有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/01/26 15:00
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【項目】
153項目

研究開発活動

第13期連結会計年度(自 2020年9月1日 至 2021年8月31日)
当社グループは、ビジョンとして掲げる「テクノロジーに想像力を載せる」の考えに基づき、機械学習技術、深層学習技術、画像処理技術を用いたアルゴリズム及びソフトウエアの研究開発に取り組んでおります。
メインAIによる画像認識技術のビジネスでの実用化、社会実装にいち早く実績を残し企業活動において欠かせないシステムとして浸透、定着させるべく研究開発を進めてまいりました。当社グループの画像認識技術の特徴である顔画像に対する高い認証精度を実際のビジネスの現場で活用するためには、様々な外部環境への対処が求められ、研究分野は多岐にわたります。
2019年8月期の画像認識プラットフォーム・AIZE(アイズ)の提供開始に伴い、画像認識技術の実用が本格始動いたしました。導入企業様のニーズに応じた画像認識技術のカスタマイズ、機材や機材の設置環境に左右されない認証精度の追求を中心に研究開発に行っております。実用上で必要となる精度向上や機能追加の点では、新型コロナウイルス感染症拡大の情勢下においてマスク着用時での顔認証精度のさらなる向上や、テレワークの際の顔認証における写真によるなりすましを防止する機能等の研究を進め、一定の成果を得ております。このうちマスク着用時での顔認証につきましては、当社グループでは新型コロナウイルス感染症の流行以前より、他社に先がけて成果をだしておりました。画像認識プラットフォーム・AIZEは、新型コロナウイルス感染症の流行下における社会貢献を目指して開発した自動検温システムにも搭載しております。このシステムの顔認証AIは勤怠管理等感染拡大防止に止まらない機能を提供したことで注目されており、ITシステム企業、メーカーからも引き合いが増加し、それにともなって開発分野も拡大しております。
当社グループの画像認識AIの研究開発の源泉となりますのは、2014年より進めております囲碁AIの研究開発です。2015年に初めてコンピュータ囲碁の国内大会に出場後、国際大会、国内大会で好成績を納めてきました。2019年4月に世界一の囲碁AI開発を目的として、株式会社グロービス(東京都千代田区、代表:堀義人氏)、囲碁AI「AQ」開発者・山口祐氏、公益財団法人日本棋院(東京都千代田区、理事長:小林覚氏)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(東京都千代田区、理事長:中鉢良治氏)と協働した「GLOBIS-AQZ」プロジェクトに参画し、2019年12月に開催された第11回UEC杯コンピュータ囲碁大会(主催:電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーション)では、中韓を含め国内外から多くのチームが参加するなか準優勝となりました。つづく2020年には、囲碁AI国際大会で優勝することを企図して、量子コンピュータによる計算資源増大等先端分野での研究開発を進めようとしておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により各種大会の中止あるいは規模縮小での開催となり、大会参加を断念、囲碁AIに注力しておりました研究開発リソースを実用的な画像認識技術に振り替えました。
画像認識技術は、これまでにも当社グループの事業において、AIによる価格査定(企業向けフリマアプリ)の開発やAI画像認識アプリ、自動運転に向けた技術解析支援システム(航空写真の地図データ化、車載画像の解析)の開発、手書き文字認識・OCR開発等、様々な分野において活用されております。
画像認識プラットフォーム・AIZEの実用が進むなかで顕在化した、次の二つのニーズについても研究を開始いたしました。人流を検知し人数をカウントする「群衆分析」は、リテールマーケティングへの活用を期して開発を進めております。また人の眼では認知できない微細な動きを検知する「モーションマグニフィケーション」は、顔画像による決済システムの信頼度を高めうる技術として研究に着手しております。この二つは、開発完了後、即時の実用化が見込める技術です。このように、ビジネスの現場とリンクした研究開発を進めるにあたり、当連結会計年度はメルクマールとなる一年となりました。導入企業様のニーズや市場の動向に応じて、AI、ブロックチェーン、IoTといった先端技術を活用した新規プロダクトの研究開発を続けてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は8,678千円であります。
第14期第1四半期連結累計期間(自 2021年9月1日 至 2021年11月30日)
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は1,824千円であります。