有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/25 15:00
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126項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社の経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
<当社事業の前提となる外部環境に関するリスク>(1)インターネットの利用環境について
当社はインターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネットの利用環境は当社事業の基本的な条件であります。インターネットの利用に関する新たな規制の導入や弊害の発生、その他予期せざる要因により、今後、インターネットの利用環境に大きな変化が生じた場合、当社の業績に広範囲にわたり影響を及ぼす可能性があります。
(2)クラウド事業について
クラウドとは、アプリケーション機能をインターネット経由で提供するサービスで、ソフトウェア販売における新しい方法・概念として認知され、浸透が進みつつあります。その一方で、今後クラウドを扱う企業レベルの競争も激化する可能性があります。このような事業環境のもとで、他社においてより画期的なコンセプトをもった商品・サービスが出現した場合、又はクラウド自体の需要が当社の予測を大きく下回る場合には、当社の業績に広範囲にわたり影響を及ぼす可能性があります。
<ビジネスモデル等に関するリスク>(3)競合について
当社は、創業以来、日々進化するテクノロジーによって安全にかつ効率的な映像の大量保存と配信及び分析を行う独自のシステムの開発・運営をし続けてきたことが競争力の源泉となっております。またすでに市場シェア1位(注)となっており、それを支える販売網を構築しており、新規の参入者を含む競合に対抗できる事業環境を構築しております。しかしながら、既存事業者との競争の激化や、新たな参入事業者が当社のシステムに類似する仕組みを構築する場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)Techno Systems Research Co.,Ltd「2020年ネットワークカメラのクラウド録画サービス市場調査」
(4)先行投資と事業の拡大に伴うリスクについて
当社は「Safie」録画サービスのオプションとして様々な画像解析サービスや機器連携サービス及び他社との連携ソリューションを開発しております。これにより新たな顧客業界の開拓と将来の収益拡大を狙っておりますが、これらの開発及び収益化はまだ初期段階にあります。エンジニアを積極的に採用し開発にあたっておりますが、現時点では収益貢献は少なく、現時点では先行投資の位置づけとなっております。今後も、収益化が上手く進まない場合や、当該分野に関係する法規制に新たに服することになる場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)研究開発活動と広告宣伝活動等の先行投資について
当社の手掛ける事業では、先行者メリットを活かしつつ売上高拡大を目指すため、新機能の拡充や新機種対応などの研究開発投資や広告宣伝活動や営業体制の強化等において一定の先行投資が必要となります。しかしながら、その結果として、設立以来営業損失を計上しているほか、累積損失を抱えております。また、今後の研究開発投資及び広告宣伝活動について、その費用対効果を見ながら慎重に行っていく方針ではありますが、先行投資を縮小する場合には、新規受注や新規ユーザーの獲得に影響が出る可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)特定の販売先への依存について
当社は、販売パートナーとともに当社サービスの拡大を進めており、主要な販売パートナーとの資本業務提携を含めて緊密な関係を構築しております。当社の主要取引先は、東日本電信電話株式会社、オリックス株式会社と日建リース工業株式会社であり、当該特定取引先への依存度が高い状況にあります。2021年12月期第2四半期累計期間の当社総売上高に占める割合において、東日本電信電話株式会社は27.4%、オリックス株式会社は10.4%となっております。日建リース工業株式会社は2019年12月期の当社総売上高の10.6%を占めております。
当該取引先とは良好な関係を築いており、現時点において取引関係等に支障を来たす事象は生じておらず、当社としては今後も継続的な取引が維持されるものと見込んでおります。しかしながら、販売パートナーにおける経営方針、販売方針・販売施策の変更及び取引条件の変更が生ずる場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社といたしましては、今後も主要取引先との取引拡大に加え、他社への売上高の拡大にも努めることで、当該特定取引先への依存度低下を図り、リスク低減に努める方針です。
(7)技術革新への対応について
当社は新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ではありますが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に開発費等の費用が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
<コンプライアンスに関連するリスク>(8)知的財産権の侵害等について
当社で開発・設計しているソフトウェアやプログラムは、当社が独自に開発・設計したものであり、当社は特許権侵害の調査等を、特許事務所を通じて行っております。さらに、当社はサービスの名称等について商標の出願、登録を行う等、第三者の商標権を侵害しないように留意しております。
しかしながら、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であるため、他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。この場合、特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受けたり、知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、これらの場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有している知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応を要するなど、当社の事業運営に影響が及ぶ可能性があります。
(9)訴訟等について
本書提出日現在において当社を当事者とする訴訟手続はありません。しかしながら、将来訴訟等による請求を受け又はその他の形で当社を当事者とする訴訟等の手続が行われる可能性はあり、このような事態が生じた場合、当社の事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
(10)個人情報の取り扱いについて
当社は、当社従業員の個人情報に加えて、当社が提供するサービスにおいて顧客の住所、氏名等の個人情報を保持しており、さらには顧客が保有する録画映像や、限定的ではありますが顔認証を用いたサービスにおいては録画映像に映り込んだ第三者の映像などの個人情報に関与するケースがあります。当社は個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報の管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に全面施行された「個人情報の保護に関する法律」や、当局となる個人情報保護委員会が制定した「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」の要求事項の遵守に努めております。当社は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」及び「JIS Q 27001:2014」の認証を2016年5月に取得しており、また情報セキュリティ委員会を定期的に開催し、様々な個人情報を含むセキュリティ対策を定期的な協議を通じ、個人情報保護マネジメントシステムを構築・運用しております。
当社のサービスの提供に際しては、カメラの設定、送付、設置工事など顧客の個人情報を用いる業務の一部を当社の責任において第三者となる業務委託先に再委託する場合があります。その場合においても、国内の法令等を遵守し、適切かつ合理的な方法で業務委託先の安全管理を行っております。
しかしながら、上記の取り組みにも関わらず、自然災害や事故、外部からの悪意による不正アクセス行為及び内部の故意又は過失による顧客情報の漏洩、消失、改ざん又は不正利用等、万一当社又は当社の業務委託先から個人情報が漏洩した場合には、信用の失墜又は損害賠償による損失が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)映像等の流出について
顧客からの膨大な録画映像は当社が契約するクラウドサービスプラットフォーム上で管理されておりますが、当社の利用規約において、録画映像の知的財産権はそれぞれの顧客に帰属し、当社はこの映像を閲覧することはできない仕組みになっており、顧客の映像データは安全に管理されております。ただし、顧客からの個別の同意のもと、適切な認証プロセスを経た上で、当社や開発パートナーに映像を共有いただき、様々な新サービスの開発検討に活かすことがあります。またカメラ設置時や設置後のサポートの中で、一部の社員に限定して顧客からの同意の元、顧客の映像を共有いただく場合があります。さらに、顔認証を用いた一部のサービスで生成される顔の特徴点などのデータ等については、個人情報保護法上に基づき、当該個人情報の運用を受託されております。
これらの映像データ等の外部への流出を防止するため、録画映像データはカメラからクラウドへの送信時、クラウド上での保管時、クラウドから顧客への配信時にそれぞれ暗号化を実施しており、万が一、第三者が違法に映像データをその録画、配信経路上、もしくはクラウド上から入手したとしても暗号化されているのでデータを再生して見ることができない設計になっております。また顧客が映像を共有する場合においても、共有相手毎に映像のアクセス権を個別に設定できる仕組みにしており、IDやパスワードの共有による映像流出事故が起きにくい仕組みにしております。その上で社員教育等さまざまな対策を講じております。
それに加え、膨大なデータを預かるプラットフォームの健全性を保つ取り組みとして、データ憲章の策定・公表に向け、変化する社会情勢の中でプラットフォーマーとしての責務を果たすために必要な取り組みを継続的に議論するため、外部有識者会議を開催しております。会議の参加者は個人情報保護やITに詳しい弁護士、AIの利活用に詳しく憲法学を専門とする大学教授、社外取締役、当社取締役等となっており、年に数回開催し、当社での研究開発や顧客におけるデータ活用に対する啓蒙活動などを協議しております。
以上の取り組みにも関わらず、不測の事態によりこれらの情報の漏洩や映像データに関するトラブルが発生した場合、当社の企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法令について
当社は、電気通信事業法等、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。当社グループは、コンプライアンス体制の充実が重要であると考えており、コンプライアンスに関する社内規程類を策定し、適宜研修を実施して周知徹底を図っております。しかしながら、今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備が行われる可能性があります。さらに、インターネットは国境を超えたネットワークであるため、海外諸国からの法的規制による影響を受けることも想定されることから、それらが将来的に当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
<一般外部環境及びインフラ整備等に関するリスク>(13)設備及びネットワークの安定性について
当社の事業を支えるサーバーは、当社が契約するクラウドサービスプラットフォームで管理されており、複数のサーバーによる負荷の分散、冗長化、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取り組みを行っております。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのシステムの稼働状況、ログチェック機能やソフトウェア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備しており、また、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しております。
上記取り組みには地域上の負荷の分散、冗長化も含まれており、限定的な火災、地震等の自然災害や外的破損の発生時にもサービスの維持が可能となるよう設計されております。
しかしながら、上記取り組みにも関わらず、例えば日本全土に渡るような大規模災害、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万一、当社が契約するクラウドサービスプラットフォームやネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)サービス等の不具合について
一般的に、高度なソフトウェアは不具合の発生を完全に解消することは不可能であると言われており、当社のアプリケーション、ソフトウェアやシステムにおいても、各種不具合が発生する可能性があります。
当社は、すべての新サービスの開始及び更新前に、専任の品質保証チームによるテストを行うなど、信頼度の高いサービス提供をするための開発体制を維持・構築しておりますが、当社事業の運用に支障をきたす致命的な不具合が発見され、その不具合を適切に解決できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)ハードの不具合について
当社は、販売・貸与する製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保及び事故発生防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。しかし、当社が製造・販売した製品に起因する損害が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)製造物責任について
当社は、販売・貸与する製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保及び事故発生防止に努めた上で、各種製品を販売及び製造委託しておりますが、すべての製品に欠陥がなく、将来的にクレーム等が発生しないという保証はありません。また製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を担保できるという保証はありません。さらに当社が引き続き製造物賠償責任保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模な製品の欠陥が生じた場合、それらが多額のコストや当社の評価に影響を与え、その結果、売上が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)新型コロナウイルスの影響について
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言(2020年4月発令)以降、当社では小売・飲食業をはじめとする直販チャンネルでは受注が減少いたしましたが、遠隔業務需要の高まりから2020年7月にリリースした「Safie Pocket2」をはじめとする建設業向けの商品が好調に出荷されております。今後、感染の影響が長期化し、経済活動の停滞によって飲食・小売業の休業・閉店による受注減によるマイナス影響が、遠隔業務需要の高まりを上回るような場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社従業員等においても感染対策を徹底しており、リモート業務の推進もしておりますが、罹患者が発生した場合には、効率的な営業活動が阻害され、想定通りに受注を獲得できないことから予算の達成ができなくなる等、当社の事業の停滞を招く可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)サプライチェーン、自然災害、事故、感染症等について
当社はカメラ在庫を保有して迅速にサービス提供ができる体制を構築しております。自然災害、事故、感染症の発生等に備え、BCPを策定し、トラブル発生時の迅速な復旧体制を構築しております。また顧客へ提供しているサービス及び社内の管理システムはすべてクラウドサービスとなっており、故障機器の交換などの一部のハードウェアに関連する業務を除き、基本的なサービスはすべてリモート勤務体制でも提供が可能です。
しかしながら、当社及び福井県を所在地とする当社が在庫管理を業務委託している株式会社バン・ソフト・コミュニケーション及びその倉庫近辺において、大地震や洪水等の大規模自然災害が発生した場合、当社が保有する商品在庫の損壊やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
<内部環境等に関するリスク>(19)経営管理体制の確立について
当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)人材の育成及び確保について
当社は、積極的に優秀な人材を採用し、社内教育等を行うことによって体制の拡充を図っております。しかし、適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業拡大に向け、特に営業人員の確保が必要となりますが、採用が計画どおり進まなかった場合、あるいは営業人員の流出が生じた場合には、事業拡大の制約となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(21)特定の人物への依存について
当社代表取締役社長CEOである佐渡島隆平は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。このため、当社は、佐渡島隆平に過度に依存しない体制を作るために、取締役会等における役員間の相互の情報共有や経営組織の強化を図っております。しかし、現状において、何らかの理由により佐渡島隆平が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
<その他のリスク>(22)資金使途について
当社の株式新規公開時に計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、事業拡大に伴い増加する人件費、広告宣伝費等の運転資金及びオフィス増床等の設備資金に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定どおり資金を投入したとしても、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
また、今後の事業環境の変化や、当社事業戦略等の変更等により、将来において調達資金に係る資金使途に変化が生じる可能性があります。
(23)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役員及び従業員のモチベーション向上のためストック・オプションを付与しており、本書提出日現在、その数は6,682,500株、発行済株式総数の14.6%となっております。なお、これらストック・オプションが行使された場合、既存株主の株式価値を希薄化させる可能性があります。
(24)配当政策について
当社は創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来は経営成績及び財務状況を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存であります。現時点においては、研究開発資金を優先していくことが企業価値向上、ひいては株主利益の最大化につながるものと考えております。
(25)過年度における継続的な損失計上について
当社は、過年度において、継続的な事業成長を図るため、積極的な人材採用と既存のソリューションの強化と新しいソリューション開発への投資、顧客基盤拡大のための積極的な広告宣伝活動を実施しており、「第二部 企業情報 第1 企業の概況 1主要な経営指標等の推移」に記載のとおり、2018年12月期(第5期)から最近事業年度である2020年12月期(第7期)において、継続的な売上高拡大が図られたものの、先行投資と位置付けられる研究開発費や一部の人件費、広告宣伝費の計上により、利益面では損失計上が継続しておりました。
当社主力事業である映像プラットフォーム事業は、サブスクリプション型課金モデルであり、継続して利用されることで収益が積みあがるストック型の収益モデルになります。一方で、広告宣伝費などの顧客獲得費用や研究開発費用は先行して計上されるため、短期的には赤字が先行することが一般的です。先行投資の成果として、Safie Pocket2などの新製品と広告宣伝活動により顧客の獲得が進んだ結果、当社で成果指標として重視しているリカーリング収益をあらわすARRは2019年12月末の1,195百万円から、2020年12月末は3,285百万円と順調に増加しております。
この結果、経常損失額も2019年12月期の495,219千円から2020年12月期の97,204千円へ改善しております。
今後は、継続的な利益計上が可能であると考えておりますが、2021年12月期においては、先行投資を継続する予定であり、その後もユーザー獲得や組織規模拡大のための費用負担が拡大した場合には、継続した利益計上が実現できない可能性があります。
(26)海外展開について
当社は、現時点では海外展開に対する具体的な計画はありません。ただし、高い成長を実現するため将来的には海外展開を進めていく方針であり、上場後数年以内に海外展開候補先の調査等を進めていくことを検討しております。海外における商習慣や事業環境の差異等を含め、国内における事業展開以上に高いリスクが存在することは否めず、そのリスクに対応しきれない場合や国内と比較してマーケットの開拓や収益化が想定通り進まない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。