有価証券報告書-第16期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 16:30
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【項目】
141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は47,704,955千円となり、前連結会計年度末に比べ20,515,826千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が16,573,053千円、長期前渡金が2,517,651千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は32,531,470千円となり、前連結会計年度末に比べ12,349,928千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が3,089,806千円、長期借入金が10,257,234千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は15,173,485千円となり、前連結会計年度末に比べて8,165,898千円増加いたしました。これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ9,177,862千円増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより利益剰余金が8,152,112千円減少したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当社グループは、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続的な世界を実現するべく、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。
当連結会計年度における世界経済は、米国ドナルド・トランプ大統領による第二次政権下の諸政策の進展や、イランを巡る中東情勢の緊迫化、また米国・中国の二大大国を中心とする国際秩序の動向等も含め、グローバルに地政学的リスクが高まる状況にあります。またこれに伴い、不安定な資本市場や為替変動等、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが行う宇宙資源開発は安全保障政策とも関連性が高い分野となりますが、かかる不安定な地政学情勢も背景となり、各国の宇宙政策にも変化の兆候が見られます。中でも2026年3月にNASA(アメリカ航空宇宙局)により開催された「IGNITION」イベントにおいては、2030年までの月面基地構築に向けた投資の集中や、2028年までに20回を超える月面着陸ミッションを実施する方針など、今後の月面開発事業を大幅に加速させる計画が発表されました。加えて、同年4月にはアルテミスIIミッションにおいて53年ぶりの有人月周回を成功させ無事帰還したことで、米国を中心に、月面探査への機運は世界的に一段と高まっております。また、民間企業による月面開発需要にとっても中長期的に強力な追い風となっております。
日本においても、2025年10月に発足した高市政権下で宇宙および経済安全保障分野の重要性が引き続き強調されており、当社を取り巻く事業環境は好調に推移しております。10年間で総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」に関しては、当該基金の第1期の公募テーマのひとつ「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」(支援上限額:64億円(注1)) において、当社は代表機関である国立大学法人東京科学大学を中心とするプロジェクトの中核的連携機関として採択され、代表機関から受領する最大額は47億円(注2)となることを見込んでおります。更に、2025年3月公表された3,000億円規模第2期テーマのうち、当社は「月極域における高精度着陸技術」(支援上限額:200億円(注3))に採択され、本採択に伴いミッション4の開発開始を正式に決定いたしました。
また、欧州においてもESAよりMAGPIEプロジェクトフェーズ2の予算確保が発表されるなど、将来のミッションに向けたグローバルでの事業進捗がみられました。
このようにグローバルで増大する月面開発需要に対し、当社グループは顧客が期待するミッション品質および開発効率の向上に向けて着実に対応していくための様々な施策を進めています。当社は2026年3月、外部専門家を交えた「改善タスクフォース」による成果報告「7つの提言」を受領し、今後のミッションに向けた改善策の対応方針を決定しております。また、事業戦略のアップデートおよびミッションスケジュールの再設定を実施し、これまで日米で個別に進めてきたランダー開発体制を統合し、より信頼性の高いエンジンを採用した共通プラットフォームである新モデルULTRAランダーを導入することを決定いたしました。これに伴い、米国により実施されるミッション5(注4)の打上時期を2030年へと再設定しております。
次回の月面着陸ミッションの打上げは2028年(注5)、日本主導のミッション3を予定しており、開発は構造試験モデルの製造フェーズへと移行し、予定されているPDR(基本設計審査)に向けて着実に進捗しております。今後のミッションに向けて、JAXAからの技術支援を受けており、JAXA及び宇宙科学研究所(ISAS)の小型月着陸実証機SLIMのプロジェクトに携わったメンバーも参画の上、開発体制を強化しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,307,092千円(前期比30.3%減)、営業損失は11,580,063千円(前期は9,795,143千円の営業損失)、経常損失は8,141,515千円(前期は11,334,495千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は8,152,112千円(前期は11,945,139千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループの事業は月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
ご参考までに、当連結会計年度における当社グループのプロジェクト収益は5,890百万円(前期比18.5%増)となりました。当社は、会計上の売上高にSBIR補助金からの収入を合計した当社試算値を「プロジェクト収益」として開示しております。これは足許、SBIR補助金が定義上「本業以外の収入」である営業外収益として計上されており、宇宙戦略基金についても同様となる予定である一方、その他の各国宇宙機関等との契約等は売上高として計上されており、政府及び政府宇宙機関との契約の扱いに統一性がないことから、ご参考値として「プロジェクト収益」としてまとめてお示しするものです。
(注1)今後ステージゲート審査等により変動し得る数値。
(注2)最終的な契約金額は、JAXA及び代表機関による実績報告及び成果報告書の内容についての検査、並びに契約金額の確定通知をもって確定されます。
(注3)今後ステージゲート審査等により変動し得る数値であるため、全額を受領することが本書提出日時点で確定するものではありません。
(注4)本米国ミッションは当社がTeam Draperの一員としてNASAのCLPSタスクオーダーCP-12に採択されているミッションであり、新スケジュールの下でのCP-12実行に関してはNASAからの正式な承認待ちとなります。
(注5)当初2027年内として経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、足許、本書提出日時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については、関係省庁及SBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省の認可を受領の後、正式に計画変更が認可されることとなります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16,573,053千円増加し、当連結会計年度末には29,690,611千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は13,568,357千円(前連結会計年度は12,049,809千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失8,142,931千円、長期前渡金の増加額3,636,031千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,825,606千円(前連結会計年度は2,671,770千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,060,756千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は31,447,837千円(前連結会計年度は10,423,789千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入18,195,411千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。
サービスの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
ペイロードサービス10,209,229652.414,562,707163.4
その他505,353270.5462,391111.1
合計10,714,582611.615,025,098161.0

(注)1.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、当連結会計年度のペイロードサービスにおきまして、複数の大型案件を受注したことによるものです。
2.パートナーシップサービスについては、その事業の性質上、受注生産形態になじまないため、受注実績は記載しておりません。
3.当社グループは単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、月面開発事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
月面開発事業3,307,09269.7

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年4月1日
至 2025年3月31日)
当連結会計年度
(自 2025年4月1日
至 2026年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
The Charles Stark Draper Laboratory, Inc.2,118,71944.71,706,23751.6
European Space Agency168,2493.5526,22115.9
Taiwan Space Agency--451,22913.6
高砂熱学工業株式会社1,824,87038.5100,8703.1

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積もりを必要としております。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて1,436,145千円(30.3%)減少し、3,307,092千円となりました。これは主に、2025年6月に実施したミッション2の打上げ以降、次回ミッションの打上げまでの期間における顧客へのサービス提供機会が限定的となったことにより、ペイロードサービスを含む売上高が前期比で減少したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて3,661,731千円(146.5%)増加し、6,160,437千円となりました。これは主に、ミッション2およびミッション3の開発を並行して進めたことによるものであります。この結果、前連結会計年度においては2,244,533千円の売上総利益を計上しておりましたが、当連結会計年度においては2,853,344千円の売上総損失となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて3,312,956千円(27.5%)減少し、8,726,719千円となりました。これは主に、前連結会計年度にミッション2の打上げに伴い一括計上した打上げ費用の反動減に加え、研究開発費が前連結会計年度の7,730,999千円から3,928,864千円へと減少したことによるものであります。この結果、売上総損失の計上により、営業損失は11,580,063千円(前年同期は9,795,143千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて5,064,824千円(前年同期は、406,991千円の営業外収益)増加し、5,471,815千円となりました。これは主に、為替差益の計上に加え、補助金収入2,583,796千円を計上したことによります。
営業外費用は、86,923千円(4.5%)増加し、2,033,267千円となりました。これは主に、借入金の増加に伴う支払利息が前連結会計年度の920,442千円から1,816,406千円へと増加したことによるものであります。この結果、経常損失は8,141,515千円(前年同期は11,334,495千円の経常損失)となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純損失)
当連結会計年度において、特別利益の計上はありませんでした。特別損失については、固定資産除却損1,416千円を計上しております。
その結果、税金等調整前当期純損失は8,142,931千円(前年同期は11,956,713千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純損失)
法人税等は、主に法人税、住民税及び事業税9,180千円(前年同期は△11,573千円の計上)を計上いたしました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純損失は8,152,112千円(前年同期は11,945,139千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
b.財政状態
主な増減内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、2022年12月にミッション1を、2025年1月にミッション2の打上げを実施するだけでなく、後続ミッションであるミッション3のランダー開発も既に着手しており、今後も積極的に開発活動を推進してまいります。当社の資金需要として主なものは、ランダー開発のための部材調達費用、事業の拡大に伴う人件費、打上げ費用等です。必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
現預金保有残高については、2026年3月期末における現金及び現金同等物が29,690,611千円であり、必要な流動性を確保しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

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