有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/17 15:00
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【項目】
132項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)チャットボット市場について
当社は、チャットコマースサービスを提供しており、チャットボット市場は生産年齢人口の減少等に伴い市場が大きく成長していると認識しております。今後もこのような成長傾向が継続していくものと考えており、チャットコマースサービスを多角的に展開する予定です。
しかしながら広告業界は企業の景気動向に敏感であり、またチャットボット業界は比較的新しい市場であるため、景気の変動等による業況感の悪化や企業の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあると考えられ、顧客企業における広告予算又は広告媒体別の予算配分方針に変更が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合について
当社は、LINEやFacebookのプラットフォームを利用したチャットコマースサービスの事業を展開しております。しかしながら、競合他社が国内外に存在しており、現時点において競争上優位にあると考えられているサービスにおいても新規参入等により競争が激化する可能性や、資本力や技術力を有する大手企業が参入する可能性があることから、将来的に当社の提供するサービスにおいて優位性が保たれなくなった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新について
当社が事業を展開しているチャットボット市場は、技術革新が早く、当社の優位性を維持するためには、技術革新に即座に対応する必要があります。当社では、各種イベントやセミナーへの参加や社内の定期的な勉強会等を通じて、チャットボット市場の技術革新の動向を把握するとともに、それに対応した新サービスの提供ができるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新に対応できないような場合、または、当社が対応できないような技術革新が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)知的財産権について
当社は、当社が提供するサービスに関する技術・商標等の知的財産権の保護を図っております。しかしながら、当社が使用する技術・商標等の知的財産権について、何らかの理由で第三者からの侵害を保護できない場合、または、保護に多額の費用が発生する場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の提供するサービスが第三者の技術・商標等の知的財産権を侵害しないように留意しており、当社は現在まで第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはありません。しかしながら、第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。このような場合、当社に対する訴訟等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)システムや通信インフラ環境について
当社が提供するサービスは通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の作動環境に依存しております。当社が構築しているコンピュータ・システムは、適切なセキュリティや保護手段を講じておりますが、自然災害や不正アクセス等によって通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害が発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の提供するサービスは、LINEやFacebookのプラットフォームにて提供しており、当該プラットフォームの安定的な稼働が当社のサービス運営上重要となっております。これまで当社において当該プラットフォームに起因する重大なサービスの停止やトラブル等は起こっておりませんが、何らかの事象の発生により当該プラットフォームが停止した場合には、サービスに対する信頼性の低下等により当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)プラットフォームについて
当社が提供するサービスは、LINEやFacebookのプラットフォームを利用しております。特にメインとして活用しているLINEに関しては、当社はZ Venture Capital株式会社を株主として迎える等、強固な連携関係の構築に努めておりますが、これらのプラットフォーム運営事業者の動向や著しい仕様変更等があった場合には、当社の事業展開や事業運営に影響を与え、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)当社のクライアントである広告主に対する法的規制について
当社では広告主による広告(提供物・サービスそのものだけでなく広告宣伝の文言を含みます。)について、法令に則ったものであることが重要であると考えております。
このため当社では、チャットボットで配信するクリエイティブやシナリオ等を制作・提供する際に、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)等の法律の他、当社独自のガイドライン等に則って審査をすることにより、法令に反する広告を排除するよう管理をしております。
しかしながら、予期せぬ法令の改正や解釈の変更等により当社が配信するクリエイティブやシナリオ等が法令に反し、速やかに改善がなされないなどの事態が頻繁に発生した場合には、当社の信用が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)サービスの信頼性について
当社サービス上での配信にあたっては、ユーザーが安心して申込や購入等ができるよう、事前にクライアント企業のコンプライアンスや製商品等について調査しております。また、万が一取引先の製商品等に不適切な内容が検出された場合には、必要に応じて対応を検討しております。しかしながら、不適切な製商品等の配信に対して、当社の対応が遅れた場合、サービスに対する信頼性、ユーザーの支持低下等が生じる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)個人情報・機密情報について
当社では、事業遂行にあたり、顧客の会話データや顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。当該機密情報の外部漏洩のないよう、情報管理やセキュリティ管理に対しては情報保護規程や情報セキュリティマニュアルを整備するとともに、プライバシーマーク、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を的確に行っていますが、万が一、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社の信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)広告代理店への依存について
当社の事業においては、販売先拡大のため、直接販売の他に広告代理店を活用しております。広告代理店を介しての売上の比率は、2021年3月期で80.2%であります。今後も当該企業と良好な関係を続けてまいりますが、広告代理店との契約内容に変更等が生じた場合、又は当該広告代理店における販売方針の変更又は事業戦略の転換が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)特定業種への偏重について
当社の提供するサービスは、特定の業種に特化したサービスではありませんが、直近事業年度である2021年3月期の売上高の42.3%を化粧品関連の商材が占めております。そのため、当社グループの業績は、化粧品業界の業績の動向の影響を受ける場合があります。当社は、幅広い業界のクライアントに対してサービスを提供しリスクの低減に努めており、また、今後も様々な業界に対するソリューションの提供に努めてまいりますが、化粧品業界における景気動向の低迷が継続し、広告費削減や取引の停止、債権回収停滞等が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)先行投資による財務的影響について
当社のビジネスモデルは開発費用やクライアント及びユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴がありますが、継続的な成長のため、事業に対する投資を積極的に実施していくことが必要であると考え、今後も事業成長のための投資を進めていく方針であります。2021年3月期においては、継続的に利用するクライアントが増加し、継続利用で蓄積される会話データを分析しシナリオ改善することによるCVR向上等により収益が積み上がり、当期純利益を計上しております。
一方で、2022年3月期第2四半期累計期間においては、新業界への展開に係るマーケティング費用・人件費等の先行投資等により経常損失を計上し、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況となっております。
当社では、今後も収益性の向上に努め、費用対効果を見ながら先行的な投資を継続する方針でありますが、これらの先行投資が想定通りの成果に繋がらなかった場合や、投資期間が想定よりも長期に及ぶ場合、計画通りの収益が得られない場合等には、減損損失の計上が必要になる等、投資を回収できなくなる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)新規事業について
当社は今後も引き続き、拡大する需要に対応するとともに当社事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために新たな業界への展開の拡大に取り組んでまいりますが、新しい領域であるがためにマーケティング費用や人件費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、当初の予測とは異なる状況が発生し、新業界の展開が計画通りに進まない場合には、投資を回収できなくなる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)特定の人物への依存について
当社の創業者である代表取締役清水正大は、当社の経営戦略の立案・決定や業務上の提携先及び取引先との交渉において中心的な役割を担うほか、実務レベルでの事業運営の推進においても重要な役割を果たしています。当社は、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成・強化に注力していますが、依然として同氏の経営判断、行動力及び営業力等に一定程度依存している傾向にあるため、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(15)内部管理体制の強化について
当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)人材の育成及び獲得について
当社が今後成長を続けるためには、各方面で優秀な人材を配置することが必要不可欠であります。そのため、 既存の人材の育成はもちろんのこと、優秀な人材の獲得にも努めております。しかしながら、人材の育成・獲得が円滑に進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)訴訟について
当社は、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開する中で、当社が提供するサービスの不備や取引先、第三者との間での予期せぬトラブルの発生等により何かしらの問題が生じた場合には、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御のために費用と時間を要する可能性がある他、当社の社会的信用が毀損され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)感染症により想定されるリスクについて
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等重大な感染症等の感染拡大によるリスクについて、当社は、グローバルチームでリモートワーク環境下においてもサービス提供できる体制・ノウハウを構築しており、サービス提供への影響の最小化を図っています。今後も、感染の状況等を注視しながら事業運営を行っていきますが、感染症が長期にわたり拡大・蔓延することにより経済活動が停滞し、当社や主要取引先の事業活動の停止又は事業継続に支障をきたす事態が発生した場合や個人の購買行動が著しく停滞した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)フリークアウトグループとの関係について
本書提出日現在、当社のその他の関係会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスが当社の発行済株式総数の24.4%を保有しており、当社は同社の持分法適用関連会社となっておりますが、上場時には、株式会社フリークアウト・ホールディングスの当社株式の売出し及び当社の公募増資により、株式会社フリークアウト・ホールディングスの持株比率は20%未満になることで株式会社フリークアウト・ホールディングスの持分法適用関連会社から外れる予定です。また、同社は将来において保有する当社株式を売却する可能性があります。同社が将来において保有する当社株式を市場で売却した場合、当社株式の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社が同社に対して事前承認を必要とする事項はなく、当社は独自に経営の意思決定を行っております。
また、当社は株式会社フリークアウト・ホールディングスの子会社である株式会社フリークアウトとの間で広告売上取引を行っており、今後も継続していく方針であります。取引実施においては、取引の合理性及び取引条件の妥当性を検討した上で決裁を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保しております。
(20)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、当社は現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。しかしながら、当社の事業が計画通り推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
(21)資金使途について
新規株式上場時に計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、事業拡大に伴い増加する人件費、地代家賃、サーバー代、広告宣伝費、研究開発費及び借入金の返済に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定通り資金を投入したとしても、想定通りの投資効果を上げられない可能性があります。また、市場環境の変化等により調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
(22)税務上の繰越欠損金について
2021年3月期末において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(23)ベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合による株式売却リスクについて
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は12,740,000株であり、このうち3,796,800株(所有割合29.8%)をベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合が所有しております。当社の株式公開後において、当社株式の株価推移によっては、当該投資事業組合が所有する株式の全部又は一部を市場で売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に悪化し、当社株式の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(24)ストックオプションの顕在化リスクについて
当社では、当社の役職員及び社外協力者に対して、インセンティブを目的として新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式の割合は8.5%となっております。また、今後もインセンティブプランとしてのストックオプション制度を継続していく方針であります。これら新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存株主が有する株式の価値及び議決権が希薄化することで、株価形成に影響を与える可能性があります。