有価証券報告書-第11期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は5,061,674千円となり、前事業年度末に比べ236,889千円減少いたしました。これは主として、現金及び預金が25,031千円増加したものの、前事業年度末に完了した案件の代金回収により売掛金が128,346千円、前事業年度末に仕掛となっていた大型案件の完了により棚卸資産が138,886千円減少したことによります。固定資産は1,307,955千円となり、前事業年度末に比べ90,938千円増加いたしました。これは主として、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース資産が22,035千円、前事業年度より進めてまいりました品質管理システムの更新によりソフトウエアが17,905千円、繰延税金資産が55,433千円増加したことによります。
この結果、総資産は6,369,629千円となり、前事業年度末に比べ145,950千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は3,063,861千円となり、前事業年度末に比べ2,292千円増加いたしました。これは主として、前事業年度に大型案件で調達した商品等の支払いにより買掛金が100,203千円、テクニカルセンターの移転、拡充に伴う工事費用の支払いにより未払金が78,190千円減少したものの、自治体を中心とした保守サービスの増加に伴い前受金が106,422千円、翌事業年度の賞与支給額増額分の積立てにより賞与引当金が94,103千円増加したことによります。固定負債は1,554,942千円となり、前事業年度末に比べ15,472千円増加いたしました。これは主として、役員の退任による退職金の支払いにより固定負債その他が10,633千円減少したものの、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース債務が20,849千円、退職給付引当金の積立てにより退職給付引当金が11,566千円増加したことによります。
この結果、負債合計は4,618,804千円となり、前事業年度末に比べ17,765千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,750,825千円となり、前事業年度末に比べ163,716千円減少いたしました。これは主として、自己株式の取得529,872千円、当期純利益512,872千円、剰余金の配当146,717千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は27.5%(前事業年度末は29.4%)となりました。
②経営成績の状況
わが国経済は、2025年3月の政府の月例経済報告によると、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」とあります。
2024年の春季労使交渉においては、33年ぶりとなる高水準の賃上げ率となり、所得環境が改善される一方、食料品など身近な物価の上昇が個人消費の伸びを緩やかなものに留まらせています。また、急激な円安、原材料価格高騰、人件費高騰によって一部企業に影響が出ているものの、観光、インバウンド需要は回復傾向にあります。
2024年8月には日経平均株価が前日終値比4,451円と12.4%下落し、1987年10月20日の暴落幅を超え過去最大となりました。2025年1月にはドナルド トランプ氏がアメリカの第47代大統領に就任し、1週間で30を超える大統領令に署名しました。地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱、政府機関における多様性の撤回等の大幅な政策転換を進め、外国からの輸入品に課す「関税」と、アメリカ国内の企業への「減税」によって、貿易赤字の削減や製造業の強化を目指す姿勢を示しています。今後これらの政策が日本経済及び当社に及ぼす影響は不透明であり、注視していく必要があると感じております。
当社を取り巻くIT市場においては、人材不足の中、生産性向上や収益拡大のためのDX推進を目的としたIT支出が拡大しており、それに伴い当社にも多くの需要がありました。
当事業年度は、2024年4月に77名の新卒社員を迎えスタートしました。4月から12月にかけては、医療DXの推進に伴い、訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認用の機器の導入が進みました。また、介護機器の導入やデジタル化に利用できる助成金・補助金である、介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの販売も順調に進み、当事業年度において当社の成長を牽引いたしました。また、電子カルテ標準化に向けた動きの中で、電子カルテの販売と併せて病院施設内のネットワーク構築、セキュリティ対策等の需要が増加しており、対応件数の増加が当社エンジニアのスキルアップにもつながっております。
2024年2月に東京都江戸川区臨海町に移転、拡充したテクニカルセンターでは、ショールームとしての機能を活かし、年間71件の見学会を開催し、新規案件の受託に繋がっております。
2024年7月には前事業年度の進捗で明らかになった課題への対策を検討したうえで、最重要テーマを「成長と収益力向上」とした新中期経営計画を発表しました。当社はこの3年間を事業基盤拡大の3ヶ年と位置付けております。初年度である当事業年度においては、医療DX、教育DX、自治体DX、企業DX等の推進に伴う需要に積極的に対応していくことで、着実に事業基盤を拡大してまいりました。
当社の成長は人材が鍵を握ることから、当事業年度においても新卒及び中途社員の採用、教育、エンジニアの育成に注力しながら、従業員満足度の向上にも努めてまいりました。この効果により、当事業年度の離職率は5.9%と、前事業年度から2.6ポイント改善いたしました。また、新中期経営計画に織り込み済みの人的投資の一環として、翌事業年度の賞与支給額を従来の3か月から4か月に増やすべく、賞与引当金の積立て金を増額いたしました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高16,904,476千円(前年同期比4.7%増)、営業利益687,690千円(同9.7%増)、経常利益691,573千円(同8.9%増)、当期純利益512,872千円(同24.9%増)となりました。
当事業年度は、第3四半期において中部支店の移転等を、第4四半期において渉外用端末の修理受付拠点として稼働している拠点を、機器の保守終結とともに閉鎖することを決定したため、移転後継続使用しない資産を減損損失として特別損失に計上いたしました。
セグメントの業績は、次の通りであります。
なお、「セグメント利益」は、本源的な事業の業績を図るために、本社管理部門の販売費及び一般管理費配賦前の営業損益を示しており、各報告セグメントの全社への貢献を明確化した利益指標であります。
保守サービス事業
保守サービス事業では、システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービス等を提供しております。
事業の主軸であるウィーメックス株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータの保守は、既存顧客の機器リプレース時に契約形態を当社と顧客がメディコムハード保守契約を直接締結する方式から、顧客とウィーメックス株式会社が保守契約を締結し、ウィーメックス株式会社から当社がハードに係る保守を受託し保守料を受領するシステムサポート契約方式への切り替えが、当事業年度においても進んだため、売上実績は減少傾向にあります。一方でこの契約方式になることで、これまで未契約であった顧客との契約締結が促進されていることから、契約件数は増加傾向にあり、利益は増加しております。
ウィーメックス株式会社製品の保守以外では、ソリューション事業において設置展開した訪問看護ステーション向けオンライン資格確認用機器の保守件数が増加し、売上が拡大いたしました。また、クリニックや調剤薬局で導入された自動精算機の保守案件の増加、新たな医療機器の保守を一部エリアにて開始したほか、空港内におけるシステムの保守も本格的に全国に拡大いたしました。引き続き既存取引先であるメーカーからの保守エリア拡大要請、小売店ネットワーク機器保守の拡大、医療機器メーカーからの保守やヘルプデスク等の運用保守依頼も増加し、事業全体は順調に成長しております。
この結果、当事業年度の業績は、売上高4,923,593千円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益873,014千円(同12.2%増)となりました。
(図1)
ソリューション事業
ソリューション事業では、主要取引先である日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめ、全国の企業、官公庁からの依頼により、IT機器の販売、設計・構築、設置展開作業を受注しております。
当事業年度は、2024年12月に訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認及びオンライン請求が義務化されるのに伴い、導入に必要なレセプト作成用のソフト、パソコン、ネットワーク回線整備の需要が増加し、本社及び全国の拠点において対応してまいりました。また、2025年10月にWindows10のサポートが終了することに伴う、パソコンの新規導入や入替えに係る案件も徐々に増えてまいりました。
また、介護事業所向け介護機器の導入やデジタル化に利用できる介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの導入が進みました。
医療DXの推進に伴い、病院における電子カルテ導入及びネットワーク構築の依頼が増えており、それに伴いエンジニアのスキル向上が図れております。更に医療機関におけるネットワークセキュリティへの意識向上に伴い、当社の医療機関向けサイバーセキュリティ対策商品である「MSK@あんしんバックアップサービス」の導入が多くありました。
そのほか、教育DXの推進に伴う電子黒板導入や、教育機関専用インターネット回線「MSK@ひかり」の需要、情報通信量の増加に伴い、低軌道衛星を用いた大容量通信を可能とする「Starlink」の設置工事の依頼も増加しました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高9,815,785千円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益789,532千円(同9.9%増)となりました。
人材サービス事業
人材サービス事業では、2025年3月31日時点で263名が従事しております。当社エンジニアの努力により既存取引先において、スキルや対応力が評価され、当事業年度において増員の依頼を頂くことができました。この結果派遣従事者数は、前事業年度より6名増加しております。
配置転換や育児休業取得等により、派遣従事者数は第2四半期末日時点よりは減少しておりますが、派遣単金増額の効果により、売上高は前年同期比で増加しております。
IT人材が不足する中、既存及び新規取引先より派遣要請がありますので、今後も継続して採用活動及び派遣従事者のケアに取り組むとともに、ジョブローテーションにより派遣人員の増員を図ります。
この結果、当事業年度の業績は、売上高2,165,097千円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益304,061千円(同1.7%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,534,412千円となり、前事業年度末に比べ25,031千円増加いたしました。
なお、当事業年度における各活動によるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、921,745千円の増加(前事業年度は、1,134,931千円の増加)となりました。これは主として、税引前当期純利益675,566千円の収入、介護見守りシステム等の期末大型案件代金回収に伴う売上債権の減少による収入106,931千円、前事業年度末に仕掛となっていた訪問看護ステーション向けオンライン資格確認端末導入等の案件の進捗に伴う棚卸資産の減少による収入138,886千円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、186,750千円の減少(前事業年度は、114,046千円の減少)となりました。これは主として、テクニカルセンターの入居工事及び備品購入等に伴う有形固定資産の取得による支出110,455千円、品質管理システムの入れ替え等に伴う無形固定資産の取得による支出60,069千円、中部支店の移転等に伴う敷金の差入による支出23,205千円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、709,963千円の減少(前事業年度は、441,097千円の減少)となりました。これは主として、配当金の支払い146,108千円、自己株式の購入による支払534,872千円があったことによります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については発生しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
イ.経営成績
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ロ.財政状態
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、営業活動で得られた資金を財源としております。大規模なシステム・整備への投資に伴い資金の不足が見込まれる場合には金融機関からの借入による手当を想定しております。また、ソリューション事業の拡大に伴い、大型案件の商品調達に係る資金需要が見込まれますが、こちらについても金融機関からの借入により所要資金の確保を行ってまいります。
季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関2行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,000,000千円であり、当事業年度において、本契約に基づく当座貸越残高は1,000,000千円となっております。
また、当社の現金及び現金同等物により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益及び営業利益率を設定し、経営上の目標としております。
売上高は保守サービス事業、ソリューション事業においてはDX推進により機器の販売案件の増加、それに付随する保守案件の増加等により順調に伸長しております。人材サービス事業は派遣単金アップの交渉が成功したことにより売上高は前年同期比で増加しましたが、セグメント利益については派遣者の育児休暇取得や休業、人事ローテーション等の影響があり前年同期比98.3%となりました。価格転嫁の交渉等の成果もあり、営業利益率は前年同期比で0.2%改善し、4.1%となりました。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は5,061,674千円となり、前事業年度末に比べ236,889千円減少いたしました。これは主として、現金及び預金が25,031千円増加したものの、前事業年度末に完了した案件の代金回収により売掛金が128,346千円、前事業年度末に仕掛となっていた大型案件の完了により棚卸資産が138,886千円減少したことによります。固定資産は1,307,955千円となり、前事業年度末に比べ90,938千円増加いたしました。これは主として、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース資産が22,035千円、前事業年度より進めてまいりました品質管理システムの更新によりソフトウエアが17,905千円、繰延税金資産が55,433千円増加したことによります。
この結果、総資産は6,369,629千円となり、前事業年度末に比べ145,950千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は3,063,861千円となり、前事業年度末に比べ2,292千円増加いたしました。これは主として、前事業年度に大型案件で調達した商品等の支払いにより買掛金が100,203千円、テクニカルセンターの移転、拡充に伴う工事費用の支払いにより未払金が78,190千円減少したものの、自治体を中心とした保守サービスの増加に伴い前受金が106,422千円、翌事業年度の賞与支給額増額分の積立てにより賞与引当金が94,103千円増加したことによります。固定負債は1,554,942千円となり、前事業年度末に比べ15,472千円増加いたしました。これは主として、役員の退任による退職金の支払いにより固定負債その他が10,633千円減少したものの、2025年10月のWindows10のサポート終了を見据えた段階的な業務用パソコンの入替えによりリース債務が20,849千円、退職給付引当金の積立てにより退職給付引当金が11,566千円増加したことによります。
この結果、負債合計は4,618,804千円となり、前事業年度末に比べ17,765千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,750,825千円となり、前事業年度末に比べ163,716千円減少いたしました。これは主として、自己株式の取得529,872千円、当期純利益512,872千円、剰余金の配当146,717千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は27.5%(前事業年度末は29.4%)となりました。
②経営成績の状況
わが国経済は、2025年3月の政府の月例経済報告によると、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。」とあります。
2024年の春季労使交渉においては、33年ぶりとなる高水準の賃上げ率となり、所得環境が改善される一方、食料品など身近な物価の上昇が個人消費の伸びを緩やかなものに留まらせています。また、急激な円安、原材料価格高騰、人件費高騰によって一部企業に影響が出ているものの、観光、インバウンド需要は回復傾向にあります。
2024年8月には日経平均株価が前日終値比4,451円と12.4%下落し、1987年10月20日の暴落幅を超え過去最大となりました。2025年1月にはドナルド トランプ氏がアメリカの第47代大統領に就任し、1週間で30を超える大統領令に署名しました。地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱、政府機関における多様性の撤回等の大幅な政策転換を進め、外国からの輸入品に課す「関税」と、アメリカ国内の企業への「減税」によって、貿易赤字の削減や製造業の強化を目指す姿勢を示しています。今後これらの政策が日本経済及び当社に及ぼす影響は不透明であり、注視していく必要があると感じております。
当社を取り巻くIT市場においては、人材不足の中、生産性向上や収益拡大のためのDX推進を目的としたIT支出が拡大しており、それに伴い当社にも多くの需要がありました。
当事業年度は、2024年4月に77名の新卒社員を迎えスタートしました。4月から12月にかけては、医療DXの推進に伴い、訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認用の機器の導入が進みました。また、介護機器の導入やデジタル化に利用できる助成金・補助金である、介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの販売も順調に進み、当事業年度において当社の成長を牽引いたしました。また、電子カルテ標準化に向けた動きの中で、電子カルテの販売と併せて病院施設内のネットワーク構築、セキュリティ対策等の需要が増加しており、対応件数の増加が当社エンジニアのスキルアップにもつながっております。
2024年2月に東京都江戸川区臨海町に移転、拡充したテクニカルセンターでは、ショールームとしての機能を活かし、年間71件の見学会を開催し、新規案件の受託に繋がっております。
2024年7月には前事業年度の進捗で明らかになった課題への対策を検討したうえで、最重要テーマを「成長と収益力向上」とした新中期経営計画を発表しました。当社はこの3年間を事業基盤拡大の3ヶ年と位置付けております。初年度である当事業年度においては、医療DX、教育DX、自治体DX、企業DX等の推進に伴う需要に積極的に対応していくことで、着実に事業基盤を拡大してまいりました。
当社の成長は人材が鍵を握ることから、当事業年度においても新卒及び中途社員の採用、教育、エンジニアの育成に注力しながら、従業員満足度の向上にも努めてまいりました。この効果により、当事業年度の離職率は5.9%と、前事業年度から2.6ポイント改善いたしました。また、新中期経営計画に織り込み済みの人的投資の一環として、翌事業年度の賞与支給額を従来の3か月から4か月に増やすべく、賞与引当金の積立て金を増額いたしました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高16,904,476千円(前年同期比4.7%増)、営業利益687,690千円(同9.7%増)、経常利益691,573千円(同8.9%増)、当期純利益512,872千円(同24.9%増)となりました。
当事業年度は、第3四半期において中部支店の移転等を、第4四半期において渉外用端末の修理受付拠点として稼働している拠点を、機器の保守終結とともに閉鎖することを決定したため、移転後継続使用しない資産を減損損失として特別損失に計上いたしました。
セグメントの業績は、次の通りであります。
なお、「セグメント利益」は、本源的な事業の業績を図るために、本社管理部門の販売費及び一般管理費配賦前の営業損益を示しており、各報告セグメントの全社への貢献を明確化した利益指標であります。
保守サービス事業
保守サービス事業では、システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービス等を提供しております。
事業の主軸であるウィーメックス株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータの保守は、既存顧客の機器リプレース時に契約形態を当社と顧客がメディコムハード保守契約を直接締結する方式から、顧客とウィーメックス株式会社が保守契約を締結し、ウィーメックス株式会社から当社がハードに係る保守を受託し保守料を受領するシステムサポート契約方式への切り替えが、当事業年度においても進んだため、売上実績は減少傾向にあります。一方でこの契約方式になることで、これまで未契約であった顧客との契約締結が促進されていることから、契約件数は増加傾向にあり、利益は増加しております。
ウィーメックス株式会社製品の保守以外では、ソリューション事業において設置展開した訪問看護ステーション向けオンライン資格確認用機器の保守件数が増加し、売上が拡大いたしました。また、クリニックや調剤薬局で導入された自動精算機の保守案件の増加、新たな医療機器の保守を一部エリアにて開始したほか、空港内におけるシステムの保守も本格的に全国に拡大いたしました。引き続き既存取引先であるメーカーからの保守エリア拡大要請、小売店ネットワーク機器保守の拡大、医療機器メーカーからの保守やヘルプデスク等の運用保守依頼も増加し、事業全体は順調に成長しております。
この結果、当事業年度の業績は、売上高4,923,593千円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益873,014千円(同12.2%増)となりました。
(図1)
ソリューション事業ソリューション事業では、主要取引先である日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめ、全国の企業、官公庁からの依頼により、IT機器の販売、設計・構築、設置展開作業を受注しております。
当事業年度は、2024年12月に訪問看護ステーションにおけるオンライン資格確認及びオンライン請求が義務化されるのに伴い、導入に必要なレセプト作成用のソフト、パソコン、ネットワーク回線整備の需要が増加し、本社及び全国の拠点において対応してまいりました。また、2025年10月にWindows10のサポートが終了することに伴う、パソコンの新規導入や入替えに係る案件も徐々に増えてまいりました。
また、介護事業所向け介護機器の導入やデジタル化に利用できる介護ロボット導入活用支援事業補助金、ICT導入支援事業補助金、IT導入補助金を活用した介護ソフトや見守りシステムの導入が進みました。
医療DXの推進に伴い、病院における電子カルテ導入及びネットワーク構築の依頼が増えており、それに伴いエンジニアのスキル向上が図れております。更に医療機関におけるネットワークセキュリティへの意識向上に伴い、当社の医療機関向けサイバーセキュリティ対策商品である「MSK@あんしんバックアップサービス」の導入が多くありました。
そのほか、教育DXの推進に伴う電子黒板導入や、教育機関専用インターネット回線「MSK@ひかり」の需要、情報通信量の増加に伴い、低軌道衛星を用いた大容量通信を可能とする「Starlink」の設置工事の依頼も増加しました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高9,815,785千円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益789,532千円(同9.9%増)となりました。
人材サービス事業
人材サービス事業では、2025年3月31日時点で263名が従事しております。当社エンジニアの努力により既存取引先において、スキルや対応力が評価され、当事業年度において増員の依頼を頂くことができました。この結果派遣従事者数は、前事業年度より6名増加しております。
配置転換や育児休業取得等により、派遣従事者数は第2四半期末日時点よりは減少しておりますが、派遣単金増額の効果により、売上高は前年同期比で増加しております。
IT人材が不足する中、既存及び新規取引先より派遣要請がありますので、今後も継続して採用活動及び派遣従事者のケアに取り組むとともに、ジョブローテーションにより派遣人員の増員を図ります。
この結果、当事業年度の業績は、売上高2,165,097千円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益304,061千円(同1.7%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,534,412千円となり、前事業年度末に比べ25,031千円増加いたしました。
なお、当事業年度における各活動によるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、921,745千円の増加(前事業年度は、1,134,931千円の増加)となりました。これは主として、税引前当期純利益675,566千円の収入、介護見守りシステム等の期末大型案件代金回収に伴う売上債権の減少による収入106,931千円、前事業年度末に仕掛となっていた訪問看護ステーション向けオンライン資格確認端末導入等の案件の進捗に伴う棚卸資産の減少による収入138,886千円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、186,750千円の減少(前事業年度は、114,046千円の減少)となりました。これは主として、テクニカルセンターの入居工事及び備品購入等に伴う有形固定資産の取得による支出110,455千円、品質管理システムの入れ替え等に伴う無形固定資産の取得による支出60,069千円、中部支店の移転等に伴う敷金の差入による支出23,205千円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、709,963千円の減少(前事業年度は、441,097千円の減少)となりました。これは主として、配当金の支払い146,108千円、自己株式の購入による支払534,872千円があったことによります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 保守サービス事業(千円) | 4,923,593 | 103.7 |
| ソリューション事業(千円) | 9,815,785 | 106.1 |
| 人材サービス事業(千円) | 2,165,097 | 100.8 |
| 合計(千円) | 16,904,476 | 104.7 |
(注)1.セグメント間の取引については発生しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ウィーメックス株式会社 | 2,489,070 | 15.4 | 2,547,366 | 15.1 |
| KDDI株式会社 | 1,335,351 | 8.3 | 1,270,444 | 7.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
イ.経営成績
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ロ.財政状態
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、営業活動で得られた資金を財源としております。大規模なシステム・整備への投資に伴い資金の不足が見込まれる場合には金融機関からの借入による手当を想定しております。また、ソリューション事業の拡大に伴い、大型案件の商品調達に係る資金需要が見込まれますが、こちらについても金融機関からの借入により所要資金の確保を行ってまいります。
季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関2行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,000,000千円であり、当事業年度において、本契約に基づく当座貸越残高は1,000,000千円となっております。
また、当社の現金及び現金同等物により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益及び営業利益率を設定し、経営上の目標としております。
売上高は保守サービス事業、ソリューション事業においてはDX推進により機器の販売案件の増加、それに付随する保守案件の増加等により順調に伸長しております。人材サービス事業は派遣単金アップの交渉が成功したことにより売上高は前年同期比で増加しましたが、セグメント利益については派遣者の育児休暇取得や休業、人事ローテーション等の影響があり前年同期比98.3%となりました。価格転嫁の交渉等の成果もあり、営業利益率は前年同期比で0.2%改善し、4.1%となりました。