有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/03/18 15:00
【資料】
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【項目】
148項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「エネルギーデータの恵みを世界中の人々に届ける」ことをミッションとしております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、当社グループの収益モデルがIoTデータプラットフォームの顧客企業数やIoTデータプラットフォーム上で稼働する各種アプリのエンドユーザー数(プラットフォーム登録者数)が増加するにつれて、年々売上収益が積みあがり、累積的・継続的な発生を見込むことが可能なリカーリング型であることから、起点となるIoTデータプラットフォームへの登録エンドユーザー数(プラットフォーム登録者数)を重要な経営指標として位置付けております。
IoTデータプラットフォームへの累計登録エンドユーザー数(プラットフォーム登録者数)は2021年12月末時点で52,440件に達し、2022年2月末時点では54,275件に達しております。
2019年4月から2022年2月末までのIoTデータプラットフォームへの累計登録エンドユーザー数(プラットフォーム登録者数)の推移は、以下のとおりであります。2021年1月から12月までの月平均増加数は、約2,300件となっており、賃貸物件における転居の際の一時的な離脱等によるサービス休止を除くと、解約率は実質0%となっております。

(3) 中長期的な会社の経営戦略
経営方針に沿った経営を行うためには、急速な変化を遂げるエネルギー関連業界の中で、(ⅰ)AI(機械学習)を活用したNILM技術や電力利用を管理・最適化する技術、(ⅱ)電力データ利活用するため技術について、進化・革新の積み重ね、及び(ⅲ)社会の課題を解決する新しいサービスを提供することが必要となります。
そこで、当社グループは、以下の3つの経営戦略を推進し、エナジー・インフォマティクス事業のトップブランドとして認知される企業を目指します。
① 次世代スマートメーターとして採用されるための取組み
2014年から本格導入が開始された現行スマートメーターについて、2024年度から順次新たなメーターへの交換が始まる予定であることを踏まえ、経済産業省・資源エネルギー庁のスマートメーター制度検討会において、「電力やその周辺ビジネスの将来像を踏まえ」た、次世代スマートメーターの仕様策定が行われております(出所:経済産業省・資源エネルギー スマートメーター制度検討会 第1回次世代スマートメーター制度検討会 次世代スマートメーターに係る検討について)。
当社グループにおいても、次世代スマートメーター制度検討会やスマートメーター仕様検討ワーキンググループの動向を注視しながら、これらの出席者や電力会社、スマートメーター関連企業等と意見交換を行うとともに、当社グループ独自の電流波形センサリング技術から得られる電力データを利活用した場合のユースケース等を説明することで、当社グループ独自の電流波形センサリング技術の優位性を示し、当社グループの技術が「次世代スマートメーター」として採用されるための活動を行っております。
また、次世代スマートメーターの仕様策定に際して、当社グループ独自の電流波形センサリング技術が採用されるための一助として、当社グループでは、経済産業省基準認証局国際電気標準課の委託を受け、国際電機標準会議(IEC)TC85におけるNILMセンサーデバイスの計測グレードに関する国際標準化を推進し、2021年3月には、これがIEC TC85によって採択され、国際標準仕様書IEC TS6329を発行するに至っております。
② 応用技術・派生技術による新規事業の創出
電力データは、電力データ以外の技術との組み合わせによる新たなサービスの創出が期待されております。
当社グループにおいても、新規事業の創出を目指しておりますが、そのためには、国内外のエネルギー関連企業や、各業界を代表する企業から秘匿性の高いデータを取得することが必要になります。
当社グループでは、東京電力グループや関西電力グループなどを中心としたエネルギー関連企業や、株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社や株式会社博報堂DYホールディングスなどとアライアンス体制を構築し、秘匿性の高いデータを継続的に取得できる体制を整えておりますが、引き続き、電力データを活用した付加価値創造を成長に結びつけられていない業界/業種を中心に、アライアンス体制の構築に努めてまいります。
③ 海外展開
特に欧州圏においてエネルギー問題への意識が高まっていることから、当社グループは、技術研究開発拠点として英国に子会社を設立し、現地企業や日本企業の現地法人との実証実験を行う等、活動領域を拡大させております。
当社グループでは、英国における活動領域を更に拡大させ、英国だけでなく、欧州圏全体での実績を積み上げることで、海外での本格的な事業展開を推進してまいります。
(4) 経営環境
当社グループが関連するエネルギー業界では、2015年の国連サミットでの持続可能な開発目標(SDGs)の採択や2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でのパリ協定の採択以降、世界的な脱炭素化の流れの中で、アメリカのバイデン大統領が就任した2021年1月20日にトランプ前政権が離脱したパリ協定への復帰を指示し、二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロエミッション」の目標設定に向かったことや2021年10月31日から2週間に渡って開催された26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、2030年までに気温上昇1.5度に抑制する対策を進めるために必要不可欠な国際ルールが決定し、さらに地球温暖化の最大要因として石炭火力削減方針が初めてCOP決定に明記されるなど、脱炭素化の流れが強まったことを受けて、温室効果ガスの排出を削減するため、太陽光、風力や地熱などの再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の活用拡大が期待されております。
日本においても、2020年10月26日に開会した第203臨時国会において、菅義偉内閣総理大臣(当時)が所信表明演説の中で、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことや、再エネを最大限導入することが明示され、また、2021年10月4日に開会した第205臨時国会においても、岸田文雄内閣総理大臣が所信表明演説の中で、「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進する」との方針を打ち出し、温暖化対策を成長につなげる「クリーンエネルギー戦略」と策定することが明示されるなど、脱炭素社会に向けた技術革新や再エネの活用拡大が急務となっております。
電力利用効率の最適化という観点から、国内において、当社グループが一次ターゲットとしているエネルギーマネジメントシステム関連市場は、エネルギーデジタル関連サービス市場、エネルギーマネジメントシステム(EMS)関連機器・設備市場及びエネルギーマネジメントシステム(EMS)関連システム・サービス市場から構成され、これらの市場は、2030年度において合計で2兆5,887億円(2019年度比178.5%)に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、2020 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査)。中でも、エネルギーデータの利活用等が市場を牽引するエネルギーデジタル関連サービス市場は、2030年度において合計で8,880億円(2019年度比257.3%)に及ぶと見込まれております(出所:株式会社富士経済、2020 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査)。
海外において、特に当社グループが注力している欧州圏では、エネルギー自給率が低いことから、再エネの導入に積極的であり、年間を通して偏西風が吹くという地理的なメリットを活かした風力発電が盛んであります。また、太陽光発電(PV)も世界の他の地域同様に普及しており、再エネ普及率が世界の中でも非常に高くなっております。
一方で、再エネは天候等により出力が大きく変わる可能性があるなど予測が困難なことから、需給バランスの乱れによる停電が発生する可能性があるという懸念や、電力自由化による電気料金の価格変動の可能性などを背景に、電力供給の最適化へ効果を発揮するスマートグリッドの整備は必要不可欠となっております。
このスマートグリッドの要素となる技術は、送電網・配電網などの供給側の技術にとどまらず、住宅やオフィスなどの需要側の技術も含まれますが、重要となるのは、需要側の電力データを計測するスマートメーターあるいはこれに代わる電力センサリングシステムであります。
当社グループは、脱炭素化の流れを追い風に、国内外において、エネルギーマネジメントシステム関連市場で成長を続けた後、電力データに新たな価値を創りだすことによって創り出されるスマートホーム市場、AI市場(公共/社会インフラ、医療/ライフサイエンス)、インターネット広告市場をはじめとする様々な分野・新市場へ進出してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の確保・育成
当社グループの事業は、「エネルギー」と「テクノロジー」を掛け合わせ、最先端のAI技術などでエネルギーデータの価値を導き、脱炭素などに貢献するものであります。そのためには、特に、エネルギー領域とAI技術などのテクノロジー領域の両面に精通した人材を確保し続けていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループは、エネルギー領域と、AI技術などのテクノロジー領域の両面に精通した優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行うとともに社員に対して当社グループの経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修を計画的に実施していく等、人材の育成に取り組んでまいります。
② 分析技術の強化と特許対策
NILM等、AI関連技術を中核とした分析技術が当社グループの競争力の源泉であることから、継続的な分析技術の強化とともに、他サービスとの差別化を図るべく、分析技術に関する特許権等の知的財産権を積極的に取得し、当社グループの権利の保護を図っていくことが重要であると考えております。
これらの課題に対処するために、当社グループでは、当社グループが保有する知的財産の保護について、知的財産権に精通した人材を確保するとともに、顧問弁理士等の連携を行い、権利化可能な技術について可及的速やかに権利化に取り組んでまいります。
③ アライアンスパートナー戦略
脱炭素化実現のためには、一次的には、エネルギーデータを利活用することで、生活の質を向上させながら、エネルギーの効率的利用を目指している企業、特にエネルギー関連企業とのアライアンスの構築が重要であると考えております。
一方で、脱炭素化実現には、エネルギーの効率的利用にのみ貢献するサービスの提供のみならず、エネルギー+αの付加価値も同時に実現するサービスも提供することで、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することも重要であると考えております
これらの課題に対処するために、当社グループでは、エネルギーデータを利活用した付加価値の創造につながるエネルギー関連企業以外ともアライアンスにも積極的に取り組んで参ります。
一例としては、個人情報の取り扱いに対する規制が世界中で厳格化したことに伴い、インターネット上での広告配信において一般的に用いられているCookie(クッキー)(注)の規制が強化され、将来的に使えなくなる可能性が高まっていることを踏まえ、2020年2月より株式会社博報堂DYホールディングスと資本事業提携を行い、NILMデータと世帯嗜好性の相関性分析を共同研究として進めるなど、電力データを利活用したインターネット上での広告配信に向けた準備を進めております。
(注)Cookie(クッキー):WebサイトがスマートフォンやPCの中に保存する情報のこと。
④ コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化
当社グループが持続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては経営の効率化、健全性を確保すべく、監査役会の設置や会計監査及び内部統制システムの整備によりその強化を図っております。また、内部管理体制については、管理部門の増員等、一層の体制強化が必要であると認識しております。
⑤ 財務体質の強化
当社グループは、第7期及び第8期において、営業損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、また、営業キャッシュ・フローもマイナスとなっております。このため、全社での早期黒字化と、営業キャッシュ・フローの改善が課題と認識しております。このため、当社グループでは、営業活動の推進により、利益を計上できる体制への改善に取り組んでまいります。自己資本比率の改善に取り組んでまいりました。今後も、既存事業の営業キャッシュ・フローの改善に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。
加えて、当社グループでは、脱炭素化の流れを最大限に活用し、脱炭素に貢献する技術開発や事業開発などへの積極的な投資を進めるためには、財務体質の強化が重要であると認識しております。これまでも、2013年6月、2017年10月、2019年12月、2020年2月、2020年6月及び2021年12月の第三者割当増資により自己資本の充実を図り、自己資本比率の改善に取り組んでまいりました。今後も、既存事業の営業キャッシュ・フローの改善に注力し、財務体質の強化に努めてまいります。

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