有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/02/16 15:00
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141項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第37期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日まで、以下当期)におけるわが国経済は、米中対立の激化や新型コロナ感染拡大の長期化等の不確定要素により、景気の先行きに対する不安が継続しております。
当社が属するIT関連業界においては、引き続き企業のIT投資が拡大傾向にあるとともに、IoTやAI、RPAなど、最先端のIT技術を活用した新たな市場も立ち上がりつつありますが、事業環境は非常に不透明となっています。
こうした事業環境の中、当社においては、他社と差別化する為の独自性のあるサービス提供へ向けた積極的な取り組みや新たな市場の開拓等に注力し、企業価値の向上に努めてまいりました。
この結果、当期の売上高は3,231,681千円(前期比14.4%の増加)となり、創立以来の最高額となりました。また稼働率の改善やコスト削減を行った結果、営業利益132,447千円(前期比144.0%の増加)、経常利益137,513千円(前期比116.1%の増加)、当期純利益は、94,275千円(前期比190.2%の増加)といずれも大幅増益となりました。
各セグメントの業績につきましては、次のとおりです。
ⅰ)検証事業
当社の検証事業では、ソフトウエア開発の各工程において、テストの設計及び実行から改善提案に至るまで、顧客企業のソフトウエア品質向上のためのサービスを提供しております。
当期においては、同業他社と差別化を図るために昨年より継続してテストの自動化を推進してまいりました。複数の顧客の自動化を受託し、実績をあげることができました。その結果、セグメント売上高は1,989,074千円(前期比8.6%の増加)、セグメント利益は255,433千円(前期比4.0%の増加)と増収増益の結果となりました。
ⅱ)開発事業
当社の開発事業では、自社開発パッケージ製品の販売及びカスタマイズ、受託システム開発、セキュリティ関連製品の販売が主な事業内容となっております。
当社の開発事業においては、従前より株式会社大塚商会のERP「SMILEシリーズ」の開発及びカスタマイズを中心に行っております。特に鋼材業・木材業向けといたしまして、「SMILEシリーズ」で機能する業種テンプレートを自社開発し、これらの販売・サポートについても、パートナー企業との連携強化に注力し展開してまいりました。
また、諏訪センターにおいては、その他複数の大手ベンダー製パッケージソフトウエアの受託開発を手掛けることで、幅広い製品をラインナップすることにより受注の安定につなげております。
さらに自社セキュリティ製品の「monoPackシリーズ」は、新型コロナ感染拡大が長期化する中、政府によるテレワークの推奨に伴い、受注が増加致しました。一方でイベント関係及び教育関係の受注が減少致しました。これらの結果として、セグメント売上高は1,242,607千円(前期比25.1%の増加)、セグメント利益は178,725千円(前期比545.6%の増加)と増収増益の結果となりました。
第38期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策により抑制されていた経済活動が徐々に再開されており、サービス産業などを中心に景況感が好転する兆しが見え始めたものの、原材料価の高騰に加えロシア・ウクライナ情勢の長期化や、原材料の供給不足に加えて、グローバルでの金利調整などを背景とした円安進行や物価上昇による家計や企業への影響もあり、経済状況の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供するソフトウエア関連市場においては、産業界全体にDX(デジタルトランスフォーメーション)という概念が浸透し、引き続き企業のIT投資意欲が拡大傾向にあること加え、コロナ禍の対策としての働き方改革が加速し、先端のIT技術を活用した新たな市場もたちあがりつつあります。
こうした事業環境の中、当社においては、他社と差別化するための独自性のあるサービス提供へ向けた積極的な取り組みや新たな市場の開拓に注力し、企業価値の向上に努めてまいりました。
これらの結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高2,613,774千円、営業利益188,813千円、経常利益193,369千円、四半期純利益128,098千円となりました。
各セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
ⅰ)検証事業
当社の検証事業では、ソフトウエア開発の各工程において、テストの設計及び実行から改善提案に至るまで、顧客企業のソフトウエア品質向上のためのサービスを提供しております。また、同業他社と差別化を図るために昨年より継続してテストの自動化を推進してまいりました。顧客のテスト自動化を受託し、実績をあげることができました。
これらの結果、当第3四半期累計期間における売上高は1,569,995千円、セグメント利益287,100千円となりました。
ⅱ)開発事業
当社の開発事業では、自社開発パッケージ製品の販売及びカスタマイズ、受託システム開発、セキュリティ関連製品の販売が主な事業内容となっております。
当社の開発事業においては、従前より株式会社大塚商会のERP「SMILEシリーズ」の開発及びカスタマイズを中心に行っております。特に鋼材業・木材業向けといたしまして、「SMILEシリーズ」で機能する業種テンプレートを自社開発し、これらの販売・サポートについても、パートナー企業との連携強化に注力し展開してまいりました。
また、諏訪センターにおいては、その他複数の大手ベンダー製パッケージソフトウエアの受託開発を手掛けることで、幅広い製品をラインナップすることにより受注の安定につなげております。
さらに自社セキュリティ製品の「monoPackシリーズ」は、新型コロナ感染拡大が長期化する中、政府によるテレワークの推奨に伴い、引き続き堅調に推移しております。これらの結果、当第3四半期累計期間においては、売上高は1,043,779千円、セグメント利益は243,350千円となりました。
② 財政状態の状況
第37期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ60,544千円増加し、1,311,550千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ16,093千円減少し、1,022,199千円となりました。固定資産は、前事業年度末に比べ76,638千円増加し、289,351千円となりました。固定資産の主な増加要因は、土地の購入によるものです。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ43,909千円減少し、589,461千円となりました。主な減少要因は、受注損失引当金54,177千円が減少したことによるものです。固定負債は205,641千円となり、前事業年度末に比べ1,650千円減少し、205,641千円となりました。主な原因は、社債の減少が32,000千円、長期借入金の増加24,992千円、資産除去債務の増加6,103千円などによるものです。
(純資産)
当期の純資産は、前期末に比べ106,105千円増加し、516,447千円となりました。これは繰越利益剰余金が75,531千円増加したことによるものです。
第38期第3四半期累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べ132,254千円増加し、1,154,453千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が102,448千円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ2,455千円減少し、286,896千円となりました。この主な要因は、有形固定資産の増加2,910千円、投資有価証券の増加2,413千円、保険積立金の増加3,526千円、繰延税金資産の減少10,594千円によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べ54,704千円増加し、644,165千円となりました。この主な要因は、買掛金の増加26,136千円、未払費用の増加21,227千円によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ31,949千円減少し173,691千円となりました。この主な要因は、社債の減少10,000千円及び長期借入金の減少17,048千円によるものです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ107,044千円増加し、623,492千円となりました。これは主に四半期純利益125,132千円の計上および配当金の支払17,790千円によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
第37期事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下資金という)は、前事業年度末に比べ111,830千円減少し、442,152千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と各増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は32,828千円となりました。これは主に、税引前当期純利益135,578千円を計上しましたことと、売上債権の増加による減少82,973千円、受注損失引当金の減少による減少54,177千円、棚卸資産の増加による減少6,225千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は89,698千円となりました。これは主に、事業に必要な土地等の有形固定資産の取得による支出66,696千円、差入保証金の差入による支出8,049千円、定期預金の増加による減少6,700千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は10,697千円となりました。これは主に、長期借入による収入50,000千円、株式の発行による収入30,000千円がある一方で、社債の償還による支出32,000千円、配当金の支払額17,040千円、長期借入金の返済による支出15,000千円等があったことによるものです。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社の提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
② 受注実績
当社では、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前年同期比(%)
検証事業(千円)1,989,074108.6
開発事業(千円)1,242,607125.1
合計(千円)3,231,681114.4

(注)1.最近2事業年度及び当第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第38期第3四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
(株)大塚商会565,99020.0781,89624.2608,66623.3

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積による不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は、3,231,681千円となり、前事業年度に比べ407,737千円増加(対前年度比14.4%増)となりました。これは検証事業・開発事業の両事業において堅調に拡大したことに加え、特に開発事業においては、自社製品の「monoPackシリーズ」の受注が増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、2,704,314千円となり、前事業年度に比べ288,123千円増加(対前年度比11.9%増)となりました。また、売上総利益は527,366千円となり、前年度に比べ119,614千円増加(対前年度比29.3%増)となりました。売上総利益率については、当事業年度で16.3%となり、前事業年度に比べて1.9ポイント向上いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は394,919千円となり、前事業年度に比べ41,449千円の増加(対前年度比11.7%増)となりました。これは主に、支払報酬が15,178千円、給与及び手当が6,306千円増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は132,447千円となり、前事業年度に比べ78,164千円の増加(対前年度比144.0%増)となりました。営業利益率については、当事業年度で4.1%となり、前事業年度1.9%に比べ2.2ポイント向上いたしました。
(経常利益)
当事業年度において、助成金収入2,691千円及び受取手数料1,800千円を含め営業外収益を6,911千円計上いたしました。一方で営業外費用を1,844千円計上いたしました。この結果経常利益は137,513千円となり、前事業年度に比べ73,888千円の増加(対前年度比116.1%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、税引前当期純利益は135,578千円(対前年度比146.8%増)となり、法人税等が41,303千円計上された結果、当期純利益は94,275千円(対前年度比190.2%増)となりました。
b.財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用に係る費用や、人件費等の製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。
当事業年度における資金の主な増減要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当社は、「常にお客様の目線で考え、IT技術を通じて顧客の成長に貢献します。」「社員一人一人の能力と価値を尊重し、公平に評価します。」「地域社会、業界、有益な社会事業に貢献し環境・資源の保護に努めます。」「健全な利益を確保し、成長事業に投資し、株主に適切な利益貢献をします。」を企業理念のもと、優秀な人材を集め、市場で必要とされる製品・サービスを創造し、それらを利用頂くことにより社会貢献してまいりたいと考えております。そのために、当社は高い収益性をもって成長し続けることを目標としており、成長性と収益性、効率性のバランスを取りながら経営を行ってまいります。
具体的な目標と致しまして、売上高成長率、売上高営業利益率を掲げております。売上高成長率は、企業及び事業規模の拡大と継続的な成長を示す指標として、また、営業利益率は本業によって適切な利益が生み出されているかを判断する指標として重視しております。これらの指標を高水準で維持していくことを目標とし、企業価値の最大化を図ってまいります。なお、直近2事業年度の代表的な指標の予想値、実績値及び達成率の推移は以下の通りであり、引き続き堅調に増加拡大するものとみております。
2021年3月期2022年3月期
予想実績達成率予想実績達成率
売上高成長率(%)109.1100.191.8106.2114.4107.7
売上高営業利益率(%)3.21.959.43.34.1124.2