有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/09/21 15:00
【資料】
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【項目】
128項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
ビジョン(Vision)
人と産業の可能性を、解き放つ
(Unleash the potential of every person and industry on the planet)
『新たな地図を描くように、価値を生み出す「機会」や「場」を世界中に創り出したい』
創業者が世界の多くの国や都市を旅し、ビジネスを通じて抱いた想いによって、「Atlas(地図)」という名を冠した「Atlas Technologies」は創業されました。そんな私たちのビジョンは「人と産業の可能性を解き放つ」ことです。テクノロジーの力によって、世界中の人・組織・産業が本来持っている力を最大限に発揮できる豊かな社会を実現したいと考えています。
ミッション(Mission)
あらゆる産業とFintechの融合
(To offer seamless solutions for embedding Fintech across all industries)
インターネットによって、人類は地球規模で情報を低コストに伝達できるようになりました。
その一方、日々生み出される経済的・社会的価値が世界中で途切れることなく移動し、交換されるためには、いまなお多くの課題があります。
私たちは、従来の金融機関のみならず、あらゆる産業がFintechと融合することで、決済・送金・投資・融資・預金・会計・保険・証券など従来の金融のあらゆる領域がテクノロジーによって再定義され、その結果創造された価値が世界中をなめらかに移動し、人と産業の可能性が解き放たれる社会を実現したいと考えています。
Set of Values(5つの価値観)
① Challenge the Possibilities(可能性に挑戦しよう)
自分たち自身が奮い立つような高い目標を成し遂げよう。解は必ずあると信じて行動する。
② Build Leadership(全員がリーダーであろう)
ゴールを掲げ、自らがチームの先頭を走ろう。勇気をもって決め、相手が行動を起こせるように伝える。
③ Act As One(一丸となってコトを成そう)
個人では成し遂げられないような驚くべきことをチームで実現しよう。
④ Have Integrity(常に誠実さを持とう)
顧客・パートナー・同僚、そして自分自身に誠実で謙虚であろう。
⑤ Keep It Fun(日常に遊び心を)
自らがその日常を楽しいと思えるような機会や場を創り出そう。余裕やユーモアをもって行動する。
(2) 経営環境
当社の主要事業であるコンサルティング及びプロジェクト実行支援サービスを提供するデジタルソリューション事業分野においては、国内コンサルティング市場規模が2025年には1兆2,551億円(出典:IDC Japan「国内ビジネスコンサルティング市場予測、2021年から2025年(2021年)」)、国内DX市場規模も2030年には3兆425億円(出典:富士キメラ総研「2020デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)にまで拡大し、今後も右肩上がりで成長が続くものと予想されております。
また、グローバルにおけるFintechの潮流として、産業の垣根を超えたFintechとの融合により、既存の金融機関に加えて、金融サービスを提供する企業においても新たな事業機会を見出すために、自社サービスへのFintechの組み込みを活発化する動きがみられます。
国内におけるFintech領域の動向においても、収益力の向上や効率化、複雑化する金融領域への対応など、金融サービスに関係する企業や組織は様々な課題を抱えており、業界環境の変化やテクノロジーの進化といったマクロトレンドの影響を受け、デジタル活用の必然性が急速に高まっています。
金融サービスに関係する企業や組織は、限られたリソースの中で、このように複雑・高度化するFintech領域において、様々な課題に直面しています。
このような状況の中、様々な課題を解決するアプローチとしてのFintechコンサルティング及び実行支援サービスに係るニーズは大きいと認識しており、Fintech領域に強みをもつ当社のコンサルタントが、クライアント企業のFintech事業の戦略立案から実行までを一気通貫で支援することで、Fintechサービスの立ち上げやサービス強化を実現しております。
その結果、新規クライアントの獲得に加えて、既存のクライアント基盤におけるプロジェクトの受注が拡大しており、全体の売上高に占める継続クライアント(注:前期に取引があり、当期においても引き続き取引が継続しているクライアント)からの売上比率としては、2020年12月期が95.8%、2021年12月期が98.4%となっております。また、継続クライアントの2021年12月期の売上高は、前年比で78.7%の成長率となっております。
(3) 中長期的な経営戦略
当社では、中長期的な経営戦略として、次の3つを推進してまいります。
① サービスの高付加価値化と優秀な人材の採用/育成
② 新規クライアント獲得と既存クライアントの深耕
③ 活動エリアの拡大とサービス分野の強化

① サービスの高付加価値化と優秀な人材の採用/育成
コンサルティングサービスの高付加価値化により契約単価を向上させるとともに、優秀な人材の採用/育成などによりコンサルタント人数の増加および稼働率の向上を図ります。

② 新規クライアント獲得と既存クライアントの深耕
各業界のリーディングカンパニーとの先進的なプロジェクト経験によって得られたノウハウ・ナレッジを他プレイヤーへも再現性をもって展開します。
クライアントからの高い信頼に基づき、1社あたり複数のプロジェクトを継続的に支援し、プロジェクトの層をさらに積み上げます。

③ 活動エリアの拡大とサービス分野の強化
国内の主要エリアへの拡大に加えて、世界中のFintech領域の企業や組織が集積するシンガポールを拠点とした東南アジアへの事業展開を推進します。また、Fintech領域の決済・送金・融資といった現状注力する戦略分野に加えて、投資・預金・保険・証券分野なども強化します。

当社は、主要クライアントである大手通信キャリアに加えて、カード会社・決済代行会社・総合商社・総合サービス企業・SIer・小売企業・国際ブランド企業・国際送金企業などの多くのプロジェクト実績があり、Fintechを活用する国内外全ての業種・業態の企業が当社の潜在的なクライアントとなり得ます。事業の収益力向上や効率化、新たな事業機会を見出すことなどを目指す新たな業種・業態のクライアントを今後獲得していくことにより、クライアントポートフォリオの多様化を図ります。

(4) 目標とする経営指標
当社では、持続的な成長と企業価値の向上を経営上の重要課題と認識しており、主な経営指標として、成長性については売上高、企業価値の向上については売上総利益及び営業利益を重視しております。
特に売上高については、継続クライアント数及びその売上高、継続クライアントの売上高成長率、新規クライアント数及びその売上高、新規プロジェクト数及びその売上高を事業KPIとして継続的に確認及び分析しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主な課題は、以下の項目と考えております。
① 優秀な人材の確保
当社の企業規模拡大及び持続的な成長を推進するためには、Fintech分野の知識と経験を豊富に持つコンサルタントを中心とした優秀な人材を採用・育成することが必要不可欠であると考えております。そのために、当社では積極的な採用活動を推進し、当社のビジョンやミッション等を理解し、スピード感を持って事業を推進することができる人材を獲得してまいります。また、高い経験値を得られるプロジェクトへの参画や社内研修の充実などに加えて、社員がより働きやすい環境づくりを推進してまいります。
② 取引先及び取引額の拡大
当社のデジタルソリューション事業のクライアントは、大手通信キャリアを中心とした取引先からの収益が多くを占めておりますが、業界におけるリーディングカンパニーとの先進的なプロジェクト経験によって得られたノウハウ・ナレッジを、国内外においてFintech事業を展開しているもしくは今後展開を検討している企業に対し、再現性をもって活用してまいります。
また、既存の取引先については、クライアントからの高い信頼に基づき、1社あたり複数のプロジェクトを継続的に支援することにより、取引額の拡大を推進してまいります。
③ コンサルティング力強化による付加価値向上と大型案件並びに新たな事業・サービスの創出
当社は、コンサルティング業務を通じてクライアントとともに課題解決に取り組んでおり、Fintechに関連する顧客業界の市場特性や課題解決に直結する分析などの知識や経験が豊富に蓄積されております。これらの知見を活かして、高付加価値のコンサルティングを提供するほか、プロジェクト経験やグローバルにおける最先端動向の研究などを通じて得られる知見のナレッジ化・アセット化を推進することにより、大型案件の獲得や新たな事業・サービスの開発につなげてまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社は成長段階にあり、今後もより一層の企業規模拡大及び持続的な成長を見込んでおります。そのために、企業規模拡大に応じた内部管理体制の更なる強化が必要であると認識しております。具体的には、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の強化、内部監査の実施等によるコンプライアンス体制の強化、内部統制報告制度の適用等も踏まえた内部統制の継続的な改善及び強化並びにリスクマネジメントの強化などを図ってまいります。
⑤ 事業拡大を支える財務基盤の構築
当社はこれまで金融機関からの借入を行ったことがなく、資金需要は自己資金により賄い、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉に手元流動性を確保してまいりましたが、今後の事業拡大及び事業上の課題に対する対処により、更なる資金需要が生じると考えております。そのため、資金調達方法の多様化と柔軟な流動性確保を図るため、金融機関との良好な関係を構築し、資金調達が必要な場合には適時適切に対応することを検討致します。