有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/16 14:10
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有報資料

当連結会計年度は、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を中心に研究開発を行い、その総額は6,807百万円です。
(建築事業、土木事業及びインフラ運営事業)
連結子会社である前田建設工業(株)においては、「総合インフラサービス企業」への変革を掲げ、生産性・品質の向上に加え、脱炭素社会の実現、老朽インフラの健全化、災害対応力の強化など、社会課題の解決と事業価値の向上を両立する研究開発を推進しています。
当連結会計年度は、建築・土木分野における既存事業の高度化に加え、環境対応、維持管理技術や生産性向上を中心とした重点分野の研究開発に取り組みました。また、将来の事業展開を見据えた新技術についても継続的な検討・開発を行っています。
研究開発の推進にあたっては、審査会議を通じて経営層と方針・進捗を共有し、重点テーマへの経営資源の集中と、社内外パートナーとの連携による早期社会実装を図っています。
当連結会計年度における研究開発費は3,509百万円であり、主な研究開発成果は次のとおりです。
①PFAS(有機フッ素化合物)汚染対策技術
PFOS・PFOAを中心とする有機フッ素化合物(PFAS)による水・土壌汚染が顕在化する中、独自に開発したPFAS吸着処理システム「De-POP’s ION®」及び可搬型・小規模対応モデル「De-POP’s ION mini®」を用いた研究開発と社会実装を推進しました。
防衛省基地内排水路を対象としたPFOS・PFOA対策検討業務の受注、大学キャンパスにおける泡消火剤由来のPFOS漏洩事案への緊急対応、産業廃棄物最終処分場浸出水及び浄水場原水を対象としたPFAS濃度低減の実証試験を実施しました。さらに、自治体と連携した長期実証により、運用方法に関する知見を蓄積しています。
これらの取り組みが評価され、PFOS・PFOAが混入した消火用貯水槽の機能正常化への対応について、第9回インフラメンテナンス大賞(防衛省特別賞)を受賞しました。
②老朽インフラ(下水道管路)の予防保全・維持管理技術
老朽化が進む下水道管路に対し、硫化水素の生成から劣化進行までを考慮した余寿命評価・リスク評価技術と、管路内から背面空洞を検知可能な無人点検ロボット技術の研究開発を進めました。
熊本市下水道管路包括的維持管理業務において実証を開始し、事後保全から、劣化予測と状態監視を組み合わせた予防保全型管理への転換を可能とする技術として有効性を検証しています。また、本取組みは令和8年度の国土交通省上下水道一体革新的技術実証事業(AB-Crossプロジェクト)に採択されました。
③トンネル施工の自動化・合理化技術
山岳トンネル工事の安全性と生産性向上を目的に、全自動鋼製支保工建込みロボット、発破パターン作成支援システム、自動装薬システム及び三ブーム自動装薬専用機の開発・現場適用を推進しました。
これらの技術により、切羽直下への作業員立入ゼロを実現するとともに、余掘り量の低減、作業人員削減、施工品質の安定化を確認しています。
④遠隔施工・災害復旧対応技術
災害復旧工事における安全性確保を目的として、遠隔操作技術を用いた施工手法の研究開発を進めました。当年度は、能登半島地震の復旧工事において、遠隔操作によるバックホウ施工の実証を行うことで、現状での課題を把握しました。災害復旧や危険作業の安全性向上を目指し、引き続き遠隔操作システムの導入検討を進めていきます。
⑤音環境・快適性向上技術
屋外スポーツ施設や大空間建築物を対象に、ピクシーダストテクノロジーズ(株)と、メタマテリアルをベースとした通気性を維持しつつ低周波騒音を低減する遮音技術や、音・振動・温熱の統合的評価技術の研究開発を進めました。屋外イベント施設等への展開を視野に入れ、実証データの取得を行っています。
⑥ボクセル型インフラデジタルツイン技術(国土交通大臣賞受賞)
法政大学と共同で取り組んできたボクセル型インフラデジタルツインの構築が、国土交通省主催の「令和7年度インフラDX大賞」において国土交通大臣賞を受賞しました。本技術は、ボクセル型空間表現を用いてインフラ情報を直感的に可視化し、施工計画や維持管理の高度化に資するものです。専門知識に依存せず活用可能な点が評価され、教育・管理分野への展開に向けた技術的知見を蓄積しています。
⑦可搬型マイクログリッドシステムに関する共同研究開発(前田建設工業×ダイハツ工業)
再生可能エネルギーの有効活用及び災害時における事業継続性の向上を目的として、ダイハツ工業(株)と連携し、可搬型マイクログリッドシステムに関する研究開発を実施しました。太陽光発電、蓄電池、電動車両を組み合わせた電力供給方式について、平常時及び非常時の運用を想定した検証を行い、可搬性や運用切替に関する技術的知見を蓄積しています。
連結子会社である三井住友建設(株)においては、「コア技術の深化と未来の新市場を獲得する持続可能な技術開発」を基本方針とし、品質・生産性の向上、サステナビリティ社会の実現及び新たな付加価値の提供に資する技術開発を推進しています。
顧客ニーズに的確かつタイムリーに対応する技術開発を重点施策とし、技術研究所、土木本部、建築本部、事業創生本部を中心に、技術開発活動を展開しました。
当連結会計年度における研究開発費は958百万円であり、主な技術開発成果は次のとおりです。
①PCa工事の全工程を可視化する情報一元管理システム「PATRAC-Apps Ensemble」の開発及び現場導入
プレキャストコンクリート(PCa)工事における製造・運搬・施工工程の管理高度化を目的に、情報を一元管理するICTシステム「PATRAC-Apps Ensemble」を開発しました。本システムは自社開発システム(PATRAC)を中核とし、市販クラウドサービスと連携することで、計画から現場進捗までを一気通貫で可視化します。実工事現場への導入により、問い合わせ対応や在庫管理に係る人員削減、手戻り・重複作業の抑制効果を確認しました。今後は、国内外で活用可能な共通基盤として現場適用拡大を進めていきます。
②生産性向上を実現するRFタグ埋込型コンクリート製スペーサを開発しPCa工場で導入
プレキャストコンクリート(PCa)部材のトレーサビリティ確保を目的に、RFタグを埋め込んだコンクリート製スペーサを開発し、自社PCa工場へ導入しました。本スペーサはPCa部材との親和性が高いコンクリート製で、最大90N/mm²までの強度に対応しています。導入により、製造から出荷、現場受入検査までの生産管理情報を一元管理でき、PCa工場及び建設現場の生産性向上に寄与します。今後は、次世代PCa生産管理システム「PATRAC」と連携し、ICTを活用したさらなる生産性向上に取り組んでいきます。
③サステナブルな地盤改良材「サスティンGeo®」を掘削土処理及び既存杭撤去後の埋戻しに適用
産業副産物を活用したサステナブルな地盤改良材「サスティンGeo®」を、場所打ち杭施工に伴う掘削土の改良に初適用しました。本適用により、泥濘化しやすい掘削土の性状を改善するとともに、従来の固化材と比較してCO2排出量を約50%削減しました。さらに、都内大規模再開発事業における既存杭撤去後の杭孔埋戻しにも初適用し、約8割のCO2排出量削減を実現しました。「サスティンGeo®」は、配合により多様な地盤条件や用途に対応可能な地盤改良材であり、今後も適用範囲の拡大を図っていきます。
④山岳トンネル施工の自動化・省人化技術「離れte支保工」及び「AI de 先ヤマ(発破編)」の開発
山岳トンネル施工における支保工建込作業及び発破作業を対象としたデジタル・AI技術を開発しました。3次元点群データを活用した鋼製支保工建込システム「離れte支保工」は、支保工の建込からボルト締結、金網設置までを切羽から離れた安全な位置で実施可能とし、作業員の安全確保と省人化を実現します。また、発破作業では、地山条件に適した発破パターンを自動選定・提案する「AI de 先ヤマ(発破編)」を開発し、担い手不足への対応と作業効率化、安全性向上を図ります。今後もシステムの高度化・連携を進め、山岳トンネル施工の全自動化・最適化を目指していきます。
⑤国内初の実用化を目指した「洋上浮体式太陽光発電」の技術実証を終了
東京都が実施する「東京ベイeSGプロジェクト」の令和4年度先行プロジェクトとして採択された「洋上浮体式太陽光発電」の技術実証において、データ取得・検証を終了しました。その結果、洋上の波浪に対する浮体の安定性が確保され、安定的に発電していることが確認できました。今後は、社会実装に向けて安全性・耐久性評価やコスト低減の検証を進めるとともに、本実証で得られた知見を活用し、ため池等で実績のある水上太陽光発電の静穏な洋上への適用先拡大を推進していきます。
⑥採卵鶏ふんを活用した無排水型バイオガスプラントの実証運転を終了
採卵鶏ふんを単一原料とする無排水型バイオガスプラントの実証運転を実施し、安定したエネルギー回収と設備・処理コスト低減の有効性を確認しました。採卵鶏ふんは窒素分が多く、従来のメタン発酵では大量の水による希釈が必要となり、排水処理が課題でした。本実証では、窒素除去の前処理と発酵後液分の原料工程への循環を組み合わせ、排水を発生させない処理プロセスを構築しました。今後は、再生可能エネルギー創出を通じ、養鶏業の負担軽減や脱炭素社会の実現に資する技術として社会実装を進めていきます。
⑦CO2排出量を90%削減するコンクリートを用いたPCaPC床版で環境認証ラベル(EPD)を取得
環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®(ゼロセメントタイプ)」を用いたプレキャストプレストレストコンクリート床版(ゼロセメント型PCaPC床版)について、能登川工場で製造体制を構築し、環境認証ラベル(EPD)の一つである「EPD Hub」を取得しました。本材料は一般的なコンクリートに比べ、材料由来のCO2排出量を約90%削減可能です。本床板におけるライフサイクル全体の環境情報を定量的に評価し、第三者認証を経て情報開示しました。今後も、低炭素型プレキャストコンクリート部材の開発と適用を進めていきます。
(舗装事業)
連結子会社である前田道路(株)においては、「新たな収益基盤と未来への投資を確立すること」を研究開発部門の使命と位置づけ、重点分野(気候変動・自然災害、脱炭素、持続可能性、少子高齢化)において、他社との差別化を図る技術開発を推進し、競争力の強化に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発費は1,891百万円であり、主な研究開発成果は次のとおりです。
①「気候変動・自然災害への対策」に関する研究開発
Ⅰ.脱炭素への取り組み
アスファルトプラントの排ガス中のCO2を舗装用材料に固定化するシステムとして、「コンクリート再生路盤材へのCO2鉱物固定技術」の開発を進めています。本技術については、2025年4月~10月に開催された日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて展示を行い、多くの来場者へ「舗装の新しい価値」を訴求しました。2027年度のプラント実装及び実用化を目標として、装置・システムの開発を継続していきます。
Ⅱ.国土強靭化への貢献
高耐久路盤材である中央混合方式CAE混合物(製品名「マイルドベース」)を活用とし、国土強靭化に貢献できる技術の開発を進めています。なお、同製品は「ジャパン・レジリエンス・アワード2025」(2025年4月開催)において最優秀賞を受賞しました。
一般的な道路舗装ではなく、河川堤防の管理用道路への適用を模擬した実験を行った結果、越流発生時の破堤を遅延できる可能性を確認しました。本実験結果は、2025年11月に開催されたハイウェイテクノフェアにて展示・PRを行いました。
②「持続可能性」に関する研究開発
既存道路ストックの有効活用を視野に入れ、再生アスファルト合材の品質向上に資する技術開発にも注力しています。アスファルト合材製造量に占める再生アスファルト合材の製造量比率は年々増加しており、その品質維持・向上は業界全体の大きな課題となっています。当社が業界に先駆けて確立してきた「フォームドアスファルト技術」を効果的に利用し、再生アスファルト合材の品質向上につながる技術の開発を継続していきます。
③「少子高齢化への対応」に関する研究開発
他の業界同様、高齢化及び人手不足は解決すべく喫緊の課題となっています。このような状況を踏まえ、舗装施工現場のみならず製品製造現場においても各種デジタル技術を活用し、生産性向上を図る技術開発を推進しています。さらに、道路管理の現場にも着目し、効率的かつ低コストの路面管理システム開発にも取り組んでいます。
(機械事業)
連結子会社である(株)前田製作所においては、インフラ維持更新需要に対応するための開発、主力製品の部品内製化率を高めるための開発、現場の更なる安全を確保するための開発を行いました。また、要素技術開発として今後の労働力不足に対応するべく遠隔操作・自動化制御技術の開発を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費は447百万円であり、主な研究開発結果は次のとおりです。
①かにクレーンMC305C-5・MC405C-5分割仕様の開発
電力インフラ維持更新のための機械として、かにクレーンMC305C-5・MC405C-5の分割仕様の開発を行いました。2機種ともに輸送用ヘリ、索道等で運搬できる重量に分割することができ、機械を陸上輸送できない山間部等の鉄塔工事現場で使用することが可能となります。
②クローラクレーン用過負荷通知システムの開発
現場での更なる安全確保のため、クローラクレーンの過負荷通知システムの開発を行いました。本システムはクレーン側のコントローラと連携したシステムとなっており、予め設定した負荷率以上の作業をコントローラが検知すると、現場管理者にメールで通知することにより、作業現場における安全管理の強化に寄与します。
③クローラクレーンCC1908S-1遠隔操作仕様の開発
労働力不足への対応、現場の更なる安全確保のためクローラクレーンCC1908S-1遠隔操作仕様の開発を進めています。2025年度は、前田建設工業(株)のICI総合センター(茨城県取手市)と(株)前田製作所の試験場(長野県長野市)の間で実証試験を実施しました。
④自動化技術の開発
建設ニーズや社会課題に対応した自動運転システムの研究・開発を進めており、実証試験による検証を行っています。今後は施工現場の省人化及び安全性向上のため、様々な装置や建設現場等への実装に向けた研究開発活動を推進していきます。

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