスタイル改革を目的としたインフラ増強を行う企業が多く見られ、継続してIT投資が行われた状況でした。2021年5月期以降も、デジタル活用によるビジネスにおける新たな価値創出を企図したデジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みが進展し、企業の旺盛なIT投資の流れは継続すると予測されます。一方、安倍内閣時に始まった働き方改革は3年目に入り、2019年4月から働き方関連法案が順次施行され、民間企業では、ITを積極的に活用した生産性の向上、ルーティンワークの削減、柔軟な働き方の実現といった取り組みが本格的になっており、ワークスタイル変革ソリューションの需要が今後、更に高まると予測しております。
しかしながら2020年に入り新型コロナウイルス感染症が世界的に広まり、様々な経済活動に影響が出ており、ITサービス市場においても対面による営業活動、イベントやセミナーの開催などの活動が制限されたことで、新規受注の獲得に影響を受けております。その他においても様々な影響が出ており、2019年までの堅調な成長から一転し、2020年は、暦年、年度ともマイナス成長の予測となっております。2021年以降は、プラスに回帰すると種々の市場予測で分析されており、今後は新型コロナウイルス感染症対策を進めながら新しい生活様式に対応した需要の創出が期待され、その新たな需要に対応したソリューションの提供を行う必要があると考えております。
ゲームコンテンツ事業が属するオンラインプラットフォームゲーム市場は、継続して成長が見られる中、収益ランキングにおける上位タイトルの入れ替わりやサブスクリプション型サービス(契約期間中は、利用し放題の定額課金サービス)の登場などいくつかの変化が見られます。オンラインプラットフォームゲーム市場では、スマートフォンやタブレットにダウンロードしてプレイするネイティブアプリが市場を牽引していますが、HTML5と呼ばれるブラウザ技術の発展により、ブラウザでネイティブアプリに近い表現が可能になりつつあります。同時に第5世代の通信技術5Gの登場により、オンラインプラットフォームゲーム市場は大きな変化が起こる可能性があり、その動向を注視する必要があります。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとして外出を控える行動が定着したことによりゲームをプレイする時間が増加し、情報サービス市場とは逆に国内ゲーム市場は、2020年1月~9月において前期より高い売上の状況となっております。
(4) 経営戦略
当社グループは、従業員の約70%が技術者であり、その技術者が持つ経験やナレッジを活かし、総合的な視点に立った上でお客様の価値を創出するITサービス企業グループです。常にチャレンジし続けることで卓越した製品やサービスを生み出し提供することがお客様・社会への貢献と考えております。
① ITソリューション事業
当社グループの主力事業であるITソリューション事業では、これまで1,000件以上のシステム開発(Webサイト/アプリ)の開発実績に裏付けられた経験とナレッジで、お客様の信頼を頂いていることを強みに、働き方の改善を主目的にIT活用を行うソリューション・サービス・製品を「ワークスタイル変革ソリューション」と定義し、働き方の改善に向けコンサルティング提案し、企画・設計、システム開発、保守・運用に至るまでトータル的にサポートを行いお客様の課題解決に貢献しております。さらに、柔軟で無駄のない開発環境を目指して始動したラボ型開発(お客様の状況に応じて必要な人材を必要な期間だけ契約する開発)をより認知拡大し、ご利用いただくことでお客様の無駄を無くし、より強固な関係を築いていくことを目指しております。また、ラボ型開発は、お客様と一緒にシステム開発を行う共同開発型となるため、トラブル発生のリスクを低下させることを目指しております。
② ビジネスプロダクト事業
ビジネスプロダクト事業では、競争優位の確立を目指し、最優先計画としてAIやクラウドを活かした業務効率化・自動化の実現を掲げ、ワークスタイル変革に伴うニーズ変化に合わせ、新製品や既存製品につきまして、体系的に機能の充実を図ってまいりました。今後、さらにお客様の課題解決に役立つ機能を搭載し、プロダクトの提供に留まらずお客様の価値を創出するソリューションの提供をしていくことで拡販を目指してまいります。
③ ゲームコンテンツ事業
ゲームコンテンツ事業においては、機能やデザイン性の高度化とともに市場の成熟化が進みつつあり、ゲームタイトル毎の収益格差が拡大傾向にあります。一方、当社グループの主力とする特定ゲームプラットフォームにおいては、開発からプラットフォーム運営までを行うことで優位性をとることを目指しております。また、中期的な視点に基づいて、新ゲームエンジンの取得へ向けた活動や自社IP(Intellectual Property・知的資産)の開発・取得への活動を開始しております。一方、リスクの低いビジネスモデルとして、IP所有者から受託し、新タイトルの開発からプラットフォーム運営までのビジネスを展開しております。今後は、既存ゲームエンジンを活用した自社IPの開発・展開を行うと同時に新規ゲームエンジンへの研究開発投資を行ってまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今後の経営環境の悪化やそれに伴うIT投資意欲の減退などが懸念され不透明感が増している状況です。このような状況の中、当社グループは、更なる成長と強固な経営基盤を確立するため、以下の事項を今後の事業展開における対処すべき課題として認識し、重点的に取り組んでまいります。
① 新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症の拡大防止や顧客、従業員を含むステークホルダーの安全確保を目的に、従業員の在宅勤務を推奨するほか、不要不急のイベント開催・参加や国内外の出張取り止めを実施しております。
一方で新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限により、従来の活動方式に加えて、在宅型の新たな営業活動方式の取入れ、オンラインセミナーによる集客など、外部環境の変化に対応した営業活動を展開してまいります。
② 優秀な人材の確保と育成
継続的な成長の原資である人材は当社グループにとって最も重要な経営資源と認識しております。当社グループビジョンと共鳴し、主体的に課題解決ができる優秀な人材の確保と成長を支える人材育成を重要課題として、採用体制の強化、採用ルートの拡大、教育・育成、研修制度及び人事評価制度の充実等、各種施策を進めてまいります。
③ 主要事業の拡大
ITソリューション事業においては、お客様の業務改革・改善を実現するために社内外のツールを組み合わせた最適なソリューションのメニュー化を推進し、コンサルティング提案を行ってまいります。そのために他事業との連携やビジネスパートナー企業との連携強化を進めると同時に提案力を強化するために、人材の育成や採用など人材への投資を積極的に行ってまいります。
ビジネスプロダクト事業においては、ワークスタイル変革に伴うニーズ変化に合わせ、新製品や既存製品につきまして、体系的に機能の充実を図ってまいりました。今後、さらにお客様の課題解決に役立つ機能を搭載し、バージョンアップさせていくことで拡販を目指してまいります。同時に、技術シーズの発掘や市場ニーズを的確に捉え、次期製品の研究・開発を進めてまいります。
ゲームコンテンツ事業においては、提供するゲームのクオリティ向上等を目的に既存メンバーの育成に重点をおき、企画・開発・運営等、すべての面で底上げによる体制強化を図ってまいります。
④ 経営管理体制及び内部管理体制の強化
経営の健全性・適切性の確保に向け経営管理体制を有効に機能させると同時に、適時開示体制やコンプライアンス体制、リスク管理体制などの内部管理体制の充実に努めてまいります。