有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/04 15:00
【資料】
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【項目】
131項目

対処すべき課題


文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、人を幸福にする一番身近な方法は本気の笑顔であるという考えのもと、「本気の笑顔の実現」を経営理念に掲げております。
経営理念である「本気の笑顔の実現」及び「人々に、健やかで幸せな人生を実感できる製品・サービスを提供し、“本気の笑顔”にあふれた社会の実現に貢献していく」とのミッションのもと、QOLの向上に資する分野を事業領域と捉え、より多くの人々が健やかで幸せな人生を実感することに貢献できる事業活動を通じ、社会的価値と企業価値の最大化に取り組んでまいります。
当社は、「今日も、笑顔のそばにいる」をスローガンとして掲げております。
(2)経営環境
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査 世帯員の健康状況」によれば、有訴者率が最も高い症状は、男性では「腰痛」で次いで「肩こり」、女性では「肩こり」で次いで「腰痛」となっておりますが、デジタル社会の進展に伴い眼精疲労や悪姿勢に起因する「肩こり」人口はさらなる増加が予想されます。このように「肩こり」、「腰痛」は最も身近な国民病ともいえ、当社の中核事業である家庭用磁気治療器の対象となる潜在的な顧客数は相当
数存在すると考えられます。
一方、内閣府の「令和2年版 高齢社会白書」によれば、少子高齢化の進展により、高齢化率(65歳以上人口
割合)は上昇の一途をたどり、2025年には30%に達し、平均寿命も緩やかに延伸し続け、2030年には男性で82.39年、女性で88.72年になると予想されています。
超高齢社会の進展に伴う重要な課題のひとつが、独居高齢者の増加です。内閣府の「令和2年版 高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らしの人口は2025年には約750万人になると推計され、同じく内閣府の「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査」によれば独居高齢者の約60%が健康や病気のことが将来の不安点であるとなっております。高齢者本人はもちろんその家族にとってもこれらの不安を取り除くことへの関心やニーズは高まっていくと予想されます。
このような社会変化に対し、健康寿命を延伸していくための国民健康づくり運動として2000年の厚生労働省通知
により「健康日本21」が開始され、2003年には「健康増進法」が施行されました。
国民の健康増進及び健康寿命の延伸はこれからの社会の重要な課題であり、国民一人一人にとっての大きな関心事
であることから、当社の位置する健康関連市場は今後益々拡大していくと予想されます。
(3)経営戦略
事業成長の重要な戦略として、QOLの向上に貢献できるブランドとしての市場の認知度及びマインドシェア(顧客の心の中に占める特定のブランドの占有率)の確立と複数の収益の流れを構築するためのビジネスモデルの開発に取り組んでまいります。そして、顧客(ファン)の創造とその生涯価値の最大化を図り持続的な成長を目指してまいります。
① ブランド戦略
健康アクセサリー分野でのブランディングの強化を行うことで「Colantotteブランド」をコアコンピタンス(企業の中核となる強み)として確立し、顧客(ファン)創造と維持のための武器にしてまいります。特に商品のデザイン性にはこだわりを持ち、「見せる&魅せる」家庭用磁気治療器という新たな市場の創造に取組んでおります。
当社における「ブランド」の定義は、企業姿勢、品質、デザイン、イメージ、機能、価格、売場、売り方、メ
ッセージ等のすべてが集約された象徴であり、知覚品質を高めていくことが永続的に利益を生み出していく重要
な戦略であると考えております。ブランドと品質こそが最大の強みとの認識の下、知財重視と品質管理の徹底を推進してまいります。
② Colantotte(コラントッテ)
同ブランドは現在当社の中核を成しており、これまでのメインの顧客層は40歳以上の男性でありました。一方、肩こりの有訴者(病気やけがで自覚症状のある者)は女性が多い状況に対し(注)、女性からのブランドの認知度は低い状況になっております。このギャップに大きな成長のポテンシャルがあると捉えており、成長戦略としては女性からの知名度、認知度を向上させるためブランディング、マーケティング活動を強化し、女性向けの製品開発に取り組んでまいります。併せて、次世代のColantotteファン創造に向けてスポーツに取り組む若年層へのマーケティング活動及び製品開発に取り組んでまいります。現在、医療機器としての効能・効果とこだわったデザイン性で、多くのアスリートに着用いただいており、宇野昌磨選手(フィギュアスケート、トヨタ自動車)、伊藤美誠選手(卓球、スターツ)、小祝さくら選手(プロゴルフ)、葛西紀明選手(スキージャンプ、土屋ホーム スキー部所属)、菊池涼介選手(プロ野球、広島東洋カープ)、甲斐拓也選手(プロ野球、福岡ソフトバンクホークス)、小池祐貴選手(陸上、住友電工)、青山学院大学陸上競技部(長距離ブロック)等の様々な競技でプロ・アマ問わず選手のケア製品として使用いただいております。
また、販売チャネル戦略としては当社の売上高に占めるEC売上高の比率を高めることでホールセール部門に集中したリスクを軽減するとともに売上総利益率の改善を図ってまいります。
(注)出典「2019年 厚生労働省 国民生活基礎調査 世帯員の健康状況」
③ Colantotte RESNO(コラントッテ レスノ)
Colantotte RESNOは、Colantotteの新しいラインとして2019年4月に販売開始いたしました。「今日の疲れを
ケアして、ベストな明日をつくる」というコンセプトで磁気治療器にこだわることなく健康の3大要素である
「運動」「休養」「栄養」の側面から日常のヘルスケアをサポートするための製品やサービスを提供してまいります。ヘルスケアの市場は、健康管理や予防意識の高まりに加えてデジタル技術の発達によって、2016年の約25兆円から2025年には約33兆円になると推計されており、大きな成長市場となると予測されております。(注)
中でも新型コロナウイルス感染症拡大の影響により自宅でできるヘルスケアが大きく成長する市場であると予測されます。
成長戦略としては、製品販売からスタートして認知度、購買客数の推移を計りながら中期的には製品との相乗効果が生まれるサービス事業(コト消費)を展開し、フローとストックの2軸のビジネスモデルの開発を目指してまいります。
(注)出典「平成30年4月18日 次世代ヘルスケア産業協議会 (第7回)配布資料 次世代ヘルスケア産業
協議会の今後の方向性について」
④ CSS(コラントッテ・セーフティ・システム)
現在当社がフォーカスしている生活上のリスク(不安)は緊急時における身元の確認と家族への連絡手段であ
ります。とりわけ40歳を境に増加する心筋梗塞や脳卒中が外出先で突然発症した場合や認知症高齢者の徘徊や独居高齢者の緊急時の場合などの連絡手段としての使用を想定しております。超高齢化が進行している社会においてそのリスクは拡大していくものと想定し、CSSサービスの社会的ニーズは高まっていくと考えております。ビジネスモデルとしては、会員制による継続課金モデルであるため、ユーザー数(会員数)の獲得と維持が最重要戦略であります。そのため知名度、認知度を高めるブランディング、マーケティング活動の強化及び一定の会員数が獲得できた段階では新サービスの開発を目指してまいります。
また、当社は、ペット(犬・猫)の迷子問題に対応するサービスとして、首輪・ペンダント・ネックレス等を組み合わせたペット向けCSSサービスの事業展開を検討しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は超高齢化の進展や健康増進とともに関心が高まっているQOLの向上という社会的な課題の解決に資する活動を当社の事業領域として事業を展開しております。このQOLは、生活者の満足感・幸福感・安心感や生活の快適性・豊かさ等を表しているものとして捉え、その中で当社としては「健康に関する領域」と「生活不安に関する領域」に焦点を当てた事業展開により、社会的課題の解決への貢献を図り、社会的価値及び企業価値の向上に向け、以下の課題に取り組んでまいります。
① 認知度の向上と顧客数の拡大
当社は、持続的に成長するためには、当社及び当社製品の知名度を向上させ、新規顧客を継続的に獲得し、顧客数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのために、効果的なブランディング活
動等により当社の知名度を向上させ既存メディアにおけるPDCAサイクルの強化を進めることにより、当社製品の認知度の向上と顧客数の拡大に努めてまいります。
② リピート顧客の獲得
当社は、安定した収益基盤を構築するために、当社製品についてリピート顧客(生涯顧客)を獲得していくこと
が課題と認識しております。そのために、当社は、製品ラインナップにおけるリピート商材(クリームやサプリメント等)の拡充及び会員制等の継続率の高いビジネスモデルの開発を行ってまいります。
③ 新製品及び新規事業への取り組み
今後の継続的な企業成長を実現するためには、新製品及び新規事業への取り組みが必要不可欠であると認識しております。当社は、QOLの向上に資する活動を事業領域として定め、当社経営資源の集中と有効活用を図ること
で、新規ブランド及び新製品の開発並びに新規事業の拡大に積極的に取り組んでまいります。
④ 模倣品対策と知的財産権確保
当社は、重要な資産であるブランド価値を守るために徹底した模倣品対策が重要であると考えております。現在、当社が行っている取り組みとしては、正規品の証として模倣が限りなく困難であるオリジナルの特殊ホログラムシールを「Colantotteシリーズ」のパッケージに貼付することに加え、同じく貼付されているユニークコード(同じ数字が重ならない唯一無二の番号)を当社ホームページの正規品判定サイトに入力することで、正規品か否かを瞬時に判別できる「真贋判定・トレーサビリティシステム」を構築しており、今後もこれらの取り組みを継続することで模倣品対策に努めてまいります。
また、ブランド価値を守るためには、知的財産権の確保も重要であると考えております。国内のみならず海外も含めて数多くの知的財産の権利化を実現する一方で、他社の知的財産権に対しては、新製品の開発過程で抵触の有無を調査することを徹底し、今後も継続して取り組んでまいります。
⑤ 優秀な人材の確保と育成
当社は、継続的な成長のために、優秀な人材の確保と育成が重要であると考えております。特に、当社の製品及
びサービスの充実や拡大を行うため、営業、開発及びマーケティングを担当する人員の採用を適時に行ってまいり
ます。また、当社の経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修を実施することで、優秀な人材の育成に努めてま
いります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は、事業規模を拡大すると同時に企業価値を継続的に高めるために、内部管理体制のさらなる強化が必要であると考えております。社内規程や業務マニュアルの運用、定期的な社内教育の実施等を通じて、業務の効率化と法令遵守の徹底を図ることで、さらなる内部管理体制の強化に努めるとともに、監査役監査や定期的な内部監査の実施等により、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実にも努めてまいります。
⑦ 財務体質の健全化
当社は、これまで事業・業容の拡大に際して、新ブランド及び新製品の開発資金並びに運転資金を、主として金融機関からの借入によって賄ってきたため、第23期事業年度において有利子負債比率が高い水準となっております。このため、景気の変動による業績悪化や金利動向に大きな影響を受ける財務構造となっており、今後の企業間競争に耐えうるべく財務体質の改善が急務であると認識しております。
財務体質を強化して経営の安定性を高めるために、フリーキャッシュ・フローの最大化、有利子負債の削減、必
要なものを必要な量、必要な時に製造することにより、在庫の適正化等を図ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、継続的な事業拡大及び持続的な利益成長の観点から、売上高成長率、売上高営業利益率、EC売上高構成比を重要な経営指標としており、業界動向及び当社業績の推移等を勘案し、適切な目標設定を行い、企業価値向上に努めてまいります。