有価証券報告書-第14期(2022/12/01-2023/11/30)

【提出】
2024/02/29 15:27
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

対処すべき課題

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針及び経営戦略
当社は、代表取締役社長である大谷光徳が、2008年4月、名古屋市中区に創業したことが始まりであります。2009年12月に当社を設立し、現在、愛知県名古屋市を本拠地とし、立呑み店をメインに運営しております。
企業理念等は下記のとおりです。
(企業理念)
ひとつでも多くの笑顔と笑い声に出会いたい
(スローガン)
10坪のイノベーションを起こす!!
(キーワード)
LTVを最大化する。
お客様一人一人の人生に色を加える、名脇役に徹する。
(ビジョン)
永続・300店舗・上場企業
企業として存続し続けること・全国で300店舗を達成し、最もパブリックな企業を目指します。
(ミッション)
giving a little happiness
日常的な幸せを数多く提供し、サポーター数ダントツNo.1を目指します。
(提供価値)
「公民感」
公民館のような人々の身近な存在、生活の一部になりうるような空間を提供する。
「安心感」
衛生面で「安全」「清潔」であること。そして「どこで何を食べてもおいしい」を提供する。
「お得感」
「料理」「パフォーマンス」「雰囲気」で感動を与え、付加価値を最大化させる。
「特別感」
すべての人々が、我々の「応援者代表」を感じられるような距離感を提供する。
当社は、10坪という「小箱」を上手く活用した席数を限定しない立呑みスタイルにて、不況にも強く気軽に入れる低単価により、テーマパークや記念日のお祝いのような非日常的なサービスではなく「365日いつでも気軽に立ち寄れる」場を提供することをコンセプトに事業を運営しております。このため、ターゲットは30代~50代の単身のサラリーマンの方々をメインとしております。
また、当社では、1坪当たりの収益を最大化させ、リスクを最小化させるというモデルを実現し展開しております。具体的には、30坪で月商1,000万円を出店し続けることは、坪数が大きくなれば大きくなるほど家賃は上昇するため、固定費が高まり、損益分岐点が上昇し、一定の客数が見込めない場合には相応のリスクとなりますが、10坪で月商350万円であれば3店舗(合計1,050万円)を出店し続けることは、坪数が小さくなればなるほど家賃は下降し、固定費が下がるため、損益分岐点が下降し、単店として利益化しやすくなります。そしてその店舗で一定の利益が見込むことができれば、増店の判断がしやすくなり、リスクの低減となります。こうした中、当社では、4坪からの出店が可能であり、他社が狙えない物件の空間利用ができます。坪数が小さくなれば、家賃比率も低くなります。また、今後、ブランド価値を高め空中階の座りパターン、主要ではない駅周辺での10坪の座りカウンターのみのパターン等も出店可能になれば、出店候補地はさらに増加していくことが想定されます。
メインである商材の「串焼き(焼きとん)」については、流行り廃りがなく、創作にも適しており、時代の変化に左右されません。グランドメニューについても、比較的調理が簡単な構成になっており、厨房面積を減らすことができるため、これにより客席を更に広く取ることができ、また、スピード提供が可能となっております。価格の面でも、1本99円(税込)からと低価格での提供を実現しており、来店ハードルの低さに繋がっております。また、メイン業態では「焼きとん大黒」に加え、コンセプトはすべて同じで「海鮮、天ぷら」に商材を変えただけの業態である「立呑み魚椿」も同時に展開しており、BSEのような大きな食材リスクに対する回避策として、業態間の切り替えができる体制であります。
一方、新型コロナウイルス感染症の流行によってアルコール業態が打撃を受けたことを踏まえ、小箱で得た厨房図面のノウハウ、食材ルートや目利きを活かし、さらにDX化させることで今までとは異なる全く新しいサービスモデル「焼肉デラックス」の事業確立を目指し、育成しております。将来的には、アルコール業態では狙えなかった、新しいターゲット層と新しい物件でのビジネス展開が可能となります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、既存店の成長、新規出店拡大により売上効率の最大化を図り、安定的かつ持続的な成長を目指しております。また、これらを実現するための主要なKPI(Key Performance Indicator)として「既存店成長(常連客数(年間に60回以上来店してくださる常連客))」、「既存店成長(既存店売上高前年対比)」、「新店出店(直営店店舗数)」を重要な経営指標としております。
(3) 経営環境
外食産業を取り巻く環境は、生活費節約意識の高まりによる外食機会の減少、食の安全性に対する消費者意識の高まりや低価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。特に近年では、若年層を中心にアルコール離れが進んでいるとされ、居酒屋業界の市場環境における先行きの厳しさに拍車をかけています。
そんな中、新型コロナウイルス感染症の第8波による感染再拡大の影響を受けておりましたが、2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが新型インフルエンザ等感染症から季節性インフルエンザと同等の5類感染症に引き下げられたことにより、経済活動は徐々に回復に向かっております。
外食産業におきましては、人出の回復が見られるものの、国際情勢悪化等に伴う原材料やエネルギー等の価格高騰等が継続しており未だ厳しい状況が続いております。
このような状況の中、当社は各店舗考案によるイベント等を実施し、より多くのお客様に楽しんで頂けるよう取り組んでおります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 人財採用・教育
当社が成長を続けていくためには、今後、優秀な人財の確保が必要不可欠と考えております。当社の企業理念を理解し、賛同した人財の採用を最重要課題とし、中途採用だけでなくスカウト採用にも積極的に取り組んでまいります。また、一人ひとりの適材適所を見極め、労力に対する成果を最大化させるとともに、外食産業に限らない経験豊富な人財の招聘等により、変化する経営環境に対し柔軟に対応できる組織を目指します。
人財教育に関しては、理念の浸透が一番だと考え、特に重要な位置づけとなる店長及び現場スタッフに対しては教育プログラムを強化し、店舗運営力の更なる向上に取り組んでまいります。
② 新規出店の推進
現在、名古屋市内、関東地域、広島市内、仙台市内(FC店)での事業展開を行っており、ドミナント戦略の観点からは、既存エリアにおいても出店の余地はあるものの、今後は、更に新たな地域への出店も視野に入れて、継続的な成長を目指してまいります。
近年、時代の変化とともに、面積の広い物件よりも小さな物件に対する注目度が集まっており、物件の獲得段階における競争が高まっているため、最適な物件の獲得が最重要課題となっております。
③ 既存店売上の維持向上
外食産業は、参入が比較的に容易であることから、企業間競争が激しい事に加え、個人消費の動向に影響を受けやすく、市場が中食へ傾いているのが現状です。
その中で当社は、「LTV(Life Time Value)を最大化する」をコンセプトに事業展開を進め、地元のお客様に長く愛され、記憶に残る時間、空間を提供し続けていくことが、繁盛店維持の鍵であると考えております。
親しみのある串焼き、刺身、天ぷらというコンテンツと、通いやすい、入店しやすい金額設定の業態モデル、そこに顔なじみの店員をプラスすることで、他社との差別化及び「代わりの利かない店」を目指し、収益の確保に望んでまいります。今後も、味は勿論のこと、通いがいのある空間をお客様に提供できるよう社員教育を徹底し、お客様満足度を高めていくことにより、既存店売上高の継続的な維持向上を実現できるようなマネジメントに取り組んでまいります。
④ 衛生・品質管理の強化、徹底
当社では、セントラルキッチンにおいて、お客様に提供する食材の仕入及び加工を行っており、食の安全に関して重い社会的責任が課されているものと認識しております。外食産業においては、食中毒事故や異物混入事故の発生、偽装表示の問題等により、食品の安全性担保に対する社会的な要請が強まっております。
セントラルキッチン及び店舗では衛生管理マニュアルに基づく衛生・品質管理を徹底するとともに、セントラルキッチン及び店舗に対して、内部監査担当者による定期的なチェックを実施し、現行法令の遵守並びに最新の法令改正等のキャッチアップを行い、衛生・品質管理体制のさらなる強化に取り組んでまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症対策
新型コロナウイルス感染症の感染の拡大に備え、引き続き、従業員に関しては手洗い、体調管理等を徹底し、感染症拡大の防止に努めております。
これまで手掛けてきた事業に対して、より一層の注力をすることが重要と考えております。
また、今般の情勢より、外食に対する一定の需要が中食に傾斜することを視野に入れておく必要があり、そのための課題として、更なる店舗展開を進めていくこと、店舗ブランド価値をより更に高めていくことが重要と考えております。