有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/18 15:00
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【項目】
123項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次の通りであります。
① 経営成績の状況
第7期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度における我が国の経済は、米中の貿易摩擦、近隣諸国における地政学的リスク、そして何より、新型コロナウイルスによる経済への大きな影響により、国内景気は依然不透明感が拭えない状況にあります。
このような状況のもと、当社は「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを掲げ、プロシェアリング事業を展開し、順調に業績を維持しております。新型コロナウイルス罹患者の爆発的拡大を抑えるべく2020年4月に日本国で発出された緊急事態宣言に伴い、全国的に外部活動の自粛が要請される中、当社におきましても稼働中プロジェクトの一次的休止が多く発生致しました。2020年3月799件から、5月には639件まで減少致しました。しかし、少子高齢化による働き手の不足及び働き方改革を背景に、当社のプロシェアリング事業は、様々な法人企業を中心に受注を拡大しており、2020年7月には745件まで復調致しました。また、平均顧客請求単価につきましては大きな変動はございませんでした。
これらの結果、売上高は主力サービスである「プロシェアリングコンサルティング」サービスに加え、「FLEXY」サービスが前年同期比66.2%増と大きく伸長したことにより3,995,590千円(前年同期比33.1%増)となり、過去最高の売上高を記録致しました。利益面については、事業拡大や管理部門強化に伴う人件費の増加、TV CM等の広告宣伝に係る先行投資費用の増加により営業損失が135,781千円、経常損失が139,553千円、当期純損失が109,371千円となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
当第3四半期累計期間におけるわが国の経済は、米中の貿易摩擦、近隣諸国における地政学的リスク、そして何より、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済への大きな影響により、国内景気は依然不透明感が拭えない状況にあります。
一方で、個人の働き方は多様化し、人生100年時代におけるシニア世代の働き方、産後の女性の復職、日本国政府の掲げる働き方改革、企業を取り巻く終身雇用の崩壊等により、多様な働き方を望む個人が増加しており、組織に依存しない働き方が広がっているとともに、高度な技能を有するプロ人材は、高い専門性を磨き「一社に雇用されるのではなく、専門性を活かし複数社で価値を発揮する」志向性を持った働き方が増加しています。
企業も、少子高齢化による労働力の減少、有効求人倍率の継続的上昇、地方中小企業の事業承継問題、大手企業のイノベーションのジレンマ等、我が国の経済発展において多くの課題を抱えています。
従来の企業と個人が「雇用」という形で繋がるというあり方では、これらの課題に対応することが困難な状況になってきています。「雇用」に縛られない多様な働き方を望む個人と、社外のプロ人材による経営改革を進めたい企業とが、時間や場所、組織の枠組み等の制限を超えて、協業できる仕組みが必要になっていくと考えられます。
このような状況のもと、当社は、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを掲げ、「プロシェアリング」事業を展開し、順調に業績を維持しております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者の爆発的拡大を抑えるべく2020年4月に日本国で発出された「緊急事態宣言」に伴い、全国的に外部活動の自粛が要請される中、当社におきましても稼働中プロジェクトの一次的休止が多く発生しました。しかし、少子高齢化による働き手の不足及び働き方改革を背景に、当社のプロシェアリング事業は、様々な事業会社を中心に受注を拡大し、2020年9月に稼働プロジェクト数が800件と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症前の799件を超え、過去最高水準まで到達しました。その後、2021年1月、4月と日本国で再度「緊急事態宣言」が発出されましたが、「緊急事態宣言」1回目を経て当社プロ人材による法人顧客へのWeb MTG等を用いたリモート遠隔支援が定着しており、「緊急事態宣言」2回目、3回目の当社事業への影響は軽微と捉えております。その結果、社内の生産性向上施策も奏功し、2021年4月プロジェクト件数が1,020件を超えました。また、平均顧客請求単価につきましては大きな変動はございませんでした。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は3,951,269千円となり、利益面につきましては、プロシェアリング事業の順調な拡大と社内の生産性向上施策の進展により、営業利益372,476千円、経常利益366,965千円、四半期純利益256,648千円となりました。
② 財政状態の状況
第7期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,617,886千円となり、前事業年度末に比べ847,510千円増加致しました。これは主に、銀行借入による大型の資金調達を実施したことにより現金及び預金が752,143千円増加したことに加え、プロシェアリング事業の稼働プロジェクトの堅調な推移により売掛金が77,016千円、前払費用が9,953千円、それぞれ増加したこと等によるものであります。また、当事業年度末における固定資産は184,562千円となり、前事業年度末に比べ40,923千円増加致しました。これは主に、プロ人材向けポータルサイト開発等によりソフトウエアが14,931千円、将来減産一時差異及び繰越欠損金の計上による繰延税金資産が31,924千円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は1,802,448千円となり、前事業年度末に比べ888,434千円増加致しました。
(負債)
当事業年度における流動負債は883,514千円となり、前事業年度末に比べ339,112千円増加致しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が216,648千円、業容拡大により買掛金が34,007千円増加したこと等によるものであります。また、当事業年度末における固定負債は851,459千円となり、前事業年度末に比べ658,692千円増加致しました。これは、銀行借入による大型の資金調達により長期借入金が661,433千円増加したこと等によるものであります。この結果、負債合計は1,734,973千円となり、前事業年度末に比べ997,805千円増加致しました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は67,475千円となり、前事業年度末に比べ△109,371千円減少致しました。 これは、当事業年度において当期純損失△109,371千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少によるものであります。
第8期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産につきましては、前事業年度末と比較して174,746千円増加し、1,977,195千円となりました。これは主に、プロシェアリング事業の拡大に伴う稼働中プロジェクト件数の積み上げにより、売掛金が145,000千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債につきましては、前事業年度末と比較して81,901千円減少し、1,653,071千円となりました。これは主に、稼働中プロジェクトの増加及び四半期純利益の創出に伴い、買掛金が91,254千円、未払法人税等が113,618千円それぞれ増加した一方、借入金の返済に伴い、短期借入金が16,664千円、長期借入金(1年以内返済予定長期借入金含む)が264,996千円、それぞれ減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末と比較して256,648千円増加し、324,123千円となりました。これは四半期純利益256,648千円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物は1,148,146千円となり、前事業年度末と比べ752,144千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当会計年度の営業活動による資金の減少は、111,005千円(前事業年度は18,025千円の増加)となりました。これは、プロシェアリング事業の業容拡大に伴い、売上債権が77,016千円、仕入債務が34,007千円、それぞれ増加したことに加え、採用強化に伴う人件費の増加及び広告宣伝等の積極的な先行投資を実施したことにより、税金等調整前当期純損失140,056千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当会計年度の投資活動による資金の減少は、31,595千円(前事業年度は17,600千円の減少)となりました。これは主に、プロシェアリング事業に係るソフトウエア投資等、無形固定資産の取得による支出24,508千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当会計年度の財務活動による資金の増加は、894,745千円(前事業年度は80,265千円の増加)となりました。これは、中長期的な事業成長に伴う長期運転資金の確保とコロナウイルス感染症拡大による事業リスクを勘案し、大型の銀行借入を実行したもので、長期借入れによる収入1,350,000千円の影響によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略致します。
b.受注実績
当社の行う事業は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略致します。
c.販売実績
第7期事業年度及び当第3四半期累計期間の販売実績は、次の通りであります。なお当社はプロシェアリング事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
第7期事業年度
(自 2019年8月1日~
至 2020年7月31日)
第8期第3四半期
累計期間
(自 2020年8月1日
至 2021年4月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
「プロシェアリングコンサルティング」サービス2,427,836125.02,370,394
「FLEXY」サービス1,311,065166.21,444,191
その他256,68794.3136,683
3,995,590133.13,951,269

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。
課税所得は中期経営計画の前提となった数値を経営環境等の外部要因や内部の状況(予算の達成状況、利益の創出状況等)とを比較し、蓋然性の確度を勘案した上で見積っております。当該見積もりには、プロジェクトの稼動件数(新規受注件数、平均稼働プロジェクト数等の見積もり)、稼働プロジェクト当たり平均請求金額、コンサルタントの人員数等、過去の実績に基づく仮定を用いております。なお、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りによるため、課税所得の将来予測に影響を与える変化が生じた場合には繰延税金資産の回収可能性が変動することにより当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが考えられます。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
第7期事業年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者の爆発的拡大を抑えるべく2020年4月に日本国で発出された緊急事態宣言に伴い、全国的に外部活動の自粛が要請される中、当社におきましても稼働中プロジェクトの一時的休止が発生致しました。しかし、少子高齢化による働き手の不足及び働き方改革を背景に、当社の「プロシェアリング」事業は、様々な事業会社を中心に受注を拡大し、売上高3,995,590千円(前期比 33.1%増)となりました。一方で、同年は未来に向けた集中投資(更なる認知度向上を目的としたTV CM、Taxi CMの制作・放映、人材採用、東北支社開設、中四国支社開設等)を実行致しました。その結果、営業損失 135,781千円(前期は営業利益 6,270千円)、経常損失 139,553千円(前期は経常利益 26,638千円)となりました。なお、当社は「プロシェアリング」事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.売上高
当事業年度においては、2020年4月に日本国で発出された緊急事態宣言により、2020年3月799件でありました稼働プロジェクト件数の一部が解約や休止となり、同年5月に639件まで一時的に減少致しました。一方で、緊急事態宣言期間の終了に伴い、休止中でありましたプロジェクトは順次再開し、同年7月には745件まで伸長致しました。以上の結果、当事業年度の売上高は、3,995,590千円(前年同期比 33.1%増)となりました。
b.売上総利益
当事業年度における売上総利益は、プロジェクト件数の増減による売上高の推移と併せ、 1,712,056千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、コンサルタント、コーポレートスタッフ人員増加による人件費の増加に加え、認知度向上を目的としたTV CM、Taxi CMの制作・放映による広告宣伝費の増加等があり 1,847,837千円となりました。その結果、営業損失 135,781千円となりました。
d.経常利益
当事業年度における営業外収益は208千円、支払利息等による営業外費用が 3,980千円となり、その結果、経常損失は139,553千円となりました。
e.特別利益、特別損失、税引前当期純利益
当事業年度における特別利益の発生はなく、特別損失として固定資産の除売却損502千円を計上しました。この結果、当事業年度における税引前当期純損失は140,056千円となりました。
f.法人税等、当期純利益
当事業年度における法人税、住民税及び事業税は1,239千円、法人税等調整額は31,924千円の繰入となり、法人税等は30,685千円となりました。この結果、当事業年度における当期純損失は109,371千円となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 2020年8月1日 至 2021年4月30日)
当第3四半期累計期間におきましては、労働人口減少による人手不足や働き方改革の影響から、オープンイノベーションによる経営改革や、DX による業務効率化を推進する企業が増加する等、外部プロ人材活用への意欲は引き続き旺盛に推移するものと考えます。また、こうしたトレンドは中長期的に継続するものと考えております。なお、当社は「プロシェアリング」事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.売上高
当第3四半期累計期間においては、2020年4月に日本国で発出された緊急事態宣言により一時的休止となっていたプロジェクトも順次再開し、2020年9月に稼働プロジェクト数が800件と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大前の799件を超え、過去最高水準まで到達致しました。その後、2021年1月4月と日本国で再び緊急事態宣言が発出されましたが、1度目の緊急事態宣言を経て当社プロ人材による法人顧客へのWeb MTG等を用いたリモート支援が定着しており、当社事業への影響は軽微と捉えております。その結果、社内の生産性向上施策も奏功し、 2021年1月プロジェクト件数が950件、同年4月にはプロジェクト件数が1,020件を超えました。以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は、3,951,269千円となりました。
b.売上総利益
当第3四半期累計期間における売上総利益は、売上高の堅調な推移を背景に、1,658,605千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、コンサルタント、コーポレートスタッフ人員増加による人件費の増加、オンラインマーケティング実施による広告宣伝費の増加等があり1,286,128千円となりました。その結果、営業利益は372,476千円となりました。
d.経常利益
当第3四半期累計期間における営業外収益に大きな発生はなく、支払利息及び上場関連費用による営業外費用が5,859千円発生したため、経常利益は366,965千円となりました。
e.特別利益、特別損失、税引前四半期純利益
当第3四半期累計期間における特別利益は発生しておらず、関西オフィス移転等に伴う固定資産除却損が1,749 千円となりました。この結果、当第3四半期累計期間における税引前四半期純利益は365,216千円となりました。
f.法人税等、四半期純利益
当第3四半期累計期間における法人税等は108,568千円となりました。この結果、当第3四半期累計期間における四半期純利益は256,648千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要の主なものは、プロシェアリング事業の拡大を受け、プロ人材への業務委託費用のほか、人材獲得、維持に係る人件費、当社サービス浸透のための広告宣伝費、サービスの品質維持及び向上のためのシステム関連費等であります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入による資金調達を基本とし、必要に応じてエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定です。なお、資金調達手法の優先順位は、資金需要の額や用途に合わせ柔軟に検討を行う予定であります。