有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/09/02 15:00
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129項目

事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境に由来するリスクについて
①インターネット関連市場について
当社は、インターネットメディア事業を主たる事業対象としているため、インターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等のインターネットの更なる普及が成長のための基本的な条件と考えております。インターネットの利用は日常生活の中でごく当たり前のことにはなってきましたが、今後どのように進展していくかについては不透明な部分もあります。
インターネットに関する何らかの弊害の発生や利用等に関する新たな規制の導入、その他予想しなかった要因によって、今後の普及に大きな変化が生じた場合、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②技術革新について
当社が事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新サービスの導入を行ってまいりました。当社はこれらの変化に対応するため、技術者の確保や必要な研修活動を行っておりますが、これらが想定通りに進まない場合等、変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社の業界における競争力が低下し、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、インターネットユーザーの多くは、検索エンジンを利用して必要な情報を入手しております。当社のサービスにおきましても、集客の一定割合は検索エンジンを経由しております。検索エンジンからの集客は、表示結果に左右される側面があり、その表示順位に関しては各検索エンジンの運営者側の仕様によって異なります。当社におきましても、検索エンジンに適切な順位で表示されるように必要な対策を講じておりますが、各検索エンジンの運営者側の仕様変更などにより、集客に大きな影響を与える場合、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③新型コロナウイルスの感染拡大について
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴い、採用活動を行う企業の中には業績が悪化し、採用計画の中止や縮小を強いられている企業が存在しております。当社は、特定の業種に偏りのない顧客ポートフォリオを形成しているため、現時点では業績への影響は限定的と考えておりますが、今後更に拡大・蔓延し、広範囲の業種の業績に影響を与えるような状況となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社では従業員の新型コロナウイルス感染症罹患を避けるために在宅勤務を推奨し、柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めております。今後も感染の状況を注視しながら事業を継続してまいりますが、当社において従業員等に大規模な感染が発生した場合、当社の事業活動に支障をきたすおそれがあり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④四半期毎の業績変動について
当社のキャリアデータプラットフォーム事業は、登録会員・募集企業等のトラフィックの変動に連動して当社の収益も大きく増減します。具体的には、インターンの募集や新卒学生の就職活動が本格化し本選考の集客が行われる第2四半期会計期間及び第4四半期会計期間の時期が当社の収益が大きく増加する傾向にあります。一方で企業の集客需要が少ない第1四半期会計期間及び第3四半期会計期間は収益が上がりにくい傾向にあります。そのため、当社の売上高の成長は、年間を通じて標準化されずに、四半期決算の業績が著しく変動する可能性があります。
なお、2020年12月期及び2021年12月期第1四半期会計期間及び第2四半期会計期間における売上高は以下のとおりであります。
(2020年12月期)
(単位:千円)
第1四半期会計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年3月31日)
第2四半期会計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年6月30日)
第3四半期会計期間
(自 2020年7月1日
至 2020年9月30日)
第4四半期会計期間
(自 2020年10月1日
至 2020年12月31日)
売上高218,555471,387203,926437,058

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の四半期会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく太陽有限責任監査法人の四半期レビューは受けておりません。
(2021年12月期)
(単位:千円)
第1四半期会計期間
(自 2021年1月1日
至 2021年3月31日)
第2四半期会計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年6月30日)
売上高369,501657,584

(注)売上高には、消費税等は含まれておりません。
⑤少子化の影響について
我が国においては少子化が進展しておりますが、当社が提供するサービスの利用が想定される学生等の若年層の数は安定的に推移しており、今後5年~10年程度の中期的なスパンでの少子化の進行による影響は少ないものと考えております。しかし、少子化が更に進行し、当社の認識とは相違して対象ユーザーである学生等の人口が急激に減少した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に由来するリスクについて
①他社との競合について
当社は「ONE CAREER」の管理運営を通じたキャリアデータプラットフォーム事業を主たる事業領域としておりますが、当事業領域においては大手企業を始めとして多くの事業者が事業の展開をしております。当社は、キャリアデータの質と量を有したメディアの構築と当該データを活用した企業の採用活動・人事業務のDX推進等に取り組み、これら多くの事業者が提供するサービスとの差別化を図っております。
しかしながら、当社と同様のサービスを展開する事業者との競合激化や、競合事業者が提供するサービスに対し十分な差別化が図れなかった場合、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②機能の充実について
当社は利用者のニーズに対応するため、新卒採用支援メディア「ONE CAREER」及び中途採用支援メディア「ONE CAREER PLUS」における機能の拡充を進めております。当社は機能の拡充や有料機能の導入については利用者のニーズの分析により的確な把握を行った上で実行をしてまいりますが、今後において、利用者のニーズの的確な把握が困難となり、十分な機能の拡充に支障が生じた場合、利用者への訴求力の低下等により、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③継続的なシステムコストについて
当社は、今後の利用者数及びアクセス数の拡大に備え、継続的かつ柔軟にシステム上の対応措置を講じる方針を取っておりますが、当社の計画を上回る急激な利用者数及びアクセス数の増加等があった場合、クラウドサーバーの処理量に一定の負荷をかける機能開発の実装を行う場合もあります。このような事態が生じた場合には、サーバー利用料が大幅に変動することにより、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④特定のサービスへの依存について
当社の「キャリアデータプラットフォーム」事業は、現在、新卒採用支援メディア「ONE CAREER」から派生する特定のサービスに大きく依存した事業となっております。当社は今後も「ONE CAREER」のコンテンツ価値向上に努めるとともに、ワンキャリアクラウドシリーズの採用計画機能などの他サービス・派生サービスを積極的に展開し、競合企業のサービスとの差別化を図ってまいりますが、競合企業との競争激化等が、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤新規事業等について
当社は、業容拡大に向けて、ワンキャリアクラウドシリーズの各サービスに続く新たなサービスの創出を目指しております。新規サービスにつきましては、予め回収可能性を十分に調査・検討し実行してまいりますが、安定収益を創出するにはある程度の期間を要する場合があり、その期間において人件費等の先行投資により一時的に利益率が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、想定していた成果を上げることができない場合、撤退コストが発生することがあり、結果として当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥広告宣伝の効果について
当社事業にとって、事業の中核である「ONE CAREER」の会員数の増加は非常に重要な要素であり、インターネット等を通じたプロモーション活動により広告宣伝活動を積極的に実施し会員数の増加を図っております。
広告宣伝活動に関しては、当社が想定する会員の属性に可能な限りアプローチできるよう最適な施策を実施しておりますが、会員数の増加が、必ずしも当社の想定通りに進捗しない可能性があります。この場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)当社の事業体制について
①人材の確保・育成について
当社の事業が継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着は経営上の重要な課題であります。当社は、必要な人材を確保するため十分な採用予算を確保し、また入社社員に対する研修の実施を通じ、当社の将来を担う優秀な人材の確保・育成に努め、社内研修やレクリエーション等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。
しかしながら、必要な人材の採用が想定通り進捗しない場合、採用し育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が退職した場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社は、今後の事業運営及び事業拡大に対応すべく、内部管理体制について一層の充実を図る方針であります。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅延が生じた場合、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③個人情報保護について
当社は、利用者の登録情報等の個人情報を取得し、利用しているため、個人情報の保護に関する法律が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社は、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、保護管理体制の確立に努めており、個人情報保護規程を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインの遵守に努めるとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。しかしながら、当社が保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえません。従って、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求、当社の信用の低下等によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④サイトの健全性及び適切性について
「ONE CAREER」では信頼性の低い情報の投稿や、人を傷つける投稿、採用とは関係のない内容を理由での評価・感想の投稿によって、求職者に誤解を招く情報を与える危険性が存在しております。このため、禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するためにユーザーサポート体制を整備しております。投稿されたクチコミ情報に関しては全件審査を実施しており、明らかに不適切な投稿を発見した場合には、当該情報を公開中止した上で、利用規約に違反した利用者に対してはユーザーサポートから改善要請を行っているため、一定の健全性は維持されているものと認識しております。
しかしながら、急速な利用者の増加による規模拡大に対して、サービス内における不適切行為の有無等を完全に把握することは困難であり、サービス内においてトラブルが発生した場合には、規約の内容に関わらず、当社が法的責任を問われる可能性があります。一方、当社の法的責任が問われない場合においても、トラブルの発生自体がサイトのイメージ悪化を招き、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社では、就職活動に役立つ記事を「ONE CAREER」上に掲載しております。記事制作にあたっては、マニュアルを整備し、当該マニュアルに沿って適切に運用することにより記事の正確性を担保しておりますが、万一事実と異なる記事が掲載されることや、誤解を招く表現が掲載された場合、社会的信用が毀損され、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、今後想定される業容拡大への対応も含めて、監視機能強化のためのユーザーサポートにかかる人員増強等、サービスの健全性や適切性の維持のために必要な対策を講じていく方針でありますが、これに伴うシステム対応や体制強化の遅延等が生じた場合や、対応のために想定以上に費用が増加した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤システム障害について
当社のサービスは、インターネットを介して提供されておりますが、大規模なプログラム不良や自然災害、事故の発生、不正アクセス、その他システム障害やネットワークの切断等のシステム障害が発生する可能性があります。当社は、定期的なバックアップや稼働状況の監視、システム運用・更改手続きの整備により事前防止及び回避に努めておりますが、こうした対応にも関わらず、システム障害が発生し、サービス提供に障害が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
①社歴が浅いことについて
当社は、2015年8月に設立されており、設立後の経過期間は6年程度と社歴の浅い会社であります。したがって、過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
②特定人物への依存について
当社の創業者である代表取締役社長宮下尚之は、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社では役員及び幹部従業員への権限の委譲、取締役会や経営会議等において情報の共有等を図り、同氏に過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの要因により同氏の業務遂行が困難となった場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③大株主について
当社の代表取締役社長である宮下尚之は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社MTMの所有株式数を含めると本書提出日現在で発行済株式総数の80.8%を所有しております。本株式の募集後も、引続き大株主となる見込みであります。
同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④配当政策について
当社は、株主に対する利益還元については重要な経営課題の一つとして認識しております。しかしながら、当社は現在成長段階にあり、より一層の内部留保の充実を図り、収益基盤の安定化・多様化や新規の投資にこれを充当することにより更なる事業拡大を図ることが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、その時点における経営成績及び財政状態を勘案しつつ株主に対し利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑤資金使途について
当社が計画している調達資金の使途については、中途採用事業への投資、技術研究への投資、営業網の構築のための投資及び借入金の返済に充当することを予定しております。しかしながら、上記資金使途へ予定通り投資した場合においても想定通りの投資効果が得られない可能性があります。また、当社を取り巻く外部環境の急激な変化等により、現在計画している資金使途以外の目的に変更する可能性があります。なお、資金使途や支出予定時期の変更を行う場合は、適切に開示を行います。