有価証券報告書-第13期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比2,096,597千円増加の15,499,947千円となりました。
流動資産については、株式会社ミソラコネクトの株式取得等による支出があったものの、円安による換算替えや新株予約権の行使による収入により現金及び預金が351,611千円増加し、また在庫の確保に伴い商品が206,185千円増加しました。一方、主に個別債権に対して貸倒引当金65,636千円を計上しております。
また、株式会社ミソラコネクトの子会社化に伴う取り込みにより機械及び装置が354,734千円増加したこと、ソフトウエアが390,106千円増加したこと、並びに株式会社ミソラコネクトの株式取得に伴うのれんを644,064千円計上したことにより、固定資産が増加しております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末比892,862千円増加の3,212,802千円となりました。これは主に、KDDI株式会社からの受託開発に係る前受により契約負債が312,230千円増加したことや、未払消費税等の計上及び株式会社ミソラコネクトの子会社化に伴う取り込みによりその他の流動負債が379,697千円増加したことによるものです。
固定負債合計は、前連結会計年度末比188,975千円減少の539,414千円となりました。これは主に、返済により長期借入金が249,996千円減少したことによるものです。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比703,887千円増加の3,752,216千円となりました。
なお、当連結会計年度末日現在における借入先及び借入額については、以下の通りであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比1,392,710千円増加の11,747,730千円となりました。これは主に、株式会社ミソラコネクトの子会社化による非支配株主持分の増加376,936千円及び親会社株主に帰属する当期純利益による増加631,411千円によるものです。
この結果、自己資本比率は71.1%(前連結会計年度末は75.0%)となりました。
なお、新株予約権の増加48,515千円は、主に従業員に付与した新株予約権に係る株式報酬費用の計上によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げの継続や企業業績の改善を背景に緩やかな回復基調が続きましたが、食料品を中心とした物価上昇が個人消費の重石となったほか、トランプ政権による相互関税政策の発動により輸出動向や企業マインドへの先行き不透明感が増しました。米国経済は、関税政策による不確実性が高まったものの、個人消費や設備投資は底堅く推移しました。欧州経済は、物価の安定と実質賃金の回復を背景に個人消費が持ち直すなど緩やかな回復の動きがみられましたが、米国の関税政策による外需・製造業への下押しや、ウクライナ情勢等の地政学リスクが引き続き懸念材料となりました。
このような状況の下、IoT(Internet of Things)の活用は世界的に加速しており、労働力不足や生産性向上、サステナビリティといった社会課題の解決手段としてその重要性はますます高まっています。また、生成AIの社会実装と活用が急速に進む中、AIが現実世界のデータを活用するためのIoT通信基盤への需要はさらに高まっており、当社グループは「Making Things Happen – for a world that works together」の企業理念のもと、AI/IoTコネクティビティプラットフォーム(注1)として果たすべき役割はますます大きくなるものと認識しております。
こうした認識のもと、プラットフォーム全体の機能強化とAI活用を支えるサービス拡充を継続的に推進しました。また、2025年8月に子会社化した株式会社ミソラコネクトの業績貢献及び米国市場での売上伸長も追い風となり、課金アカウント数(注2)・ARPA(注3)がともに増加しました。その結果、当連結会計年度において、リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入は、9,296,994千円(前期比41.7%増)と大幅な増収となりました。課金アカウント数は継続的に伸びて1万4百となり、ARPAは前期比24.4%増加の947千円となりました。
商品販売とその他の売上からなるインクリメンタル収益については、大型デバイス案件の受注・納品が貢献し3,126,752千円(前期比28.6%増)となりました。
一方、海外売上高比率は、2025年8月より株式会社ミソラコネクトが連結子会社となったことに伴い、一時的に低下し、前期比1.8ポイント低下の40.0%となっております。
販売費及び一般管理費については、株式会社ミソラコネクトの連結子会社化による純増に加え、業績好調による賞与引当金の増加や一部顧客の財務状況の悪化に伴う貸倒引当金の計上により5,271,864千円(前期比20.5%増)となりました。販管費率は、売上の伸長が寄与し、48.7%から42.4%へと改善しました。
また、特別損失として、取引先からの保証金の返還懸念による貸倒引当金繰入額136,572千円、投資有価証券評価損49,999千円を計上しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は12,423,747千円(前期比38.1%増)、営業利益は871,335千円(前期比32.7%増)、経常利益は857,749千円(前期比38.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は631,411千円(前期比79.0%増)となっております。
当社はAI/IoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。なお、当連結会計年度より、従来「IoTプラットフォーム事業」としていたセグメント名称を「AI/IoTプラットフォーム事業」に変更いたしました。本変更はセグメント名称のみであり、セグメント情報への影響はございません。
(注1)当社プラットフォームの呼称を「リアルワールドAIプラットフォーム」から「AI/IoTコネクティビティプラットフォーム」に変更しました。AIの活用が広がる中においても、IoTデバイスと現実世界をつなぐコネクティビティがSORACOMの本質であることに変わりはなく、その役割をより明確に表現するため、名称を改めたものです。
(注2)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。
(注3)Average Revenue Per Accountの略称。1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標を意味します。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)については、前連結会計年度末より351,611千円増加し、9,269,384千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は1,761,047千円(前連結会計年度は728,673千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益671,177千円の計上に加え、非資金損益項目である減価償却費228,476千円、貸倒引当金279,721千円、賞与引当金116,667千円を計上したことによるものです。また、前期末におけるデバイス売上に係る債権を回収したことにより売上債権は265,978千円減少しております。一方、デバイス調達の仕入債務を支払ったことにより仕入債務が244,871千円減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は1,382,432千円(前連結会計年度は474,993千円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出915,289千円、ソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の取得による支出465,256千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は67,514千円(前連結会計年度は2,451,930千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出249,996千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入195,838千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。
a. 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社グループは、AI/IoTプラットフォーム事業を単一セグメントとして展開しておりますが、第13期連結会計年度における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度において総販売実績に対する販売割合が、10%以上の相手先はありません。
※ 株式会社エナジー宇宙は、ニチガスグループの組織再編後のガス導管事業等承継会社で、日本瓦斯株式会社の完全子会社であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性を判断した上で、回収可能性がないと見積られる金額を評価性引当額として控除しております。繰延税金資産の回収可能性を判断する際には、将来の課税所得に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の発生額は、取締役会によって承認された来年度予算を基礎としており、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等を主要な仮定として見積っております。
ただし、当該見積りには不確実性を伴い、これに関する経営者による判断が繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
(貸倒引当金)
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等については個別に回収可能性を勘案した回収不能見込額を計上しております。
回収可能性の評価にあたっては、滞留期間、債務者の財政状態、返済交渉の状況等を総合的に勘案しておりますが、相手先の財政状態の悪化等により見積額と実際の回収不能額に乖離が生じる場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2026年3月期(第13期)は、当社グループにとって大幅な増収増益となった期となりました。売上高は前期比38.1%増と力強く成長し、売上高・リカーリング収益・営業利益のいずれも過去最高を更新しました。
リカーリング収益の成長(前期比41.7%増)を牽引したのは、以下の三つの要因です。
・2025年8月に連結子会社化した株式会社ミソラコネクトの業績貢献
・米国市場での売上拡大
・既存顧客における利用拡大
インクリメンタル収益も、大型デバイス案件の受注・納品が寄与し、前期比28.6%増を達成しました。
費用面では、ミソラコネクト連結化に伴う販管費の純増および業績好調に連動した賞与引当金の増加があったものの、売上の伸長が費用増加を上回りました。結果として販管費率は前期比6.3ポイント改善(48.7%→42.4%)し、営業利益は871,335千円(前期比32.7%増)となりました。
特別損失としては、取引先からの保証金返還懸念に係る貸倒引当金繰入額136,572千円および投資有価証券評価損49,999千円を計上しています。なお、販管費にも一部顧客の財務状況悪化に伴う貸倒引当金を計上していますが、こちらは通常の営業債権に対するものであり、特別損失とは性質が異なります。
財政状態については、期末時点でリース債務を含む有利子負債残高は767,457千円、一方、現金及び預金残高は9,269,384千円と、事業推進に十分な流動性を確保しています。今後は、この財務基盤を活かし、収益力とのバランスを保ちながらマーケティング・人材採用・事業投資を機動的に行ってまいります。それにより、国内売上の安定成長と海外売上の加速を実現していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社は、事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給料手当のほか、販売費及び一般管理費の広告宣伝費であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金については自己資金により賄いますが、短期的な運転資金が必要となる場合には、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していく方針です。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
④ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営成績を評価するために売上高、売上高総利益率及び営業利益率に加えて、リカーリング収益、課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAを重要な経営指標と考えております。
売上高の伸びは事業全体が安定的に成長している指標となっており、コストとのバランスが異常でないことを売上高総利益率及び営業利益率をモニタリングすることで測っております。売上高については、前期比138.1%の伸びであり、営業利益率については、株式会社ミソラコネクトの子会社化の影響もあり、7.0%(前期は7.3%)となりました。
ARPAの上昇は、既存顧客がプラットフォームの利用範囲を拡大していることを示すため、課金アカウント数の増加と併せて重要な指標として管理しております。課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAは、それぞれ前期比113.8%及び124.4%とともに増加し、顧客数の増加のみならず既存顧客の事業へのIoTの浸透が進んでいるものと評価しております。
加えて、特に米国における売上が拡大した結果、海外子会社の国又は地域における売上高である海外売上高は前連結会計年度は3,759,020千円(海外売上高比率41.8%)、当連結会計年度は4,968,104千円(海外売上高比率40.0%)と高い水準を維持しております。なお、海外売上高には、国内顧客向けグローバル回線にかかる売上高が含まれております。
売上高及び売上総利益の伸長の背景については「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
(単位:千円)
(注) 1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用
2.株式会社ミソラコネクト、株式会社キャリオットを含んでおります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比2,096,597千円増加の15,499,947千円となりました。
流動資産については、株式会社ミソラコネクトの株式取得等による支出があったものの、円安による換算替えや新株予約権の行使による収入により現金及び預金が351,611千円増加し、また在庫の確保に伴い商品が206,185千円増加しました。一方、主に個別債権に対して貸倒引当金65,636千円を計上しております。
また、株式会社ミソラコネクトの子会社化に伴う取り込みにより機械及び装置が354,734千円増加したこと、ソフトウエアが390,106千円増加したこと、並びに株式会社ミソラコネクトの株式取得に伴うのれんを644,064千円計上したことにより、固定資産が増加しております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末比892,862千円増加の3,212,802千円となりました。これは主に、KDDI株式会社からの受託開発に係る前受により契約負債が312,230千円増加したことや、未払消費税等の計上及び株式会社ミソラコネクトの子会社化に伴う取り込みによりその他の流動負債が379,697千円増加したことによるものです。
固定負債合計は、前連結会計年度末比188,975千円減少の539,414千円となりました。これは主に、返済により長期借入金が249,996千円減少したことによるものです。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比703,887千円増加の3,752,216千円となりました。
なお、当連結会計年度末日現在における借入先及び借入額については、以下の通りであります。
| 借入先 | 借入額(千円) | |
| 株式会社りそな銀行 | 687,505 |
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比1,392,710千円増加の11,747,730千円となりました。これは主に、株式会社ミソラコネクトの子会社化による非支配株主持分の増加376,936千円及び親会社株主に帰属する当期純利益による増加631,411千円によるものです。
この結果、自己資本比率は71.1%(前連結会計年度末は75.0%)となりました。
なお、新株予約権の増加48,515千円は、主に従業員に付与した新株予約権に係る株式報酬費用の計上によるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げの継続や企業業績の改善を背景に緩やかな回復基調が続きましたが、食料品を中心とした物価上昇が個人消費の重石となったほか、トランプ政権による相互関税政策の発動により輸出動向や企業マインドへの先行き不透明感が増しました。米国経済は、関税政策による不確実性が高まったものの、個人消費や設備投資は底堅く推移しました。欧州経済は、物価の安定と実質賃金の回復を背景に個人消費が持ち直すなど緩やかな回復の動きがみられましたが、米国の関税政策による外需・製造業への下押しや、ウクライナ情勢等の地政学リスクが引き続き懸念材料となりました。
このような状況の下、IoT(Internet of Things)の活用は世界的に加速しており、労働力不足や生産性向上、サステナビリティといった社会課題の解決手段としてその重要性はますます高まっています。また、生成AIの社会実装と活用が急速に進む中、AIが現実世界のデータを活用するためのIoT通信基盤への需要はさらに高まっており、当社グループは「Making Things Happen – for a world that works together」の企業理念のもと、AI/IoTコネクティビティプラットフォーム(注1)として果たすべき役割はますます大きくなるものと認識しております。
こうした認識のもと、プラットフォーム全体の機能強化とAI活用を支えるサービス拡充を継続的に推進しました。また、2025年8月に子会社化した株式会社ミソラコネクトの業績貢献及び米国市場での売上伸長も追い風となり、課金アカウント数(注2)・ARPA(注3)がともに増加しました。その結果、当連結会計年度において、リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入は、9,296,994千円(前期比41.7%増)と大幅な増収となりました。課金アカウント数は継続的に伸びて1万4百となり、ARPAは前期比24.4%増加の947千円となりました。
商品販売とその他の売上からなるインクリメンタル収益については、大型デバイス案件の受注・納品が貢献し3,126,752千円(前期比28.6%増)となりました。
一方、海外売上高比率は、2025年8月より株式会社ミソラコネクトが連結子会社となったことに伴い、一時的に低下し、前期比1.8ポイント低下の40.0%となっております。
販売費及び一般管理費については、株式会社ミソラコネクトの連結子会社化による純増に加え、業績好調による賞与引当金の増加や一部顧客の財務状況の悪化に伴う貸倒引当金の計上により5,271,864千円(前期比20.5%増)となりました。販管費率は、売上の伸長が寄与し、48.7%から42.4%へと改善しました。
また、特別損失として、取引先からの保証金の返還懸念による貸倒引当金繰入額136,572千円、投資有価証券評価損49,999千円を計上しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は12,423,747千円(前期比38.1%増)、営業利益は871,335千円(前期比32.7%増)、経常利益は857,749千円(前期比38.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は631,411千円(前期比79.0%増)となっております。
当社はAI/IoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。なお、当連結会計年度より、従来「IoTプラットフォーム事業」としていたセグメント名称を「AI/IoTプラットフォーム事業」に変更いたしました。本変更はセグメント名称のみであり、セグメント情報への影響はございません。
(注1)当社プラットフォームの呼称を「リアルワールドAIプラットフォーム」から「AI/IoTコネクティビティプラットフォーム」に変更しました。AIの活用が広がる中においても、IoTデバイスと現実世界をつなぐコネクティビティがSORACOMの本質であることに変わりはなく、その役割をより明確に表現するため、名称を改めたものです。
(注2)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。
(注3)Average Revenue Per Accountの略称。1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標を意味します。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)については、前連結会計年度末より351,611千円増加し、9,269,384千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は1,761,047千円(前連結会計年度は728,673千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益671,177千円の計上に加え、非資金損益項目である減価償却費228,476千円、貸倒引当金279,721千円、賞与引当金116,667千円を計上したことによるものです。また、前期末におけるデバイス売上に係る債権を回収したことにより売上債権は265,978千円減少しております。一方、デバイス調達の仕入債務を支払ったことにより仕入債務が244,871千円減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は1,382,432千円(前連結会計年度は474,993千円の支出)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出915,289千円、ソフトウエアの開発に伴う無形固定資産の取得による支出465,256千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は67,514千円(前連結会計年度は2,451,930千円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出249,996千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入195,838千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。
a. 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社グループは、AI/IoTプラットフォーム事業を単一セグメントとして展開しておりますが、第13期連結会計年度における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。
| 品目 | 販売高(千円) | 前期比(%) | |
| リカーリング収益 (プラットフォーム利用料) | 9,296,994 | 141.7 | |
| インクリメンタル収益 | 商品販売 | 2,147,598 | 125.2 |
| その他 | 979,153 | 136.9 | |
| 小計 | 3,126,752 | 128.6 | |
| IoTプラットフォーム事業合計 | 12,423,747 | 138.1 | |
(注) 前連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度において総販売実績に対する販売割合が、10%以上の相手先はありません。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | |
| 金額(千円) | 割合(%) | |
| 株式会社エナジー宇宙 ※ | 963,959 | 10.7 |
| KDDI株式会社 | 955,591 | 10.6 |
※ 株式会社エナジー宇宙は、ニチガスグループの組織再編後のガス導管事業等承継会社で、日本瓦斯株式会社の完全子会社であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性を判断した上で、回収可能性がないと見積られる金額を評価性引当額として控除しております。繰延税金資産の回収可能性を判断する際には、将来の課税所得に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得の発生額は、取締役会によって承認された来年度予算を基礎としており、顧客との交渉状況を踏まえた新規受注の獲得見込み等を主要な仮定として見積っております。
ただし、当該見積りには不確実性を伴い、これに関する経営者による判断が繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
(貸倒引当金)
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等については個別に回収可能性を勘案した回収不能見込額を計上しております。
回収可能性の評価にあたっては、滞留期間、債務者の財政状態、返済交渉の状況等を総合的に勘案しておりますが、相手先の財政状態の悪化等により見積額と実際の回収不能額に乖離が生じる場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2026年3月期(第13期)は、当社グループにとって大幅な増収増益となった期となりました。売上高は前期比38.1%増と力強く成長し、売上高・リカーリング収益・営業利益のいずれも過去最高を更新しました。
リカーリング収益の成長(前期比41.7%増)を牽引したのは、以下の三つの要因です。
・2025年8月に連結子会社化した株式会社ミソラコネクトの業績貢献
・米国市場での売上拡大
・既存顧客における利用拡大
インクリメンタル収益も、大型デバイス案件の受注・納品が寄与し、前期比28.6%増を達成しました。
費用面では、ミソラコネクト連結化に伴う販管費の純増および業績好調に連動した賞与引当金の増加があったものの、売上の伸長が費用増加を上回りました。結果として販管費率は前期比6.3ポイント改善(48.7%→42.4%)し、営業利益は871,335千円(前期比32.7%増)となりました。
特別損失としては、取引先からの保証金返還懸念に係る貸倒引当金繰入額136,572千円および投資有価証券評価損49,999千円を計上しています。なお、販管費にも一部顧客の財務状況悪化に伴う貸倒引当金を計上していますが、こちらは通常の営業債権に対するものであり、特別損失とは性質が異なります。
財政状態については、期末時点でリース債務を含む有利子負債残高は767,457千円、一方、現金及び預金残高は9,269,384千円と、事業推進に十分な流動性を確保しています。今後は、この財務基盤を活かし、収益力とのバランスを保ちながらマーケティング・人材採用・事業投資を機動的に行ってまいります。それにより、国内売上の安定成長と海外売上の加速を実現していきます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社は、事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給料手当のほか、販売費及び一般管理費の広告宣伝費であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金については自己資金により賄いますが、短期的な運転資金が必要となる場合には、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していく方針です。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
④ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営成績を評価するために売上高、売上高総利益率及び営業利益率に加えて、リカーリング収益、課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAを重要な経営指標と考えております。
売上高の伸びは事業全体が安定的に成長している指標となっており、コストとのバランスが異常でないことを売上高総利益率及び営業利益率をモニタリングすることで測っております。売上高については、前期比138.1%の伸びであり、営業利益率については、株式会社ミソラコネクトの子会社化の影響もあり、7.0%(前期は7.3%)となりました。
ARPAの上昇は、既存顧客がプラットフォームの利用範囲を拡大していることを示すため、課金アカウント数の増加と併せて重要な指標として管理しております。課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAは、それぞれ前期比113.8%及び124.4%とともに増加し、顧客数の増加のみならず既存顧客の事業へのIoTの浸透が進んでいるものと評価しております。
加えて、特に米国における売上が拡大した結果、海外子会社の国又は地域における売上高である海外売上高は前連結会計年度は3,759,020千円(海外売上高比率41.8%)、当連結会計年度は4,968,104千円(海外売上高比率40.0%)と高い水準を維持しております。なお、海外売上高には、国内顧客向けグローバル回線にかかる売上高が含まれております。
売上高及び売上総利益の伸長の背景については「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
(単位:千円)
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||||
| 前期比 | |||||
| 売上高 | 8,993,031 | 12,423,747 | 138.1% | ||
| リカーリング収益 | 6,562,193 | 9,296,994 | 141.7% | ||
| 売上総利益 | 5,033,066 | 6,143,199 | 122.1% | ||
| 売上高総利益率 | 56.0% | 49.4% | - | ||
| EBITDA(注)1 | 833,926 | 1,228,450 | 147.3% | ||
| 営業利益率 | 7.3% | 7.0% | - | ||
| 課金アカウント数(千個)(注)2 | 8.8 | 10.4 | 113.8% | ||
| リカーリング収益のARPA | 760 | 947 | 124.4% | ||
(注) 1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額+株式報酬費用
2.株式会社ミソラコネクト、株式会社キャリオットを含んでおります。