有価証券報告書-第7期(2021/11/01-2022/10/31)

【提出】
2023/01/25 13:53
【資料】
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【項目】
101項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が継続しているものの、ワクチン接種の普及や各種政策の効果等により、経済活動の正常化に向けた動きが見受けられます。
一方で、不安定な国際情勢等による急速な円安の進行や資源価格の高騰等により、企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が継続しております。
当社を取り巻く事業環境としましては、eスポーツ市場は堅調に拡大しており、ゲーム総合情報メディア「ファミ通」によれば、国内eスポーツ市場規模は2020年の66.8億円から、2024年には184.2億円まで拡大する見込みです。
このような事業環境の中で、当社は「eスポーツの力を信じ、価値を創造し、世界を変えていく。」をミッションに掲げ、売上の多くを占めるクライアントワークサービスを主軸に、パートナーソリューションサービス、ビジネスデザインサービスの3つのサービス提供を通じ、eスポーツ市場の拡大と発展に取り組んでまいりました。
この結果、当事業年度における売上高は2,050,703千円(前期比22.7%増)、営業利益は211,070千円(前期比64.5%増)、経常利益は227,954千円(前期比73.2%増)、当期純利益144,696千円(前期比75.7%増)となりました。
当社の事業セグメントは単一セグメントでありますが、サービス別の売上高の概況は次の通りであります。
a クライアントワークサービス
ゲームメーカーをはじめとしたクライアントに対し、eスポーツイベントの企画・運営を行っております。eスポーツ専業の会社として対象となるゲームに愛をもってやりこみ、ゲームメーカー、参加するeスポーツ選手、視聴者の三者の視点から品質の高いeスポーツイベントをつくることを得意としております。単なるeスポーツイベントの受託にとどまらず、コミュニティをつくり、寄り添いながらともに成長していくという経験もしており、コミュニティに信頼されるイベントづくりを心掛けております。コミュニティとの信頼関係が多数の案件獲得につながり、その中で最先端の技術・ノウハウが蓄積され、結果として高品質・高付加価値なサービスの提供が可能となっております。
eスポーツ市場が堅調に拡大していく中、上期において新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一部イベントの延期等もありましたが、下期においては延期されたイベントが順次再開されました。
この結果、クライアントワークサービスの売上高は、1,400,695千円(前期比2.7%増)となりました。
b パートナーソリューションサービス
eスポーツ選手・実況者・解説者・インフルエンサー等に対して、スポンサー企業の紹介及びeスポーツイベントのマッチング等のエージェント業務を提供しております。eスポーツ専業の会社としてコミュニティに寄り添う当社のブランド価値を活かして、多くのeスポーツ選手・実況者・解説者・インフルエンサーとの接点、関係値を深めていき、彼らを通して影響力を拡大させております。
eスポーツ市場の成長に伴い、選手・実況者・解説者・インフルエンサーの活躍の機会も増加しております。当社においては、彼らの「ゲームプレイ」や「実況」の動画を配信・投稿する活動を支援する「OC GAMES」サービスをクリーク・アンド・リバー社と協業で当期より開始しました。
この結果、パートナーソリューションサービスの売上高は、520,484千円(前期比69.5%増)となりました。
c ビジネスデザインサービス
eスポーツの新たな価値を創造するサービスやコンテンツを企画・開発することを目的として、当事業年度よりサービスを開始しております。eスポーツを他分野の領域とかけあわせたイベントを企画・運営、地方自治体と組み新規プロジェクトを立ち上げるなど、新規市場の開拓を目指しております。
この結果、ビジネスデザインサービスの売上高は、129,522千円となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は770,046千円となり、前事業年度末に比べ254,411千円増加いたしました。主な要因は、売上の増加による現金及び預金の増加155,245千円、事業拡大に伴う売掛金の増加45,450千円によるものであります。固定資産は281,125千円となり、前事業年度末に比べ24,052千円減少いたしました。主な要因は、のれんの償却による減少20,426千円によるものであります。
この結果、総資産は1,051,171千円となり、前事業年度末に比べ230,359千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は547,048千円となり、前事業年度末に比べ56,442千円減少いたしました。主な要因は、1年内返済予定の関係会社長期借入金の減少245,000千円、事業拡大に伴う未払法人税等の増加60,648千円によるものであります。固定負債は230,005千円となり、前事業年度末に比べ142,105千円増加いたしました。主な要因は、長期借入金の増加142,105千円によるものであります。
この結果、総負債は777,053千円となり、前事業年度末に比べ85,663千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は274,118千円となり、前事業年度末から144,696千円増加しました。当期純利益の計上144,696千円により利益剰余金が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ155,244千円増加し、212,358千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は249,888千円(前年同期は14,482千円の資金の支出)となりました。これは主に増加要因として税引前当期純利益227,954千円、前受金の増加額55,495千円等があった一方で、減少要因として売上債権の増加額64,601千円、棚卸資産の増加額37,413千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16,857千円(前年同期は254,183千円の資金の支出)となりました。これは主に減少要因として固定資産の取得による支出22,221千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は62,690千円(前年同期は96,211千円の資金の獲得)となりました。これは主に増加要因として長期借入れによる収入200,000千円があった一方で、関係会社長期借入金の返済による支出245,000千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
該当事項はありません。
b 受注実績
第7期事業年度における受注実績は次のとおりであります。なお、当社はeスポーツ事業の単一セグメントのため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第7期事業年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
クライアントワークサービス1,655,179101.1571,731180.2
合計1,655,179101.1571,731180.2

c 販売実績
第7期事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はeスポーツ事業の単一セグメントのため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第7期事業年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
販売高(千円)構成比(%)前期比(%)
クライアントワークサービス1,400,69568.32.7
パートナーソリューション
サービス
520,48425.469.5
ビジネスデザインサービス129,5226.3
合計2,050,703100.022.7

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先第6期事業年度第7期事業年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
㈱DouYu Japan265,49015.9
㈱フジテレビジョン210,74910.3
Epic Games, Inc.208,35210.2

(注) 第6期事業年度の㈱フジテレビジョン及びEpic Games, Inc.、並びに第7期事業年度の㈱DouYou Japanの販売実績及び総販売実績に対する割合につきましては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や・収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
なお、当社の財務諸表で採用しております重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
財政状態の状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
b 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、2,050,703千円(前期比22.7%増)となりました。eスポーツ市場の拡大に伴い、eスポーツ選手・実況者・解説者・インフルエンサーの活躍の機会が増え、キャスティングなどイベント以外の収益源の拡大が寄与しています。
(売上原価及び売上総損益)
当事業年度の売上原価は1,396,128千円(前期比20.1%増)売上総利益は654,574千円(前期比28.6%増)となりました。eスポーツ市場の成長による事業規模及び採用の拡大による稼働人員の増加とイベント受託の案件数増加に伴う外注費が増加したことにより売上原価が増加したものの、それを上回る売上高の増加により過去最高の売上総利益額を達成しました。この結果、売上高総利益率は31.9%となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業損益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は443,504千円(前期比16.5%増)、営業利益は211,070千円(前期比64.5%増)となりました。eスポーツ市場の成長による事業規模及び採用の拡大で販管費が増加したものの、それを補った上で、過去最高の営業利益額を達成しました。この結果、売上高営業利益率は10.3%となりました。
(営業外損益及び経常損益)
当事業年度において、コロナ禍における助成金による収入が一時的に発生したこと等により、営業外収益は19,589千円(前期比175.5%増)となりました。また、支払利息により、営業外費用は2,705千円(前期比29.1%減)となりました。この結果、経常利益は227,954千円(前期比73.2%増)となりました。
(特別損益及び当期純損益)
当事業年度においては、特別損益は発生せず、法人税等合計として83,258千円(前期比69.0%増)を計上しました。
この結果、当期純利益は144,696千円(前期比75.7%増)となりました。
c 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの分析)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の運転資金需要のうち主なものは、外注費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。当社は、財政状態や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等で資金調達していく方針です。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討してまいります。
d 経営戦略の現状と見通し
今後のわが国の経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、国や自治体による各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されております。また、ライブ・エンタテインメントやイベント企画、展示会運営、関連プロモーションなどは持ち直しの動きがみられ、当社を取り巻く事業環境の追い風になるものと考えております。
このような状況の中、当社は、事業構造の最適化の過程で収益基盤を強化しながら、既存サービスの売上拡大と利益率向上を図る予定であります。
具体的には、クライアントワークサービスにおいては、顧客ニーズに合わせたeスポーツイベントの設計を行うだけでなく、当社ならではの演出技術と安定した運営の提供により、サービスの品質向上を促進してまいります。
パートナーソリューションサービスにおいては、クリエイターサポートを通じてクリエイター数を増やしていくと共に、スポンサー仲介等のメニューによりクリエイターそのものの価値を向上させてまいります。
ビジネスデザインサービスにおいては、既存事業におけるノウハウを活かし、eスポーツと他領域を掛け合わせたサービスの創出、テクノロジーを活用したプラットフォームの構築を目指してまいります。
今期の業績見通しにつきましては、売上高2,708,000千円(前期比32.1%増)、営業利益251,000千円(前期比18.9%増)、経常利益249,000千円(前期比9.2%増)、当期純利益165,000千円(前期比14.0%増)を見込んでおります。
e 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社では、①売上高、②売上高営業利益率を重視しております。売上高は当社グループの成長性、売上高営業利益率はその成長の持続可能性を測る目安として重要視しております。
指標第6期事業年度
(実績)
第7期事業年度
(実績)
第8期事業年度
(計画)
売上高1,671,476千円2,050,703千円2,708,000千円
売上高営業利益率7.7%10.3%9.3%

売上高は、eスポーツ市場の堅調な成長に加え、2021年2月の株式会社ライゼストとの合併に伴う業界での影響力やサービス品質の向上等が寄与し、売上の多くを占めるイベント受託が拡大傾向にあります。また、eスポーツ市場の拡大に伴い、eスポーツ選手・実況者・解説者・インフルエンサーの活躍の機会が増え、キャスティングなどイベント以外の収益源も拡大しております。売上高営業利益は、合併による人件費増加等がある一方、売上高の増加に伴い上昇傾向にあります。
f 経営者の問題認識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。