有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/11 15:00
【資料】
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【項目】
165項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営理念・経営戦略
当社グループは、「つぎのアタリマエをつくる」をミッションに、事業及び組織の両面で革新的な仕組みを作り、それを広げていくことを目指しています。具体的には、事業面ではBNPL決済サービスソリューションを提供することで、関わる全てのステークホルダーが「手間」なく「信用リスク」なく商取引を実現できるように貢献しており、組織面では当社グループ従業員の成長、モチベーションの維持及びパフォーマンスの向上を目的として、従業員個々人が自律的に役割を考え業務遂行する「ティール組織」を採用し、現場担当者の意見を尊重した意思決定の実現を図っています。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの決済ソリューション事業のビジネスフローは、①当社サービス利用による商品売買高(取扱高)と加盟店毎に設定された手数料率に基づく収益計上、②購入者からの代金回収に大別されます。そのため、当社の経営上の重要指標はそれぞれ、①は年間取扱高、②は購入者による未払い率となっており、社内では各数値を継続的に確認しています。
経営上の目標としては、当社は2021年6月10日付で「2021年度-2025年度 中期経営計画」を策定しており、その中で当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、年間取扱高を掲げております。
(サービス別年間取扱高)
サービスの名称第3期連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第4期第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
取扱高(百万円)前年同期比(%)取扱高(百万円)前年同期比(%)
BtoC取引向けサービス362,871119.7183,030103.0
BtoB取引向けサービス75,281127.146,027135.0

(3)経営環境
当社グループの主力サービスである「NP後払い」はEC市場における決済ソリューションを提供しています。ECの国内市場規模については、経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)(2020年7月公表)」によりますと、BtoC市場が2019年で19.3兆円(前年比7.6%増)、BtoB市場が352.9兆円(前年比2.5%増)、CtoC市場が1.7兆円(前年比9.5%増)となっており、引き続き市場を取り巻く環境は好調に推移しています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、プラットフォーム型ビジネスの展開を事業コンセプトに据え、決済ソリューション事業として、BtoC取引向けサービスである「NP後払い」、「atone」及び「AFTEE」並びに、BtoB取引向けサービスである「NP掛け払い」のサービス構築及び普及を目指し、下記の課題に全社一体となって取り組んでまいります。
① 収益基盤の拡大
積み上げ型のビジネスを展開する当社グループにとって、大口加盟店を獲得すること及びサービスの稼動促進を実現し収益基盤を拡大させることは、業容の拡大を目指す上で継続的かつ重要な課題です。当連結会計年度におきましては、大手加盟店候補との接点を増やすべく、社外リソース並びに代理店制度等を活用し新規加盟店候補先の経営層への接触力をより高めるため、その業界に知見・ネットワークを有する外部人材へ業務委託を積極的に行う方式での販路拡大と、既存加盟店を継続フォローする観点からカスタマーサクセスチーム体制を再構築した営業体制をベースに営業活動の外部化やBNPL以外の決済・他金融、リテール等の分野で国内トップクラスのネットワークを有するパートナーとの各種アライアンスの強化等に注力致しました。具体的には、2019年6月のリコーリース株式会社との資本業務提携を皮切りに、2021年2月の株式会社ジェーシービーとの資本業務提携、2021年7月のヤフー株式会社及びSBペイメントサービス株式会社へのYahoo!ショッピング及びPayPayモールにおけるBNPL決済サービス「ゆっくり払い」の提供、2021年8月の株式会社オリエントコーポレーションとの業務提携及び2021年9月のBoku,Inc.との業務提携を通じ、アライアンスの強化に努めてまいりました。営業環境は良好である一方、引き続き人的なリソースは限られており、効率的に加盟店を獲得していく必要があるため、再構築した営業体制の強化及びアライアンス先等の外部資産の活用等を引き続き行いながら、収益基盤の更なる拡大を図ってまいります。
② 「NP掛け払い」の推進
当社グループは2011年4月に企業間取引向けのBNPL決済サービスである「NP掛け払い」を開始以降、EC事業者、卸売り・業務用販売商品を取り扱う事業者、大手企業からITベンチャーなど様々な業種・規模のBtoB決済での様々なニーズに応えられる決済サービスの構築に注力してきました。その結果現在の「NP掛け払い」は、加盟店それぞれの月次締め日及び支払い日に対応できるソリューションを提供しています。今後は課題であるサービス認知の獲得のため、マス広告も含めた積極的なプロモーション展開を実施し、加えてリコーリース株式会社、株式会社ジェーシービーを始めとしたパートナーとの強化を図ることで、更なる強固な顧客基盤の構築を推進してまいります。
③ 「atone」ブランドの推進
2017年6月にリリースした「atone」については、会員登録を要するスマートフォン決済型のBNPL決済サービスを提供することで、「NP後払い」の利用層及びEC物販等の対象市場に加えて若年層及び実店舗やデジタルコンテンツでのBNPL決済ニーズの獲得を目的にサービス展開を行っております。スマートフォンでの利用に最適化したサービスによりクレジットカードを保有しない若年層の取り込みがスムーズとなり、また会員制にすることで当社グループにて取得可能な情報を増やし、リスク管理の精度を高めることを可能にしています。本サービスについては「NP後払い」に加えて利用者及び利用シーンが拡大するため、将来的には当社のBtoC向けBNPL決済サービスの主力ブランドとなるものと考えております。今後も本サービスの拡大を図るべく、加盟店・利用可能商材の拡大について継続的に検討・推進してまいります。
④ 海外事業展開の推進
当社グループでは今後の成長拡大を図るため、国内の決済ソリューションを海外市場にも展開することを検討しており、そのための第一歩として2018年8月付で台湾でのスマートフォンBNPL決済サービス「AFTEE」をリリースしています。今後本サービスの拡大を図るとともに、台湾地域での実績を踏まえて東南アジア等の他地域への展開も図ってまいりたいと考えています。
⑤ 独自与信システムの深化
当社グループでは、少額決済に特化した独自の与信システムを構築してきました。過去から蓄積した膨大な取引データを活用することにより、高い与信通過率と低い未回収(貸し倒れ)率を両立しています。テクノロジーを活用して詐欺や不正を排除しつつ、あらゆる個人・企業に対して新しい信用を創造する「flowtec(フローテック)」企業として、今後はオペレーターにより審査判断を行っている確認事項についてもAIを活用した自動判断を行う等、よりテクノロジーを活用し与信力を高めていきます。
⑥ 人材の高度化
当社グループは従業員数が208名となり、新卒入社者累計が全体の70%を超えています(2021年10月31日現在)。当社としてBtoC・BtoBの両事業領域で高いサービス品質を維持・向上させながら全事業成長を目指す新しいステージに進みつつあるなか、権限の委譲を図って事業スピードを向上させるべく、人材の高度化に注力します。具体的には組織の一体化、判断の基準となる理念・価値観の共有・深化を図ること、加えて次世代リーダー育成に必要となる制度・仕組に磨きをかけてまいります。