有価証券届出書(新規公開時)

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2023/02/22 15:00
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154項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第10期連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う断続的な緊急事態宣言発令の影響により、経済活動の抑制を余儀なくされました。今後についてもワクチン接種の進展に伴い経済回復への兆しが徐々みられていたものの、新たな変異ウイルス、オミクロン株の発生により新規感染者数は急速に再拡大しており、先行きは未だ不透明な状況が続くものと見込まれております。
当社グループを取り巻く経営環境におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための各種活動の自粛・制限が依然なされておりますが、オンライン環境での教育提供のニーズは高まっており、当社グループの提供するオンラインでのビジネス英会話レッスン「Bizmates」においては、有料会員顧客数も好調に推移しております。
以上の結果、売上高2,452,113千円(前年同期比28.7%増)、営業利益267,407千円(前年同期比77.1%増)、経常利益261,742千円(前年同期比93.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益184,503千円(前年同期比94.3%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
(ランゲージソリューション事業)
新たな生活様式の浸透等により、オンライン環境での教育提供のニーズが高まっていることから、売上高は2,404,264千円(前年同期比29.0%増)、セグメント利益は769,980千円(前年同期比27.8%増)となりました。
(タレントソリューション事業)
当事業は当社グループの新規事業であり、現状では先行投資期間であること、また、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化の影響を受け、企業の採用意欲の低下によるクライアント企業獲得数の鈍化などにより売上高は47,848千円(前年同期比16.4%増)、セグメント損失は129,318千円(前年同期はセグメント損失123,093千円)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は895,816千円となり、前連結会計年度末に比べ307,054千円増加いたしました。これは主に利益の増加等により現金及び預金が285,317千円増加したことによるものであります。
固定資産は295,141千円となり、前連結会計年度末に比べ62,540千円増加いたしました。これは主に自社開発によりソフトウエア等が38,903千円増加したことに加え、将来減算一時差異の増加により繰延税金資産が20,241千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,190,957千円となり、前連結会計年度末に比べ369,595千円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は615,856千円となり、前連結会計年度末に比べ156,518千円増加いたしました。これは主に販売費及び一般管理費の増加に伴い未払金が94,703千円増加し、また、新規借入の実施により1年内返済予定の長期借入金が29,835千円増加したことに加え、利益の増加に伴い未払法人税等が29,845千円増加したことによるものであります。
固定負債は107,550千円となり、前連結会計年度末に比べ23,192千円増加いたしました。これは主に新規借入の実施により長期借入金が20,541千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は723,407千円となり、前連結会計年度末に比べ179,711千円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は467,550千円となり、前連結会計年度末に比べ189,884千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益184,503千円を計上したことによるものであります。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2022年1月1日 至 2022年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、ウクライナ情勢等による地政学リスクの高まりや米国金利の上昇、エネルギー価格の高騰により景気減退リスクが増加している状況にあります。
オンライン語学学習市場におきましては、コロナウイルス感染症による巣ごもり需要の特需は落ち着いたものの、引き続き堅調な成長率を維持しております。
このような経済環境の中、当社グループの主力事業であるランゲージソリューション事業は、「ビジネス特化型オンライン英会話」の一層の認知拡大を目指すと共に、グローバルIT人材の採用・転職支援等を行うタレントソリューション事業との相互補完関係の強化を行い全社的な事業拡大を推進しております。
以上の結果、売上高は2,072,499千円、営業利益は270,125千円、経常利益は261,104千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は170,027千円となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
(ランゲージソリューション事業)
一般家庭の高速通信環境整備の普及やオンライン語学学習の認知拡大により、市場のニーズは高まっており売上高は1,997,032千円、セグメント利益は670,780千円となりました。
(タレントソリューション事業)
昨今のIT人材不足を背景にIT・デジタル人材を採用する企業の動きは活発ですが、当事業は、現状は先行投資期間と捉えており、売上高は75,467千円、セグメント損失は77,556千円となりました。
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は906,023千円となり、前連結会計年度末に比べ10,207千円増加いたしました。これは主にタレントソリューション事業の売上高が増加したことに伴い売掛金が増加したことによるものであります。
固定資産は307,768千円となり、前連結会計年度末に比べ12,627千円増加いたしました。これは主に自社利用のソフトウエア開発の進捗に伴うソフトウエア仮勘定の増加によるものであります。
この結果、総資産は1,213,792千円となり、前連結会計年度に比べ22,835千円増加いたしました。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は512,296千円となり、前連結会計年度末に比べ103,560千円減少いたしました。これは主にランゲージソリューション事業部における売上高増加に伴う契約負債の増加があった一方で、借入金の返済による1年内返済予定の長期借入金の減少、支払いによる未払金や未払法人税等の減少などによるものであります。
固定負債は54,740千円となり、前連結会計年度末に比べ52,809千円減少いたしました。これは主に借入金の返済による長期借入金の減少によるものであります。
この結果、負債合計は567,037千円となり、前連結会計年度末に比べ156,370千円減少いたしました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は646,755千円となり、前連結会計年度末に比べ179,205千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第10期連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、固定資産等の取得による支出や借入金の返済による支出等がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上261,642千円等、業績が好調に推移した要因により、前連結会計年度末に比べ292,705千円増加し、当連結会計年度末の残高は811,093千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は316,543千円(前年同期は291,675千円の収入)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前当期純利益261,642千円(前年同期比127,106千円増加)、減価償却費36,635千円(前年同期比3,324千円増加)の計上や、事業拡大に伴う取引規模の増加に起因した未払金の増加額87,208千円(前年同期比42,664千円増加)等があった一方で、減少要因として前払費用の増加額16,320千円(前年同期比11,976千円増加)、法人税等の支払額67,657千円(前年同期比47,162千円増加)等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は69,275千円(前年同期は74,436千円の支出)となりました。これは主に、工具、器具及び備品等の有形固定資産の取得による支出13,312千円(前年同期比470千円増加)、自社システムの機能拡充等、開発案件の増加に伴うソフトウエア仮勘定等の無形固定資産の取得による支出54,805千円(前年同期比23,491千円増加)等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は41,249千円(前年同期は49,849千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が109,624千円(前年同期比223千円減少)あったものの、長期借入れによる収入が160,000千円(前年同期比110,000千円増加)となったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、インターネットを利用したオンラインレッスンの提供や人材紹介業等を事業としており、提供するサービスには生産に該当する事項はありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第10期連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
第11期第3四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
ランゲージソリューション事業2,404,264129.01,997,032
タレントソリューション事業47,848116.475,467
合計2,452,113128.72,072,499

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(b)経営成績の分析
第10期連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,452,113千円となり、前連結会計年度と比較して547,079千円増加(前年同期比28.7%増)となりました。これは主に、主要事業であるランゲージソリューション事業において、オンライン環境での教育ニーズの増加や、積極的なマーケティング活動等の影響により有料会員数が増加したことにより売上高が前連結会計年度と比較して540,328千円増加し、2,404,264千円(前年同期比29.0%増)となったことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価につきましては、646,189千円となり、前連結会計年度と比較して130,708千円増加(前年同期比25.4%増)となりました。主な要因は、ランゲージソリューション事業においてオンライン英会話レッスンの提供回数が増えたことにより、トレーナーへの業務委託費が前連結会計年度と比較して85,924千円増加し570,354千円(前年同期比17.7%増)となったことによるものであります。
この結果、売上総利益は前連結会計年度と比較して416,371千円増加し、1,805,924千円(前年同期比30.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比較して299,943千円増加し、1,538,516千円(前年同期比24.2%増)となりました。これは主に、人員増加に伴い給料及び手当が前連結会計年度と比較し54,250千円増加し、420,269千円(前期比14.8%増)となり、また、マーケティング活動を積極的に行った結果、広告宣伝費についても前連結会計年度と比較し53,073千円増加し、314,879千円(前年同期比20.3%増)となったことによるものであります。
この結果、営業利益は267,407千円(前年同期比77.1%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は1,332千円(前年同期比4.5%減)、営業外費用は6,998千円(前年同期比58.6%減)となりました。営業外費用の減少は、主に海外子会社で発生する為替換算の際に生じる為替差損計上額が前連結会計年度と比較し8,783千円減少したことによるものであります。
この結果、経常利益は261,742千円(前年同期比93.2%増)となりました。
(法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税につきましては、97,307千円(前年同期比83.0%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が261,642千円(前年同期比94.5%増)となったことによるものであります。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は184,503千円(前年同期比94.3%増)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2022年1月1日 至 2022年9月30日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高は2,072,499千円となりました。これは主に、ランゲージソリューション事業の売上高によるものであります。前期の巣ごもり消費による特需は落ち着きを見せているものの、有料会員数は依然として増加し続けており、売上高は堅調な推移となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価につきましては、528,997千円となりました。これは主にランゲージソリューション事業におけるトレーナーへの業務委託費であります。
この結果、売上総利益は、1,543,502千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は主に人件費、広告宣伝費、業務委託費等により1,273,377千円計上し、この結果、営業利益は270,125千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は1,483千円、営業外費用は為替差損9,716千円等を計上し10,504千円となり、この結果、経常利益は261,104千円となりました。
(特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する四半期純利益)
特別損失についてはソフトウエア仮勘定の除却により固定資産除却損を4,759千円計上しました。
法人税等合計につきましては、86,316千円を計上し、その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は170,027千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フローの状況)
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの主な資金需要は、業容拡大に対応するための人件費の増加、英会話レッスン提供に係る業務委託報酬の支払いや、ブランド力や認知度向上のための広告宣伝費支出等となります。また、サービス品質向上やIT基盤、セキュリティ強化のためのシステム開発投資なども積極的に行っておりますが、これらにつきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入等により対応していくこととしております。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えうるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、判断時には予期しえなかった事象等の発生により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、売上総利益、売上総利益率、営業利益、営業利益率及びビジネス特化型オンライン英会話レッスン「Bizmates」の累積有料会員数を重視しております。
各指標の推移は以下のとおりであります。
2020年12月期2021年12月期前年同期比
売上高(千円)1,905,0332,452,113128.7%
売上総利益(千円)1,389,5531,805,924130.0%
売上総利益率72.9%73.6%+0.7ポイント
営業利益(千円)150,980267,407177.1%
営業利益率7.9%10.9%+3.0ポイント

「Bizmates」の累積有料会員数については当社の主要サービスの売上高を構成する要素の中でも、主要な経営指標として考えております。2021年度は前期比で15,284人増・125.2%となり、依然高い伸び率を示していると考えており、当該指標は堅調に推移しているものと認識しておりますが、今後もWebマーケティングやターゲット含有率の高いメディア出稿等、効果的な広告宣伝等の活動により新規会員を獲得していくことや、システム開発等によるサービス拡充により顧客満足度の最大化に努め、累積有料会員数の増加を図ってまいります。
累積有料会員数推移(単位:人)
0202010_001.png※累積有料会員数は新規有料会員獲得数の積上げで算定しており、会員登録後、休会・退会となった人数が含まれております。
また、法人契約は契約アカウント数を集計しております。