有価証券報告書-第14期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 15:30
【資料】
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【項目】
140項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は27,033,444千円となり、前連結会計年度末に比べ19,840,558千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が10,933,475千円、前渡金及び長期前渡金の合計額が3,895,445千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は17,288,188千円となり、前連結会計年度末に比べ7,747,695千円増加いたしました。これは主に、新規借入を実施し短期借入金が4,596,662千円、長期借入金が1,142,667千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は9,745,256千円となり、前連結会計年度末に比べて12,092,862千円増加いたしました。これは主に、新規上場及びその後の海外募集に伴う公募増資等により資本金及び資本準備金がそれぞれ7,682,478千円増加したことによるものであります。なお、2023年6月28日開催の定時株主総会の決議により、2023年6月28日付で資本準備金を8,556,042千円減少し、その他資本剰余金に振り替えております。また、振り替えたその他資本剰余金を繰越利益剰余金に振り替え、欠損填補を行っております。
② 経営成績の状況
当社グループは、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続的な世界を実現するべく、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。
当連結会計年度における世界経済は、引き続きロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ紛争の激化など、各地域で緊迫した情勢が続く中、物価の高騰によるインフレーション、また大幅な円安の進行等、見通しが不透明な状況が続いております。
かかる環境下ではあるものの、当社グループが属する宇宙資源開発の分野では、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下「NASA」という。)が推進する有人月探査計画であるアルテミス計画において、月面における平和的・友好的かつ透明性ある活動のガイドラインとなる「Artemis Accords(アルテミス協定)」に、当連結会計年度には11か国(チェコ、スペイン、インド、ドイツ、アイスランド、オランダ、ブルガリア、アンゴラ、ベルギー、ギリシャ及びウルグアイ)が新たに合意し、さらに2024年4月にはスイス、スウェーデン、スロベニアが合意するなど、日本と米国を含む全39の国及び地域(2024年4月末時点)が調印し、引き続き活発な進捗が見られております。
日本政府においても画期的な進展があり、日本政府が主導する「中小企業イノベーション創出推進事業」として「月面ランダーの開発・運用実証」が経済産業省の実施するテーマに選定され、当社が予算額(補助上限)120億円の補助対象事業として採択されました。中小企業イノベーション創出推進事業は、日本のイノベーション創出を促進するためのSBIR(Small Business Innovation Research)制度の下、革新的な研究開発を行うスタートアップ等が社会実装に繋げるための大規模技術実証を実施し、日本におけるスタートアップ等の有する先端技術の社会実装の促進を図ることを目的とするものです。また2023年11月には、民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間の「宇宙戦略基金」を設置し、総額1兆円規模の支援を行うことを目指すことが閣議決定されました。さらに2024年4月には、日本の月面与圧ローバー提供及び運用と米国によるアルテミス計画での日本人宇宙飛行士による2回の月面着陸の機会提供などを含む「Lunar Surface Exploration Implementing Arrangement」への署名に関する共同声明が日米両政府により発表されるなど、月面開発への具体的な政府の取り組みが大きく進捗した年となりました。
このような状況の中、当社グループは、ミッション1の月面着陸船(以下「ランダー」という。)を打上げ、2023年4月までの間に、事前に設定したミッション完了までの10個のマイルストーンの内、Success8「月周回軌道上での全ての軌道制御マヌーバの完了」までを完了いたしました。Success9「月面着陸の完了」は未達となりましたが、当社はランダーのハードウェアの実証と、月面着陸フェーズでの貴重なフライト・データの取得を実現しております。なお当社は、ロケット打ち上げから月面着陸までに発生するリスク(着陸後の通信の確立を含む)を総合的に補償する「月保険」を契約しておりましたが、ミッション1ランダーによる月面着陸が確認できなかったことに伴い、当該契約に基づき保険金3,793,660千円を受領し、第2四半期連結会計期間において特別利益として計上しております。また、その後の解析によってSuccess9未達の要因を解明し、ミッション2以降の成功確率を高めるべく今後の改善点を明確にしております。売上面においては、当連結会計年度にミッション1の完了に伴う一時的な売上を計上した他、2024年冬に打ち上げを予定しておりますミッション2及び2026年に打ち上げを予定しておりますミッション3についても、それぞれのランダー開発を進捗させるとともに、ペイロードサービスの契約済み顧客からの売上計上を進捗させ、かつ新規顧客の獲得を推進しております。また、当社グループの活動をコンテンツとして利用する権利や広告媒体上でのロゴマーク露出、データ利用権等をパッケージとして販売し技術面や商品開発面での協業を行うパートナーシップ事業においても、既存パートナー企業とのパートナーシップ関係を推進するとともに、ミッション2までを対象とする「HAKUTO-R」の新規顧客獲得を推進いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は2,357,055千円(前期比138.3%増)、営業損失は5,501,696千円(前期は11,023,904千円の営業損失)、経常損失は6,097,990千円(前期は11,378,300千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は2,366,265千円(前期は11,398,248千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループの事業は月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ13,450,957千円増加し、当連結会計年度末には16,832,893千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は5,024,543千円(前連結会計年度は7,322,198千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,347,592千円、長期前渡金の増加額3,113,742千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,062,916千円(前連結会計年度は90,086千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,022,942千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は20,366,898千円(前連結会計年度は4,364,028千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入14,822,528千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
ペイロードサービス7,934,854-8,914,193322.5
その他15,1502.2416,13180.4
合計7,950,0051,142.09,330,325284.4

(注)1.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度のペイロードサービスにおきまして、大型案件を受注したことによるものです。
2.パートナーシップサービスについては、その事業の性質上、受注生産形態になじまないため、受注実績は記載しておりません。
3.当社グループは単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、月面開発事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
月面開発事業2,357,055238.3

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.--1,209,38651.3
Mohammed Bin Rashid Space Centre278,24828.1270,50411.5
European Space Agency363,24336.7135,7315.8

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて1,367,813千円(138.3%)増加し、2,357,055千円となりました。これは主に、2021年4月以降順次顧客獲得を進捗させているペイロードサービスの売上が増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて992,343千円(227.4%)増加し、1,428,811千円となりました。これは主に、ミッション2およびミッション3の開発を並行して進めたことによるものであります。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて375,470千円(67.9%)増加し、928,243千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて5,146,737千円(44.5%)減少し、6,429,939千円となりました。これは主に、当連結会計年度はミッション2及びミッション3の開発も並行して進めた一方で、前連結会計年度において2022年12月11日にミッション1の打上げを完了したため、研究開発費の計上額が相対的に減少したことによるものであります。
その結果、営業損失は5,501,696千円(前年同期は11,023,904千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて556,327千円(530.9%)増加し、661,112千円となりました。これは主に、為替差益641,007千円を計上したことによります。
営業外費用は、798,225千円(173.8%)増加し1,257,406千円となりました。これは主に、借入金増加に伴う支払利息367,997千円の計上(前期支払利息は196,155千円)、新規上場に伴う上場関連費用470,789千円及び海外募集に伴う公募増資を行ったことに伴う資金調達費用320,787千円によるものであります。
その結果、経常損失は6,097,990千円(前年同期は11,378,300千円の経常損失)となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純損失)
特別利益は、受取保険金3,793,660千円及び新株予約権戻入益52千円を計上しております。また、特別損失は、自己新株予約権消却損43,315千円を計上しております。
その結果、税金等調整前当期純損失は2,347,592千円(前年同期は11,378,647千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純損失)
法人税等は、主に法人税、住民税及び事業税18,673千円を計上したことにより927千円(4.7%)減少し、18,673千円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,366,265千円(前年同期は11,398,248千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
b.財政状態
主な増減内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、2022年12月11日に打上げを実施したミッション1だけでなく、後続ミッションであるミッション2及びミッション3のランダー開発も既に着手しており、今後も積極的に開発活動を推進してまいります。当社の資金需要として主なものは、ランダー開発のための部材調達費用、事業の拡大に伴う人件費、打上げ費用等です。必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
現預金保有残高については、2024年3月期末における現金及び現金同等物が16,832,893千円であり、必要な流動性を確保しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

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