有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/19 15:00
【資料】
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【項目】
128項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第11期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は869,819千円となり、前事業年度末に比べ167,514千円増加いたしました。流動資産につきましては、821,164千円(前事業年度末比170,145千円増)となりました。これは主に、第三者割当増資による現金及び預金の増加137,101千円及び売掛金の増加32,355千円等によるものです。固定資産につきましては、48,655千円(同2,630千円減)となりました。これは主に、拠点の移転に伴う有形固定資産の増加11,737千円及び敷金の回収による減少13,673千円によるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は247,930千円となり、前事業年度末に比べ67,112千円減少いたしました。流動負債につきましては、209,010千円(前事業年度末比43,483千円減)となりました。これは主に、未払法人税等の減少49,543千円等によるものです。固定負債につきましては、38,920千円(同23,628千円減)となりました。これは長期借入金の返済による減少によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は621,889千円となり、前事業年度末に比べ234,627千円増加いたしました。これは、第三者割当増資に伴う株式発行による増加170,000千円及び当期純利益64,627千円計上によるものです。
第12期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における資産合計は1,036,852千円となり、前事業年度末に比べ167,033千円増加いたしました。流動資産につきましては、976,439千円(前事業年度末比155,275千円増)となりました。これは主に、当第2四半期累計期間に営業活動によるキャッシュ・フローが126,645千円の資金の獲得になったこと、及び新株予約権の行使に際しての払込みが41,250千円発生したことにより、現金及び預金が140,386千円増加したことによるものです。固定資産につきましては、60,413千円(同11,757千円増)となりました。これは主に、投資有価証券の取得等により投資その他の資産が14,720千円増加したことによるものです。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債合計は304,292千円となり、前事業年度末に比べ56,361千円増加いたしました。流動負債につきましては、276,492千円(前事業年度末比67,481千円増)となりました。これは主に、未払法人税等の増加33,171千円及びその他流動負債の増加24,124千円によるものです。固定負債につきましては、27,800千円(同11,119千円減)となりました。これは長期借入金の返済11,119千円による減少です。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は732,560千円となり、前事業年度末に比べ110,671千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使に際しての払込みにより41,250千円増加したこと、及び四半期純利益を69,421千円計上したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第11期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための緊急事態宣言の解除後は段階的な経済活動の再開により一時的な景気回復の兆しも見られるものの、断続的な感染再拡大により新型コロナウイルス感染症の収束時期は見通せず、ウクライナ情勢による地政学的リスクに伴うエネルギー価格上昇や米国金融政策動向の世界経済への影響、生活必需品の値上げなど経済活動の動向は極めて不透明な状況が継続しております。
また、高度化・複雑化が増すビジネス環境下において、企業の経営課題は年々増える一方、企業を支える労働力の面では、少子高齢化という社会問題も相まって働き手が不足している状況です。生産年齢人口は減少する一方で、働き方の多様化が進み外部人材の活用が増加しております。
このように、コロナ禍による経済悪化による企業の人件費削減の流れや、働き方の多様化を背景にプロフェッショナル業務のアウトソーシング化が拡大しております。
このような状況の中、当社は「幸せの懸け橋に~1人でも多くの人を幸せに導く~」という創業理念のもと、経営管理ナレッジシェアを軸とした「経営管理コンサルティングサービス」、「プロフェッショナル人材の紹介」等、公認会計士人材の経験・知見をデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業及び付帯関連事業を拡大しております。
当社が運営する公認会計士等のためのワーキングプラットフォーム「会計士.job」では登録者数が2022年9月時点で3,500名を超え、東京証券取引所の市場再編への対応や急速に変化する事業環境への対応を背景に成長を志向する企業へのご支援を拡大しております。
各企業ともに慢性的な人材不足の状況であり、上場準備を進めるにあたり管理体制整備のノウハウやリソース不足に陥りやすく、IPO支援、リスクマネジメントサービスを中心に当社の提供する各サービスへの問合せが増加し、支援社数も増加しております。
当事業年度は知名度及び社会的信用力の向上を目的として5月30日にTOKYO PRO Marketへ上場いたしました。各サービスへの問合せ対応や将来的な事業拡大のため採用の強化を進めております。その他、決算開示の業務支援に特化したサービスサイト「決算開示ラボ」のリリースや内部監査DXツールとして内部監査支援システム「Riscare」の開発を行い、「プロフェッショナルリソース」との掛け合わせによりあらゆるフェーズの課題を解決できるサービスの開発を進めております。「Riscare」については8月にバックオフィスDXPOへの出展を行い、市場のニーズヒアリングを行いました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,270,624千円(前年同期比比31.0%増)、営業利益は96,092千円(同4.5%減)、経常利益は95,708千円(同6.1%減)、当期純利益は64,627千円(同2.7%減)となりました。
なお、当社はプロシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第12期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
当第2四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症につきましては段階的な経済活動の再開により景気回復の兆しが見られますが、断続的な感染再拡大の懸念もあり、ウクライナ情勢による地政学的リスクに伴うエネルギー価格上昇や、米国金融政策動向の世界経済への影響、生活必需品の値上げなど経済活動の動向は極めて不透明な状況が継続しております。
また、高度化・複雑化が増すビジネス環境下において、企業の経営課題は年々増える一方、企業を支える労働力の面では、少子高齢化という社会問題も相まって働き手が不足している状況です。生産年齢人口は減少する一方で、働き方の多様化が進みプロフェッショナル業務のアウトソーシングが拡大しております。
このような状況の中、当社は「幸せの懸け橋に~1人でも多くの人を幸せに導く~」という創業理念のもと、経営管理ナレッジシェアを軸とした「経営管理コンサルティングサービス」、「プロフェッショナル人材の紹介」等、公認会計士人材の経験・知見をデータベース化・最適配分を通じて、経営管理の課題解決を支援するプロシェアリング事業及び付帯関連事業を拡大しております。
当社が運営する公認会計士等のためのワーキングプラットフォーム「会計士.job」では登録者数が2023年3月時点で3,800名を超え、急速に変化する事業環境への対応を背景に成長を志向する企業へのご支援を拡大しております。
各企業ともに慢性的な人材不足の状況であり、上場準備を進めるにあたり管理体制整備のノウハウやリソース不足に陥りやすく、IPO支援、リスクマネジメントサービスを中心に当社の提供する各サービスへの問合せが増加し、支援社数も増加しております。
各サービスへの問合せ対応や将来的な事業拡大のため採用の強化を進めております。また、日本国内におけるスタートアップ企業の成長とIPOならびにM&A業界のさらなる発展を目的にBridgeIPO/M&ACommunityを立ち上げ、HPやメールマガジンでの業界に関する情報発信やオンラインによるピッチイベントの開催など、成長を志向する企業の支援を拡大してまいります。
以上の結果、当第2四半期累計期間の経営成績は、売上高789,600千円(前年同期比28.7%増)、営業利益101,647千円(同24.6%増)、経常利益101,541千円(同24.7%増)、四半期純利益69,421千円(同36.0%増)となりました。
なお、当社はプロシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第11期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は653,951千円(前期末比137,101千円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は13,713千円(前年同期は141,109千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益95,708千円(前年同期比6,193千円減少)を計上したこと及び法人税等の支払額80,300千円を支出(前年同期は2,544千円の還付)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7,706千円(前年同期は16,284千円の支出)となりました。これは主に本社の移転に伴う敷金及び保証金を14,390千円回収(前年同期は16,284千円差入による支出)しましたが、有形固定資産の取得により17,701千円支出(前年同期は支出なし)したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果調達した資金は131,093千円(前年同期は38,906千円の支出)となりました。これは長期借入金の返済により38,906千円支出(前年同期も38,906千円の支出)しましたが、株式の発行による収入170,000千円(前年同期は収入なし)が大きかったことによるものです。
第12期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は794,337千円(前期末比140,386千円増)となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は126,645千円(前年同期は6,416千円の資金の支出)となりました。これは主に売上債権の増加額19,778千円(前年同期は30,925千円の増加)及び法人税等の支払額2,231千円を支出(前年同期は52,823千円の支出)したものの、税引前四半期純利益101,541千円(前年同期比20,143千円の増加)を計上したこと及び仕入債務の増加額16,261千円(前年同期は11,754千円の増加)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は15,000千円(前年同期は4,910千円の支出)となりました。これは投資有価証券の取得による支出15,000千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果調達した資金は28,741千円(前年同期は150,546千円の調達)となりました。これは長期借入金の返済により12,508千円支出(前年同期は19,453千円の支出)しましたが、株式の発行による収入41,250千円(前年同期は170,000千円の収入)があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、プロシェアリング事業であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載しておりません。
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
第11事業年度及び第12期第2四半期累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第11期事業年度
(自 2021年10月1日
至 2022年9月30日)
第12期第2四半期累計期間
(自 2022年10月1日
至 2023年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
プロシェアリング事業1,270,624131.0789,600
合計1,270,624131.0789,600

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
① 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「会計士.job」の登録者数及び稼働者数、クライアント数×クライント当たり売上高×契約継続率をモニタリングしております。
当事業年度のクライアント数は390社(前年同期比36.4%増)、契約継続率は58.4%(前年同期は59.0%)、パートナー会計士稼働者数は223名(前年同期比7.7%増)となっており、今後も引き続きこれらの指標を伸ばし、これに伴う売上高の増加や営業利益率の向上を目指してまいります。
② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.経営成績の状況の分析
第11期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(売上高)
売上高はリスクマネジメントサービス、アカウンティングサービス、ファイナンシャルアドバイザリー及び人材紹介サービスでは、当社のコンサルタントを徐々に増員したこともあり着実に売上高を伸ばし、1,270,624千円(前年同期比31.0%増)となっております。詳細に関しては「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は583,865千円(前年同期比35.5%増)となりました。これは、上記の売上高を伸ばしたことに伴い売上原価に含まれる外注費(主にパートナー会計士に対する業務委託報酬)が増加したことによるものであり、当事業年度のパートナー会計士稼働者数は223名(同7.7%増)となっております。この結果、売上総利益は686,758千円(同27.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は590,665千円(前年同期比34.7%増)になりました。これは、主に事業拡大に伴い社内人材の採用を積極的に行ったことによる人件費及び採用研修費用が増加したことなどによります。この結果、営業利益は96,092千円(同4.5%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は158千円(前年同期比92.4%減)と大きな発生はありませんでした。営業外費用は542千円(同31.6%減)となりました。これは金融機関からの借入金返済に伴い支払利息が減少したことによるものです。この結果、経常利益は95,708千円(同6.1%減)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計及び当期純利益)
特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税等合計は31,081千円(前年同期比12.4%減)となりました。この結果、当期純利益は64,627千円(同2.7%減)となりました。
第12期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
(売上高)
売上高は、リスクマネジメントサービス及び人材紹介サービスで当社のコンサルタントを徐々に増員したこともあり着実に売上高を伸ばし789,600千円となりました。概ね計画どおりに進捗しております。詳細に関しては「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は340,015千円となりました。これは、上記の売上高を伸ばしたことに伴い売上原価に含まれる外注費が増加したことによるものであります。その結果、売上総利益は449,585千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は347,937千円になりました。この結果、営業利益は101,647千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は57千円と大きな発生はありませんでした。営業外費用は163千円となりました。これは金融機関からの借入金返済に伴い支払利息が減少したことによるものです。この結果、経常利益101,541千円となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計及び四半期純利益)
特別利益及び特別損失の発生はありませんでした。法人税等合計は32,119千円となりました。この結果、四半期純利益は69,421千円となりました。
b.財政状態の状況の分析
財政状態の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報の記載
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。フリーキャッシュフローは6,007千円のプラスとなりました。また、地方銀行系ファンド等への第三者割当増資を実施しました。
当社の運転資金需要の主なものは、「会計士.job」登録者に対する業務委託料のほか、当社の人材採用、維持に係る人件費を含む販売費及び一般管理費等です。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と財源を確保しながら、必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。必要に応じてエクイティファイナンス等による資金調達を検討します。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。