有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所の完全親会社として設立されました。「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。
「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をステークホルダーに提供するバリューと位置づけ、これを当社グループ共通の価値観として醸成していきます。また、企業が果たすべき社会的責任についての理解をグループで共有し、各種施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。
ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。
当社の理念

(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、既成概念にとらわれない自由な発想で、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、享受する一人ひとりにとって最適なインフラサービスを提供していきます。
これらの実現のため、現行の『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』で定める当社グループの「目指す姿」、それを実現するための経営ビジョンは以下のとおりです。
①経営環境認識
(建設市場)
・防災や国防、カーボンニュートラルにより、公共投資額は堅調に推移し、横ばいか微増と予測
・建築着工床面積は微減傾向だが、労務単価や資材費の高騰に加え、建物用途や要求スペックの変化により、建設投資額は当面の間、高水準が維持されると予測
・道路事業の舗装新設量は徐々に減少、補修量は徐々に増加し、中長期的には横ばいで推移すると予測
(官民連携市場)
・インフラの老朽化が社会問題として顕在化してきている
・道路を含めた多くのインフラの維持管理の在り方がいよいよ大きく見直される可能性があると予測
・PPP/PFIアクションプランは引き続き政府によって推進され、特に水分野は「ウォーターPPP」の導入に伴い案件化の促進が見込まれる
・地方創生に繋がるスタジアム/アリーナの導入が加速中
(再生可能エネルギー市場)
・半導体工場・データセンター新増設に伴う産業用電力消費を主因として電力需要が増加
・第7次エネルギー基本計画で風力の導入目標が引き上げられ、今後の導入加速が期待される
・再生可能エネルギーの導入を加速するため、需給バランスの調整・電力系統の安定化が必要
・上記課題解決のため、系統用蓄電池事業の導入推進が急務となる見込み
(その他の環境認識)
・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須
・長期的な企業成長のため、サステナビリティ経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須
・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務
②我々が目指す姿
当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。
・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する
・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する
・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す

③戦略三本柱と重点施策
当社グループが「目指す姿」の実現に向けた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。
・「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」
・「付加価値の最大化」
・「体質強化・改善」

④マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針
当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。
・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進
・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化
・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立
・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す
(3) 経営環境と対処すべき課題、現中期経営計画の概要
①経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政がますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題等への対応が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。
このような社会課題の解決や、景気や国の政策等の外部要因による需給バランスの影響を強く受けるという特徴のある、建設業の請負ビジネスが本質的に持つボラティリティの高さに向き合うため、当社グループは、「造る」「建てる」といった請負の枠を超え、既存インフラをどのように維持し価値を高め続けるかという、投資や運営も含めたインフラのライフサイクル全体に関わるビジネスモデルの構築に挑戦してきました。
当社グループは引き続き、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)、三井住友建設(株)をはじめとしたグループ各社が有する従来の事業における強みを活かしながら、インフラに関わる事業領域の拡大と、企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等の、インフラの上流から下流までを一貫してマネジメントする「総合インフラサービス企業」への転換に挑戦し、目指す未来である「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現に向けて取り組んでまいります。
②三井住友建設(株)との経営統合及びPMI
当社は、三井住友建設(株)に対する株式公開買付けを実施し、2025年12月23日をもって当社の完全子会社となりました。
当社グループにおいては、高い技術力、営業力、調達力や施工供給力の確保に加え、新しいテクノロジーの更なる活用が競争力を高めていくために急務となっています。三井住友建設(株)は、土木分野における橋梁を中心とした公共工事、建築分野における超高層建築を代表とする高い技術力、アジアを中心とした海外事業における豊富な実績を強みとして有しており、同社を当社グループに迎え入れることにより、直面する諸課題に対応するケイパビリティを確保し、「総合インフラサービス企業」の実現の鍵となるエンジニアリング力の強化を狙っています。
2025年9月の三井住友建設(株)の連結子会社化後は、同社とのシナジーを最大限発揮するため、統合委員会や分野ごとに組成した分科会を通じて、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に取り組んでいます。
③『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』の概要と進捗
『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』(以下、前中期経営計画)における取り組みと成果を踏まえ、当社は、2025年度から2027年度までの3年間を対象期間とする現中期経営計画を策定し、2025年3月に公表しました。2025年11月には、三井住友建設(株)のグループ入りに伴う見直しを行い、改訂版の現中期経営計画を公表しています。
現中期経営計画は、2030年度までを対象期間とする『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』で掲げている目指す姿の実現に向けて、前中期経営計画での成長を基盤に今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置づけ、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。事業活動から生み出される実質的な収益力を示すEBITDAを重要指標とし、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。
また、当社は、2021年10月の設立時から機関設計として「指名委員会等設置会社」を採用し、取締役の過半数を独立社外取締役とするガバナンス体制を構築しています。2025年6月からは、取締役7名のうち6名を独立社外取締役で構成し、取締役会の監督機能の強化と執行側のスピード感ある意思決定を実現する体制の一層の推進を図っています。経営の監督と執行の機能を明確に分離し、透明・公正かつ果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスのあるべき体制をさらに進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現してまいります。
ビジネスモデル
当社は、インフラの上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」を目指し、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。

現中期経営計画の位置づけ
当社は、現中期経営計画の3年間を、「投資事業拡大フェーズ」と位置づけています。官民連携事業や再生可能エネルギー事業への投資拡大や、請負を活かした新事業の実行、M&Aの更なる推進に注力してまいります。

業績目標
2027年度の業績目標について、以下のとおり定めています。
(注)1.事業利益に減価償却費を加算して算出します。
2.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。
なお、2030年度の業績目標については以下のとおり定めています。
資本戦略・還元方針
資本戦略・還元方針について、以下のとおり定めています。資産の効率化と収益性の向上を通じてROEを12.0%まで引き上げるほか、自己資本比率30%以上を維持し、D/Eレシオを1.0倍以下に抑えることで、財務健全性を確保します。また、2026年度からは年間配当金の下限を普通株式1株当たり60円から90円に引き上げ、配当性向の目標を前中期経営計画の30%以上から引き上げ40%以上とすることで、安定かつ成長に連動した還元を維持してまいります。
政策保有株式については2027年度までに保有ゼロを目標とし、保有不動産については現中期経営計画期間中に100億円以上の売却を推進します。これらの売却により得られる経営資源を官民連携事業や再生可能エネルギー事業等の成長投資に振り向け、事業領域の拡大と利益の最大化を目指します。

④三井住建道路(株)に対する公開買付けによる完全子会社化について
当社の子会社である三井住友建設(株)は、同社の子会社である三井住建道路(株)に対し、完全子会社化を目的として、公開買付けを実施することを決定し、2026年4月22日に本公開買付けが成立しました。今後、スクイーズアウト手続きを経て、完全子会社となる見込みです。
三井住友建設(株)と三井住建道路(株)の両社は、これまで以上に緊密な連携の下で経営リソースを持ち寄り、施工・営業・調達・技術・開発等において一体化・最適化を推進することが一層の競争力強化に繋がると判断しました。また、完全子会社化(非上場化)により一般株主との間で生じる利益相反関係を解消し、インフロニアグループとして最適な資源配分・投資等を迅速に実施を可能にすることが見込まれます。
⑤水ing(株)の株式取得(完全子会社化)について
当社は、2026年4月14日、水ing(株)の全株式を(株)荏原製作所、日揮ホールディングス(株)及び三菱商事(株)(以下、3社)から取得することを決定し、3社との間で株式譲渡契約を締結しました。譲渡実行日は2026年7月1日を予定しており、同日付で同社は当社の完全子会社となる見込みです。
水ing(株)は、水処理設備のEPC・運転・維持管理(O&M)を主力事業とし、官民連携による水道事業の運営等を通じて、国内において高い実績を有しています。また、水道・下水道をはじめとする各種水処理分野において、設計・建設から運転管理まで幅広いサービスを提供しています。
水ing(株)の完全子会社化により、同社グループが保有する水処理エンジニアリング力及び運転管理体制と、当社グループが保有する事業の最適化や効率化を推進するプロジェクトマネジメント能力及び土木建築技術・ノウハウを相互に活用し、上下水道事業の設計・建設・維持管理・運営において一体的なサービス提供が可能になります。また、水ingグループが保有する維持管理拠点を起点として、当社グループが推進する「総合インフラサービス」としての道路や公共施設管理への展開・拡大も可能となり、当社グループ及び水ingグループの更なる企業価値向上に寄与するものと考えています。
(1) 経営の基本方針
当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所の完全親会社として設立されました。「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。
「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をステークホルダーに提供するバリューと位置づけ、これを当社グループ共通の価値観として醸成していきます。また、企業が果たすべき社会的責任についての理解をグループで共有し、各種施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。
ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。
当社の理念

(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、既成概念にとらわれない自由な発想で、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、享受する一人ひとりにとって最適なインフラサービスを提供していきます。
これらの実現のため、現行の『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』で定める当社グループの「目指す姿」、それを実現するための経営ビジョンは以下のとおりです。
①経営環境認識
(建設市場)
・防災や国防、カーボンニュートラルにより、公共投資額は堅調に推移し、横ばいか微増と予測
・建築着工床面積は微減傾向だが、労務単価や資材費の高騰に加え、建物用途や要求スペックの変化により、建設投資額は当面の間、高水準が維持されると予測
・道路事業の舗装新設量は徐々に減少、補修量は徐々に増加し、中長期的には横ばいで推移すると予測
(官民連携市場)
・インフラの老朽化が社会問題として顕在化してきている
・道路を含めた多くのインフラの維持管理の在り方がいよいよ大きく見直される可能性があると予測
・PPP/PFIアクションプランは引き続き政府によって推進され、特に水分野は「ウォーターPPP」の導入に伴い案件化の促進が見込まれる
・地方創生に繋がるスタジアム/アリーナの導入が加速中
(再生可能エネルギー市場)
・半導体工場・データセンター新増設に伴う産業用電力消費を主因として電力需要が増加
・第7次エネルギー基本計画で風力の導入目標が引き上げられ、今後の導入加速が期待される
・再生可能エネルギーの導入を加速するため、需給バランスの調整・電力系統の安定化が必要
・上記課題解決のため、系統用蓄電池事業の導入推進が急務となる見込み
(その他の環境認識)
・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須
・長期的な企業成長のため、サステナビリティ経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須
・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務
②我々が目指す姿
当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。
・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する
・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する
・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す

③戦略三本柱と重点施策
当社グループが「目指す姿」の実現に向けた戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。
・「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」
・「付加価値の最大化」
・「体質強化・改善」

④マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針
当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。
・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進
・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化
・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立
・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す
(3) 経営環境と対処すべき課題、現中期経営計画の概要
①経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政がますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足の更なる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題等への対応が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。
このような社会課題の解決や、景気や国の政策等の外部要因による需給バランスの影響を強く受けるという特徴のある、建設業の請負ビジネスが本質的に持つボラティリティの高さに向き合うため、当社グループは、「造る」「建てる」といった請負の枠を超え、既存インフラをどのように維持し価値を高め続けるかという、投資や運営も含めたインフラのライフサイクル全体に関わるビジネスモデルの構築に挑戦してきました。
当社グループは引き続き、前田建設工業(株)、前田道路(株)、(株)前田製作所、日本風力開発(株)、三井住友建設(株)をはじめとしたグループ各社が有する従来の事業における強みを活かしながら、インフラに関わる事業領域の拡大と、企画提案、施工、運営・維持管理、再投資等の、インフラの上流から下流までを一貫してマネジメントする「総合インフラサービス企業」への転換に挑戦し、目指す未来である「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現に向けて取り組んでまいります。
②三井住友建設(株)との経営統合及びPMI
当社は、三井住友建設(株)に対する株式公開買付けを実施し、2025年12月23日をもって当社の完全子会社となりました。
当社グループにおいては、高い技術力、営業力、調達力や施工供給力の確保に加え、新しいテクノロジーの更なる活用が競争力を高めていくために急務となっています。三井住友建設(株)は、土木分野における橋梁を中心とした公共工事、建築分野における超高層建築を代表とする高い技術力、アジアを中心とした海外事業における豊富な実績を強みとして有しており、同社を当社グループに迎え入れることにより、直面する諸課題に対応するケイパビリティを確保し、「総合インフラサービス企業」の実現の鍵となるエンジニアリング力の強化を狙っています。
2025年9月の三井住友建設(株)の連結子会社化後は、同社とのシナジーを最大限発揮するため、統合委員会や分野ごとに組成した分科会を通じて、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)に取り組んでいます。
③『INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画』の概要と進捗
『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』(以下、前中期経営計画)における取り組みと成果を踏まえ、当社は、2025年度から2027年度までの3年間を対象期間とする現中期経営計画を策定し、2025年3月に公表しました。2025年11月には、三井住友建設(株)のグループ入りに伴う見直しを行い、改訂版の現中期経営計画を公表しています。
現中期経営計画は、2030年度までを対象期間とする『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』で掲げている目指す姿の実現に向けて、前中期経営計画での成長を基盤に今後3年間を「投資事業拡大フェーズ」と位置づけ、財務規律に則り、バリュー思考に基づく積極的な成長投資を推進します。事業活動から生み出される実質的な収益力を示すEBITDAを重要指標とし、特にインフラ事業における持続的成長を目指します。
また、当社は、2021年10月の設立時から機関設計として「指名委員会等設置会社」を採用し、取締役の過半数を独立社外取締役とするガバナンス体制を構築しています。2025年6月からは、取締役7名のうち6名を独立社外取締役で構成し、取締役会の監督機能の強化と執行側のスピード感ある意思決定を実現する体制の一層の推進を図っています。経営の監督と執行の機能を明確に分離し、透明・公正かつ果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスのあるべき体制をさらに進化させ、未来志向の事業戦略と実行力で企業価値向上と社会貢献の両立を実現してまいります。
ビジネスモデル
当社は、インフラの上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」を目指し、グループ全体が外的要因に左右されずに持続的な成長を実現するビジネスモデルの確立に取り組んでいます。請負事業の強化と脱請負事業の拡大により、成長サイクルの好循環を目指してまいります。

現中期経営計画の位置づけ
当社は、現中期経営計画の3年間を、「投資事業拡大フェーズ」と位置づけています。官民連携事業や再生可能エネルギー事業への投資拡大や、請負を活かした新事業の実行、M&Aの更なる推進に注力してまいります。

業績目標
2027年度の業績目標について、以下のとおり定めています。
| 2024年度 実績 | 2025年度 実績 | 2027年度 目標 | |
| 事業利益 | 485億円 | 841億円 | 1,000億円 |
| EBITDA(注1) | 839億円 | 1,287億円 | 1,510億円 |
| 当期利益 | 324億円 | 765億円 | 630億円 |
| 付加価値額(注2) | 1,777億円 | 2,724億円 | 3,340億円 |
(注)1.事業利益に減価償却費を加算して算出します。
2.加算法または控除法により算出します。加算法による場合、事業利益、総人件費、減価償却費、研究開発費の総和により算出される額とします。控除法による場合、売上高から外部購入費用を控除して算出される額とします。
なお、2030年度の業績目標については以下のとおり定めています。
| 2030年度 目標 | |
| 事業利益 | 1,300億円 |
| EBITDA | 1,900億円 |
資本戦略・還元方針
資本戦略・還元方針について、以下のとおり定めています。資産の効率化と収益性の向上を通じてROEを12.0%まで引き上げるほか、自己資本比率30%以上を維持し、D/Eレシオを1.0倍以下に抑えることで、財務健全性を確保します。また、2026年度からは年間配当金の下限を普通株式1株当たり60円から90円に引き上げ、配当性向の目標を前中期経営計画の30%以上から引き上げ40%以上とすることで、安定かつ成長に連動した還元を維持してまいります。
政策保有株式については2027年度までに保有ゼロを目標とし、保有不動産については現中期経営計画期間中に100億円以上の売却を推進します。これらの売却により得られる経営資源を官民連携事業や再生可能エネルギー事業等の成長投資に振り向け、事業領域の拡大と利益の最大化を目指します。
| 2024年度 実績 | 2025年度 実績 | 2027年度 目標 | |
| ROE | 7.1% | 13.6% | 12.0% |
| 自己資本比率 | 35.8% | 30.2% | 30%以上 |
| D/Eレシオ | 0.8倍 | 0.9倍 | 1.0倍以下 |
| 政策保有株式/純資産割合 | 14.7% | 15.2% | 0% |
| 保有不動産の売却 | 13億円 | - | 累計100億円以上 |
| 配当性向 | 48.3% | 40.6% | 40%以上 |
| 配当 | 60円/株 | 120円/株 | 下限配当90円/株 |

④三井住建道路(株)に対する公開買付けによる完全子会社化について
当社の子会社である三井住友建設(株)は、同社の子会社である三井住建道路(株)に対し、完全子会社化を目的として、公開買付けを実施することを決定し、2026年4月22日に本公開買付けが成立しました。今後、スクイーズアウト手続きを経て、完全子会社となる見込みです。
三井住友建設(株)と三井住建道路(株)の両社は、これまで以上に緊密な連携の下で経営リソースを持ち寄り、施工・営業・調達・技術・開発等において一体化・最適化を推進することが一層の競争力強化に繋がると判断しました。また、完全子会社化(非上場化)により一般株主との間で生じる利益相反関係を解消し、インフロニアグループとして最適な資源配分・投資等を迅速に実施を可能にすることが見込まれます。
⑤水ing(株)の株式取得(完全子会社化)について
当社は、2026年4月14日、水ing(株)の全株式を(株)荏原製作所、日揮ホールディングス(株)及び三菱商事(株)(以下、3社)から取得することを決定し、3社との間で株式譲渡契約を締結しました。譲渡実行日は2026年7月1日を予定しており、同日付で同社は当社の完全子会社となる見込みです。
水ing(株)は、水処理設備のEPC・運転・維持管理(O&M)を主力事業とし、官民連携による水道事業の運営等を通じて、国内において高い実績を有しています。また、水道・下水道をはじめとする各種水処理分野において、設計・建設から運転管理まで幅広いサービスを提供しています。
水ing(株)の完全子会社化により、同社グループが保有する水処理エンジニアリング力及び運転管理体制と、当社グループが保有する事業の最適化や効率化を推進するプロジェクトマネジメント能力及び土木建築技術・ノウハウを相互に活用し、上下水道事業の設計・建設・維持管理・運営において一体的なサービス提供が可能になります。また、水ingグループが保有する維持管理拠点を起点として、当社グループが推進する「総合インフラサービス」としての道路や公共施設管理への展開・拡大も可能となり、当社グループ及び水ingグループの更なる企業価値向上に寄与するものと考えています。