有価証券届出書(新規公開時)

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2021/11/04 15:00
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【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における財政状態は、総資産1,499,026千円(前事業年度比23.3%増)、負債合計は1,255,994千円(前事業年度比61.4%増)、純資産合計は243,032千円(前事業年度比44.5%減)となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末より322,598千円増加し、1,366,586千円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、運転資金拡充を企図した金融機関からの追加融資680,000千円を受ける一方、長期借入金の減少56,700千円、売上債権の増加36,784千円、短期債務の支払134,098千円等により現金及び預金が378,396千円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度における固定資産は、前事業年度末より39,477千円減少し、132,439千円となりました。これは主に、建物附属設備等の減価償却及び除却により有形固定資産が31,990千円減少したこと、またオフィス縮小に伴う敷金の返還により投資その他の資産の敷金が11,440千円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末より125,987千円減少し、563,039千円となりました。これは主に、外注費等に係る買掛金の減少27,995千円及びオフィス移転費用見積りを取崩した未払費用29,592千円の減少、未払金の減少22,839千円等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末より604,032千円増加し、692,954千円となりました。これは主に、金融機関からの追加融資による長期借入金の増加607,670千円等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末より194,924千円減少し、243,032千円となりました。これは主に、当期純損失194,924千円を計上したことにより利益剰余金が同額減少したことによるものであります。
第17期事業年度(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
当第2四半期会計期間末における財政状態は、総資産1,620,743千円、負債合計は1,246,925千円、純資産合計は373,818千円となりました。
(流動資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は、前事業年度末より98,915千円増加し、1,465,501千円となりました。これは主に、収益認識会計基準の適用により売掛金及び契約資産が125,807千円増加したこと、一方で、現金及び預金が25,549千円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当第2四半期会計期間末における固定資産は、前事業年度末より22,802千円増加し、155,242千円となりました。これは主に、敷金を39,758千円計上したこと、有形固定資産に係る減価償却費を12,559千円計上したこと、無形固定資産を18,955千円取得した一方で、減価償却費を25,013千円計上したこと等によるものであります。
(流動負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は、前事業年度末より25,769千円増加し、588,809千円となりました。これは主に、前受金が9,095千円増加したこと、また未払法人税等が21,447千円増加したこと、一方で未払金が9,411千円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当第2四半期会計期間末における固定負債は、前事業年度末より34,838千円減少し、658,115千円となりました。これは主に、長期借入金を34,325千円返済したこと等によるものであります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末より130,786千円増加し、373,818千円となりました。これは、利益剰余金が、四半期純利益として114,297千円増加したこと、また収益認識会計基準を適用したことによる遡及適用した場合の累積的影響額として16,488千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当社は、コーポレートビジョンである「あるべき未来をクラウドでカタチにする」のもと、クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するマルチクラウド・インテグレーターです。
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、2度にわたる緊急事態宣言が発令され、経済活動の停滞が生じました。緊急事態宣言解除後も、感染再拡大、変異株の流行懸念等により、3度目の緊急事態宣言が発令され先行き不透明感が継続しております。
このような状況下、国内DX市場の規模は、2019年の7,912億円から、2030年度には3.0兆円に拡大すると予測されております。(出典:株式会社富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)これはデジタル技術の進展により社会が急激に変化する中、各企業は優位性・競争力の維持・強化のため、DXによるビジネス変革が求められていることが背景にあります。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、各企業においては業務のオンラインへのサービス転換や柔軟な労働環境への急速なシフト等の取り組みが加速しており、多くの企業にとってDXは喫緊の経営課題となっております。
DXの本質は、企業と顧客がデジタルでつながり新たな顧客体験を創出、成長させることで市場競争力を高めることであります。現在の日本企業におけるDXは、「業務の効率化による生産性の向上」に向けた取り組みが78.3%と最大となっている一方で、DXの本来の目標に近い「既存製品・サービスの高付加価値化」、「新規製品・サービスの創出」に向けた取り組みは40~50%となっていることから、今後の拡大が期待されております。(出典:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」2020年5月17日)
また、クラウド先端テクノロジーを活用し、IoT/Mobility、AI、E-Commerce、ポータルサービス、シェアリングやマッチングサービス等のDXが発展しています。こうした背景をうけて国内パブリッククラウドサービス市場は2020年~2025年にかけて19.4%の年平均成長率で推移し、2025年の市場規模は2020年比2.4倍の2兆5,866億円になることが予測されております。(出典:IDC Japan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2021年~2025年」)
当社においては、「クラウドインテグレーションサービス」及び「Cariotサービス」の2つのサービスについて事業運営を行ってまいりました。
(クラウドインテグレーションサービス)
「クラウドインテグレーションサービス」は、DX支援のプロフェッショナルサービスとして、クラウド先端テクノロジーで新しい顧客体験をカタチにする「攻めのDX」を支援しています。当社の中核サービスとして、国内大手企業を中心にIoT/Mobility、AI、E-Commerce、オンラインビデオ、コミュニティ、シェアリングやマッチングサービス等、企業の既存事業や新規事業のデジタル変革をサービス企画からデザイン、マルチクラウド開発、運用までをワンストップで提供しています。
当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う景気減速により、一部の既存顧客の予算執行の停止、顧客企業の出社停止等による商談の遅延・停止が発生しておりましたが、その後は、ニューノーマルなワークスタイルへの対応を含めたDX支援への要望が増加しました。結果、第2四半期を底に業績が改善し、第3四半期以降、商談数・商談金額ともに過去最高水準で推移しました。
当社の強みであるIoT/Mobilityの新規サービス開発に加え、Amazon Web Servicesのビデオ通話コンポーネントを活用した顧客オリジナルのオンラインビデオサービス導入支援や企業間取引のオンライン化の支援等Withコロナに適応するDX支援サービスが好評を得ております。
また、API主導によるインテグレーションでDXを加速するMuleSoftのパートナーとなり、マルチクラウドによる開発力の強化にも注力しました。業績への寄与は翌期以降であるものの、受注獲得といった一定の成果を実現しております。
一方で、増加したDX支援の要望に応えるべく開発体制を増強していくことが課題となっているため、引き続き、人材採用・教育を強化しつつ、オンラインでの商談活動や開発推進等、効率的かつ着実に案件遂行してまいります。
(Cariotサービス)
「Cariotサービス」は、SaaS型モビリティ業務最適化クラウドサービスとして、「物流」、「フィールドサービス」、「営業」等で利用する車両の位置や、状態を見える化し、問合せ業務の削減やアナログ管理業務の効率化により、顧客企業の生産性向上を支援する自社プロダクトサービスであり、新規事業として展開しております。
当事業年度においては、ブランド刷新を行うとともに、コロナ禍におけるマーケティング活動を積極的にオンラインに切り替え、Webセミナー等のマーケティングを推進しました。
「配送業務におけるルート最適化」、「車両を用いた営業・フィールドサービスにおける訪問生産性の向上」、「カーナビサービス」等、モビリティ業務のDX化の取り組みが評価され、コロナ禍においても新規受注および追加受注の継続獲得を実現しました。また、企業自らのモビリティサービス構築の案件需要が増加しており、モビリティプラットフォーム基盤としてCariotを活用し、基盤にのるアプリケーションやデザインはクラウドインテグレーションサービスが開発することで企業のモビリティサービスの構築と運用をスピーディーかつ高い品質で提供しています。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による既存顧客の解約が増加したため、カスタマーサクセス強化等、顧客基盤維持にも注力しました。
これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高2,559,616千円(前事業年度比11.2%減)、営業損失183,695千円(前事業年度は営業利益107,147千円)、経常損失186,282千円(前事業年度は経常利益105,252千円)、当期純損失194,924千円(前事業年度は当期純利益66,879千円)となりました。
なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
第17期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴う度重なる緊急事態宣言の発令により経済活動の停滞が生じました。2回のワクチン接種率が50%超え、2021年9月30日に緊急事態宣言が解除される等、経済活動水準の上昇期待がある 一方で、ブレークスルー感染(2回のワクチン接種後の感染)等、依然先行き不透明感が継続しております。
当社が属するDX市場に関して、DXには様々な定義がありますが、日本経済団体連合会によると、単純な改善や自動化、効率化をもってDXとは言い難く、社会の根本的な変化に対して、新たな価値を創出するための改革がDXと定義されております(出典:日本経済団体連合会「Digital Transformation(DX)」2020年5月19日)。コスト削減を目的とした、紙からデジタルへの置き換えといった社内のアナログな業務やデータをデジタル化する「守りのDX」から、収益や顧客エンゲージメントの向上を目的とした、新しい顧客体験を創出する「攻めのDX」にシフトすることが求められています。「攻めのDX」のステップとして、顧客接点の変革、サービス商品の変革、最後にビジネスモデルの変革となり、達成難度も高く、これを実現すると企業の高い競争力が獲得でき、この「攻めのDX」こそがDXの本質と言えます。
日本企業においてビジネス変革等の「攻めのDX」の必要性を強く感じる割合が約9割となりますが、その背景にはデジタル技術の普及による自社の優位性や競争力が低下することの懸念があります。(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメンション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査 (2019年5月17日)」)
一方で、DXが成功した企業の割合はわずか6.6%(出典:アビームコンサルティング株式会社「日本企業にとってのDXの本質(2020年度)」)であり、DX推進の上位課題に「デジタル人材・スキルの不足」といった人や組織の課題(出典:総務省「令和3年版情報通信白書(2021年7月30日)」)が挙げられております。
さらに、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、各企業においてはリモートコミュニケーション含めた業務のオンラインへのサービス転換や柔軟な労働環境への急速なシフト等の取り組みが加速しており、DXは喫緊の経営課題となっております。
このような環境下、国内DX市場の規模は、2019年の7,912億円から2030年度には3.0兆円に拡大すると予測されております(出典:株式会社富士キメラ総研「2020 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。また、DX実現を支える国内パブリッククラウドサービス市場は2020年から2025年にかけて19.4%の年平均成長率で推移し、2025年の市場規模は2020年比2.4倍の2兆5,866億円になることが予測されております(出典:IDC Japan株式会社「 国内パブリッククラウドサービス市場予測、2021年~2025年」)。
当社においては、「クラウドインテグレーションサービス」及び「Cariotサービス」の2つのサービスについて事業運営を行ってまいりました。なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
(クラウドインテグレーションサービス)
前第2四半期累計期間は新型コロナウイルス感染症の影響により業績が低下しましたが、当第2四半期累計期間の売上高は1,482百万円(前年同期比37.8%増)となり、前年同期を大幅に上回り、過去最高の売上高となりました。なお、収益認識会計基準適用の影響により、当第2四半期累計期間の売上高が140百万円増加しておりますが、収益認識会計基準適用前の売上高(1,342百万円)についても、第2四半期累計期間において過去最高の売上高となっております。
業績好調の背景として、旺盛なDX支援の引き合いにより、2021年9月時点の月次契約顧客数(注1)が45社(前年同期は24社。当四半期末は37社)となり、そのうち大手企業については、月次契約顧客数が30社(前年同期は16社。当四半期末は25社)と顧客基盤が拡大しております。また顧客あたりの月次平均売上高 (ARPA)(注2)が11.1百万円(前年同期は10.7百万円。当四半期末は11.6百万円)となり、2021年3月期以降、契約顧客数を増加しながらも11百万円台を維持して推移しております。今後は拡大した顧客基盤に対してクロスセルによるARPAの増加に取り組んでまいります。
従来からの強みであるIoT/Mobilityサービス、リアル店舗とECの連携サービス、企業間コラボレーションといった「攻めのDX支援」に加え、前期より提供を開始し、新たな強みとして注力しているAPI連携プラットフォームのMuleSoft及びAmazon Web Servicesのビデオ通話コンポーネントを活用した顧客オリジナルのオンラインビデオサービスについて、複数の新規及び既存顧客へ導入支援し、業績が伸長しました。
なお、当社はSalesforce、Heroku、Amazon Web Services等マルチクラウドの資格取得を推進しておりますが、当第2四半期累計期間において、Salesforceの最上位資格である「認定テクニカルアーキテクト(CTA)」資格の取得者を1名輩出しました。当資格保有者は国内において僅か16名のみ(2021年10月1日時点)の難関資格となっております。引き続き、マルチクラウドの資格取得を推進し、技術力向上を図ります。

1. 月次契約顧客数:再販案件を除いた月次契約顧客数。再販案件とは当社が仕入れたライセンスを顧客
に再販売するリセールにあたり、当社においては金額が僅少なため、当該顧客は除く
2. 顧客あたりの月次平均売上高 (ARPA):Average Revenue per Accountの略(顧客あたりの平均
売上高)で、再販案件を除いた月次の顧客あたりの月次平均売上高。月次売上高÷月次契約顧客数により算出。大手企業は日経225、日経400、日経500のいずれかに採用されている企業、または当該企業のグループ企業や当該企業に準ずる売上規模(1,000億円以上)を有している企業
(Cariotサービス)
当第2四半期累計期間において、車両検索機能のUI改善、訪問自動記録の機能向上、新たな車載デバイス導入等により、サービスの付加価値向上に取り組みました。Webセミナー等、オンラインでのマーケティングを推進し、新規顧客の獲得、既存顧客の追加受注が増加し、大口の受注獲得を実現しております。一方で、既存顧客の解約も一定水準発生しており、Cariot管理者向けのレクチャーイベントを行う等カスタマーサクセスを強化しました。引き続き、顧客基盤を固めながら着実な事業展開を図ってまいります。
これらの結果、当第2四半期累計期間における当社の経営成績は、売上高1,616,779千円、売上総利益707,024千円、営業利益139,071千円、経常利益134,754千円、四半期純利益114,297千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より378,396千円増加し、896,556千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動により使用した資金は253,616千円(前年同期は262,654千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純損失194,394千円を計上したこと、検収基準により売上を計上しているプロジェクトが集中したことによる売上債権の増加36,784千円、外注費の減少に伴う仕入債務の減少が27,995千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動により獲得した資金は13,877千円(前年同期は143,425千円の使用)となりました。これは、Cariotサービスで使用するデバイス等の有形固定資産の取得による支出14,842千円と同サービスの無形固定資産の取得による支出49,072千円があった一方で、敷金の返還による収入が77,791千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動により獲得した資金は618,136千円(前年同期は79,530千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が56,700千円あった一方で、長期借入による収入が680,000千円あったこと等によるものであります。
第17期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度に比べ25,549千円減少し、871,007千円となりました。
当第2四半期累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間の営業活動により獲得した資金は63,019千円となりました。これは主に、税引前当期純利益134,754千円、減価償却費の計上37,572千円等により資金が増加したのに対し、売上債権の増加による資金の減少125,807千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動により支出した資金は58,218千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出18,955千円があったこと、敷金の預入による支出が39,758千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動により支出した資金は30,350千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が28,350千円あったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社は、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、クラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業の名称当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
クラウドソリューション事業(千円)2,559,61688.8

(注)1.製品・サービス間の取引はありません。
2.最近2事業年度及び第17期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第17期第2四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社小松製作所328,24611.4527,12120.675,3424.67
株式会社リクルート532,66018.5320,98712.5137,5208.51
株式会社オーネット361,02312.5230,0508.9957,1203.53

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
b.経営成績の分析
第16期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ323,200千円減少し2,559,616千円(前事業年度比11.2%減)となりました。これは主に、クラウドインテグレーションサービスにおいて、新型コロナウイルス感染症に伴う景気減速による一部の既存顧客の予算執行の停止、顧客企業の出社停止等による商談の遅延・停止が発生したことにより、クラウドインテグレーションサービスによる売上高が404,527千円減少したことによるものであります。第2四半期を底に業績改善が進みましたが、前事業年度に比べ減収となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ188,443千円減少し1,474,799千円(前事業年度比11.3%減)となりました。これは主に、クラウドインテグレーションサービスにおいて、新型コロナウイルス感染症に伴う景気減速による一部の既存顧客の予算執行の停止、顧客企業の出社停止等による商談の遅延・停止が発生したことによる売上減少に伴い、協力会社・パートナーへの外注費が減少した結果によるものであります。売上原価は減少したものの、売上高も減少したことから、売上総利益は前事業年度に比べ134,757千円減少し1,084,817千円(前事業年度比11.0%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ156,085千円増加し1,268,512千円(前事業年度比14.0%増)となりました。これは、組織拡大に伴うクラウドインテグレーションサービスにおけるエンジニア人員の増加、管理部門の体制強化等により、主に、給与及び手当が117,376千円増加したことによるものであります。
以上の結果、営業損失は183,695千円(前事業年度は営業利益107,147千円)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ1,143千円増加し1,253千円(前事業年度比1,038.8%増)となりました。これは主に、消費税差額が1,095千円増加したことによるものであります。また、営業外費用は、前事業年度に比べ1,836千円増加し3,840千円(前事業年度比91.5%増)となりました。これは主に、支払利息が1,960千円増加したことによるものであります。
以上の結果、経常損失は186,282千円(前事業年度は経常利益105,252千円)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益は8,434千円となりました。これは主に、地代家賃の補助金収入8,000千円によるものであります。
当事業年度における特別損失は16,547千円となりました。これは、本社等オフィス縮小に伴う固定資産除却損9,570千円及びリース解約損6,976千円によるものであります。
当事業年度における法人税等合計は、前事業年度に比べ14,946千円減少し530千円(前事業年度比96.5%減)となりました。
以上の結果、当期純損失は194,924千円(前事業年度は当期純利益66,879千円)となりました。
第17期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
(売上高)
当第2四半期累計期間における売上高は、前第2四半期累計期間に比べ395,139千円増加し1,616,779千円(前事業年度比32.3%増)となりました。これは主に、クラウドインテグレーションサービスにおいて、従来からの強みであるIoT/Mobilityサービス、リアル店舗とECの連携サービス、企業間コラボレーションといった「攻めのDX支援」に加え、前期より提供を開始し、新たな強みとして注力しているAPI連携プラットフォームのMuleSoft及びAmazon Web Servicesのビデオ通話コンポーネントを活用した顧客オリジナルのオンラインビデオサービスについて、複数の新規及び既存顧客へ導入支援し、業績が伸長したことにより、クラウドインテグレーションサービスによる売上高が406,475千円増加したことによるものであります。また、収益認識会計基準の適用により140,169千円の売上増効果があったことも要因となっております。
(売上原価、売上総利益)
第2四半期累計期間における売上原価は、前第2四半期累計期間に比べ225,000千円増加し909,754千円(第2四半期累計期間比32.9%増)となりました。これは主に、クラウドインテグレーションサービスにおいて、旺盛なDX支援の引き合いを背景とした売上増加に伴い、協力会社・パートナーへの外注費が増加した結果によるものであります。売上原価は増加したものの、売上高も増加したことから、売上総利益は前第2四半期累計期間に比べ170,139千円増加し707,024千円(前第2四半期累計期間比31.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第2四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、前第2四半期累計期間に比べ31,419千円減少し567,953千円(前第2四半期累計期間比5.2%減)となりました。これは、2021年3月に、リモートワークの定着に伴い、オフィスの一部縮小を行ったことにより地代家賃が前第2四半期累計期間よりも減少したことによる要因に加え、前第2四半期累計期間においては新型コロナウイルスの影響によりクラウドインテグレーションサービスのクラウドエンジニアの稼働率が低下したことから、エンジニアの人件費の内、販管費に計上される割合が高かったことによるものであります。
以上の結果、営業利益は139,071千円(前第2四半期累計期間は営業損失62,486千円)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当第2四半期累計期間における営業外収益は、前第2四半期累計期間に比べ43千円増加し45千円(前第2四半期累計期間比2,150.0%増)となりました。これは主に、法人税等還付加算金が増加したことによるものであります。また、営業外費用は、前第2四半期累計期間に比べ3,205千円増加し4,362千円(前第2四半期累計期間比277.0%増)となりました。これは主に、上場関連費用が2,000千円増加したことによるものであります。
以上の結果、経常利益は134,754千円(前第2四半期累計期間は経常損失63,431千円)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当第2四半期累計期間における特別利益、特別損失は発生しておりません。
当第2四半期累計期間における法人税等合計は、前第2四半期累計期間に比べ20,192千円増加し20,457千円(前事業年度比7619.6%増)となりました。
以上の結果、四半期純利益は114,297千円(前第2四半期累計期間は四半期純損失63,906千円)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの分析については、「3(1)経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、クラウドインテグレーションサービスにおける労務費及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は、Cariotサービス及び受注管理システムに係るソフトウエア開発費用及び本社オフィス移転に伴う内装工事費用等の設備投資等によるものであります。
なお、当社の資金の源泉は主に営業活動によるキャッシュ・フローによるものであります。
e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、クラウドインテグレーションサービスにおける売上総利益率、月次契約顧客数及び顧客あたりの月次平均売上高(ARPA)を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。売上総利益率、月次契約顧客数及び顧客あたりの月次平均売上高(ARPA)につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社の強みと特徴 ② 優良な顧客基盤を有する収益性の高いクラウドインテグレーションサービス」に記載の通りです。
f.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
g.経営者の問題認識と今後の方針について
クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援することで、あらゆるヒト、モノがデジタルでつながる社会において、デジタルに最適化された新しい顧客体験をカタチにし、顧客中心型のビジネス変革を支援していきます。
当社が今後更なる成長を遂げるために、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。