有価証券報告書-第20期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 12:30
【資料】
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【項目】
137項目

有報資料


文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「ウェルネス・データで、未来をつくる。」をパーパスに掲げ、企業及び健康保険組合並びにその従業員等に対し、健康診断及び健康管理に関するサービスを一体的に提供しております。また、医療機関を重要なパートナーと位置付け、健康診断に係る業務効率化及び安定運営に資する支援を行っております。
近年、人的資本経営やサステナビリティ情報開示への関心の高まりを背景に、企業における健康投資及び従業員のパフォーマンス向上に対するニーズは拡大しております。加えて、労働人口の減少や働き方の多様化、健康課題の高度化・多様化等を踏まえ、これらを中長期的な成長機会と認識しております。
このような事業環境のもと、当社グループは、「Growbase」を中核としたデータ活用型のプラットフォーム構想を推進しております。健康診断等を通じて蓄積されるデータを活用し、付加価値の高いサービス提供を実現することで、企業の健康経営及び人的資本経営の高度化に貢献してまいります。
事業面においては、健診やストレスチェック等の法令対応や組織課題の分析・可視化を起点としたソリューション提供の拡充及びデータ統合・活用を軸としたクラウドサービスの高度化を進め、両事業の連携による提供価値の最大化及び顧客単価の向上を図っております。あわせて、大企業顧客の深耕による収益基盤の強化に加え、中堅・中小企業市場への展開を推進してまいります。また、持続的な成長の実現に向けて、組織体制の強化及び専門人材の採用・育成を進めるとともに、事業運営の高度化及び効率化に取り組んでおります。
引き続き、当社グループに関係するステークホルダーの皆様にご満足いただける企業活動を推し進めることにより、企業価値の向上を図ることを経営の基本戦略としております。
(2)経営環境
当社グループのセグメントごとの経営環境は以下の通りであります。
(健診ソリューション事業)
健診ソリューション事業が対面する市場は、法令上で定められた各種健康診断に加え、従業員の高齢化や女性活躍、がんの罹患増等に伴う疾病予防ニーズの拡大を背景に、がん検診や婦人科検診等の各種健診(検診)・人間ドック等の需要が堅調に推移するものと想定しております。また、安全配慮義務や労働生産性の向上、人的資本経営の観点からも、従業員に対する健康投資・ウェルビーイング投資をより一層重要視し、健康診断やメンタルヘルス対策、従業員個人や組織のパフォーマンス向上やエンゲージメント向上等に取り組む企業は増加傾向にあります。
一方で、高齢者医療費の負担増等に伴い、健康保険組合の財政状況の悪化が懸念されており、今後、健康保険組合による健康診断・人間ドックの費用補助条件や検査項目の見直し等が行われる可能性があります。
従い、当社グループは、今後も、主に事業主を顧客ターゲットとして、こうした顧客ニーズの多様化や事業環境の変化を踏まえ、健診に留まらないソリューションメニューの拡充及び高付加価値化を図ってまいります。また、健康診断施設への予約手配や健康診断結果の授受工程等における業務効率化やシステム化、AI活用の拡大を進めるとともに、「Growbase」との連携によるデータ活用の高度化等も推進してまいります。
なお、健康診断の予約、精算代行、健康診断結果のデータ化等を行う健診代行事業者としては、福利厚生企業や労働衛生機関等が競合に該当します。当社グループは、健康診断関連サービスを専業として提供してきた実績を背景に、受診状況の可視化や迅速な結果納品等のきめ細かな対応に加え、データの品質管理体制に強みを有しております。また、クラウド型の健康管理システムを自社で保有しデータ連携が可能であることや、高い専門性を持つカスタマーサクセス部門や情報セキュリティ体制の整備等により、差別化を図っております。これらにより、当社グループのネットワーク健康診断サービスのサービス利用者数推移については、以下の通りとなっております。
年度サービス利用者数
(単位:万件)
2022年3月期26.5
2023年3月期30.9
2024年3月期36.8
2025年3月期38.8
2026年3月期39.8

(健康管理クラウド事業)
健康管理クラウド事業におきましては、大企業を中心に人的資本投資や健康経営の推進、働き方の多様化等が一層重視される中、従業員の健康管理体制を強化したい新規顧客から「Growbase」の受注が継続的に拡大しております。特に大企業においては、メンタル疾患やメンタル不調者が企業における経営課題となりつつある状況も踏まえ、健康診断結果をもとにしたフィジカル面のみならず、メンタル面でのケアが企業に求められてきております。
「Growbase」は、健診結果やストレスチェック結果等、心と身体の状態を一元管理・可視化できる他、勤怠データやその他従業員ウェルビーイングに関わるデータを個人単位で管理することが可能なシステムであり、今後は、これらのデータを用いた組織課題の解決やセルフマネジメントの促進等に資するプラットフォームとして進化をさせることで、今後も加速度的に導入が進んでいくものと想定しております。
また、当社グループは大企業市場における顧客基盤の深耕に加え、成長余地の大きい中堅・中小企業市場への展開を進めております。グループ会社である株式会社あしたのチームとの協業を通じて、中堅・中小企業市場の拡大を図るとともに、人事評価制度構築等の知見を活用し、人的資本経営支援の強化に取り組んでおります。これにより、「Growbase」を起点としたサービス提供の裾野拡大を図っております。
「Growbase」のID数推移については、以下の通りです。
年度ID数(単位:万ID)年度ID数(単位:万ID)
2005年3月期1.62016年3月期17.3
2006年3月期5.02017年3月期21.3
2007年3月期5.42018年3月期22.7
2008年3月期5.42019年3月期29.1
2009年3月期5.42020年3月期53.4
2010年3月期6.82021年3月期64.5
2011年3月期7.32022年3月期86.2
2012年3月期7.92023年3月期118.9
2013年3月期8.62024年3月期148.9
2014年3月期10.62025年3月期174.4
2015年3月期15.12026年3月期183.6

また、SDGsやESGの観点から健康経営に関する取り組みを進める企業も増加しており、こうした企業においては、従業員一人当たりの健康投資額は今後も増加していくものと想定しております。
これらの動きは大企業に留まらず中堅・中小企業にも波及していくものと考えており、法令対応(※1)の高度化や健康管理業務の複雑化を背景に、健康経営・健康管理のデジタルシフトは引き続き進展し、市場規模は継続的に拡大していくものと認識しております。
こうした市場環境の中で、「Growbase」では継続的な機能拡充を通じてユーザビリティの向上を図るとともに、顧客の継続利用を通じた安定したストック収益基盤の構築を進めております。また、メンタルヘルスやeラーニング、組織分析(※2)等への機能拡充に加え、産業医・保健師との連携等によるソリューション提供の拡充を図っております。
※1:健康診断受診率向上や、事後措置の強化、長時間残業面談、労働時間管理等
※2:健康診断結果やストレスチェック等の健康データによる組織毎の分析及び課題抽出の機能
(医療機関等支援事業)
医療機関等支援事業では、主に地域中核病院に対してPET検査用の建物・装置等の賃貸借を行うPET関連事業をおこなっております。その他、協会けんぽ等に加入している企業を対象とした健康診断のBPOサービス等もおこなっております。なお、PET関連事業は2026年3月に契約満了を迎えております。
(3)主要な経営指標
健診ソリューション事業においては、実際に健康診断を受診した人数である健康診断結果のサービス利用者数が財務指標である売上高と連携していることから、サービス利用者数を客観的な指標として採用しております。
また、健康診断の料金は、選択される健康診断コース及び医療機関により顧客毎に売上単価及び仕入単価が変動します。健康診断項目が多いコースや人間ドックが受診されるようになるにつれ、売上単価は高くなります。そのため、全体の売上高を全体のサービス利用者数で割り戻して算出する平均売上単価も当事業の客観的な指標として採用しております。
健康管理クラウド事業においては、類似会社等を参考に当社グループのビジネスモデルをとらえて、契約企業グループ数、ユーザーID数、チャーンレートを客観的な指標としております。なお、客観的な指標の算出方法について、契約企業グループは、当社グループ及び代理店と契約を締結している顧客を指し、顧客が健康保険組合の場合、その組合に属する企業は集計しておりません。ユーザーID数については、Growbaseを利用される対象者従業員数及び顧客の管理担当者数になります。チャーンレートは、当月解約顧客数を前月利用顧客数で除算した月次チャーンレートの平均値を算出しております。
医療機関等支援事業においては、客観的な指標は設定しておりません。
(4)中期経営戦略
職域における健康管理(コーポレート・ウェルネス)市場は、健康経営の実践やSDGs達成に向けた取り組みの進展、働き方の多様化への対応、並びにデジタル化の進展を背景に、企業における健康管理及び人的資本経営への対応ニーズが一層高まっております。また、少子高齢化の進展に伴い、従業員の健康管理に加え、業務パフォーマンスの向上を目的とした健康投資・ウェルビーイング投資への関心も拡大しております。
こうした市場環境の変化に対し、当社グループは大企業市場の深耕を基盤としつつ、中堅・中小企業市場への展開を進めていく方針としております。健康管理クラウドサービスである「Growbase」においては、顧客課題に応じた機能拡充を通じて、メンタルヘルス、eラーニング、組織分析、ラインマネジメントやセルフマネジメント支援等の周辺領域への展開を図るとともに、健康管理BPaaS(※1)による産業医及び保健師の紹介を行い、カウンセリングや健康相談等のソリューション提供の拡充を推進しております。さらに、人的資本経営支援や福利厚生サービス、外部サービスとの連携強化を通じて健康管理プラットフォームとしての機能強化を図り、蓄積されたデータに基づくソリューション開発を進めることで、ACV(※2)の向上を目指しております。
また、2026年2月に連結子会社化した株式会社あしたのチームとの協業により、中堅・中小企業市場における顧客基盤の拡大と人的資本経営の実装支援を推進しております。あわせて、ネットワーク健康診断サービスにおいては、サービスモデルの再構築及びメニューの拡充を通じて高付加価値化を推進し、健康管理クラウド事業との連携による提供価値の最大化を図っております。そのような中で、「Growbase」のプラットフォーム化の推進及びネットワーク健康診断サービス以外にもソリューションサービスを拡大するべく、2026年4月に健康管理クラウド事業をクラウド事業へ、健診ソリューション事業をソリューション事業へとセグメント変更を行いました。
今後は、これらの基盤のもと、産業医や保健師による面談や保健指導、ヘルスケアデータに基づく個人毎に紐づけされた健康情報や健康増進サービスの提供等を可能とするような布石を打つことにより、「企業と人を元気にする。」というビジョンの実現を目指してまいります。
※1:健康管理BPaaSは、健康管理領域における業務プロセスを外部に委託できるクラウドサービスです。BPaaSは、(Business Process as a Service)の略です。
※2:ACVは、顧客1人あたりの年間契約額であり、ACVは、(Annual Contract Value)の略です。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①大企業市場の深耕と中堅・中小企業市場への拡大
当社グループは、20年にわたり健康診断関連サービスを専業として提供してきた実績を有しており、創業時より大企業(主にエンタープライズ企業)を中心に事業を展開してまいりました。2026年3月末時点においては、主要事業において、従業員数1,000~50,000人規模の大企業を中心に約3,500社(※1)との顧客基盤を有しております。
今後も、安定的な収益基盤の維持・強化を目的として、大企業市場の更なる深耕を図るとともに、成長余地の大きい中堅・中小企業市場への展開を進めていく方針であります。そのため、新規営業の強化や、顧客の市場区分やニーズに応じた営業戦略の検討・実践を進めていくほか、2026年2月に連結子会社化した株式会社あしたのチームとの協業も通じて、中堅・中小企業市場の開拓に注力してまいります。
②Growbaseのプラットフォーム化推進及びGrowbaseを起点としたバリューチェーン構築
当社グループは、主力サービスであるGrowbaseを起点として、コーポレート・ウェルネス領域における提供価値の更なる拡大を図るため、プラットフォームとしての機能強化、新規サービスや機能の継続的な企画・開発、並びに関連サービスとの連携拡充に取り組んでおります。これにより、企業の人事部門や健康保険組合等が直面する多様な健康課題の解決を幅広く支援するとともに、企業等の経営課題と結びつく健康管理上の課題に対する解決策を提供し、健康経営の推進を支援いたします。これにより、収益モデルの高度化や顧客単価の向上を目指してまいります。
これらの取り組みを通じて、Growbaseを「企業と人を元気にする。」プラットフォームへと進化させ、コーポレート・ウェルネス領域における提供価値の拡大を推進いたします。
③ソリューション事業の再構築及びメニュー拡充
当社グループは、ソリューション事業において、人件費及び原価の上昇や人材の流動化といった事業環境の変化を踏まえ、安定的かつ持続可能な収益基盤の構築を目的として、事業モデルの再構築及びサービスメニューの拡充を推進しております。
サービス品質レベルに応じた価格体系の見直しを進めるとともに、健診案内から結果還元後までの業務フローにおいて、i-Wellnessを中心としたシステム基盤の強化やGrowbaseとの機能連携、生成AIの実用化によるオペレーションの高度化を図っております。また、産業医・保健師の紹介機能の強化、女性の健康支援やがん検診に関するサービスメニューの拡充等を通じて、健康診断前後の付加価値提供を強化し、ネットワーク健康診断サービス全体の価値向上に注力しております。
④AI活用によるオペレーションエクセレンス、プロセスの高度化
当社グループは、収益性向上に向けた重要課題として、AI活用によるオペレーションエクセレンスの向上に取り組んでおります。主力のソリューション事業においては、業務プロセスの標準化やノンコア業務の外部委託、DX/AX及びBPRの継続的な実行により、固定的な業務負荷の圧縮を進めております。また、AI-OCRや独自開発プログラムに加え、生成AIを活用したシステム化投資を推進し、業務効率及び処理精度の向上を図っております。これにより、一人当たり営業利益は高水準へと向上し、基礎収益力の強化に寄与しております。
一方で、更なる競争力強化に向け、AI活用の拡大による業務高度化が課題であると認識しております。特に、健診結果データ化業務における外注費については、AIの活用を通じて効率化を進め、コスト構造の改善を図ってまいります。また、Growbaseにおいては、蓄積データを活用したAI分析・予測・意思決定支援機能の強化を通じ、管理システムからウェルビーイングデータ活用プラットフォームへの進化を図り、収益拡大につなげてまいります。
⑤非連続成長戦略
当社グループは、持続的な成長の実現に向け、オーガニック成長に加え、M&A等を活用した非連続成長投資の加速を重要な経営課題として認識しております。Growbaseの顧客基盤拡大及びプラットフォーム化を軸に、大企業市場における顧客獲得及び中堅・中小企業市場の開拓を進めるとともに、機能拡充やソリューションメニューの拡張による付加価値向上に取り組んでおります。また、医療機関向けサービスの開発や個人向けサービスの展開、外部AIとの連携を前提とした環境整備等を通じ、事業ポートフォリオの拡大を図っております。
事業環境の変化に対応し、新たな顧客・機能の獲得や新市場開拓を加速度的に推進する必要がある中で、これらを機動的に実現する手段として、M&Aを重要な戦略と位置付けており、これらの取り組みを通じて中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
⑥成長を支える組織改革・人材育成の推進
当社グループは、成長戦略を着実に推進し、事業の持続的な拡大を図るためには、組織体制の進化と人材の育成・確保が重要な課題であると認識しております。
事業拡大に対応するため、2026年4月から事業オーナー制を導入することで、事業ごとに求められる成果に対する責任体制を整理し、組織全体の実行力の向上を図っております。また、非連続成長を牽引・加速することを目的としてCFOの起用、M&Aをはじめとした事業開発やAIを活用したR&Dやプロダクト・サービスの技術開発を牽引するコーポレート領域での高度人材の起用をいたしました。あわせて、営業、カスタマーサポート、システム開発・運用等の各機能における専門人材の採用及び育成を継続的に進めてまいります。また、中長期的な成長を支える人材基盤の構築に向けて、人材採用、適材適所の配置、積極的な登用及び人材育成・研修制度の拡充を進めるとともに、組織や従業員一人ひとりの成果に対し、適切な評価と成長機会の提供を行ってまいります。これらの取組みを通じて、事業成果と従業員一人ひとりの成長の双方を支える組織への変革を推進してまいります。
⑦財務基盤の強化と成長投資・株主還元のバランス
当社グループは、資金需要については、主に自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とした安定的な財務基盤を維持しております。一方で、今後の成長戦略の実行にあたっては、システム開発、人材採用、AI活用、M&A等の非連続成長投資を継続的に検討・実行していく方針であり、これに伴う資金需要の増加や財務リスクの適切な管理についても、重要な財務上の課題と認識しております。
これらの課題に対処するため、上記事業上の課題への対応及び継続的な設備投資を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを図るとともに、既存事業における収益力及び営業キャッシュ・フローの改善等を通じて、財務体質の強化に努めてまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
※1健診ソリューション事業の会社属性及び健康管理クラウド事業の会社マスタの登録数の合算値(同一企業が複数の事業で顧客となっている場合、複数カウント)

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