有価証券届出書(新規公開時)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「おもてなし革命」というビジョンを掲げ、チャットボットを中心としたコミュニケーション技術を科学し、接客・おもてなしの体験をデジタル化することで、お客様と新たな接客のあり方を共創してまいります。
(2)経営戦略
「コミュニケーションを科学し、おもてなしに革命を」というミッションの実現のため、当社はチャットコマースサービス「ジールス」を提供し、オフライン・オンラインを問わず顧客接点を持つあらゆるサービスの運営事業者と事業上の関係性を構築し、運営事業者における業務プロセスの再発明として「ジールス」が利活用されることを目指します。同時に、利用しているプラットフォームや当社のビデオチャットシステムを通じて「ジールス」に集積される、膨大なユーザーの会話データ等を、機械学習技術等を用いて分析・モデル化することを通じて、次代のデジタルトランスフォーメーションを可能にするプラットフォームを構築することを目指しています。当該戦略の実現のため、「ジールス」のさらなる機能強化、営業戦略を通じた顧客基盤の拡大、事業連携等の戦略的パートナーシップの構築に注力しております。
(3)経営環境
①テクノロジー・オンラインマーケティング業界における環境変化
当社が属するテクノロジー・オンラインマーケティング業界は、EC化の拡大や生産年齢人口減少に伴う省人化需要を背景に一層の拡大が予想されますが、特に下記変化に注目しております。
・オムニチャネルコマースの流れ
近年、スマートフォンの普及やIoT技術の進化により、例えば実店舗に居ながらオンラインで情報収集する等、オンラインとオフラインの境目は徐々になくなりつつあります。
野村総合研究所の「ITナビゲーター2021年度版」によると、オムニチャネルコマース市場規模は2019年から2026年にかけて47.1%増加する予想となっており、オンライン・オフライン双方の利便性をより追求してくる顧客に対して、企業側はリアルとデジタルを融合し、あらゆるサービスを駆使した体験の提供を目指していくものと考えております。
・メッセージングアプリの普及、LINEのスーパーアプリ化
現在において、メッセージングアプリはコミュニケーションにおけるインフラとして機能しており、中でもLINEの利用率は82.5%(出典: マクロミル・インターネット調査、注1)と国内スマートフォンユーザーのほとんどが利用している状況となっています。また、世界的にあらゆるサービスをスマートフォン上で提供する「スーパーアプリ」化が進んでおり、日本においてはLINEがスーパーアプリに最も近いものと認識しております。
このスーパーアプリが今後浸透すれば、消費者は日常生活における多くの購買行動を一つのプラットフォームアプリ上で完結できるようになることから、LINEでサービスを提供する企業数とLINE上で購買をするユーザー数は今後も増加していくと考えております。
(注)
1.マクロミルのインターネット調査は2020年1月に、全国15~69歳のスマートフォンユーザー20,000人を対象として実施
・サードパーティークッキーの廃止
Googleはトラッキング用サードパーティCookieのサポートを2023年に打ち切る計画を発表しております。サードパーティ製Cookieのサポートが廃止されるということは、サイトを跨いで個人の行動を追跡できなくなるということであり、今後企業はWebブラウザ上でユーザーにアプローチすることが難しくなると考えております。
また、Googleが2019年8月に発表した「Effect of disabling third-party cookies on publisher revenue」によれば、サードパーティ製Cookieを廃止されると、サイト運営者世界上位500社の広告収益は平均50.2%減少するとの調査結果もあり、広告業界において大きな環境変化であると捉えております。
このため、今後はサードパーティ製Cookieを参照することなく、ユーザーの意思を汲み取り、CVに繋げていくマーケティング手法が求められており、ユーザーと直接繋がり、個々のユーザーに合わせた接客体験を提供する当社チャットボットサービスの拡大余地は大きいものと考えております。
②潜在的市場規模
上記のような環境変化の中で、当社が提供するLINE等のプラットフォームを活用して顧客や従業員のデジタルエンゲージメントを高めるコミュニケーションサービスのニーズが今後も一層増大していくものと見込んでおります。当社サービスはオンライン・オフラインを問わず幅広い業界にデジタルエンゲージメントを提供していくことが可能と認識しており、潜在市場としては国内CRMアプリケーション市場(1,742億円、注1)や国内デジタルマーケティング市場(4,189億円、注2)、国内BtoC EC市場スマホ経由物販市場(4兆2,618億円、注3)、長期的には東アジアカンバーセーショナルコマース市場(28兆7,100億円、注4)が視野になるものと考えております。
(注)
1.IDC「国内CRMアプリケーション市場予測、2020~2024年」
2.IDC「国内デジタルマーケティング関連サービス市場セグメント別/産業分野別予測、2020年~2024年」
3.経産省「内外一体の経済成長にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」
4.Juniper Research「How Conversational Commerce Will Make Its Voice Heard」、適用為替US1ドル=110円、2025年予測日中韓合計値
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は成長フェーズにあるため、売上高成長率及び売上総利益成長率を重視した経営を行っております。売上総利益の成長のため、アカウント数の拡大及びARPA(1契約当たりの売上高)を重視しております。
ARPA(注1)は2022年3月期第2四半期において月あたり約76万円となっております。ARPAは流入カスタマー・ユーザー数、CVR、報酬単価に分解できますが、これらのうち、特に流入カスタマー・ユーザー数の拡大を重視して事業運営を行っております。2021年9月末現在、累計ユーザー数(注2)は約240万件となっております。
さらに、事業拡大によりARPAも順調に成長した結果、2021年9月現在のNet Expansion Rate(注3)は121%となっております。
新規業界開拓のため2021年2月に開始した自動車ディーラー向けの入庫予約サービスについてもサービス開始から順調にマイカー登録数が積み上がっており、2021年9月現在、累計マイカー登録数は23,000台超となっております。
(注)
1.ARPAは、2022年3月期第2四半期における成果報酬売上を課金発生アカウント数により除して算出しております。
2.ユーザー数は、当社保有契約アカウント毎の登録ユーザーの合計値を記載しております。なお、チャットボットの登録を離脱したユーザーは除外して算出しております。
3.Net Expansion Rateは、成果報酬制を採用している既契約アカウントの直近12ヶ月間の売上高成長率を示す指標であります。計算対象四半期期間の最終月に売上高が発生しているアカウントについて、前年同四半期において生じた売上高を除しております。このため、計算対象期間最終月に売上高が発生しなかったアカウント、12ヶ月間の間に解約されたアカウント及び成果報酬型を採用していないアカウントの売上高は当該指標に含まれておりません。
また、既存クライアントにおいても毎月安定的なカスタマー・ユーザーの流入とCVが発生するよう継続的な取り組みを行っていることにより、低い解約率を維持できていると認識しております。低解約率がクライアント数と登録ユーザー数の積み上がりを生み、それが会話データの蓄積と更なる会話精度の向上に繋がっているものという認識の下、解約率を重視しております。なお、当社では、当社が成果報酬制であることを鑑み、よりパフォーマンスが上がりやすいクライアントに経営資源を投下していくことが重要と考えており、それを踏まえて算出した修正解約率を重視しています。
2020年4月以降の、当社の各種指標の推移は以下の通りです。
(注)
1.アカウント数は、課金が発生していないアカウント数も含んでおります。なお、ローンチ前のアカウントも含めたアカウント数を下段に記載しております。
2.修正解約件数は、サービス導入後解約をした顧客数を記載しておりますが、契約期間満了による終了及び単月5万円を超える課金が一度も発生していないアカウントの解約を含まない修正解約件数となっております。
3.月次修正解約率は、前月に課金が発生したアカウント数を母集団に、上記の修正解約件数に基づき算出しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 契約件数の拡大及びARPAの向上
当社売上の成長のためには契約件数の拡大及びARPAの向上が重要と考えております。契約件数拡大のため、積極的な採用計画による人員体制の強化、マーケティングへの積極的な投資、クライアント業種の拡大、代理店との連携強化・拡大に努めてまいります。
また、継続的なCVR向上、大口エンタープライズ顧客の開拓、決済RPA等の機能拡充によるアップセルの推進等により、ARPAの向上を図ってまいります。さらに、当社がクライアントの商品・サービスのLINEやFacebookのインフィード広告を出稿する取引モデルの提供先を増加させることによって、カスタマー・ユーザー流入数及びARPA拡大を図ってまいります。
② コミュニケーションデザイン力の向上
コミュニケーションデザイナーが当社の強みであるとの認識の下、コミュニケーションデザイナーの採用・育成に注力しております。
コミュニケーションデザイナーの育成を目的として、コミュニケーションデザインプロセスの体系化や、従業員のオンボーディング及びスキルアップを目的とした社内研修の実施等の取り組みを行っております。加えて、社内のデータベース上での全ての取り組みの常時共有、ベストプラクティスの横断的な展開を迅速に進めるためのマトリクス組織体制の導入、トピック毎の社内勉強会の定期開催などを通じて、ナレッジの蓄積・共有を図っております。蓄積した実績とデータに基づいてコミュニケーションデザインのベストプラクティスを体系化し、社員数が増加する中でも再現性を担保できるよう努めるとともに、効率的な業務運営を図っております。
また、中長期的な戦略としてコミュニケーションエンジンの開発プロジェクトを立ち上げており、足元では会話構造の体系化とチャットボットへのRPAの組み込みを進めております。将来的には会話の自動最適化と自動生成に取り組み、当社の利益率の向上、売上高及び利益の加速度的な成長を図ってまいります。
③ 新規業界に対する展開拡充
当社では、業務効率改善効果の大きい自動車ディーラー向けのサービス展開に注力しております。既にサービス提供が開始している入庫予約サービスの提供先拡大に加え、今後は既契約先に対するアップセルの推進により、様々な場面において顧客エンゲージメント向上及び業務効率化を実現するコミュニケーションサービスを提供してまいります。将来的には、オンライン相談、保険締結・見直し、カタログ請求、試乗予約、下取査定受付、新車・中古車販売など、様々なエリアにおけるサービス提供が考えられ、ユーザーのカーライフにまつわる様々なコミュニケーションが可能なワンストップ接客サービス提供プラットフォームを目指してまいります。
当該取り組みに伴い積極的に人的投資やマーケティングコストの投下を行う予定であり、これにより2022年3月期は再度赤字を計上し、当期以降も赤字見通しが継続することを見込んでおります。今後は当該新規展開にかかる投下資本の早期回収及び黒字化を目指してまいります。
④ サービス・プロダクトの強化
当社は、技術開発が競争力の根幹であるという認識の下、サービス・プロダクトの強化に取り組んでまいります。そのためには、優秀な人材の確保と人材の継続的な育成が重要と考えております。エンジニアについては国内外から人材を集めており、2021年9月時点における正社員及び業務委託の合計数228名のうち、エンジニア比率は33%、エンジニアの外国籍比率は72%となっております。
足元では、マルチチャネルでチャットボットを提供する取り組みを進めており、具体例としては、化粧品業界向けに、デジタルサイネージとチャットボットを融合させたバーチャルチャットボットの開発を進めております。バーチャルチャットボットはドラッグストアに設置し、ドラッグストアポイントカードやアプリと連動し、ユーザーが過去の購買情報も反映したパーソナライズされた提案・カウンセリングを受けるサービスを想定しております。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社は、事業拡大のため、開発投資や広告宣伝活動等に積極的に投資を進めており、2020年3月期までは営業損失を計上しておりましたが、2021年3月期にはクライアント数と登録ユーザー数の積み上がりによって営業利益を計上しております。当社は成果報酬制を採用していますが、クライアントのアカウントにおいて毎月安定的にユーザー流入及びCVが発生するよう取り組みを行っていることにより、クライアントに継続して利用されることで収益が積み上がる収益モデルになります。一方で、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。
当社では、事業の拡大に伴い、成果報酬収益が順調に積み上がることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下傾向にあり、営業利益率は改善しております。2022年3月期以降においては、「③新規業界に対する展開拡充」に記載の取り組みや契約件数拡大や開発体制増強のための先行的な人員体制強化により、再度赤字が先行する見込みですが、今後も、サービス・プロダクト強化のための開発活動や業容拡大のための人材採用・育成への投資を通じて、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
なお、当社の2018年3月期通期から2022年3月期第2四半期累計期間における売上高、売上総利益及び営業損益、2020年3月期から2022年3月期第2四半期における四半期別売上高、売上総利益及び営業損益は以下の通りです。
(2020年3月期)
(2021年3月期)
(2022年3月期)
(注)2018年3月期通期及び2019年3月期通期、並びに2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期の四半期会計期間の業績数値については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
(1)経営方針
当社は「おもてなし革命」というビジョンを掲げ、チャットボットを中心としたコミュニケーション技術を科学し、接客・おもてなしの体験をデジタル化することで、お客様と新たな接客のあり方を共創してまいります。
(2)経営戦略
「コミュニケーションを科学し、おもてなしに革命を」というミッションの実現のため、当社はチャットコマースサービス「ジールス」を提供し、オフライン・オンラインを問わず顧客接点を持つあらゆるサービスの運営事業者と事業上の関係性を構築し、運営事業者における業務プロセスの再発明として「ジールス」が利活用されることを目指します。同時に、利用しているプラットフォームや当社のビデオチャットシステムを通じて「ジールス」に集積される、膨大なユーザーの会話データ等を、機械学習技術等を用いて分析・モデル化することを通じて、次代のデジタルトランスフォーメーションを可能にするプラットフォームを構築することを目指しています。当該戦略の実現のため、「ジールス」のさらなる機能強化、営業戦略を通じた顧客基盤の拡大、事業連携等の戦略的パートナーシップの構築に注力しております。
(3)経営環境
①テクノロジー・オンラインマーケティング業界における環境変化
当社が属するテクノロジー・オンラインマーケティング業界は、EC化の拡大や生産年齢人口減少に伴う省人化需要を背景に一層の拡大が予想されますが、特に下記変化に注目しております。
・オムニチャネルコマースの流れ
近年、スマートフォンの普及やIoT技術の進化により、例えば実店舗に居ながらオンラインで情報収集する等、オンラインとオフラインの境目は徐々になくなりつつあります。
野村総合研究所の「ITナビゲーター2021年度版」によると、オムニチャネルコマース市場規模は2019年から2026年にかけて47.1%増加する予想となっており、オンライン・オフライン双方の利便性をより追求してくる顧客に対して、企業側はリアルとデジタルを融合し、あらゆるサービスを駆使した体験の提供を目指していくものと考えております。
・メッセージングアプリの普及、LINEのスーパーアプリ化
現在において、メッセージングアプリはコミュニケーションにおけるインフラとして機能しており、中でもLINEの利用率は82.5%(出典: マクロミル・インターネット調査、注1)と国内スマートフォンユーザーのほとんどが利用している状況となっています。また、世界的にあらゆるサービスをスマートフォン上で提供する「スーパーアプリ」化が進んでおり、日本においてはLINEがスーパーアプリに最も近いものと認識しております。
このスーパーアプリが今後浸透すれば、消費者は日常生活における多くの購買行動を一つのプラットフォームアプリ上で完結できるようになることから、LINEでサービスを提供する企業数とLINE上で購買をするユーザー数は今後も増加していくと考えております。
(注)
1.マクロミルのインターネット調査は2020年1月に、全国15~69歳のスマートフォンユーザー20,000人を対象として実施
・サードパーティークッキーの廃止
Googleはトラッキング用サードパーティCookieのサポートを2023年に打ち切る計画を発表しております。サードパーティ製Cookieのサポートが廃止されるということは、サイトを跨いで個人の行動を追跡できなくなるということであり、今後企業はWebブラウザ上でユーザーにアプローチすることが難しくなると考えております。
また、Googleが2019年8月に発表した「Effect of disabling third-party cookies on publisher revenue」によれば、サードパーティ製Cookieを廃止されると、サイト運営者世界上位500社の広告収益は平均50.2%減少するとの調査結果もあり、広告業界において大きな環境変化であると捉えております。
このため、今後はサードパーティ製Cookieを参照することなく、ユーザーの意思を汲み取り、CVに繋げていくマーケティング手法が求められており、ユーザーと直接繋がり、個々のユーザーに合わせた接客体験を提供する当社チャットボットサービスの拡大余地は大きいものと考えております。
②潜在的市場規模
上記のような環境変化の中で、当社が提供するLINE等のプラットフォームを活用して顧客や従業員のデジタルエンゲージメントを高めるコミュニケーションサービスのニーズが今後も一層増大していくものと見込んでおります。当社サービスはオンライン・オフラインを問わず幅広い業界にデジタルエンゲージメントを提供していくことが可能と認識しており、潜在市場としては国内CRMアプリケーション市場(1,742億円、注1)や国内デジタルマーケティング市場(4,189億円、注2)、国内BtoC EC市場スマホ経由物販市場(4兆2,618億円、注3)、長期的には東アジアカンバーセーショナルコマース市場(28兆7,100億円、注4)が視野になるものと考えております。
(注)
1.IDC「国内CRMアプリケーション市場予測、2020~2024年」
2.IDC「国内デジタルマーケティング関連サービス市場セグメント別/産業分野別予測、2020年~2024年」
3.経産省「内外一体の経済成長にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」
4.Juniper Research「How Conversational Commerce Will Make Its Voice Heard」、適用為替US1ドル=110円、2025年予測日中韓合計値
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は成長フェーズにあるため、売上高成長率及び売上総利益成長率を重視した経営を行っております。売上総利益の成長のため、アカウント数の拡大及びARPA(1契約当たりの売上高)を重視しております。
ARPA(注1)は2022年3月期第2四半期において月あたり約76万円となっております。ARPAは流入カスタマー・ユーザー数、CVR、報酬単価に分解できますが、これらのうち、特に流入カスタマー・ユーザー数の拡大を重視して事業運営を行っております。2021年9月末現在、累計ユーザー数(注2)は約240万件となっております。
さらに、事業拡大によりARPAも順調に成長した結果、2021年9月現在のNet Expansion Rate(注3)は121%となっております。
新規業界開拓のため2021年2月に開始した自動車ディーラー向けの入庫予約サービスについてもサービス開始から順調にマイカー登録数が積み上がっており、2021年9月現在、累計マイカー登録数は23,000台超となっております。
(注)
1.ARPAは、2022年3月期第2四半期における成果報酬売上を課金発生アカウント数により除して算出しております。
2.ユーザー数は、当社保有契約アカウント毎の登録ユーザーの合計値を記載しております。なお、チャットボットの登録を離脱したユーザーは除外して算出しております。
3.Net Expansion Rateは、成果報酬制を採用している既契約アカウントの直近12ヶ月間の売上高成長率を示す指標であります。計算対象四半期期間の最終月に売上高が発生しているアカウントについて、前年同四半期において生じた売上高を除しております。このため、計算対象期間最終月に売上高が発生しなかったアカウント、12ヶ月間の間に解約されたアカウント及び成果報酬型を採用していないアカウントの売上高は当該指標に含まれておりません。
また、既存クライアントにおいても毎月安定的なカスタマー・ユーザーの流入とCVが発生するよう継続的な取り組みを行っていることにより、低い解約率を維持できていると認識しております。低解約率がクライアント数と登録ユーザー数の積み上がりを生み、それが会話データの蓄積と更なる会話精度の向上に繋がっているものという認識の下、解約率を重視しております。なお、当社では、当社が成果報酬制であることを鑑み、よりパフォーマンスが上がりやすいクライアントに経営資源を投下していくことが重要と考えており、それを踏まえて算出した修正解約率を重視しています。
2020年4月以降の、当社の各種指標の推移は以下の通りです。
2020年3月期 第1四半期 | 2020年3月期 第2四半期 | 2020年3月期 第3四半期 | 2020年3月期 第4四半期 | |
CV数(千) | 5 | 8 | 14 | 24 |
アカウント数 | 31 | 71 | 123 | 187 |
ARPA(千) | 366 | 296 | 322 | 408 |
累計ユーザー数(千) | 45 | 104 | 210 | 702 |
2021年3月期 第1四半期 | 2021年3月期 第2四半期 | 2021年3月期 第3四半期 | 2021年3月期 第4四半期 | |
CV数(千) | 36 | 41 | 38 | 44 |
アカウント数 | 208 | 212 | 222 | 228 |
ARPA(千) | 574 | 662 | 589 | 698 |
累計ユーザー数(千) | 964 | 1,204 | 1,415 | 1,624 |
2022年3月期 第1四半期 | 2022年3月期 第2四半期 | |
CV数(千) | 47 | 55 |
アカウント数 | 234 (245) | 245 (285) |
ARPA(千) | 767 | 760 |
累計ユーザー数(千) | 1,955 | 2,374 |
会計年度 | 年月 | 修正解約件数(件) | 月次修正解約率(%) |
2021年3月期 | 2020年4月 | 0 | 0.00 |
2020年5月 | 2 | 0.93 | |
2020年6月 | 4 | 1.86 | |
2020年7月 | 0 | 0.00 | |
2020年8月 | 5 | 2.16 | |
2020年9月 | 5 | 2.11 | |
2020年10月 | 2 | 0.83 | |
2020年11月 | 0 | 0.00 | |
2020年12月 | 1 | 0.39 | |
2021年1月 | 0 | 0.00 | |
2021年2月 | 0 | 0.00 | |
2021年3月 | 4 | 1.50 | |
2022年3月期 | 2021年4月 | 3 | 1.16 |
2021年5月 | 5 | 1.90 | |
2021年6月 | 0 | 0.00 | |
2021年7月 | 0 | 0.00 | |
2021年8月 | 0 | 0.00 | |
2021年9月 | 2 | 0.76 |
(注)
1.アカウント数は、課金が発生していないアカウント数も含んでおります。なお、ローンチ前のアカウントも含めたアカウント数を下段に記載しております。
2.修正解約件数は、サービス導入後解約をした顧客数を記載しておりますが、契約期間満了による終了及び単月5万円を超える課金が一度も発生していないアカウントの解約を含まない修正解約件数となっております。
3.月次修正解約率は、前月に課金が発生したアカウント数を母集団に、上記の修正解約件数に基づき算出しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 契約件数の拡大及びARPAの向上
当社売上の成長のためには契約件数の拡大及びARPAの向上が重要と考えております。契約件数拡大のため、積極的な採用計画による人員体制の強化、マーケティングへの積極的な投資、クライアント業種の拡大、代理店との連携強化・拡大に努めてまいります。
また、継続的なCVR向上、大口エンタープライズ顧客の開拓、決済RPA等の機能拡充によるアップセルの推進等により、ARPAの向上を図ってまいります。さらに、当社がクライアントの商品・サービスのLINEやFacebookのインフィード広告を出稿する取引モデルの提供先を増加させることによって、カスタマー・ユーザー流入数及びARPA拡大を図ってまいります。
② コミュニケーションデザイン力の向上
コミュニケーションデザイナーが当社の強みであるとの認識の下、コミュニケーションデザイナーの採用・育成に注力しております。
コミュニケーションデザイナーの育成を目的として、コミュニケーションデザインプロセスの体系化や、従業員のオンボーディング及びスキルアップを目的とした社内研修の実施等の取り組みを行っております。加えて、社内のデータベース上での全ての取り組みの常時共有、ベストプラクティスの横断的な展開を迅速に進めるためのマトリクス組織体制の導入、トピック毎の社内勉強会の定期開催などを通じて、ナレッジの蓄積・共有を図っております。蓄積した実績とデータに基づいてコミュニケーションデザインのベストプラクティスを体系化し、社員数が増加する中でも再現性を担保できるよう努めるとともに、効率的な業務運営を図っております。
また、中長期的な戦略としてコミュニケーションエンジンの開発プロジェクトを立ち上げており、足元では会話構造の体系化とチャットボットへのRPAの組み込みを進めております。将来的には会話の自動最適化と自動生成に取り組み、当社の利益率の向上、売上高及び利益の加速度的な成長を図ってまいります。
③ 新規業界に対する展開拡充
当社では、業務効率改善効果の大きい自動車ディーラー向けのサービス展開に注力しております。既にサービス提供が開始している入庫予約サービスの提供先拡大に加え、今後は既契約先に対するアップセルの推進により、様々な場面において顧客エンゲージメント向上及び業務効率化を実現するコミュニケーションサービスを提供してまいります。将来的には、オンライン相談、保険締結・見直し、カタログ請求、試乗予約、下取査定受付、新車・中古車販売など、様々なエリアにおけるサービス提供が考えられ、ユーザーのカーライフにまつわる様々なコミュニケーションが可能なワンストップ接客サービス提供プラットフォームを目指してまいります。
当該取り組みに伴い積極的に人的投資やマーケティングコストの投下を行う予定であり、これにより2022年3月期は再度赤字を計上し、当期以降も赤字見通しが継続することを見込んでおります。今後は当該新規展開にかかる投下資本の早期回収及び黒字化を目指してまいります。
④ サービス・プロダクトの強化
当社は、技術開発が競争力の根幹であるという認識の下、サービス・プロダクトの強化に取り組んでまいります。そのためには、優秀な人材の確保と人材の継続的な育成が重要と考えております。エンジニアについては国内外から人材を集めており、2021年9月時点における正社員及び業務委託の合計数228名のうち、エンジニア比率は33%、エンジニアの外国籍比率は72%となっております。
足元では、マルチチャネルでチャットボットを提供する取り組みを進めており、具体例としては、化粧品業界向けに、デジタルサイネージとチャットボットを融合させたバーチャルチャットボットの開発を進めております。バーチャルチャットボットはドラッグストアに設置し、ドラッグストアポイントカードやアプリと連動し、ユーザーが過去の購買情報も反映したパーソナライズされた提案・カウンセリングを受けるサービスを想定しております。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社は、事業拡大のため、開発投資や広告宣伝活動等に積極的に投資を進めており、2020年3月期までは営業損失を計上しておりましたが、2021年3月期にはクライアント数と登録ユーザー数の積み上がりによって営業利益を計上しております。当社は成果報酬制を採用していますが、クライアントのアカウントにおいて毎月安定的にユーザー流入及びCVが発生するよう取り組みを行っていることにより、クライアントに継続して利用されることで収益が積み上がる収益モデルになります。一方で、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。
当社では、事業の拡大に伴い、成果報酬収益が順調に積み上がることで、先行投資として計上される開発費用やユーザーの獲得費用が売上高に占める割合は低下傾向にあり、営業利益率は改善しております。2022年3月期以降においては、「③新規業界に対する展開拡充」に記載の取り組みや契約件数拡大や開発体制増強のための先行的な人員体制強化により、再度赤字が先行する見込みですが、今後も、サービス・プロダクト強化のための開発活動や業容拡大のための人材採用・育成への投資を通じて、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
なお、当社の2018年3月期通期から2022年3月期第2四半期累計期間における売上高、売上総利益及び営業損益、2020年3月期から2022年3月期第2四半期における四半期別売上高、売上総利益及び営業損益は以下の通りです。
2018年3月期 通期 | 2019年3月期 通期 | 2020年3月期 通期 | 2021年3月期 通期 | 2022年3月期 第2四半期 累計期間 | ||
売上高 | (百万円) | 65 | 306 | 742 | 1,377 | 871 |
売上総利益 | (百万円) | △8 | 60 | 376 | 976 | 593 |
売上総利益率 | (%) | △13.5 | 19.6 | 50.7 | 70.9 | 68.1 |
営業損益 | (百万円) | △77 | △249 | △327 | 200 | △491 |
営業利益率 | (%) | △118.0 | △81.5 | △44.1 | 14.6 | △56.4 |
(2020年3月期)
第1四半期 会計期間 | 第2四半期 会計期間 | 第3四半期 会計期間 | 第4四半期 会計期間 | ||
売上高 | (百万円) | 154 | 157 | 177 | 252 |
売上総利益 | (百万円) | 54 | 61 | 93 | 166 |
営業損益 | (百万円) | △39 | △175 | △140 | 27 |
(2021年3月期)
第1四半期 会計期間 | 第2四半期 会計期間 | 第3四半期 会計期間 | 第4四半期 会計期間 | ||
売上高 | (百万円) | 335 | 366 | 318 | 357 |
売上総利益 | (百万円) | 244 | 270 | 212 | 249 |
営業損益 | (百万円) | 106 | 124 | 5 | △35 |
(2022年3月期)
第1四半期 会計期間 | 第2四半期 会計期間 | ||
売上高 | (百万円) | 412 | 459 |
売上総利益 | (百万円) | 283 | 310 |
営業損益 | (百万円) | △132 | △359 |
(注)2018年3月期通期及び2019年3月期通期、並びに2020年3月期、2021年3月期及び2022年3月期の四半期会計期間の業績数値については、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。