有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/02 15:00
【資料】
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【項目】
136項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても投資家の投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。
なお、文中における将来に関する記載事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① 価格競争について
顧客のIT投資に対する価格要求はますます厳しさを増しており、価格面、品質面から常に同業他社との競争に晒されております。顧客からの価格低減圧力は依然として強いままとなっており、競争激化の傾向は当面続くものと見込まれております。このような市場環境の中で当社は、キャッシュレス決済分野のノウハウ等得意分野を活かし、より付加価値の高いサービスの提供と、国際ブランド決済ネットワーク接続によりカード会社加盟店の負担軽減を図るなどの方策に努めておりますが、競合相手との価格競争により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 新型コロナウイルス感染症拡大による影響について
新型コロナウイルス感染症の拡大は国際的な経済活動の停滞や外出制限による市場縮小の危険性をはらんでおります。また、社内クラスターが発生した場合は当社の事業継続に係る重大なリスクになると認識しております。そのため、感染拡大への対策として従業員への検温、不要不急の外出禁止依頼、手洗いマスク着用の励行、体調不良時の出社禁止、在宅勤務環境の整備により影響を最小限に留める施策を実施しております。想定以上のパンデミックが発生し、取引先の業務停滞がある場合には、当社の業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に関するリスクについて
① 経営上の重要な契約について
当社のキャッシュレス決済における中継処理サービスについては、接続契約にもとづき、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」及び株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」のいずれかのネットワークを経由してデータ処理を行っております。
また、前述したとおりVISA との契約により国際ブランド決済ネットワークへの接続のための契約が締結済みです。何らかの理由により同契約が継続できなくなった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 重要な資格の喪失について
当社では、リスク管理体制強化として、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格ISO/IEC27001の認証を取得しているほか、国際クレジットカードブランド5社(American Express、Discover、JCB、Mastercard、VISA)が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準PCI DSSに準拠し、資格確保のための更新審査を受けております。しかしながら、何らかの事情により更新ができず、資格を失った場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ プロジェクトの不採算リスクについて
当社の行うシステム開発においては、ISO9001に準拠した品質標準に基づく品質管理のほか、品質管理部を設置し、開発プロセス毎に行うプロジェクトレビューの取組みなどにより納期・品質・コストについて管理しております。しかしながら、開発途中の大幅な仕様変更の発生や、作業工数が当初の見積もり以上に増加するといった、受注時には予測できなかった要因により不採算プロジェクトが発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、上記のような大幅な変更等によるトラブルが発生した場合、納期の未達成や契約条件等の不履行などにより、売上計上の遅延、追加コストの発生、損害賠償請求等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 決済端末の仕入に関するリスクについて
当社は、決済端末の大部分をCastles Technology社より仕入れております。
当社は、これまで同社とは販売代理店契約を締結して信頼関係を構築し、継続的な取引関係を維持してまいりました。しかしながら、将来において何らかの予期せぬ要因により、同社からの仕入れが困難になった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 労務管理のリスク
ソフトウェアによるシステム開発は、知識集約型かつ労働集約型の業務であります。このため、当社では過重労働の撲滅を経営課題として、常に従業員の健康に配慮した労働環境の整備に努めております。しかしながら、予想外のトラブルや開発工程の品質、納期を厳守するために、一時的に特定の従業員に業務負荷がかかる可能性があります。こうした場合には、従業員の健康問題や労務問題に発展し、他の従業員の士気の低下等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 協力会社に関するリスク
当社は、社内の工数が不足する場合や当社技術で対応が難しい場合などに協力会社(外注先)から外部委託又は役務の提供を受けることがあります。今後、協力会社技術者の需要バランスの変化による要員の確保難や価格の高騰が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスクについて
① 自然災害等について
当社が事業展開する地域において、自然災害、電力・通信・交通その他の社会インフラの障害、大規模な事故等が発生した場合には、当社又は当社の取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害やパンデミックの影響により、一時的に想定以上の決済データが発生し、決済ASPサービスの許容量をオーバーしてしまう可能性があります。
これに備え、季節的な変動要素と当社の成長性を考慮した上で計画的な設備投資を行っております。更に事業継続計画(BCP)を作成し、予防訓練、想定訓練等を実施したうえ、BCPは年毎の見直しを行っております。
② 法的規制等について
当社が事業運営を行う上で、下請代金支払遅延等防止法、製造物責任法、労働基準法等の一般的な法的規制等を受けており、今後その規制が強化されることも考えられます。また、現時点では存在しない新たな法規制が制定される可能性もあります。その場合、事業活動に対する制約の拡大、規制の変化に対応するための負荷やコストの増加も予想され、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、法令等の改正については、加盟する各種団体からの情報を得るほか、弁護士、社労士との契約に基づき、早期の対応ができるよう体制を整えております。
③ 知的財産権について
当社は、第三者が所有する特許権、商標権、意匠権等(以下、「知的財産権」という。)を侵害しないように、新製品や新サービスの企画段階においては、業界動向や関連情報などを確認し、必要に応じて特許情報プラットフォームにて同種の出願もしくは登録のある知的財産権の有無に関する調査を行っており、疑わしい場合は特許事務所において調査を実施しております。しかしながら、当社の認識の範囲外で第三者が所有する知的財産権を侵害する可能性があります。このような場合、当社への損害賠償請求、信用の低下、風評等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しているほか、今後も優秀な人材確保のために付与する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存の株主が保有する当社株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は237,600株であり、発行済株式総数の11.4%に相当しております。
⑤ 有利子負債依存度が高いことについて
当社は開発の先行投資による資金需要のため外部借入への依存度が高く、総資産額に占める有利子負債の割合は第26期第3四半期末において17.1%となっております。急激な金利の変動や計画どおりの資金調達ができなかった場合、新たにかかるシステム開発が制約されるなど、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 調達資金の使途について
当社が計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、DRセンター構築、決済ASPサービス施設の増強等、サービスの高度化、安定化に向けた設備投資に充当する予定であります。また、優秀な人材を確保するための採用活動費や事務所の移転・拡張費用及び業務の効率化のための社内システム等の設備投資を計画しております。しかしながら、事業環境が大きく変化した場合には、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性があります。また、計画どおりに資金を使用した場合においても、期待どおりの効果を得られない可能性があります。