有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/24 15:00
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142項目

事業内容

当社は、電子商取引(以下、EC)黎明期である2000年の創業以来、「インターネット決済代行サービス」を提供して参りました。「インターネット決済代行サービス」とは、当社の顧客である事業者が、購買者に対して、インターネットを介してクレジットカードなどで決済ができる仕組みを提供するものです。当社独自のサブスクリプション(注1)ビジネス向けの機能を備えたサービスに特徴があり、サブスクリプションビジネスを営む事業者をはじめとする様々な事業者にご利用頂いております。この事業をペイメント事業と呼びます。
また、2014年には「インターネット決済代行サービス」の知見を活かし、同サービスと連動したクラウドサービスとして、「経理のミカタ」(現サービス名:「請求管理ロボ」)の開発、リリースを行いました。「請求管理ロボ」は、企業内での一連の請求業務(請求・集金・消込・催促)の効率化・自動化を実現するサービスで、SaaS(注2)型で提供しております。この事業をフィナンシャルクラウド事業と呼びます。
以下に当社の各事業の具体的な内容を記載いたします。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
(注)1.サブスクリプション:一定期間の利用権の対価として定期定額の課金をするサービス体系のことです。
(注)2.SaaS:Software as a Serviceの略称で、ソフトウエアを利用者(顧客)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウエアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するものを指します。
(1)事業の種類
① ペイメント事業
ペイメント事業では、主に消費者向け(以下、BtoC)ECをはじめとしたインターネット上で販売等を行う事業者、および企業間ビジネス(以下、BtoB)を行う事業者(以下、加盟店)向けに「インターネット決済代行サービス」を提供しております。加盟店に代わり、当社が一元して金融機関やカード会社といった各決済事業者との契約手続き、決済情報連携を行うため、加盟店がそういった手続きの手間や時間を割くことなく、クレジットカード決済・キャリア決済・コンビニ収納・口座振替・銀行決済等の様々な決済を利用できる決済サービスを提供しております。「インターネットペイメント」「サブスクリプションペイメント」の二つのブランド名を付して、様々なニーズを持つ加盟店よりお問い合わせを頂いております。当社のサービスの特徴としては、「サブスクリプションペイメント」として、毎月や毎週など継続的な課金を自動で行うエンジンを搭載している点が挙げられます。これは、特にサブスクリプションビジネスを支援する機能であり、これにより、加盟店のサブスクリプションビジネスにおける決済関連業務の効率化が実現され、継続的な課金に応じて生じる毎月の業務を削減することができます。また、多様な課金スケジュールを柔軟に設計でき、柔軟なサービス設計の一助となります。さらに、サブスクリプションビジネスに必要な顧客管理機能も搭載されており、加盟店は当社のセキュアな環境において決済に紐づいた様々な顧客データを管理することが可能になり、それらのデータを用いることで、会員の解約の防止やリピート促進などの施策を講じることができ、顧客価値の最大化が可能となります。アカウント数、及びARPA(注)の最近5事業年度及び2021年12月期第2四半期会計期間末までの推移は以下の通りです。
(注)ARPA:Average Revenue Per Accountの略称で1アカウントあたりの月間平均売上高を指します。
0201010_001.png
2016年12月期末2017年12月期末2018年12月期末2019年12月期末2020年12月期末2021年12月期第2四半期会計期間末
アカウント数(AC)3,1553,7834,2384,7775,2055,525
ARPA(円)10,4839,62410,66110,15312,36312,587

② フィナンシャルクラウド事業
フィナンシャルクラウド事業では、主にBtoBビジネスを行う事業者(以下、事業者)をはじめ、BtoCビジネスを行う事業者などに対して「請求・集金・消込・催促」という請求に関する業務を効率化・自動化するクラウドサービス「請求管理ロボ」を提供しております。サブスクリプションビジネスを営む事業者を中心に幅広い顧客に利用頂いております。サブスクリプションビジネスにおいては、定期定額課金のビジネスであるために毎月同じような請求業務を繰り返しミスなく行わなければいけないという課題を「請求管理ロボ」が解決します。事業者は、請求書の自動発行・送付、請求先の未収状況等の管理に加え、クレジットカード決済・キャリア決済・コンビニ収納・口座振替・銀行決済など幅広い決済情報の一元管理が可能となります。また、Salesforce®・Kintone等の顧客管理システムや、マネーフォワード・freee・PCA会計・弥生会計・勘定奉行等の会計システムなど、請求業務を起点とした周辺業務向けのシステムとの連携も可能であることから、顧客管理から会計までの一気通貫の業務フローの構築が可能となり、かつ事業者の様々なニーズ、業務フローに対応した商品設計となっております。アカウント数、及びARPAの最近5事業年度及び2021年12月第2四半期会計期間末までの推移は以下の通りです。
0201010_002.png
2016年12月期末2017年12月期末2018年12月期末2019年12月期末2020年12月期末2021年12月期第2四半期会計期間末
アカウント数(AC)127191286378468535
ARPA(円)33,99237,38048,56263,78072,66272,100

(2)各事業のビジネスフローについて
① ペイメント事業
当社は加盟店に代わり、各決済事業者との決済処理を行うシステムの提供、包括した契約を行うため、一度当社に売上が入金され、その後当社が以下のサービス利用料を徴収したうえで、当社から加盟店へ送金(注)します。
当社は、サービス利用料として以下を加盟店から得ております。
・イニシャル:当社決済システムを利用するためのアカウント発行、各種初期設定、接続サポート等に対する初期導入費用、他社への顧客紹介の際に発生するフィー
・ストック:システム利用や利用期間中のカスタマーサポート等に対する月額固定費用
・スプレッド:加盟店の売上に対して料率で課金される、当社の精算処理に対する手数料、対面決済における手数料
・フィー:決済データ処理の件数に応じて課金される決済処理に対する費用
(注)これを「精算」と呼んでおります。
インターネット決済代行サービスの事業系統図は以下の通りです。
0201010_003.png② フィナンシャルクラウド事業
当社は利用企業に「請求管理ロボ」をSaaS型で提供しており、サービス利用料として以下の収益を得ております。
・イニシャル:「請求管理ロボ」のアカウント発行、各種初期設定(請求書フォーマットカスタマイズ等含む)などのサービス開始時における導入支援費用
・MRR(注):「請求管理ロボ」の利用や利用期間中のカスタマーサポート等に対する月額固定費用、請求書の郵送代行や各プランの上限を超過した請求件数の処理等に対する従量課金の費用
なお、クラウド版の「請求管理ロボ」の他に、株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するエンタープライズ企業向けのクラウドプラットフォームSalesforce®において、ビジネス用アプリケーションマーケットプレイスであるAppExchange上で「請求管理ロボ for Salesforce」を提供しており、この場合、株式会社セールスフォース・ドットコムからライセンスの付与を提供され、その対価としてライセンス利用料を支払うフローが入ります。
請求管理ロボの事業系統図は以下の通りです。
0201010_004.png(注)MRR:Monthly Recurring Revenueの略称で、毎月繰り返し得られる収益のことです。
(3)各事業の収益構造について
① ペイメント事業
ペイメント事業の「インターネット決済代行サービス」において、サービスの内容に従って「イニシャル」「ストック」「スプレッド」「フィー」の4つに売上を区分しております。顧客である加盟店数が増えると、主に初期費用である「イニシャル」が計上され、サービス利用期間中は、月額固定費用の「ストック」が計上される他、加盟店の取扱高や件数の増加に伴い、「スプレッド」「フィー」が増加し、一加盟店からの収益増加に寄与します。「イニシャル」のうち継続的に発生するフィー、「ストック」「スプレッド」「フィー」はサービス利用期間に渡って顧客から継続的に繰り返し当社の売上に寄与するものとして、「リカーリング収益」と定義しております。
② フィナンシャルクラウド事業
フィナンシャルクラウド事業の「請求管理ロボ」はSaaS型で顧客へ提供されるサービスであり、サービスの内容に従って「イニシャル」「MRR(注1)」の2つに売上を区分しております。顧客企業数が増えると、主に初期費用・導入支援費用である「イニシャル」が計上され、サービス利用期間中は、月額固定費用を中心に、請求書の郵送費用や請求件数の超過件数等に応じた従量課金の費用も加えた「MRR」が増加し、一顧客企業からの収益増加に寄与します。「MRR」はペイメント事業と同じくその性質から、「リカーリング収益」と定義しております。
上記の通り当社の安定的な収益基盤として、「リカーリング収益」というものを定義しております。リカーリング収益比率(注)は2021年12月期第2四半期末時点で両事業においてそれぞれ96%以上となっており、当社の収益構造の特徴となっております。
0201010_005.png(注)リカーリング収益比率:ペイメント事業においては、「ストック」「スプレッド」「フィー」、「イニシャル」のうち継続的に売上があがるもの、の合計金額をペイメント事業の全売上高で除したもの、フィナンシャルクラウド事業においては、「MRR」の金額をフィナンシャルクラウド事業の全売上高で除したものをそれぞれ当事業のリカーリング収益比率と定義しております。
各事業におけるリカーリング収益比率の最近5事業年度及び2021年12月期第2四半期会計期間末までの推移は以下の通りです。
ペイメント事業
2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期2020年12月期2021年12月期第2四半期末
リカーリング収益比率98.3%96.6%96.5%96.3%95.8%96.6%

フィナンシャルクラウド事業
2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期2020年12月期2021年12月期第2四半期末
リカーリング収益比率71.8%88.9%94.2%94.3%95.3%97.4%