有価証券報告書(内国投資証券)-第10期(2022/09/01-2023/02/28)
(1)リスク要因
以下においては、本投資口への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、今後本投資法人が投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)又は新投資口予約権(以下「本新投資口予約権」といいます。)を発行する場合、これらの事項は本投資法人債及び本新投資口予約権への投資に関してもリスク要因となる可能性があります。但し、以下は本投資口、本投資法人債及び本新投資口予約権への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。なお、本投資法人が保有している資産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況/(2)投資資産/③ その他投資資産の主要なもの」をご参照ください。
また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これら事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
本投資法人は、可能な限りこれらのリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が減少し、又は本投資口・本投資法人債・本新投資口予約権の市場価格が下落する可能性があり、その結果、各投資家が投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書における本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資口に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 本投資法人が発行する投資口に係るリスク
(ア)投資口の商品性に係るリスク
(イ)換金性・流動性に係るリスク
(ウ)市場価格の変動に係るリスク
(エ)金銭の分配に係るリスク
(オ)投資口の希薄化に係るリスク
(カ)LTVに関するリスク
(キ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一でないリスク
② 本投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
(ア)投資法人の組織運営に係るリスク
(イ)投資法人の制度に係るリスク
(ウ)インサイダー取引規制に関するリスク
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
(オ)不動産の取得方法に係るリスク
(カ)自己投資口取得に係るリスク
③ 本投資法人の運用方針に関するリスク
(ア)運用資産の地域的偏在に関するリスク
(イ)余裕資金の運用に係るリスク
(ウ)物件の取得競争に係るリスク
④ 不動産に係るリスク
(ア)不動産の流動性に係るリスク
(イ)専門家報告書等に関するリスク
(ウ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
(エ)土地の境界等に係るリスク
(オ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
(カ)マスターリースに係るリスク
(キ)PM会社、BM会社等に係るリスク
(ク)不動産の運用費用の増加に係るリスク
(ケ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
(コ)建築基準法等の規制に係るリスク
(サ)法令等の変更に関するリスク
(シ)共有物件に係るリスク
(ス)区分所有建物に係るリスク
(セ)借地権に係るリスク
(ソ)開発物件に係るリスク
(タ)底地物件に係るリスク
(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク
(ツ)水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
(テ)埋立地に関するリスク
(ト)地球温暖化対策に関するリスク
(ナ)不動産の所有者責任に係るリスク
(ニ)テナント集中に係るリスク
(ヌ)テナントの業態の偏りに関するリスク
(ネ)オフィスに係るリスク
(ノ)商業施設に係るリスク
(ハ)ホテルに係るリスク
(ヒ)フォワード・コミットメント等に係るリスク
(フ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
(ヘ)売主の倒産等の影響に係るリスク
(ホ)不動産の売却における制限に係るリスク
(マ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
(ミ)伝染病・疫病等の影響を受けるリスク
⑤ 不動産信託受益権に係るリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
(ウ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
(エ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
(オ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
⑥ 税制に係るリスク
(ア)導管性要件に係るリスク
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(エ)一般的な税制の変更に係るリスク
⑦ 減損会計の適用に係るリスク
⑧ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑨ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
⑩ 取得予定資産を組み入れることができないリスク
① 本投資法人が発行する投資口に係るリスク
(ア)投資口の商品性に係るリスク
投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、経済状況や不動産及び証券市場等の動向、本投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、譲渡による換価時点において投資金額以上の金額の回収を図ることができる保証はありません。
投資口は、投資額の保証がなされる商品ではなく、金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではありません。本投資法人が通常の清算又は倒産手続により清算される場合、投資主は、本投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、投資口の払戻しを受けることはできず、投資金額のほとんどを回収できない可能性があります。
(イ)換金性・流動性に係るリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しが認められないクローズドエンド型であるため、投資主が本投資口を換金するためには、原則として東京証券取引所を通じて、又は同取引所外において、第三者に売却することが必要となります。なお、本投資法人は、投資主との合意により、本投資法人の投資口を有償で取得することができます(規約第5条第2項)。
また、本投資口について投資家の希望する時期と条件で取引できるとの保証や、常に買主が存在するとの保証はなく、譲渡価格を保証する第三者も存在しません。
本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の理由により、上場廃止基準に抵触する場合には、本投資口の上場が廃止されます。本投資口の上場市場における売却が困難又は不可能となった場合には、本投資口の売却を希望する投資主は、相対取引による他なく、本投資口を希望する時期又は条件で換価できないか、全く換価できない可能性があります。
なお、本投資法人が本投資法人債又は本新投資口予約権を発行した場合、本投資法人債及び本新投資口予約権には、確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません。
(ウ)市場価格の変動に係るリスク
本投資口の市場価格は、本投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、金利動向、為替相場、市場環境や景気動向等によって左右されます。また、地震、津波、液状化等の天災、疫病や新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を含む不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等を契機として、不動産投資信託証券の市場価格が下落するおそれがあります。
本投資法人は、不動産関連資産を主たる投資対象としていますが、それらの評価額は、不動産市況、景気動向、不動産の需給バランス、かかる需要を左右することのある経済の全般的状況、法制又は税制の変更、社会情勢その他の要因により変動します。本投資口の市場価格は、一般に本投資法人の保有に係る運用資産の評価額に影響されるため、運用資産である不動産関連資産の評価額の変動や、これに影響を及ぼすと考えられる諸要因により変動することがあります。
また、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、投資口1口当たりの純資産額が減少することがあり、さらには市場における投資口の需給バランスに影響を与えることになり、その結果、本投資口の市場価格が悪影響を受けるおそれがあります。さらに、投資口の大口保有者が大量に保有投資口を売却した場合には、需給のバランスにより市場価格が大幅に下落する可能性があります。
加えて、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。
なお、本投資法人債は金利動向等の市場環境等により価格が変動することがあり、また格付けの見直しや引下げによる影響を受けることがあります。
(エ)金銭の分配に係るリスク
本投資法人は前記「2 投資方針/(3)分配方針」に記載する分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません。特に、不動産関連資産から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等の場合、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
(オ)投資口の希薄化に係るリスク
本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、既存の投資主が有する投資口の本投資法人の発行済投資口総数に対する割合が希薄化し、また、投資口1口当たりの純資産額の減少等のため投資口の投資利回りが低下し、投資口の価値が下落する可能性があります。また、期中において投資口が追加発行される場合、その期の投資口保有期間にかかわらず、既存の投資口と同額の金銭の分配がなされるため、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があります。さらに、今後、追加発行がなされる場合、投資口1口当たりの純資産額が減少する場合や、市場における投資口の需給バランスに悪影響を与える場合があり、その結果、投資口の価格が悪影響を受けるおそれがあります。
(カ)LTVに関するリスク
本投資法人のLTVは原則として60%を上限としますが、資産の取得等に伴い一時的に60%を超えることがあります。LTVの値が高まれば高まるほど、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受けやすくなり、その結果投資主への分配額が減少するおそれがあります。
(キ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一でないリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、本投資法人の意思決定に参画できる他、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項及び規約第14条第1項)(なお、本投資法人の規約上、役員の選解任、資産運用会社との間の運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を公表した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第3 管理及び運営/3 投資主・投資法人債権者の権利/(1)投資主の権利/① 投資主総会における議決権」をご参照ください。)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。
これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
② 本投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人という制度固有のリスクが存在します。
(ア)本投資法人の組織運営に係るリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。
a.役員の職務遂行に係るリスク
投信法上、投資法人を代表しその業務執行を行う執行役員及び執行役員の業務を監督する監督役員は、善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のため忠実に職務を遂行する義務(以下「忠実義務」といいます。)を負います。しかし、職務遂行上、本投資法人の執行役員又は監督役員が善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合は、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
b.本投資法人の資金調達に係るリスク
本投資法人は、本書記載の投資方針に従い、借入れを行いますが、将来的に本投資法人債の発行を行う可能性もあります。なお、本投資法人は、規約において、借入金及び本投資法人債発行の限度額を、それぞれ1兆円とし、かつ、その合計額が1兆円を超えないものとしています(規約第36条第3項)。
借入れ及び本投資法人債を発行する場合におけるその条件は、その時々の金利実勢、本投資法人の収益及び財務状況並びに信用格付業者からの格付、一般的な経済環境の他、貸付人の自己資本比率規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因による影響を受けるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入れ及び本投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。また、借入れに当たり税法上の導管性要件(後記「⑥ 税制に係るリスク/(ア)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)を満たすためには、その借入先を租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家である適格機関投資家に限定する必要があるため、借入先が限定され機動的な資金調達ができない場合があります。
借入れ及び本投資法人債の発行を行う際には、他の債務のための担保提供の制限、本投資法人の収益状況や財務状況が一定の条件を下回った場合における担保の提供及び現金その他の一定資産の留保、一定の財務指標を基準とした追加借入制限、資産取得の制限、投資主への分配に係る制限、その他本投資法人の収益状況や財務状況及び業務に係る約束や制限が課されることがあります。このような約束や制限は、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります(なお、本書の日付現在、本投資法人が行う金銭の借入れについて、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持すること等を規定した財務制限条項が設けられています。)。
本投資法人は、借入れや本投資法人債について、保有する運用資産又はその裏付けとなる資産の全部又は一部を担保に供することがあります。この場合、本投資法人は、被担保債権である借入れの弁済又は本投資法人債の償還をしない限り、担保対象たる運用資産の処分につき貸付人等の承諾を取得する等の制限を受ける可能性があります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で運用資産を処分できないおそれがあります。また、収益性の悪化等により担保不動産の評価額が借入先によって引下げられた場合等には、追加の担保設定や借入金の早期返済を求められることがあり、また、かかる早期返済や返済期限における返済のための資金を調達するため、本投資法人の希望しない条件での借換え資金の調達や、希望しない時期及び条件での運用資産の処分を強いられ、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
借換えや不動産関連資産の売却等によって借入金の期限前返済を行う場合には、違約金等又は償還コストがその時点の金利情勢によって決定されることがあり、予測しがたい経済状況の変動が投資主に損害を与える可能性もあります。
さらに、本投資法人が返済期の到来した借入れ又は投資法人債の借換えを行うことができないことにより、本投資法人のキャッシュフロー、金利情勢その他の理由により、不動産関連資産を処分しなければ借入れ及び投資法人債の返済ができなくなる可能性があります。この場合、本投資法人の希望しない時期及び条件で不動産関連資産を処分せざるを得ない状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、契約上金利が固定されておらず一定の指標に連動するものとされている場合等には、契約期間中に金利が上昇する可能性があり、その結果分配可能金額が減少する可能性があります。
本投資法人が借入れ又は投資法人債について債務不履行となった場合、それらの債権者により本投資法人の資産に対して仮差押等の保全処分や差押等の強制執行が行われることがあるとともに、本投資法人に対して破産等の倒産手続の申立てが行われる可能性があります。
投資口の追加発行又は新投資口予約権の発行により資金調達を行う場合、投資口の発行時期及び価格はその時々の市場価格等により左右され、場合により、本投資法人の希望する時期及び条件でこれを発行することができないおそれがあります。
c.投資法人の倒産リスク及び登録取消リスク
本投資法人も、一般の法人と同様、債務超過に至る可能性を否定することができません。本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律第75号、その後の改正を含みます。)、民事再生法(平成11年法律第225号、その後の改正を含みます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けます。
また、本投資法人は、資産の運用を行うために投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合、かかる登録を取り消される可能性があります。登録が取り消されると、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散することとなります。本投資法人が解散し、清算する場合には、投資主は、当初の投資金額の回収を期待できない可能性があります。
(イ)投資法人の制度に係るリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。
a.本投資法人以外の関係者への依存に係るリスク
(a)本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者への依存に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現は、これらの者の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財産的基盤を常に維持できるとの保証はありません。金融商品取引法上、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を経営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されており、一般事務受託者は、投資法人の設立時及び設立後新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われていますが、それぞれの業務受託者において、本投資法人に対して負う善管注意義務及び忠実義務に反する行為を行う場合には、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
その他、本資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者が、破産手続又は会社更生手続その他の倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、本投資法人はそれらの者に対する債権の回収に困難が生じるおそれがあり、さらに本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約を解約し又は解除することが求められることがあります。そのような場合、本投資法人は、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、日常の業務遂行に影響を受けることになります。また、委託契約が解約又は解除された場合には、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選定し、これらの者に対して上記各業務を委託することが必要とされます。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し、上記各業務及び事務を委託できるとの保証はなく、そのような第三者を速やかに選定できない場合には、本投資法人の存続及び損益の状況等に悪影響を及ぼす他、適切な資産運用会社を選定できない場合には、本投資口が上場廃止になる可能性もあります。
(b)ザイマックスグループへの依存に係るリスク
本投資法人は、スポンサー、本資産運用会社及び本投資法人との間のスポンサー・サポート契約により、ザイマックスグループが、対象不動産(本投資法人の投資方針に適合するとスポンサーにおいて合理的に判断する不動産等及び不動産等を主たる投資対象とする資産対応証券等をいいます。以下同じです。)の売却に関する一定の情報を本資産運用会社及び本投資法人に提供すること(売却情報提供)、ザイマックスグループが本資産運用会社から将来における本投資法人による円滑な取得を推進することを目的として取得対象不動産(本投資法人の投資方針に適合し、本投資法人が取得を希望する対象不動産をいいます。以下同じです。)の一時的な保有の依頼を受けた場合には真摯に検討すること(ウェアハウジング機能)、ザイマックスグループが、本投資法人が取得対象不動産につき全体を取得できない等の場合に共同投資の依頼を受けた場合には真摯に検討すること(共同投資)、ザイマックスグループが本投資法人の必要な人材の確保に協力すること(人材確保に関する協力)、ザイマックスグループが本投資法人が既に保有し又は取得を検討している不動産等の運営・管理、賃貸、コンバージョン、リニューアル、開発等に係る補助業務及び助言業務等のアドバイザリー業務を行うこと、ザイマックスグループが不動産等の売買マーケット及び不動産等の賃貸マーケットに係る事項等につき情報提供を行い、意見及び情報を交換すること(情報交換)、商標使用の許諾並びに看板等の設置等に合意しています。また、本資産運用会社は、株式会社マックスリアルティー及び本資産運用会社との間のパイプライン・サポート契約により、株式会社マックスリアルティーが、本資産運用会社に対し、自ら又は第三者が保有する物件等の売却情報を提供すること、ウェアハウジング機能の提供、共同投資及び再開発サポート業務の提供を真摯に検討すること、本資産運用会社から合理的な要請があった場合にパイプライン・サポート契約で定めるアドバイザリー業務を行えること、並びに不動産等の売買マーケット及び不動産等の賃貸マーケットに係る事項等につき情報提供を行い、意見及び情報を交換すること等に合意しています。
このように、本投資法人の新規物件の取得機会の確保及び資産規模の拡大等の外部成長は、ザイマックスグループの能力、経験及びノウハウによるところが大きいといえます。そのため、ザイマックスグループが取得する物件売却情報の質及び量並びにそれらが顧客から継続的にもたらされるか否かによって、対象不動産の情報提供の有無が左右されるため、十分な情報が提供されない場合には本投資法人の外部成長に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約は、株式会社マックスリアルティーを含むザイマックスグループが、本投資法人と競合する事業を行うことを禁止するものではなく、そのため、本投資法人の事業とザイマックスグループの事業が物件取得やテナント誘致の場面で競合する可能性があります。加えて、スポンサーは、スポンサー・サポート契約において、ザイマックスグループが保有・運用する対象不動産及び第三者により保有される対象不動産の売却情報を提供するものとされていますが、ザイマックスグループが保有・運用する対象不動産については、本投資法人への売却が適当であると株式会社ザイマックス又はその関連会社が独自の裁量で判断する場合に、かかる情報を提供するものとされています。また、第三者により保有される対象不動産の売却情報についても、スポンサーが本資産運用会社に対する情報提供の義務を負うものではありません。さらに、株式会社マックスリアルティーは、パイプライン・サポート契約において、本資産運用会社に対して、自己又は第三者が保有する物件の売却情報を提供するとされておりますが、対象となる物件は本投資法人の投資方針に適合すると株式会社マックスリアルティーにおいて合理的に判断する不動産等及び不動産等を主たる投資対象とする資産対応証券等に限定されています。したがって、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約により、スポンサー又は株式会社マックスリアルティーが入手する対象不動産の全ての売却情報が本投資法人又は本資産運用会社に提供されることを確約するものでもありません。
さらに、ザイマックスグループが上記のサポートの提供に必要な人的・財産的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約が何らかの理由で解除され若しくは更新されず、又はその他の理由によりザイマックスグループによるサポートが期待どおりの成果をあげない場合には、本投資法人の損益の状況及び存続に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、本投資法人や本資産運用会社が、ザイマックスグループと取引を行う場合において、ザイマックスグループの利益を図るために、結果的に本投資法人の投資主の利益に反することとなる行為を行う可能性が完全に排除されているわけではなく、その場合には本投資法人に損害が発生する可能性があります。上記のような利益相反が問題となり得る場合としては、例えばザイマックスグループからの物件取得に際しての購入価格その他の購入条件の交渉、ザイマックスグループに対する賃貸及びプロパティマネジメント業務委託の条件交渉、ザイマックスグループに対する修繕工事の発注、その他のプロパティマネジメント業務の遂行等が挙げられます。
本資産運用会社は、利益相反対策のための社内規程を設け、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、かかるリスクを完全に排除できるとの保証はありません。
b.資産の運用に係るリスク
(a)収益及び費用、キャッシュフローの変動に係るリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が取得し、保有する不動産関連資産からの賃料収入に依存しています。かかる賃料収入は、不動産関連資産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。特に、テナント数が少ない物流施設、ホテル、オフィスビルやその他の用途の不動産において、テナントの退去、テナントによる賃料不払い又は遅延が生じた場合には、キャッシュフローに与える影響は大きくなります。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
本投資法人は、本資産運用会社を通じて、良質のテナントを確保すべく努力しますが、その目的が達成されるとは限りません。また、良質と判断されるテナントを確保しても、当該テナントが永続的に本投資法人の保有する不動産を賃借し続けるとの保証はなく、また、かかるテナントの財務状況が悪化する可能性もあります。
上記の賃料収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金・保証金の返還、多額の資本的支出、未稼働の不動産関連資産の取得、売却損の発生による再投資の資金規模の縮小等は、キャッシュフローを減じる効果をもたらし、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
賃料収入の他、不動産関連資産の売却が行われた場合には売却益が発生する可能性もありますが、不動産関連資産の売却益は、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであり、恒常的・安定的に得られる性格のものではありません。
他方、不動産関連資産に関する費用としては、減価償却費、不動産関連資産に関して課される公租公課、不動産関連資産に関して付保された保険の保険料、管理組合費、水道光熱費、不動産管理費用、清掃衛生業務、保安警備業務及び設備管理業務等の建物管理業務に係る費用、維持修繕費用、借地借家料並びにテナント誘致費用(媒介手数料、広告料等)等があります。かかる費用の額は状況により増大する可能性があります。さらに、不動産関連資産の売却に当たって売却損が生じた場合には、かかる売却損が損失として計上されます。
これらの要因により、投資主への分配金額等の減少その他の悪影響を及ぼす可能性があります。
(b)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材への依存リスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(c)本資産運用会社の運用能力に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、本投資法人のために忠実義務を負いますが、資産運用の結果に対して何らの保証を行うものではありません。資産運用会社となるためには金融商品取引法上の投資運用業の登録を行う必要があり、本資産運用会社は投信法及び金融商品取引法に基づく監督を受けていることから、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、投信法及び金融商品取引法はその運用能力まで保証するものではありません。
本投資法人は、2017年9月14日に設立され、本資産運用会社は、本投資法人が2017年10月31日に投信法第187条に基づく登録を受けた後本投資法人の資産運用業務を開始したものであり、運用開始から現在までの期間は短期間にすぎません。したがって、過去の実績から今後の実績を予測することは容易ではありません。また、本資産運用会社の運用する私募ファンドやザイマックスグループのこれまでの運用実績は、本投資法人としての今後の運用実績を保証するものではありません。
本投資法人は、投資主総会の承認を得て資産運用委託契約を解約することができ、また、投信法及び資産運用委託契約の規定に基づいて、本資産運用会社が職務上の義務に違反した場合その他一定の場合に、資産運用委託契約を解約し、本資産運用会社を解任することができる他、投信法上、本資産運用会社が金融商品取引法上の金融商品取引業者でなくなったとき、その他一定の場合には、資産運用委託契約を解約又は解除しなければならないものとされています。資産運用委託契約を解約又は解除する場合、それに先立ち後任の資産運用会社の選定が必要になりますが、かかる選定までの期間中は、解任すべきと判断された本資産運用会社による資産の運用が継続することになります。また、後任の資産運用会社が適切な運用能力を有することが保証されているわけでもありません。
(d)本資産運用会社の利益相反行為等に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、また、本投資法人のために行為すべき忠実義務を負います。さらに、本資産運用会社の行為により本投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、本資産運用会社は、金融商品取引法により、通常の取引の条件と異なる条件で、かつ、本投資法人の利益を害することとなる取引を内容とした運用を行うこと等一定の行為を禁止されています。しかしながら、本資産運用会社が、上記の義務や規制に反した場合には、本投資法人に損害が発生するリスクがあります。
また、金融商品取引法上、資産運用会社は、複数の投資法人、ファンド等の資産運用を受託することを禁じられておらず、今後、本資産運用会社が、本投資法人の他に、投資法人や私募ファンド等の資産運用を開始することにより、本投資法人と他の投資法人又はファンド等の投資対象が競合する可能性も排除されておりません。
本書の日付現在、本資産運用会社は、本投資法人の他、複数の不動産私募ファンドからも資産の運用を受託しています。そのため、本資産運用会社は、競合する取得検討対象資産の情報の恣意的な配分を防止することを目的として、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第4 関係法人の状況/1 資産運用会社の概況/(2)運用体制/① 本資産運用会社の意思決定手続/(ウ)顧客間の競合についての対策」記載のルールを採用しており、かかるルールに則った運営・配分を行うこととしています。
本投資法人は、かかるルールにおいては、本投資法人の投資方針に合致する資産に関し本資産運用会社が取得した売却情報について、他の私募ファンド等に優先して取得検討を行うことができます。しかしながら、実際に係るルールに反する資産の取得検討が行われる可能性がないことまでは保証されておらず、また、かかるルールは変更される可能性もあり、これらにより、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、本資産運用会社の親会社であるザイマックスグループは、本資産運用会社以外において日本での不動産関連事業を行っており、ザイマックスグループ又はザイマックスグループがその運用を行う不動産ファンド等が本資産運用会社が行う取引に関与する場合があります。そのような場合に、本資産運用会社以外のザイマックスグループ各社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引又は行為を行う可能性を否定することはできません。
本資産運用会社は、投信法の定める利害関係人等を含む一定のスポンサー関係者との取引について、利益相反対策のための社内規程を設け、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、上記リスクを完全に排除できる保証はありません。
(e)本資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に係るリスク
規約に規定されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本資産運用会社がこれを具体化するために制定した運用ガイドラインについては、投資主総会の承認を得ることなく、その時々の市場環境等に応じ、本資産運用会社の判断により機動的に改訂することが可能であり、かかる改訂は本投資法人の投資主の意思が反映されていないことも想定されます。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインの範囲内で、随時、その時点における投資方針、投資戦略等を策定していますが、これらの変更についても同様です。かかる運用ガイドラインの改訂や投資方針、投資戦略等の変更により、意図したとおりの運用成果を収めることができるとの保証はなく、結果的に本投資法人の資産運用及び損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインに従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制について効率性・機能性その他の観点から今後その変更を行わないとは限りません。このような、本資産運用会社における社内体制等の変更によって、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります。
(ウ)インサイダー取引規制に関するリスク
投資口の取引についても、金融商品取引法が定めるインサイダー取引の規制対象となります。
発行者である投資法人の役員だけでなく、資産運用会社及びその特定関係者(資産運用会社の親会社、及び投信法第201条第1項に規定する資産運用会社の利害関係人等のうち、一定の基準を満たす取引を行い、又は行った法人)の役職員が会社関係者として上記規制の対象者に含まれることになるとともに、投資法人及び資産運用会社に関連する事実が重要事実として規定されており、これらの解釈・運用が定着していないことに伴い本投資法人の円滑な資産運用に悪影響が生じる可能性がある他、本投資口につきインサイダー取引規制に違反する行為が行われた場合には、投資家の本投資口又は不動産投資信託証券市場に対する信頼を害し、ひいては本投資口の流動性の低下や市場価格の下落等の悪影響をもたらすおそれがあります。
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
投資法人に関する法律上、税制上その他諸制度上の取扱い若しくは解釈は大幅に変更され、又は新たな法律が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、本投資法人の存続、損益の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(オ)不動産の取得方法に係るリスク
本投資法人は、今後不動産を取得するに当たり、投資法人としての税制上の軽減措置を受けることを目的として、当該不動産についての所有権等の移転本登記申請を譲渡代金支払日後直ちに行わない場合があります。この場合、売主が譲渡代金支払い後本登記申請までの間に当該不動産を二重譲渡し、担保提供し、又は売主が倒産すること等により、本投資法人が当該不動産の完全な所有権を取得できなくなる可能性があり、また、同時に支払済みの譲渡代金の全部又は一部につき返還を受けられなくなる可能性があります。本投資法人は、上記軽減措置に関する手続のために必要な一定期間について、仮登記を経ること等により本登記の順位を保全して上記リスクを回避する方針ですが、仮登記には順位保全効果しかなく、本登記がなされる前に売主が倒産した場合等には本投資法人が保護されない可能性があり、上記リスクを完全に排除できるわけではありません。
(カ)自己投資口取得に係るリスク
本投資法人は、資金調達環境、金融マーケットの状況、本投資法人の投資口価格の状況等を勘案し、投資主還元と資本コストの最適化に資すると判断した場合、自己投資口の取得を行うことがありますが、取得した自己投資口は相当の時期に処分又は消却をしなければならず、必ずしも本投資法人にとって有利な時期及び価格で処分できる保証はありません。また、投資法人が税務上の特例要件を満たし法人税が課税されないこととなるためには、税引前当期純利益に一定の調整を加えた金額の90%超の配当を行う必要があります(以下「90%超配当要件」といいます。)が、自己投資口は貸借対照表上、純資産の控除項目として計上されることから、税引前当期純利益に比し、本投資法人が実際に配当できる金額が自己投資口の金額分減少する可能性があり、結果として、決算期を超えて自己投資口を保有し続けた場合に90%超配当要件を満たせない可能性があります。
③ 本投資法人の運用方針に関するリスク
(ア)運用資産の地域的偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/⑧ ポートフォリオ運用基準」に記載のとおり、ポートフォリオの構築において、一定の地理的分散投資を行うものの、全国の主要都市等において一定の地理的な集中が生じた場合、当該地域における経済状況の停滞又は悪化、不動産賃貸市場の動向、地震その他の災害等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、本投資法人の運用資産である不動産が近接して所在する場合には、テナント獲得に際し、賃貸市場において本投資法人が保有する不動産相互間で競合し、結果として賃料収入が減少し、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
さらに、一般に、総資産額に占める個別の運用資産の割合は、総資産額の規模が拡大する過程で低下していくと予想されるものの、総資産額に占める割合が大きい運用資産に関して、地震その他の災害、稼働率の低下、賃料水準の下落等の事情が発生した場合には、本投資法人の収益等又は存続に著しい悪影響をもたらす可能性があります。
(イ)余裕資金の運用に係るリスク
本投資法人は、不動産の賃借人から受領した賃料、預託を受けている敷金又は保証金等の余裕資金を投資資金として運用する場合があります。特に、商業施設及びホテルにおいては、賃借人が多額の敷金、保証金又は売上預り金(主に商業施設において、賃料、共益費等を控除した上、所定の期日に返還することを目的として、毎日の営業終了後に当該日の売上金としてテナントから預託を受ける金銭をいいます。)を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することがあります。そのような場合、想定した運用利益をあげることができず、又は、元本欠損が生じる可能性があります。また、賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をその投資利回りよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果本投資法人の損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ウ)物件の取得競争に係るリスク
本投資法人は、規約において、不動産関連資産を主たる投資対象として、継続的な投資を通じて、中長期にわたる安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指して運用を行うことを基本方針としています。しかしながら、J-REITによる取得活動及び国内外の投資家等による不動産に対する投資は積極化する傾向にあり、本投資法人が投資対象とするような不動産について競合する状況が今後も継続すると考えられ、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産を取得することができるとは限りません。また、本投資法人は運用資産を、一定の含み益率のある取得価格で取得することを目指していますが、常に含み益率のある取得価格で運用資産を取得できるとは限りません。さらに、本資産運用会社が新たなファンド等の運用を開始し、投資対象が本投資法人と競合する場合には、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第4 関係法人の状況/1 資産運用会社の概況/(2)運用体制/① 本資産運用会社の意思決定手続/(ウ)顧客間の競合についての対策」記載のルール等により物件取得ができない可能性があります。また、本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーとの間で、ザイマックスグループが有する対象不動産に係る売却情報を本投資法人及び本資産運用会社に提供する旨を含むスポンサー・サポート契約を締結しています。しかし、スポンサー・サポート契約は、対象不動産につき、本投資法人及び本資産運用会社に情報の提供を受ける権利を与えるものにすぎず、本投資法人及び本資産運用会社は、提供された売却情報に係る不動産の取得に関する優先交渉権等を付与されていません。また、パイプライン・サポート契約は、本資産運用会社に物件売却情報の提供を受ける権利を与えるものにすぎず、本資産運用会社及び本資産運用会社の委託元である本投資法人は、提供された売却情報に係る不動産の取得に関する優先交渉権等を付与されていません。そのため、本投資法人は、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約により、本投資法人が適切であると判断する不動産を適切な価格で取得できることまで確約されているわけではないことから、これらに起因して、希望する物件の取得ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオを実現できない可能性があります。
これらの結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
④ 不動産に係るリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「1 投資法人の概況/(2)投資法人の目的及び基本的性格/① 投資法人の目的及び基本的性格」に記載の不動産等資産です。不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託受益権特有のリスクについては、後記「⑤ 不動産信託受益権に係るリスク」をご参照ください。
(ア)不動産の流動性に係るリスク
不動産は、その有する不動性(非移動性)及び個別性(非同質性、非代替性)等の特性から、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有します。また、取引時に実施する物理的状況や権利関係等の調査(デュー・ディリジェンス)の結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵又は契約内容との不適合等が発見された場合には、流動性が低下したり、売買価格が下落する可能性があります。不動産もそれ以外の資産と同様、経済変動等によってもその市場価格は変動します。したがって、本投資法人が不動産を処分する場合にも、希望どおりの価格や時期等で売却できない可能性があります。
不動産の中でも、特に、本投資法人のメインアセットのうち、商業施設及びホテルは、オフィス等の他の種類の不動産に比べ、立地、用途及び構造等が特殊であり、売り手及び買い手ともに限定される傾向があるため、一般的に流動性が低い点に留意が必要です。
さらに、不動産が共有される場合、区分所有建物である場合、又は土地と建物が別個の所有者に属する場合等、権利関係の態様によっては、以上の流動性等に関するリスクが相対的に増幅します。
(イ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における不動産鑑定士等による評価を示したものにとどまります。また、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。加えて、同じ不動産について鑑定評価等を行った場合でも、不動産鑑定士、評価方法又は調査の方法若しくは時期等によって鑑定評価額や調査価格が異なる可能性があります。したがって、かかる鑑定評価及び価格調査の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買を保証するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても当該鑑定評価額又は当該調査価格をもって売却されるとは限りません。
土壌汚染リスク評価報告書は、個々の専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
建物状況評価報告書(エンジニアリングレポート)及び地震リスク評価報告書は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査及び施設管理者への聞取りを行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用及び再調達価格の算出並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載するものであり、また、提供される資料の内容や時間的制約等から一定の限界があり、不動産に欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来地震が発生した場合、予想以上に多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ウ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
不動産は、物件毎に個性を持ち、代替性が低いという性質を有しています。したがって、保有資産又は今後取得する不動産に一定の欠陥や瑕疵があった場合又は当該不動産が当該不動産の売買等に関する契約の内容に適合しない場合、本投資法人は損害を被ることがあります。旧民法(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。その後の改正を含みます。以下「民法改正法」といいます。)による改正前の民法を意味し、以下「旧民法」といいます。本項において、民法改正法による改正後の民法を単に「民法」といいます。)における欠陥や瑕疵には、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等(隠れたものを含みます。また、工事における施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等を含みますが、これらに限りません。)があり、この他、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵とされることもあります。また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経た不動産についても、一般的に、建物の施工を受託した建築会社又はその下請け業者において、建物が適正に施工されていない可能性があり、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はなく、想定し得ない隠れた欠陥・瑕疵等が取得後に判明するおそれもあります。その他、不動産に関する権利が第三者の権利により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることもあり得ます。また、民法上は、権利、地盤、地質、構造等が契約の内容に適合しない場合、建物が適正に施工されない場合、免震装置、制震装置を含む建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合が存在する場合、及び不動産に適用される様々な法規制の違反状態が存在する場合において、目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとされることもあり得ます。
不動産の売買においては、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合又は当該不動産の売買に関する契約の内容に適合しないものであった場合には、売主は、買主に対して瑕疵担保責任(旧民法第570条、第566条等に定める瑕疵担保責任をいいます。)又は契約不適合責任(民法第562条、第570条等に定める契約不適合責任をいいます。)を負うことになります(注)。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合において、本投資法人が売主に対してかかる旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を追及することができる場合があります。さらに、本投資法人では、取得しようとする不動産に係る売買契約等において売主から一定の事実に関する表明及び保証を取得し、瑕疵又は契約内容との不適合の内容等について責任の所在を明確化した上で不動産を取得することを原則としています。
しかし、裁判所による競売で購入する不動産については、法律上、旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任の追及ができません。さらに、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであった特別目的会社等であるためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合責任による保護を受けることができず、損害を被ることになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負担する期間を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。さらに、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、個別の事情により、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が限定され、あるいは表明・保証が全く行われない場合もあります。
本投資法人では、不動産を取得しようとする場合、当該不動産について自ら調査を行う他、宅地建物取引業者が作成する重要事項説明書等の関係書類の調査、売主に対する資料の徴求を行い、かつ、建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質の有無、隣地との境界等について、信頼のおける中立の建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からの建物状況評価報告書(エンジニアリングレポート)、地震リスク評価報告書等を取得し、欠陥及び瑕疵又は契約内容との不適合の有無を精査します。しかし、本投資法人による不動産の取得に際して行われる上記の調査には限界があり、提供される資料の内容、依頼を受けた専門家の能力、売主やその前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な書面等の範囲及び時間的な制約等から、不動産に関する欠陥・瑕疵又は契約内容との不適合について事前に全てを認識することができるとの保証はありません。したがって、本投資法人による取得の後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵又は契約内容との不適合等が判明する可能性があります。
このような場合には、当該欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等を理由として不動産の資産価値が減耗することを防ぐために買主である本投資法人がその補修その他の措置を取ることになり、予定しない補修費用等が発生し、売主からかかる費用の賠償や補償が得られないと、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等の程度によっては、補修その他の措置を取ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
旧民法上、不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵があった場合については、上記と同様のリスクがあります。また、民法上、売買の目的物が特定物であるか、不特定物であるかにかかわらず、不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権売買契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵又は種類、品質又は数量に関する契約の内容との不適合について旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約内容との不適合の程度によっては、補修その他の措置を取ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
加えて、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(注)原則として、2020年3月31日以前に締結された契約及び発生した債権については旧民法に基づく瑕疵担保責任の規定が適用され、2020年4月1日以後に締結された契約及び発生した債権については民法改正法による改正後の民法に基づく契約不適合責任の規定が適用されます。したがって、2020年3月31日までの売買契約を締結した不動産関連資産については2020年4月1日以降も旧民法の瑕疵担保責任の規定が適用されます。旧民法上の瑕疵担保責任は、買主が特定の不動産等を購入する場合、不動産等に隠れた瑕疵がある場合には、売主に対して契約の解除、損害賠償又は代金減額を請求することができるというものであり、民法上の契約不適合責任は、売買の目的物が特定物であるか否かにかかわらず、また、隠れた瑕疵か否かにかかわらず、引き渡された目的物の種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものがある場合には、売主に対して契約の解除、損害賠償、代金減額又は追完(目的物の修補、代替物の引渡、不足分の引渡による履行の追完をいいます。)を請求することができるというものです。瑕疵担保責任又は契約不適合責任の間には上記のほかいくつかの相違点が存在しますが、本投資法人の場合、不動産関連資産の売買に関する契約において、瑕疵担保責任及び契約不適合責任の内容について特約で修正し、かつ、別途、表明保証責任により売主が負担する責任の範囲を詳細に合意しますので旧民法の瑕疵担保責任の規定が適用されるのか民法の契約不適合責任の規定が適用されるのかによって有意的な違いが生じないことが多いと考えられます。
(エ)土地の境界等に係るリスク
我が国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに実質的な障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(オ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
本投資法人が不動産を保有する場合には、本投資法人の主な収益は、本投資法人が直接保有する不動産の賃料収入です。また、本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合には、本投資法人の主な収益は、不動産信託受益権に基づく信託の純利益の配当ですが、その主たる原資は、不動産信託受託者が原資産たる不動産についてテナントとの間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。
このような不動産の賃料収入に影響を与える主なリスクは、以下のとおりです。
a.不動産の稼働状況に係るリスク
不動産の稼働率は、事前に予測することが困難であり、予想し得ない事情により低下する可能性があります。
一般的な賃貸借契約では、契約期間を2年程度とするものの、テナントからの一定期間前の予告により期間中いつでも解約でき、また、期間満了時までに解約の意思表示がなされれば更新されない(意思表示がない場合には自動的に2年程度の期間をもって契約が更新される)ものとされています。このような場合、テナントは、契約期間中であっても賃貸借契約を終了させることが可能であり、かつ、期間満了時に契約の更新がなされる保証もありません。契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果賃料収入が減少する可能性があります。
期間の定めのある賃貸借契約においてテナントに中途解約権を付与していない場合、テナントは、使用の有無にかかわらず、当該賃貸借契約の有効期間中は賃料を支払う義務を負担するのが原則ですが、契約が早期に解除され、テナントが退去した場合、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が認められない場合もあります。なお、賃貸人からの賃貸借契約(後記「c.賃料の減額に係るリスク」に記載の原則的な定期建物賃貸借契約の場合を除きます。)の更新拒絶及び解除は、正当事由の存在が認められる場合を除いて困難であることが多いのが実情です。
本投資法人においても、一部のテナントを除き、上記のような一般的な条件の賃貸借契約を締結し、又は承継することは避けられません。したがって、解約が増加し、又は更新がなされないことにより稼働率が低下し、不動産から得られる賃料収入が減少して、投資主に損害を与える可能性があります。また、解約が多く発生する場合、上記収入の減少のみならず、退去するテナントへの敷金・保証金の返還等が必要となり、十分な積立金が留保されていない場合には、新たな資金調達を余儀なくされ、その結果、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、賃貸借契約で期間内の解約を制限し、違反についての違約金条項を置くこともありますが、違約金の額その他の状況によっては、裁判所によって違約金が一部減額される、又はかかる条項の効力が否定される可能性があります。
b.テナントの信用力及び賃料不払いに係るリスク
賃貸借契約が終了しない場合においても、テナントの財務状況が悪化し、又はテナントが破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払いが滞る可能性があります。このような延滞された賃料等(場合により原状回復費用その他の損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超えると、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。特に、全賃料収入のうち特定のテナントからの賃料収入が占める割合が小さくない場合においては、当該テナントが賃料の支払能力を失った場合には、当該不動産の賃料収入に与える影響が大きくなります。
また、賃貸人が賃貸借契約上の債務の履行を怠った場合には、テナントは賃料不払いをもってこれに対抗することができるため、テナントが賃貸人側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払いをもって対抗する可能性もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入が減少し、投資主に損害を与える可能性があります。新規のテナントを入居させるに当たっては、その信用力について調査を行いますが、かかる調査が完全であるとは限らず、また、入居後に財務状況が悪化することもあり、リスクを完全に防ぐことはできません。
c.賃料の減額に係るリスク
上記のとおり、テナントとの一般的な賃貸借契約では2年程度の期間毎に契約が更新され、その都度賃料が改定される可能性があります。賃貸借契約の期間が比較的長期間である場合もありますが、このような契約においては、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行う旨の定めがなされることがあります。また、契約期間中であっても、賃料相場の下落その他の様々な事情により、テナントから賃料減額の請求を受け、これに合意することを余儀なくされることがあります。また、本投資法人が保有する不動産と競合すると思われる不動産の賃料水準が全般的に低下した場合には、新たに入居するテナントとの間で締結される賃貸借契約における賃料の額が従前の賃料の額と比べて低下するとともに、上記のような賃料減額の可能性もより増大することになり、本投資法人の賃料収入の減少をもたらす可能性があります。
さらに、テナントは、定期建物賃貸借契約において賃料減額請求権を排除する特約がある場合を除いては、借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)に基づく賃料減額請求をすることができます。当事者間で変更後の金額について協議が調わない場合には、賃貸人は、減額を相当とする裁判が確定するまで、テナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払いを請求することができます。但し、その間に賃貸人が実際に支払いを受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付してテナントに返還しなければなりません。したがって、テナントから賃料減額請求権の行使があった場合には、賃貸人としては、この利息支払いのリスクを避けるために従前の賃料を減額して請求をせざるを得ない場合もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入が減少するため、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
これに対し、借地借家法に定める一定の要件を満たして締結された定期建物賃貸借契約においては、当事者間の合意により、上記賃料増減額請求権を排除することができます。もっとも、定期建物賃貸借契約においてテナントが契約期間の定めにかかわらず早期解約した場合、契約上の当然の権利として又は違約金条項に基づく権利として、残期間の賃料全てについて必ずテナントに対して請求できるか否かは、未だ事例の蓄積が乏しいため定かでありません。特に、残期間の途中で新たなテナントが見つかり、賃料収入が得られることとなった場合には、その効力が制限される可能性があります。なお、そもそも契約上、違約金の額が一定期間の賃料に対応する分だけに限られている場合もあります。また、定期建物賃貸借契約では、通常の賃貸借契約に比べて契約期間中の賃料収入の安定が期待できますが、他方で賃料が低く抑えられる傾向にあり、特約の定め方によっては一般的な賃料水準が上昇する場合でもそれに応じた賃料収入の増加を期待することができない等、不利益な面もあります。さらには、契約締結の方法又はこれをめぐる事情の如何によっては、借地借家法に定める一定の要件を満たしていないと判断され、定期建物賃貸借契約であることが否定される可能性があります。
なお、本投資法人又は信託受託者が賃貸している不動産を賃借人が転貸している場合には、転貸条件が必ずしも賃貸条件と同一ではなく、何らかの理由で本投資法人又は信託受託者が転借人と直接の賃貸借契約関係を有することとなったとき、低額の賃料を甘受せざるを得ない可能性があります。
d.テナントの獲得競争に係るリスク
不動産関連資産は、競合する不動産の新築、リニューアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益が悪化する場合があります。需給のバランスが崩れた場合や、立地条件や建物仕様等の点で本投資法人の不動産関連資産に優る競合不動産がある場合、その傾向は顕著になるものと予想されます。
(カ)マスターリースに係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人(マスターリース会社)に一括して賃貸することがあります。このように、マスターリース会社に当該不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人又は信託受託者は、当該不動産に入居する転借人(エンドテナント)を自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があります。
また、パス・スルー型マスターリース契約の場合、エンドテナントの信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、マスターリース会社が転貸借契約上の転貸人としての債務の履行を怠った場合には、エンドテナントは賃料不払いをもってこれに対抗することができるため、エンドテナントがマスターリース会社側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払いをもって対抗する可能性もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入にも悪影響を及ぼすこととなります。
一方、賃料保証型マスターリース契約においては、マスターリース会社の財務状況の悪化等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
マスターリース契約上、マスターリース会社の倒産や契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合、本投資法人が所有者として、エンドテナントとの間の転貸借契約及び旧マスターリース会社のエンドテナントに対する権利及び義務等を承継することが必要となる場合があります。このような場合、本投資法人がエンドテナントに対して、賃貸人たる地位を承継した旨を通知する前に、エンドテナントが旧マスターリース会社に賃料等を支払った場合、本投資法人はエンドテナントに対して賃料請求ができないおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を与える可能性があります。また、転貸借契約に基づきマスターリース会社に敷金・保証金等が預託される場合であって、これらが本投資法人又は信託受託者に預託されないときは、マスターリース会社の倒産により、本投資法人又は信託受託者がエンドテナントから敷金返還請求を受けるおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を与える可能性があります。
(キ)PM会社、BM会社等に係るリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理が成功するか否かは、PM会社やビルメンテナンス会社(BM会社)等(以下「PM会社等」と総称します。)の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、PM会社等の業務遂行能力に大きく依拠することになります。特に、オフィスや居住用施設に比べて商業施設及びホテルのテナント候補は限定されており、テナントとの良好かつ強固な関係を有するPM会社を選定し、そのリーシング能力を活用することが重要となります。
本投資法人は、ザイマックスグループの有する不動産マネジメント力を活用した適切なポートフォリオ運営、安定成長を目指しています。そのため、本書の日付現在、本資産運用会社は、原則として、ザイマックスグループをPM会社等に選定する方針としていますが、ザイマックスグループの人的・財産的基盤が今後も優良であるとの保証はなく、業務遂行能力が低下した場合等においては、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等が生じる可能性があります。また、ザイマックスグループとの関係性が悪化し、適切に不動産マネジメントノウハウの提供やPM会社等としての業務の提供を受けられなくなった場合には、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(ク)不動産の運用費用の増加に係るリスク
不動産の運用に関する費用においては、不動産管理費用、減価償却費、保険料、水道光熱費等、金額が比較的固定されたものが多いため、賃料が減少した場合、かかる費用の減少が実行できないことにより、本投資法人の利益が大きく減少することがあります。また、経済全般のインフレーション、人件費や水道光熱費の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用又は備品調達等の管理コストの上昇、修繕費の負担、各種保険料の値上げ、公租公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性もありますが、その場合に、不動産関連資産からの収入がこれに対応して増加するとの保証はありません。
(ケ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震、火災や風水害等の天災地変その他の事象によって、毀損、滅失又は劣化する可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した箇所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少し、費用が増加することで本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、評価額が下落するおそれもあります。
そこで、本投資法人は、火災等の災害や事故等による建物の損害及び収益の減少、対人・対物事故による第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、運用資産の特性に応じた適切な損害保険(火災保険、施設賠償保険等)を付保する方針としています。こうした保険によって、予期せざるリスクが顕在化した場合にも、かかる保険による保険金を充てることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。但し、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故(戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされません。)が発生する可能性、又は保険会社が当該保険会社の財務状況の如何にかかわらず保険金を完全に支払わず、若しくは支払いが遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の保有する不動産のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本投資法人は、我が国における地震による災害の影響度の甚大性とその発生の可能性に鑑み、ポートフォリオ全体に与える影響及び保険の実効性を考慮し、PML値が15%超の各物件について、火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することを検討します。但し、地震保険を付保しても人的被害の賠償については、保険でカバーされないこともあります。また、個々の物件の具体的事情により、保険の提供が受けられず、当該物件につき地震保険を付保できない可能性もあります。
(コ)建築基準法等の規制に係るリスク
不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法等の規制に服します。このような規制には建物の構造等自体に関するものと、建築確認申請義務等の手続に関するものがあります。その他、不動産は、都市計画法(昭和43年法律第100号、その後の改正を含みます。)(以下「都市計画法」といいます。)、道路法(昭和27年法律第180号、その後の改正を含みます。)、航空法(昭和27年法律第231号、その後の改正を含みます。)、文化財保護法(昭和25年法律第214号、その後の改正を含みます。)、海岸法(昭和31年法律第101号、その後の改正を含みます。)等の様々な規制のもとにあり、さらに国の法令に加えて、各地方公共団体の条例や行政規則等によって、建築に制限が加わったり、駐車場の附置義務、住宅の附置義務、福祉施設の附置義務が課される等の他、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。これらの規制は、随時改正・変更されており、その内容によっては、不動産の管理費用等が増加したり、増改築や再建築の際に、既存の建物と建蔽率や容積率等の点で同様の建物が維持できない可能性もあります。
建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります。例えば、建築基準法は、耐震基準について1981年にいわゆる新耐震基準を採用し、それ以降に建築されるべき建物にはそれ以前とは異なる耐震基準が適用されています。本投資法人の取得・保有する不動産等には、現行の法令に一部適合していないものの違法とはならない、いわゆる既存不適格の建物を含む場合があります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建蔽率・容積率・高度・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替え自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、不動産の資産価値や譲渡価格が下がり、その結果、投資主に損害を与える可能性があります。また、建物の構造等が適法であっても手続に不備があった場合には、工事のやり直しを余儀なくされ、関連する費用等が増加して、投資主に損害を与える可能性があります。
以上の他、土地収用法(昭和26年法律第219号、その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和29年法律第119号、その後の改正を含みます。)、都市再開発法(昭和44年法律第38号、その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の価値が減殺される可能性があります。また、都市計画法や地区計画の変更により既存の建物が既存不適格となることによって、再建築が制限されることもあります。
(サ)法令等の変更に関するリスク
消防法等その他不動産の建築・運営・管理に影響する関係法令や条例の改正等により、将来的には不動産関連資産の管理費用等が増加する可能性があります。また、建築基準法、都市計画法等の不動産に関する行政法規の改正等、新たな法令等の制定及びその改廃、又は、収用、再開発、区画整理等の事業により、不動産関連資産に関する権利が制限される可能性があります。さらに、環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、不動産関連資産について、大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務、所有者としての無過失責任等が課される可能性もあります。このように、法令又は条例の制定・改廃等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(シ)共有物件に係るリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるとされているため(民法第249条第1項)、本投資法人が自己の持分を超える使用をした場合には、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対して自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法第249条第2項)。また、共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をする義務を負っているため、本投資法人がその義務に違反したときは、他の共有者に対して損害賠償責任を負い(民法第249条第3項)、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
また、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除きます。)には共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理行為は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものとされています。したがって、特に本投資法人が持分の過半を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。反対に、共有物を使用する共有者があるときであっても、その者に特別の影響がある場合を除いてその者の承諾を得ることなく、持分の過半数によって共有物の使用方法を含めた管理に関する事項を決定することができることから(民法第252条第1項及び第3項)、本投資法人が持分の過半数を有しない状況下で共有不動産を使用している場合に、使用方法の変更によってその使用が妨げられるおそれがあります。さらに、共有物の管理者が選任されている場合において、共有者が共有物の管理に関する事項を決定したときには、共有物の管理者はこれに従ってその職務を行わなければならないものの、仮にこれに反して共有物の管理者が取引を行った場合に、かかる管理者の行為は共有者に対してその効力を生じませんが、取引相手方が善意であれば、かかる取引相手方には取引の無効を対抗することができないことになります(民法第252条の2第3項及び第4項)。
共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権であり、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差押え、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差押えられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払いや返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払い又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等についても、他の共有者が債務を履行しない場合は、同様の問題があります。
また、不動産を共有する場合、他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条第1項本文)を受ける可能性があります。現物による分割が不可能である場合、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させることができない場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります(民法第258条第3項)。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが(民法第256条第1項ただし書)、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます。但し、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。これに対し、共有者間の協定書等において、共有者が共有持分を処分する場合に他の共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物の分割がなされても、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、本投資法人の共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の本投資法人の保有する不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
以上のとおり、共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ス)区分所有建物に係るリスク
区分所有建物とは、区分所有法の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。
区分所有建物の場合、建物及びその敷地(以下「区分所有物件」といいます。)若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法の規定に従い、また、区分所有者間で定められる管理規約その他の規則(以下「管理規約等」といいます。)がある場合にはこれに服します。管理規約は、原則として、区分所有者数及びその議決権(管理規約に別段の定めのない限り、区分所有者の所有する専有部分の床面積の割合)の各4分の3以上の多数決によらなければ変更できません。区分所有者の集会は少なくとも毎年1回開催され、集会の議事は区分所有法又は管理規約等で別段の定めがない限り区分所有者及び議決権の各過半数で決しますが、建替決議等においてはさらに多数決の要件が加重されています。保有資産が区分所有物件の一部であって本投資法人単独では上記決議要件を満足できない場合、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を十分に反映させることができない可能性があります。また、区分所有者間での管理規約等又は権利関係に関する紛争が発生する危険もあります。
さらに、他の区分所有者が自己の負担すべき区分所有建物の共有部分に係る公租公課、修繕費又は保険料等の支払い又は積立を履行しない場合、本投資法人が保有資産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。これらの場合、本投資法人は、他の区分所有者に係る立替払金の償還を請求することができ、かかる請求権については区分所有法により担保権(先取特権)が与えられていますが、当該他の区分所有者の資力の如何によっては、償還を受けることができない可能性があります。
各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の区分所有者が変更される可能性があります。これに対し、管理規約等において、区分所有者が専有部分(所有権の共有持分その他の敷地利用権(以下に定義します。)を含みます。)を処分する場合に他の区分所有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合には、本投資法人が専有部分を取得する場合や処分する場合には、かかる手続を履践する(又は売主により履践される)必要があります。
また、各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に賃貸し、その他使用収益することができます。また、他の区分所有者による建物への変更工事や内装の変更等により、本投資法人の専有部分を含む建物全体が建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となる可能性があります。本投資法人の保有資産である専有部分の価値や収益は、このような他の区分所有者による使用収益の状況によって影響を受ける可能性があります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利(所有権の共有持分等)を敷地利用権といいますが、区分所有法は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止し、不動産登記法(平成16年法律第123号、その後の改正を含みます。)は敷地権の登記の制度を用意しています。しかし、敷地につき、敷地権の登記がなされていない場合には、専有部分と敷地利用権を分離して処分されたときに、その処分の無効を善意の第三者に主張することができません。
また、区分所有建物の敷地が数筆の土地であり、各区分所有者が、これらの土地の一部について、単独で敷地利用権を有している場合(いわゆる分有形式)には、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが可能とされています。分離処分がなされると、区分所有物件を巡る権利関係が複雑になるため、既に述べた不動産に係る流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(セ)借地権に係るリスク
本投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物の両方ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払い等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望する価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合に、本投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号、その後の改正を含みます。)又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が借地権に先立ち対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し、又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払いを要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
その他、本書の日付現在、本投資法人の保有資産には該当するものはありませんが、地方自治法(昭和22年法律第67号、その後の改正を含みます。)(以下「地方自治法」といいます。)に定める地方公共団体がその普通財産を貸し付けた場合、その貸付期間中であっても、当該地方公共団体において公用又は公共用に供するため必要が生じたときは、普通地方公共団体の長はその契約を解除できるとされています(地方自治法第238条の5第4項)。したがって、地方公共団体から土地その他の資産を賃借した場合、本投資法人は、その契約に違反がない場合であっても解除されることがあり、その場合には本投資法人の資産運用及び収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ソ)開発物件に係るリスク
本投資法人は、原則として、取得時点において稼働している物件に投資を行います。しかし、将来、運用ガイドラインに定める投資方針に従って、竣工後に不動産等を取得するためにあらかじめ開発段階で当該不動産等の売買契約等を締結する可能性及び竣工前の不動産等を取得する可能性があります。かかる場合、既に稼働中の物件を取得する場合に比べて、a)開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見され、これらが開発の遅延、変更又は中止の原因となる可能性、b)工事請負業者の倒産又は請負契約の不履行により、開発が遅延、変更又は中止される可能性、c)開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性、d)天災地変により開発が遅延、変更又は中止される可能性、e)行政上の許認可手続により開発が遅延、変更又は中止される可能性、f)開発過程において事故が生じる可能性、g)竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られない可能性、h)その他予期せぬ事情により開発が遅延、変更又は中止される可能性等のリスクがあります。これらの結果、竣工後における物件からの収益が本投資法人の予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、予定されていない費用、損害又は損失を本投資法人が被る可能性があり、そのため本投資法人の収益等が重大な悪影響を受ける可能性があります。
(タ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地物件を取得することがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶し、かつ、本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条等)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に予測することは困難であり、借地権者の行う時価での建物買取請求により時価での建物の買取りを請求される場合であっても、買取価格が本投資法人の希望する価格以下となる保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払いが、敷金及び保証金等で担保される範囲を超えて延滞する等の場合は本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地契約において賃料等の借地契約の内容について定期的に見直しを行うこととされている場合には、賃料の改定により賃料が減額されると、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性や利用する地下水に有害物質が含まれている可能性は否定できず、かかる有害物質が埋蔵又は含有されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや浄化等が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号、その後の改正を含みます。)に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
特に、物流施設の立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、上記リスクは他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります。
また、建物について、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材又は設備が使用され、又は過去に使用されていた可能性があります。かかる場合には、当該建物の価値が下落する可能性があります。また、かかる有害物質の有無を検査する必要が生じたり、有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接的に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
また、環境関連法令につき、将来不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され又は無過失責任を問われることとなる可能性があります。
さらに、原子力発電所の事故等により、保有不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該不動産の収益性やその価値が大幅に減少する可能性があります。その他、原子力発電所の事故処理に長期間を要することとなる場合、当該不動産の所在する地域だけでなく、不動産市場や金融市場、さらには日本経済全体も影響を受けることとなり、それがひいては本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ツ)水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
本投資法人が不動産等を取得する場合において、当該不動産等に、浄化槽、厨房施設及び入浴施設等の水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号、その後の改正を含みます。)(以下「水質汚濁防止法」といいます。)に規定される特定施設が設置されている場合があります。
水質汚濁防止法によれば、特定施設の設置者は、排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがある場合には、都道府県知事により汚水等の処理の方法等の改善や特定施設の使用若しくは排出水の排出の一時停止を命ぜられることがあり、また、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質等を含む水等が排出され又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときには、有害物質等を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずべき義務を負い、これを講じない場合には、都道府県知事により応急の措置を命ぜられることがあります。さらに、有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な限度において、地下水の水質の浄化のための措置を命ぜられることがあります。これらの場合、本投資法人に多額の費用の負担が生じる可能性があります。加えて、かかる有害物質が含まれた排水の排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透をした者は、無過失責任を負うものとされていることから、特定施設において事故等が生じた場合には、本投資法人が第三者に対して多額の損害を賠償する義務が発生する可能性もあります。
これらの結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主が損失を被る可能性があります。
(テ)埋立地に関するリスク
本投資法人の運用資産及び今後取得する資産には、埋立地に立地するものが含まれる場合があります。埋立地に所在する不動産には、埋立に使用した土壌に有害物質が含まれている等の理由により、土地に有害物質が含まれている可能性があります(当該土地に有害物質が含まれる場合のリスクの詳細は、前記「(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク」をご参照ください。)。また、埋立地は沿岸部に所在することも多く、津波、高潮その他の災害、海面上昇等による被害を受ける可能性もあります。さらに、埋立地の地盤は、軟弱である可能性があることから、当該土地上の建物について、不等沈下その他の沈下を生じる可能性がある他、地震の際には液状化による沈下や毀損等の被害を生じる可能性もあります。これらの理由により当該不動産が被害を受けた場合、予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性がある他、当該不動産の価値が下落する可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主が損失を被る可能性があります。
(ト)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度設計又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出権又は再エネクレジット等を取得する等の負担を余儀なくされる可能性があります。また、近年、本投資法人に対するテナントや投資主等からの評価としてESGに対する取組みは重要性を増しており、法令又は条例等により本投資法人が温室効果ガスの削減義務を負わない場合であっても、場合によっては、本投資法人は、本投資法人のESGにかかる評価を維持・向上させるための追加的な支出等を行ったり、中長期的な視点に基づく投資主価値の最大化のため、本投資法人の収益性の向上が短期間では見込まれない投資等を行うことがあります。
(ナ)不動産の所有者責任に係るリスク
土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています。したがって、本投資法人の保有する不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。本投資法人の投資対象であるホテルは、人を宿泊させるという特質から、第三者、特に宿泊客の生命、身体又は財産等を侵害する危険性も想定されます。
本投資法人は、保有不動産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険を付保する方針ですが、保険契約に基づいて支払われる保険金の上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故が発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
(ニ)テナント集中に係るリスク
本投資法人の運用資産である不動産が単一又は少数のテナントに賃貸される場合、テナントの営業状況、財務状況の悪化等による賃料支払いの遅延や賃料の減額の要求に応じざるを得ないことにより、本投資法人の収益等に影響を与える可能性があります。また、単一又は少数のテナントに賃貸される物件からかかるテナントが退去した場合には、一度に多額の敷金等の返還を余儀なくされ、かつ、稼働率が急激に低下するため、一時的に当該不動産の収益が急激に悪化すること、また、場合によっては多額の減損損失の計上が必要となることがあります。もっとも、そのようなテナントがマスターリースの形態を用いた運用不動産におけるサブレッシーである場合は、当該テナントの退去が直ちにマスターリース契約の終了に繋がるとは限りませんが、その場合においてもかかるテナントの退去を受けてマスターレッシーがマスターリース契約の更新に際して更新しない等の判断に至る可能性は否定できません。なお、不動産が土地である場合は、一続きの土地が一括して賃貸されるものと予想されますので、建物の場合に関する上記と同様のリスクが存在することになります。
また、セール・アンド・リースバック方式により取得した不動産で、テナントが自社の本社等として一棟借りしている建物について、当該テナントの当該建物からの退去に伴い当該本社仕様となっている建物を一般テナントビル仕様に改装する場合は、多額の費用を要することが予想され、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす場合があります。さらに、テナントが倒産した場合、双方未履行の双務契約としてテナントの管財人が解除権を行使し、敷金・保証金の返還を求めてくる可能性があります。この場合の解除権の行使は法律で認められたものであるため、本投資法人は、違約金条項があっても違約金を取得できない可能性があります。当該テナントが相対的に賃料収入の大きなテナントである場合は、本投資法人の収益が重大な悪影響を受ける可能性があります。広い面積を一度に賃借するテナントを誘致することは困難な場合があり、また、複数のテナントを探して稼働率を回復させるのに時間を要する可能性があり、場合によっては賃貸条件の緩和を求められ、かかる期間の長期化又は賃貸条件の悪化により、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ヌ)テナントの業態の偏りに関するリスク
オフィスの場合、景気の動向に左右されるオフィスビル需要に大きく影響を受けるといえ、かかる要因により、本投資法人の収益は悪影響を受ける可能性があります。その他オフィス特有のリスクについては、後記「(ネ)オフィスに係るリスク」をご参照ください。
商業施設の場合、その立地条件により、テナントの業態を大きく変更することは困難であることが多く、保有資産のテナントの業態が、総合スーパーマーケット、百貨店等の特定の業態に偏った場合には、当該業態が、消費性向の変化に伴い小売業としての競争力を失うことにより、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。また、テナントが退去した際に、用途に応じた構造の特殊性から、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。その他商業施設特有のリスクについては、後記「(ノ)商業施設に係るリスク」をご参照ください。
ホテルの場合、用途に応じた構造の特殊性からテナントの業態を大きく変更することが困難であることが多く、また、経済の動向、消費性向の変化に伴い、収益力が減退するときには業務の撤退・縮小を余儀なくされることもあり、そのような場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、テナントが退去した際に、用途に応じた構造の特殊性から、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。その他ホテル特有のリスクについては、後記「(ハ)ホテルに係るリスク」をご参照ください。
物流施設の場合、元々個別企業の実需を前提に施設が設置されることが多く、立地、規模、仕様等が物件毎に異なっており、テナントや用途が相対的に限定される傾向があるという特徴があります。そのため、実需の個別企業の収益力が減退したり、事業内容が変化したとき、賃貸借条件に悪影響が及んだり、業務からの撤退を余儀なくされることがあり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ネ)オフィスに係るリスク
一般的にオフィスの賃料は、景気の動向により大きく変動するため、好況期には賃料収入は増加し、不動産価格も高騰することが見込まれる一方、不況期には賃料収入は減少し、不動産価格が下落する可能性があります。また、他のアセットと比較して、賃貸借契約の賃貸借期間が比較的短く設定される場合があり、その場合には、他のオフィスビルとの競合が生じやすくなることから、稼働率の減少、賃料の減額を余儀なくされる可能性があり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(ノ)商業施設に係るリスク
商業施設は、賃貸期間が長期にわたることが多く賃料の安定性が比較的高い反面、テナントが独自の仕様に内装、設備等を整えた上で利用することが多いため、既存テナントの退出後新規テナントの入居までの間やフロア、店舗位置の入替えの間に、相当期間の改装期間が必要となる場合があり、かかる改装期間中においては、次期入居予定のテナントや対象テナントから賃料を得られない場合もあるため、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。さらに、商業施設において核となる大規模テナントは、賃貸借期間が長く賃貸借解約禁止期間が設定されている場合もあり、退去する可能性は比較的低いものの、万一退去した場合、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。また、商業施設のテナントの収益性は、近隣の商圏からの顧客動向や人口動態、さらには地域特性にも影響され、かつ、個人消費を含む日本経済全体の景気動向にも影響される可能性があるため、それらが悪化した場合には、テナントの撤退のおそれや賃料の下方圧力となる場合もあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(ハ)ホテルに係るリスク
本投資法人の投資対象にはホテルが含まれますが、ホテルには、前述のリスクに加えて、他の用途の不動産に比べ、以下のような特有のリスクがあります。
一般的にホテルの賃貸借契約の賃貸借期間は比較的短期なものから10年以上の長期のものまであり、また、賃料も固定のものからオペレーターの売上げに連動するものまで様々な内容のものがあり、それら契約条件如何によりホテルを用途とする不動産に係る賃料収入は影響を受けることがあります。また、賃貸借契約ではなくオペレーターとの間で運営委託契約を締結する場合もあり、この場合、当該ホテルからの収入はホテル運営収益に連動することになるため、季節的要因、経済的要因等によりその収入が大きく変動するおそれがあります。
ホテルは、装置産業としての性格が強く、また、運営に当たり高度な知識が要求されることから、経済の動向や他のホテルとの競合に伴いホテルの収益力が減退するときには、テナントがホテルの営業から撤退し、退去することがあります。既存テナントが退去した場合、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
さらに、ホテルは、一般に、競争力維持のため、家具、什器、備品、装飾品及び厨房機器等、ホテル運営に必要な資産を定期的に更新する等の設備投資が必要になるところ、かかる設備投資の可否及び成否により売上げが影響を受ける場合があります。また、ホテル事業は労働集約的・資本集約的な事業であることから、固定負担が重く損益分岐点が高い場合が多く、売上げ上昇時の収益性の向上が見込みやすい反面、売上げ減の場合の利益落ち込みのリスクが相対的に高いといえ、売上げが減少した場合には本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ヒ)フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産又は信託受益権を取得するに当たり、いわゆるフォワード・コミットメント等を行うことがあります。売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産又は信託受益権の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払いにより、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(フ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力を勘案の上、賃貸借契約を締結するか否かを決定し、締結後もPM会社を通じてその利用状況を管理しますが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により、又は、反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する場合等に、当該不動産が全体として悪影響を受けることがあります。このような場合には、当該不動産の価値が減損し、本投資法人の収益に悪影響が及ぶおそれがあります。
加えて、テナントによる建物への変更工事、内装の変更等により建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人がその改善のための費用を負担することを余儀なくされる可能性があります。
(ヘ)売主の倒産等の影響に係るリスク
本投資法人が不動産等を取得した後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産等の売買契約又はその対抗要件具備行為が、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、不動産等は破産財団等に取り戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産等に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、いわゆる真正売買の問題として、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とする売買取引を、その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかも当該不動産等についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われて、弁済金額が切下げられることとなり、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比べて、本投資法人はより大きな損害を受けるおそれがあります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、本投資法人が、不動産等を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります。
以上のとおり、本投資法人又はその売主の売買契約が否認され、詐害行為取消権の行使を受け、又は真正売買性が否定された場合には、本投資法人に損害が生じるおそれがあります。
さらに、本投資法人が売主から不動産を取得すると同時に当該不動産を一括して売主に賃貸する取引(いわゆるセールス・アンド・リースバック取引)等、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(ホ)不動産の売却における制限に係るリスク
不動産等の売却については、上記のとおり他の区分所有者や共有者によって契約上その処分について制限が課されることがある他、賃貸借契約において賃借人に対し賃貸借契約期間中は売却をしない旨や土地と建物を分離譲渡しない旨を約したり、第三者に売却する前に賃借人に対して買取りについての優先交渉権を与えたりする場合があります。そのような場合、不動産市場の動向を見ながら最も有利な条件で売却することが難しくなり、本投資法人は、通常であれば得ることができる利益を得ることができなくなるおそれがあります。
(マ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
本投資法人が保有不動産を売却した場合に、当該不動産に瑕疵又は契約内容との不適合があるために、旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負う可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号、その後の改正を含みます。)(以下「宅建業法」といいます。)上みなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、旧民法上負う瑕疵担保責任又は民法上負う契約不適合責任を排除することが原則としてできません。
また、法律の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、物件の性状その他に関する表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負う可能性があります。
これらの法律上又は契約上の表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負う場合には、買主から売買契約を解除され、あるいは、買主が被った損害の賠償その他の対応をしなければならず、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、賃貸不動産の売却においては、旧民法上、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予定外の出費を強いられる場合があります。
(ミ)伝染病・疫病等の影響を受けるリスク
SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)及びCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)などの伝染病・疫病等の国内外における流行等の外的要因により、不動産の正常な運営、管理等が妨げられたり、来訪者の減少等により不動産の収益性が低下し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
⑤ 不動産信託受益権に係るリスク
本投資法人は、不動産、地上権又は土地の賃借権を主な信託財産とする不動産信託受益権を取得することがあります。この場合、不動産信託受託者が不動産の名義上の所有者(又は地上権者若しくは賃借人)となり、信託受益者である本投資法人のために不動産を管理、運用、処分します。信託受益者である本投資法人は、不動産信託受託者に指図をすることによりその運用方針に従った運用を行うこととなります。不動産を直接所有する場合と不動産信託受益権を保有する場合とでは、税務上の取扱い、資産を担保提供する方法等に違いがあります。不動産信託受益権を取得する場合、本投資法人は、以下のような不動産信託受益権特有のリスクを負います。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、新信託法施行と同時に廃止された信託法(大正11年法律第62号、その後の改正を含みます。)を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは、信託の利益を享受する者とされ、信託の収益は、信託交付金等の形で信託受益者に引渡され、信託が終了するときは信託財産全てが交付されます。
他方で、旧信託法のもとでは、信託財産に関する租税、不動産信託受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等(以下「信託費用等」といいます。)は、最終的に信託受益者が負担することになっています(旧信託法第36条第2項)。すなわち、信託受益者は、名義上は信託財産の所有者ではありませんが、信託財産に係る経済的利益及び損失の最終的な帰属主体といえます。したがって、不動産信託受益権を保有する場合も、不動産そのものを所有する場合と同様に不動産に係るリスクを負うことになります。また、不動産信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け又は受益者にその賠償を請求することができます。不動産信託受託者は、かかる信託費用支払いの担保として信託財産を留置することができる他、信託費用未払いの場合には信託財産である不動産を売却することができます。このため、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。新信託法のもとでは、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と不動産信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し不動産信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(イ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
本投資法人が不動産信託受益権を運用資産とする場合において、不動産信託受託者を通じて信託財産たる不動産を処分する場合には、上記の不動産の流動性に係るリスクが存在します。
また、不動産信託受益権を譲渡しようとする場合には、不動産信託受託者の事前の承諾を要求されることがあります。さらに、譲渡する不動産信託受益権については有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券と比較すると相対的に流動性が低いものといえます。また、信託受託者は旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負う可能性がある場合には信託不動産の売却を原則として行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
不動産信託受託者につき破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続が開始された場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法のもとでは、明文の規定はないものの、同法の諸規定や信託財産の独立性という観点から、信託財産が破産財団、再生債務者又は更生会社の財産その他不動産信託受託者の固有財産に属すると解釈される可能性は、極めて小さいものと考えられていました。新信託法においては、信託財産は不動産信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。
但し、不動産、地上権又は土地の賃借権の場合は、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された財産について信託の公示(信託の登記)が必要とされます。
(エ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
不動産信託受託者は、信託業務を行うに当たり、信託受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負い、信託受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。また、受託者が、その権限に属しない行為又は信託財産に属する財産を固有財産に帰属させる等の利益相反行為を行うことにより、本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが、常にかかる権利の行使により損害を回復できるとは限りません。
(オ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
不動産信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。旧信託法のもとでは所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定の一部が準用されます(民法第264条)。新信託法のもとでは信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第105条以下)、不動産信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。
旧信託法では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている不動産信託受益権の変更に当たる行為(その効用の著しい変更を伴わないものを除きます。)には準共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものと考えられます。したがって、特に本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
一方、新信託法のもとでは、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。この場合には、他の準共有者全員が承諾しない限り、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができないこととなります。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められているとは限らず、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、旧信託法及び新信託法いずれのもとでも、準共有者は、不動産信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
不動産信託受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、準共有される財産に関する債権債務として不可分債権及び不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差押さえ、又は他の準共有者が不動産信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払いや支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払い又は償還を受けることができない可能性があります。
⑥ 税制に係るリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の会計処理に関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応する体制を取っています。
(ア)導管性要件に係るリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務上その全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになったことから、本リスクは軽減されています。
b.資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c.借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件のもとにおける借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d.投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(本投資法人が取得する特定資産のうち不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第28条第4項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(エ)一般的な税制の変更に係るリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑦ 減損会計の適用に係るリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号平成15年10月31日)(以下「減損会計」といいます。)が、本投資法人においても適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の固定資産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資するかかる匿名組合では、本投資法人の出資金を営業者が不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合や当該不動産等の価値が下落した場合等には、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については、契約上譲渡が禁止若しくは制限されていること、及び確立された流通市場が存在しないことから、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。
⑨ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社の優先出資証券への投資を行うことがありますが、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、さらには導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が投資した当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人に損害が発生する可能性があります。また、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません(注)。優先出資証券の発行をした特定目的会社が自ら土地又は土地の賃借権を取得してその上に建物を建築する場合もあり、そのような場合には、前記「④ 不動産に係るリスク/(ソ)開発物件に係るリスク」に記載のリスクがあります。
(注)本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産に投資することを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合には、本投資法人は、導管性要件(導管性要件の詳細については、前記「⑥ 税制に係るリスク/(ア)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)に抵触することなく保有する意向です。また、規約に基づき中長期の安定運用を目標としているため、取得した優先出資証券につき短期間でその売却を行うことは意図しておりません。但し、売却する方が本投資法人にとってより経済的な合理性があると判断される場合、その売却を行うことがあります。
⑩ 取得予定資産を組み入れることができないリスク
本投資法人は、本書の日付現在保有する資産の運用のみを目的としているものではなく、ポートフォリオの質の向上、ひいては投資主価値の最大化に資するため、規約及び資産運用ガイドラインに基づき、新たな資産取得に向けた市場調査や情報の入手並びに資産譲渡の実現可能性の把握等に努めており、また、必要に応じ、資産取得の検討や関係者との協議を行っています。したがって、今後、本投資法人の行う資産の運用において、本投資法人が本書の日付現在保有する資産以外の資産の取得を行うことがあり得ます。しかしながら、契約締結後資産取得までの間に、かかる契約に定められた一定の条件が成就しないことにより、当該取得予定資産を購入することができず、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が信託受益権として取得予定の資産の一部については、本投資法人による取得に先立ち信託が設定される場合があり、しかし、何らかの理由により、取得予定資産が信託されないこともあり得ます。このような場合、停止条件付信託受益権譲渡契約の停止条件が成就しないとされるため、本投資法人が当該取得予定資産を取得することができず、その結果、投資主又は投資法人債権者は損害を被る可能性があります。
(2)投資リスクに関する管理体制
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下の検証システムを通じ、実効性のあるリスク管理体制を整備し、最大限の効果の発揮に努めています。本投資法人及び本資産運用会社は可能な限り、本投資口又は本投資法人債への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
① 本投資法人の体制
本投資法人は、少なくとも3か月に1回以上役員会を開催し、適宜本資産運用会社の運用状況の報告を受ける他、執行役員は適宜本資産運用会社の運用状況を聴取及び関係書類の閲覧・調査を実施し、本資産運用会社の管理・監督を行います。
② 本資産運用会社の体制
(ア)本資産運用会社は、本資産運用会社の取締役会において審議、決議され、本投資法人の役員会に報告される(但し、変更が、利害関係者との取引制限に関する事項の策定又は変更である場合には、本投資法人の役員会において審議及び承認されます。)運用ガイドラインを遵守するとともに、本資産運用会社のコンプライアンス・マニュアル及びリスク管理規程に基づきコンプライアンス及びリスク管理を行います。
(イ)本資産運用会社は、利害関係人等と本投資法人との間の取引については、原則として、本資産運用会社のリートコンプライアンス委員会、リート投資委員会、取締役会に付され取引に係る議案を審議するものとされています。かつ、利害関係取引に関する自主ルールを定めており、これを遵守することにより利益相反に係るリスク管理を行います。
(ウ)本資産運用会社は、金融商品取引法の改正による、投資法人に係るインサイダー取引規制導入に十分な対応を図るための内部態勢の構築を念頭におき、内部者取引の未然防止についてのインサイダー取引管理規程を定め、役職員等のインサイダー取引(インサイダー類似取引も含まれます。)の防止に努めています。
(エ)本資産運用会社は、リート投資委員会及びリートコンプライアンス委員会を設け、運用に係る年度計画や取得・売却に関する事項を審議することにより、異なる視点からリスク管理を行います。
(オ)本資産運用会社は、コンプライアンスを統括するコンプライアンス・オフィサーが、法令遵守の状況を監視します。
(カ)本資産運用会社は、リスクを管理するため、役員をリスク管理統括責任者とし、コンプライアンス室がリスク管理統括責任者を補佐することにより、本資産運用会社のリスクの所在及びリスクの種類を理解した上で、運用部門の担当者に当該内容を理解・認識させるよう、適切な方策を講じるものとします。公募投資運用部は、投資基準に適合しなくなった不動産がある場合には、当該不動産の入替、売却等について検討を行い、さらに、投資基準に適合しなくなった不動産の状況について、定期的かつ必要に応じ取締役会へ報告するものとします。
(キ)本資産運用会社は、コンプライアンスに関する社内体制を整備し、コンプライアンス上の問題の発生についての対応を講じています。また、コンプライアンス・マニュアルを作成し、コンプライアンス基本方針や役職員等の行動規範を定めるのみならず定期的にコンプライアンス研修を実施します。
(ク)本資産運用会社は、内部監査に関する社内体制を整備し、取締役会の監督に基づく実効的な監視活動を通じて、リスクを特定し、その最小化を図っています。内部監査に関する担当者兼責任者である内部監査責任者は、他の組織及び部署から独立した組織として維持するものとします。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主に損失が生じるおそれがあります。
以下においては、本投資口への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、今後本投資法人が投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)又は新投資口予約権(以下「本新投資口予約権」といいます。)を発行する場合、これらの事項は本投資法人債及び本新投資口予約権への投資に関してもリスク要因となる可能性があります。但し、以下は本投資口、本投資法人債及び本新投資口予約権への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。なお、本投資法人が保有している資産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況/(2)投資資産/③ その他投資資産の主要なもの」をご参照ください。
また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これら事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
本投資法人は、可能な限りこれらのリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が減少し、又は本投資口・本投資法人債・本新投資口予約権の市場価格が下落する可能性があり、その結果、各投資家が投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書における本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資口に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 本投資法人が発行する投資口に係るリスク
(ア)投資口の商品性に係るリスク
(イ)換金性・流動性に係るリスク
(ウ)市場価格の変動に係るリスク
(エ)金銭の分配に係るリスク
(オ)投資口の希薄化に係るリスク
(カ)LTVに関するリスク
(キ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一でないリスク
② 本投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
(ア)投資法人の組織運営に係るリスク
(イ)投資法人の制度に係るリスク
(ウ)インサイダー取引規制に関するリスク
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
(オ)不動産の取得方法に係るリスク
(カ)自己投資口取得に係るリスク
③ 本投資法人の運用方針に関するリスク
(ア)運用資産の地域的偏在に関するリスク
(イ)余裕資金の運用に係るリスク
(ウ)物件の取得競争に係るリスク
④ 不動産に係るリスク
(ア)不動産の流動性に係るリスク
(イ)専門家報告書等に関するリスク
(ウ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
(エ)土地の境界等に係るリスク
(オ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
(カ)マスターリースに係るリスク
(キ)PM会社、BM会社等に係るリスク
(ク)不動産の運用費用の増加に係るリスク
(ケ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
(コ)建築基準法等の規制に係るリスク
(サ)法令等の変更に関するリスク
(シ)共有物件に係るリスク
(ス)区分所有建物に係るリスク
(セ)借地権に係るリスク
(ソ)開発物件に係るリスク
(タ)底地物件に係るリスク
(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク
(ツ)水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
(テ)埋立地に関するリスク
(ト)地球温暖化対策に関するリスク
(ナ)不動産の所有者責任に係るリスク
(ニ)テナント集中に係るリスク
(ヌ)テナントの業態の偏りに関するリスク
(ネ)オフィスに係るリスク
(ノ)商業施設に係るリスク
(ハ)ホテルに係るリスク
(ヒ)フォワード・コミットメント等に係るリスク
(フ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
(ヘ)売主の倒産等の影響に係るリスク
(ホ)不動産の売却における制限に係るリスク
(マ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
(ミ)伝染病・疫病等の影響を受けるリスク
⑤ 不動産信託受益権に係るリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
(ウ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
(エ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
(オ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
⑥ 税制に係るリスク
(ア)導管性要件に係るリスク
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(エ)一般的な税制の変更に係るリスク
⑦ 減損会計の適用に係るリスク
⑧ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑨ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
⑩ 取得予定資産を組み入れることができないリスク
① 本投資法人が発行する投資口に係るリスク
(ア)投資口の商品性に係るリスク
投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、経済状況や不動産及び証券市場等の動向、本投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、譲渡による換価時点において投資金額以上の金額の回収を図ることができる保証はありません。
投資口は、投資額の保証がなされる商品ではなく、金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではありません。本投資法人が通常の清算又は倒産手続により清算される場合、投資主は、本投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、投資口の払戻しを受けることはできず、投資金額のほとんどを回収できない可能性があります。
(イ)換金性・流動性に係るリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しが認められないクローズドエンド型であるため、投資主が本投資口を換金するためには、原則として東京証券取引所を通じて、又は同取引所外において、第三者に売却することが必要となります。なお、本投資法人は、投資主との合意により、本投資法人の投資口を有償で取得することができます(規約第5条第2項)。
また、本投資口について投資家の希望する時期と条件で取引できるとの保証や、常に買主が存在するとの保証はなく、譲渡価格を保証する第三者も存在しません。
本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他の理由により、上場廃止基準に抵触する場合には、本投資口の上場が廃止されます。本投資口の上場市場における売却が困難又は不可能となった場合には、本投資口の売却を希望する投資主は、相対取引による他なく、本投資口を希望する時期又は条件で換価できないか、全く換価できない可能性があります。
なお、本投資法人が本投資法人債又は本新投資口予約権を発行した場合、本投資法人債及び本新投資口予約権には、確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません。
(ウ)市場価格の変動に係るリスク
本投資口の市場価格は、本投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、金利動向、為替相場、市場環境や景気動向等によって左右されます。また、地震、津波、液状化等の天災、疫病や新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を含む不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等を契機として、不動産投資信託証券の市場価格が下落するおそれがあります。
本投資法人は、不動産関連資産を主たる投資対象としていますが、それらの評価額は、不動産市況、景気動向、不動産の需給バランス、かかる需要を左右することのある経済の全般的状況、法制又は税制の変更、社会情勢その他の要因により変動します。本投資口の市場価格は、一般に本投資法人の保有に係る運用資産の評価額に影響されるため、運用資産である不動産関連資産の評価額の変動や、これに影響を及ぼすと考えられる諸要因により変動することがあります。
また、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、投資口1口当たりの純資産額が減少することがあり、さらには市場における投資口の需給バランスに影響を与えることになり、その結果、本投資口の市場価格が悪影響を受けるおそれがあります。さらに、投資口の大口保有者が大量に保有投資口を売却した場合には、需給のバランスにより市場価格が大幅に下落する可能性があります。
加えて、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。
なお、本投資法人債は金利動向等の市場環境等により価格が変動することがあり、また格付けの見直しや引下げによる影響を受けることがあります。
(エ)金銭の分配に係るリスク
本投資法人は前記「2 投資方針/(3)分配方針」に記載する分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません。特に、不動産関連資産から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等の場合、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
(オ)投資口の希薄化に係るリスク
本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、既存の投資主が有する投資口の本投資法人の発行済投資口総数に対する割合が希薄化し、また、投資口1口当たりの純資産額の減少等のため投資口の投資利回りが低下し、投資口の価値が下落する可能性があります。また、期中において投資口が追加発行される場合、その期の投資口保有期間にかかわらず、既存の投資口と同額の金銭の分配がなされるため、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があります。さらに、今後、追加発行がなされる場合、投資口1口当たりの純資産額が減少する場合や、市場における投資口の需給バランスに悪影響を与える場合があり、その結果、投資口の価格が悪影響を受けるおそれがあります。
(カ)LTVに関するリスク
本投資法人のLTVは原則として60%を上限としますが、資産の取得等に伴い一時的に60%を超えることがあります。LTVの値が高まれば高まるほど、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受けやすくなり、その結果投資主への分配額が減少するおそれがあります。
(キ)投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一でないリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、本投資法人の意思決定に参画できる他、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項及び規約第14条第1項)(なお、本投資法人の規約上、役員の選解任、資産運用会社との間の運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を公表した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第3 管理及び運営/3 投資主・投資法人債権者の権利/(1)投資主の権利/① 投資主総会における議決権」をご参照ください。)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。
これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
② 本投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人という制度固有のリスクが存在します。
(ア)本投資法人の組織運営に係るリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。
a.役員の職務遂行に係るリスク
投信法上、投資法人を代表しその業務執行を行う執行役員及び執行役員の業務を監督する監督役員は、善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のため忠実に職務を遂行する義務(以下「忠実義務」といいます。)を負います。しかし、職務遂行上、本投資法人の執行役員又は監督役員が善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合は、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
b.本投資法人の資金調達に係るリスク
本投資法人は、本書記載の投資方針に従い、借入れを行いますが、将来的に本投資法人債の発行を行う可能性もあります。なお、本投資法人は、規約において、借入金及び本投資法人債発行の限度額を、それぞれ1兆円とし、かつ、その合計額が1兆円を超えないものとしています(規約第36条第3項)。
借入れ及び本投資法人債を発行する場合におけるその条件は、その時々の金利実勢、本投資法人の収益及び財務状況並びに信用格付業者からの格付、一般的な経済環境の他、貸付人の自己資本比率規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因による影響を受けるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入れ及び本投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。また、借入れに当たり税法上の導管性要件(後記「⑥ 税制に係るリスク/(ア)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)を満たすためには、その借入先を租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家である適格機関投資家に限定する必要があるため、借入先が限定され機動的な資金調達ができない場合があります。
借入れ及び本投資法人債の発行を行う際には、他の債務のための担保提供の制限、本投資法人の収益状況や財務状況が一定の条件を下回った場合における担保の提供及び現金その他の一定資産の留保、一定の財務指標を基準とした追加借入制限、資産取得の制限、投資主への分配に係る制限、その他本投資法人の収益状況や財務状況及び業務に係る約束や制限が課されることがあります。このような約束や制限は、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります(なお、本書の日付現在、本投資法人が行う金銭の借入れについて、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持すること等を規定した財務制限条項が設けられています。)。
本投資法人は、借入れや本投資法人債について、保有する運用資産又はその裏付けとなる資産の全部又は一部を担保に供することがあります。この場合、本投資法人は、被担保債権である借入れの弁済又は本投資法人債の償還をしない限り、担保対象たる運用資産の処分につき貸付人等の承諾を取得する等の制限を受ける可能性があります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で運用資産を処分できないおそれがあります。また、収益性の悪化等により担保不動産の評価額が借入先によって引下げられた場合等には、追加の担保設定や借入金の早期返済を求められることがあり、また、かかる早期返済や返済期限における返済のための資金を調達するため、本投資法人の希望しない条件での借換え資金の調達や、希望しない時期及び条件での運用資産の処分を強いられ、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
借換えや不動産関連資産の売却等によって借入金の期限前返済を行う場合には、違約金等又は償還コストがその時点の金利情勢によって決定されることがあり、予測しがたい経済状況の変動が投資主に損害を与える可能性もあります。
さらに、本投資法人が返済期の到来した借入れ又は投資法人債の借換えを行うことができないことにより、本投資法人のキャッシュフロー、金利情勢その他の理由により、不動産関連資産を処分しなければ借入れ及び投資法人債の返済ができなくなる可能性があります。この場合、本投資法人の希望しない時期及び条件で不動産関連資産を処分せざるを得ない状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、契約上金利が固定されておらず一定の指標に連動するものとされている場合等には、契約期間中に金利が上昇する可能性があり、その結果分配可能金額が減少する可能性があります。
本投資法人が借入れ又は投資法人債について債務不履行となった場合、それらの債権者により本投資法人の資産に対して仮差押等の保全処分や差押等の強制執行が行われることがあるとともに、本投資法人に対して破産等の倒産手続の申立てが行われる可能性があります。
投資口の追加発行又は新投資口予約権の発行により資金調達を行う場合、投資口の発行時期及び価格はその時々の市場価格等により左右され、場合により、本投資法人の希望する時期及び条件でこれを発行することができないおそれがあります。
c.投資法人の倒産リスク及び登録取消リスク
本投資法人も、一般の法人と同様、債務超過に至る可能性を否定することができません。本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律第75号、その後の改正を含みます。)、民事再生法(平成11年法律第225号、その後の改正を含みます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けます。
また、本投資法人は、資産の運用を行うために投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合、かかる登録を取り消される可能性があります。登録が取り消されると、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散することとなります。本投資法人が解散し、清算する場合には、投資主は、当初の投資金額の回収を期待できない可能性があります。
(イ)投資法人の制度に係るリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。
a.本投資法人以外の関係者への依存に係るリスク
(a)本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者への依存に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現は、これらの者の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財産的基盤を常に維持できるとの保証はありません。金融商品取引法上、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を経営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されており、一般事務受託者は、投資法人の設立時及び設立後新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われていますが、それぞれの業務受託者において、本投資法人に対して負う善管注意義務及び忠実義務に反する行為を行う場合には、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
その他、本資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者が、破産手続又は会社更生手続その他の倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、本投資法人はそれらの者に対する債権の回収に困難が生じるおそれがあり、さらに本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約を解約し又は解除することが求められることがあります。そのような場合、本投資法人は、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、日常の業務遂行に影響を受けることになります。また、委託契約が解約又は解除された場合には、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選定し、これらの者に対して上記各業務を委託することが必要とされます。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し、上記各業務及び事務を委託できるとの保証はなく、そのような第三者を速やかに選定できない場合には、本投資法人の存続及び損益の状況等に悪影響を及ぼす他、適切な資産運用会社を選定できない場合には、本投資口が上場廃止になる可能性もあります。
(b)ザイマックスグループへの依存に係るリスク
本投資法人は、スポンサー、本資産運用会社及び本投資法人との間のスポンサー・サポート契約により、ザイマックスグループが、対象不動産(本投資法人の投資方針に適合するとスポンサーにおいて合理的に判断する不動産等及び不動産等を主たる投資対象とする資産対応証券等をいいます。以下同じです。)の売却に関する一定の情報を本資産運用会社及び本投資法人に提供すること(売却情報提供)、ザイマックスグループが本資産運用会社から将来における本投資法人による円滑な取得を推進することを目的として取得対象不動産(本投資法人の投資方針に適合し、本投資法人が取得を希望する対象不動産をいいます。以下同じです。)の一時的な保有の依頼を受けた場合には真摯に検討すること(ウェアハウジング機能)、ザイマックスグループが、本投資法人が取得対象不動産につき全体を取得できない等の場合に共同投資の依頼を受けた場合には真摯に検討すること(共同投資)、ザイマックスグループが本投資法人の必要な人材の確保に協力すること(人材確保に関する協力)、ザイマックスグループが本投資法人が既に保有し又は取得を検討している不動産等の運営・管理、賃貸、コンバージョン、リニューアル、開発等に係る補助業務及び助言業務等のアドバイザリー業務を行うこと、ザイマックスグループが不動産等の売買マーケット及び不動産等の賃貸マーケットに係る事項等につき情報提供を行い、意見及び情報を交換すること(情報交換)、商標使用の許諾並びに看板等の設置等に合意しています。また、本資産運用会社は、株式会社マックスリアルティー及び本資産運用会社との間のパイプライン・サポート契約により、株式会社マックスリアルティーが、本資産運用会社に対し、自ら又は第三者が保有する物件等の売却情報を提供すること、ウェアハウジング機能の提供、共同投資及び再開発サポート業務の提供を真摯に検討すること、本資産運用会社から合理的な要請があった場合にパイプライン・サポート契約で定めるアドバイザリー業務を行えること、並びに不動産等の売買マーケット及び不動産等の賃貸マーケットに係る事項等につき情報提供を行い、意見及び情報を交換すること等に合意しています。
このように、本投資法人の新規物件の取得機会の確保及び資産規模の拡大等の外部成長は、ザイマックスグループの能力、経験及びノウハウによるところが大きいといえます。そのため、ザイマックスグループが取得する物件売却情報の質及び量並びにそれらが顧客から継続的にもたらされるか否かによって、対象不動産の情報提供の有無が左右されるため、十分な情報が提供されない場合には本投資法人の外部成長に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約は、株式会社マックスリアルティーを含むザイマックスグループが、本投資法人と競合する事業を行うことを禁止するものではなく、そのため、本投資法人の事業とザイマックスグループの事業が物件取得やテナント誘致の場面で競合する可能性があります。加えて、スポンサーは、スポンサー・サポート契約において、ザイマックスグループが保有・運用する対象不動産及び第三者により保有される対象不動産の売却情報を提供するものとされていますが、ザイマックスグループが保有・運用する対象不動産については、本投資法人への売却が適当であると株式会社ザイマックス又はその関連会社が独自の裁量で判断する場合に、かかる情報を提供するものとされています。また、第三者により保有される対象不動産の売却情報についても、スポンサーが本資産運用会社に対する情報提供の義務を負うものではありません。さらに、株式会社マックスリアルティーは、パイプライン・サポート契約において、本資産運用会社に対して、自己又は第三者が保有する物件の売却情報を提供するとされておりますが、対象となる物件は本投資法人の投資方針に適合すると株式会社マックスリアルティーにおいて合理的に判断する不動産等及び不動産等を主たる投資対象とする資産対応証券等に限定されています。したがって、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約により、スポンサー又は株式会社マックスリアルティーが入手する対象不動産の全ての売却情報が本投資法人又は本資産運用会社に提供されることを確約するものでもありません。
さらに、ザイマックスグループが上記のサポートの提供に必要な人的・財産的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約が何らかの理由で解除され若しくは更新されず、又はその他の理由によりザイマックスグループによるサポートが期待どおりの成果をあげない場合には、本投資法人の損益の状況及び存続に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、本投資法人や本資産運用会社が、ザイマックスグループと取引を行う場合において、ザイマックスグループの利益を図るために、結果的に本投資法人の投資主の利益に反することとなる行為を行う可能性が完全に排除されているわけではなく、その場合には本投資法人に損害が発生する可能性があります。上記のような利益相反が問題となり得る場合としては、例えばザイマックスグループからの物件取得に際しての購入価格その他の購入条件の交渉、ザイマックスグループに対する賃貸及びプロパティマネジメント業務委託の条件交渉、ザイマックスグループに対する修繕工事の発注、その他のプロパティマネジメント業務の遂行等が挙げられます。
本資産運用会社は、利益相反対策のための社内規程を設け、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、かかるリスクを完全に排除できるとの保証はありません。
b.資産の運用に係るリスク
(a)収益及び費用、キャッシュフローの変動に係るリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が取得し、保有する不動産関連資産からの賃料収入に依存しています。かかる賃料収入は、不動産関連資産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。特に、テナント数が少ない物流施設、ホテル、オフィスビルやその他の用途の不動産において、テナントの退去、テナントによる賃料不払い又は遅延が生じた場合には、キャッシュフローに与える影響は大きくなります。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
本投資法人は、本資産運用会社を通じて、良質のテナントを確保すべく努力しますが、その目的が達成されるとは限りません。また、良質と判断されるテナントを確保しても、当該テナントが永続的に本投資法人の保有する不動産を賃借し続けるとの保証はなく、また、かかるテナントの財務状況が悪化する可能性もあります。
上記の賃料収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金・保証金の返還、多額の資本的支出、未稼働の不動産関連資産の取得、売却損の発生による再投資の資金規模の縮小等は、キャッシュフローを減じる効果をもたらし、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
賃料収入の他、不動産関連資産の売却が行われた場合には売却益が発生する可能性もありますが、不動産関連資産の売却益は、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであり、恒常的・安定的に得られる性格のものではありません。
他方、不動産関連資産に関する費用としては、減価償却費、不動産関連資産に関して課される公租公課、不動産関連資産に関して付保された保険の保険料、管理組合費、水道光熱費、不動産管理費用、清掃衛生業務、保安警備業務及び設備管理業務等の建物管理業務に係る費用、維持修繕費用、借地借家料並びにテナント誘致費用(媒介手数料、広告料等)等があります。かかる費用の額は状況により増大する可能性があります。さらに、不動産関連資産の売却に当たって売却損が生じた場合には、かかる売却損が損失として計上されます。
これらの要因により、投資主への分配金額等の減少その他の悪影響を及ぼす可能性があります。
(b)本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材への依存リスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(c)本資産運用会社の運用能力に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、本投資法人のために忠実義務を負いますが、資産運用の結果に対して何らの保証を行うものではありません。資産運用会社となるためには金融商品取引法上の投資運用業の登録を行う必要があり、本資産運用会社は投信法及び金融商品取引法に基づく監督を受けていることから、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、投信法及び金融商品取引法はその運用能力まで保証するものではありません。
本投資法人は、2017年9月14日に設立され、本資産運用会社は、本投資法人が2017年10月31日に投信法第187条に基づく登録を受けた後本投資法人の資産運用業務を開始したものであり、運用開始から現在までの期間は短期間にすぎません。したがって、過去の実績から今後の実績を予測することは容易ではありません。また、本資産運用会社の運用する私募ファンドやザイマックスグループのこれまでの運用実績は、本投資法人としての今後の運用実績を保証するものではありません。
本投資法人は、投資主総会の承認を得て資産運用委託契約を解約することができ、また、投信法及び資産運用委託契約の規定に基づいて、本資産運用会社が職務上の義務に違反した場合その他一定の場合に、資産運用委託契約を解約し、本資産運用会社を解任することができる他、投信法上、本資産運用会社が金融商品取引法上の金融商品取引業者でなくなったとき、その他一定の場合には、資産運用委託契約を解約又は解除しなければならないものとされています。資産運用委託契約を解約又は解除する場合、それに先立ち後任の資産運用会社の選定が必要になりますが、かかる選定までの期間中は、解任すべきと判断された本資産運用会社による資産の運用が継続することになります。また、後任の資産運用会社が適切な運用能力を有することが保証されているわけでもありません。
(d)本資産運用会社の利益相反行為等に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、また、本投資法人のために行為すべき忠実義務を負います。さらに、本資産運用会社の行為により本投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、本資産運用会社は、金融商品取引法により、通常の取引の条件と異なる条件で、かつ、本投資法人の利益を害することとなる取引を内容とした運用を行うこと等一定の行為を禁止されています。しかしながら、本資産運用会社が、上記の義務や規制に反した場合には、本投資法人に損害が発生するリスクがあります。
また、金融商品取引法上、資産運用会社は、複数の投資法人、ファンド等の資産運用を受託することを禁じられておらず、今後、本資産運用会社が、本投資法人の他に、投資法人や私募ファンド等の資産運用を開始することにより、本投資法人と他の投資法人又はファンド等の投資対象が競合する可能性も排除されておりません。
本書の日付現在、本資産運用会社は、本投資法人の他、複数の不動産私募ファンドからも資産の運用を受託しています。そのため、本資産運用会社は、競合する取得検討対象資産の情報の恣意的な配分を防止することを目的として、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第4 関係法人の状況/1 資産運用会社の概況/(2)運用体制/① 本資産運用会社の意思決定手続/(ウ)顧客間の競合についての対策」記載のルールを採用しており、かかるルールに則った運営・配分を行うこととしています。
本投資法人は、かかるルールにおいては、本投資法人の投資方針に合致する資産に関し本資産運用会社が取得した売却情報について、他の私募ファンド等に優先して取得検討を行うことができます。しかしながら、実際に係るルールに反する資産の取得検討が行われる可能性がないことまでは保証されておらず、また、かかるルールは変更される可能性もあり、これらにより、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、本資産運用会社の親会社であるザイマックスグループは、本資産運用会社以外において日本での不動産関連事業を行っており、ザイマックスグループ又はザイマックスグループがその運用を行う不動産ファンド等が本資産運用会社が行う取引に関与する場合があります。そのような場合に、本資産運用会社以外のザイマックスグループ各社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引又は行為を行う可能性を否定することはできません。
本資産運用会社は、投信法の定める利害関係人等を含む一定のスポンサー関係者との取引について、利益相反対策のための社内規程を設け、利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、上記リスクを完全に排除できる保証はありません。
(e)本資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に係るリスク
規約に規定されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本資産運用会社がこれを具体化するために制定した運用ガイドラインについては、投資主総会の承認を得ることなく、その時々の市場環境等に応じ、本資産運用会社の判断により機動的に改訂することが可能であり、かかる改訂は本投資法人の投資主の意思が反映されていないことも想定されます。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインの範囲内で、随時、その時点における投資方針、投資戦略等を策定していますが、これらの変更についても同様です。かかる運用ガイドラインの改訂や投資方針、投資戦略等の変更により、意図したとおりの運用成果を収めることができるとの保証はなく、結果的に本投資法人の資産運用及び損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインに従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制について効率性・機能性その他の観点から今後その変更を行わないとは限りません。このような、本資産運用会社における社内体制等の変更によって、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります。
(ウ)インサイダー取引規制に関するリスク
投資口の取引についても、金融商品取引法が定めるインサイダー取引の規制対象となります。
発行者である投資法人の役員だけでなく、資産運用会社及びその特定関係者(資産運用会社の親会社、及び投信法第201条第1項に規定する資産運用会社の利害関係人等のうち、一定の基準を満たす取引を行い、又は行った法人)の役職員が会社関係者として上記規制の対象者に含まれることになるとともに、投資法人及び資産運用会社に関連する事実が重要事実として規定されており、これらの解釈・運用が定着していないことに伴い本投資法人の円滑な資産運用に悪影響が生じる可能性がある他、本投資口につきインサイダー取引規制に違反する行為が行われた場合には、投資家の本投資口又は不動産投資信託証券市場に対する信頼を害し、ひいては本投資口の流動性の低下や市場価格の下落等の悪影響をもたらすおそれがあります。
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度上の取扱いに係るリスク
投資法人に関する法律上、税制上その他諸制度上の取扱い若しくは解釈は大幅に変更され、又は新たな法律が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、本投資法人の存続、損益の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(オ)不動産の取得方法に係るリスク
本投資法人は、今後不動産を取得するに当たり、投資法人としての税制上の軽減措置を受けることを目的として、当該不動産についての所有権等の移転本登記申請を譲渡代金支払日後直ちに行わない場合があります。この場合、売主が譲渡代金支払い後本登記申請までの間に当該不動産を二重譲渡し、担保提供し、又は売主が倒産すること等により、本投資法人が当該不動産の完全な所有権を取得できなくなる可能性があり、また、同時に支払済みの譲渡代金の全部又は一部につき返還を受けられなくなる可能性があります。本投資法人は、上記軽減措置に関する手続のために必要な一定期間について、仮登記を経ること等により本登記の順位を保全して上記リスクを回避する方針ですが、仮登記には順位保全効果しかなく、本登記がなされる前に売主が倒産した場合等には本投資法人が保護されない可能性があり、上記リスクを完全に排除できるわけではありません。
(カ)自己投資口取得に係るリスク
本投資法人は、資金調達環境、金融マーケットの状況、本投資法人の投資口価格の状況等を勘案し、投資主還元と資本コストの最適化に資すると判断した場合、自己投資口の取得を行うことがありますが、取得した自己投資口は相当の時期に処分又は消却をしなければならず、必ずしも本投資法人にとって有利な時期及び価格で処分できる保証はありません。また、投資法人が税務上の特例要件を満たし法人税が課税されないこととなるためには、税引前当期純利益に一定の調整を加えた金額の90%超の配当を行う必要があります(以下「90%超配当要件」といいます。)が、自己投資口は貸借対照表上、純資産の控除項目として計上されることから、税引前当期純利益に比し、本投資法人が実際に配当できる金額が自己投資口の金額分減少する可能性があり、結果として、決算期を超えて自己投資口を保有し続けた場合に90%超配当要件を満たせない可能性があります。
③ 本投資法人の運用方針に関するリスク
(ア)運用資産の地域的偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/⑧ ポートフォリオ運用基準」に記載のとおり、ポートフォリオの構築において、一定の地理的分散投資を行うものの、全国の主要都市等において一定の地理的な集中が生じた場合、当該地域における経済状況の停滞又は悪化、不動産賃貸市場の動向、地震その他の災害等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、本投資法人の運用資産である不動産が近接して所在する場合には、テナント獲得に際し、賃貸市場において本投資法人が保有する不動産相互間で競合し、結果として賃料収入が減少し、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
さらに、一般に、総資産額に占める個別の運用資産の割合は、総資産額の規模が拡大する過程で低下していくと予想されるものの、総資産額に占める割合が大きい運用資産に関して、地震その他の災害、稼働率の低下、賃料水準の下落等の事情が発生した場合には、本投資法人の収益等又は存続に著しい悪影響をもたらす可能性があります。
(イ)余裕資金の運用に係るリスク
本投資法人は、不動産の賃借人から受領した賃料、預託を受けている敷金又は保証金等の余裕資金を投資資金として運用する場合があります。特に、商業施設及びホテルにおいては、賃借人が多額の敷金、保証金又は売上預り金(主に商業施設において、賃料、共益費等を控除した上、所定の期日に返還することを目的として、毎日の営業終了後に当該日の売上金としてテナントから預託を受ける金銭をいいます。)を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することがあります。そのような場合、想定した運用利益をあげることができず、又は、元本欠損が生じる可能性があります。また、賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をその投資利回りよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果本投資法人の損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ウ)物件の取得競争に係るリスク
本投資法人は、規約において、不動産関連資産を主たる投資対象として、継続的な投資を通じて、中長期にわたる安定した収益の確保と運用資産の着実な成長を目指して運用を行うことを基本方針としています。しかしながら、J-REITによる取得活動及び国内外の投資家等による不動産に対する投資は積極化する傾向にあり、本投資法人が投資対象とするような不動産について競合する状況が今後も継続すると考えられ、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産を取得することができるとは限りません。また、本投資法人は運用資産を、一定の含み益率のある取得価格で取得することを目指していますが、常に含み益率のある取得価格で運用資産を取得できるとは限りません。さらに、本資産運用会社が新たなファンド等の運用を開始し、投資対象が本投資法人と競合する場合には、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第4 関係法人の状況/1 資産運用会社の概況/(2)運用体制/① 本資産運用会社の意思決定手続/(ウ)顧客間の競合についての対策」記載のルール等により物件取得ができない可能性があります。また、本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーとの間で、ザイマックスグループが有する対象不動産に係る売却情報を本投資法人及び本資産運用会社に提供する旨を含むスポンサー・サポート契約を締結しています。しかし、スポンサー・サポート契約は、対象不動産につき、本投資法人及び本資産運用会社に情報の提供を受ける権利を与えるものにすぎず、本投資法人及び本資産運用会社は、提供された売却情報に係る不動産の取得に関する優先交渉権等を付与されていません。また、パイプライン・サポート契約は、本資産運用会社に物件売却情報の提供を受ける権利を与えるものにすぎず、本資産運用会社及び本資産運用会社の委託元である本投資法人は、提供された売却情報に係る不動産の取得に関する優先交渉権等を付与されていません。そのため、本投資法人は、スポンサー・サポート契約及びパイプライン・サポート契約により、本投資法人が適切であると判断する不動産を適切な価格で取得できることまで確約されているわけではないことから、これらに起因して、希望する物件の取得ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオを実現できない可能性があります。
これらの結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
④ 不動産に係るリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「1 投資法人の概況/(2)投資法人の目的及び基本的性格/① 投資法人の目的及び基本的性格」に記載の不動産等資産です。不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託受益権特有のリスクについては、後記「⑤ 不動産信託受益権に係るリスク」をご参照ください。
(ア)不動産の流動性に係るリスク
不動産は、その有する不動性(非移動性)及び個別性(非同質性、非代替性)等の特性から、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有します。また、取引時に実施する物理的状況や権利関係等の調査(デュー・ディリジェンス)の結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵又は契約内容との不適合等が発見された場合には、流動性が低下したり、売買価格が下落する可能性があります。不動産もそれ以外の資産と同様、経済変動等によってもその市場価格は変動します。したがって、本投資法人が不動産を処分する場合にも、希望どおりの価格や時期等で売却できない可能性があります。
不動産の中でも、特に、本投資法人のメインアセットのうち、商業施設及びホテルは、オフィス等の他の種類の不動産に比べ、立地、用途及び構造等が特殊であり、売り手及び買い手ともに限定される傾向があるため、一般的に流動性が低い点に留意が必要です。
さらに、不動産が共有される場合、区分所有建物である場合、又は土地と建物が別個の所有者に属する場合等、権利関係の態様によっては、以上の流動性等に関するリスクが相対的に増幅します。
(イ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における不動産鑑定士等による評価を示したものにとどまります。また、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。加えて、同じ不動産について鑑定評価等を行った場合でも、不動産鑑定士、評価方法又は調査の方法若しくは時期等によって鑑定評価額や調査価格が異なる可能性があります。したがって、かかる鑑定評価及び価格調査の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買を保証するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても当該鑑定評価額又は当該調査価格をもって売却されるとは限りません。
土壌汚染リスク評価報告書は、個々の専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
建物状況評価報告書(エンジニアリングレポート)及び地震リスク評価報告書は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査及び施設管理者への聞取りを行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用及び再調達価格の算出並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載するものであり、また、提供される資料の内容や時間的制約等から一定の限界があり、不動産に欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来地震が発生した場合、予想以上に多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ウ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
不動産は、物件毎に個性を持ち、代替性が低いという性質を有しています。したがって、保有資産又は今後取得する不動産に一定の欠陥や瑕疵があった場合又は当該不動産が当該不動産の売買等に関する契約の内容に適合しない場合、本投資法人は損害を被ることがあります。旧民法(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。その後の改正を含みます。以下「民法改正法」といいます。)による改正前の民法を意味し、以下「旧民法」といいます。本項において、民法改正法による改正後の民法を単に「民法」といいます。)における欠陥や瑕疵には、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等(隠れたものを含みます。また、工事における施工の不具合及び施工報告書の施工データの転用・加筆等を含みますが、これらに限りません。)があり、この他、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵とされることもあります。また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経た不動産についても、一般的に、建物の施工を受託した建築会社又はその下請け業者において、建物が適正に施工されていない可能性があり、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はなく、想定し得ない隠れた欠陥・瑕疵等が取得後に判明するおそれもあります。その他、不動産に関する権利が第三者の権利により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることもあり得ます。また、民法上は、権利、地盤、地質、構造等が契約の内容に適合しない場合、建物が適正に施工されない場合、免震装置、制震装置を含む建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合が存在する場合、及び不動産に適用される様々な法規制の違反状態が存在する場合において、目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないとされることもあり得ます。
不動産の売買においては、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合又は当該不動産の売買に関する契約の内容に適合しないものであった場合には、売主は、買主に対して瑕疵担保責任(旧民法第570条、第566条等に定める瑕疵担保責任をいいます。)又は契約不適合責任(民法第562条、第570条等に定める契約不適合責任をいいます。)を負うことになります(注)。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合において、本投資法人が売主に対してかかる旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を追及することができる場合があります。さらに、本投資法人では、取得しようとする不動産に係る売買契約等において売主から一定の事実に関する表明及び保証を取得し、瑕疵又は契約内容との不適合の内容等について責任の所在を明確化した上で不動産を取得することを原則としています。
しかし、裁判所による競売で購入する不動産については、法律上、旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任の追及ができません。さらに、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであった特別目的会社等であるためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合責任による保護を受けることができず、損害を被ることになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負担する期間を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。さらに、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、個別の事情により、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が限定され、あるいは表明・保証が全く行われない場合もあります。
本投資法人では、不動産を取得しようとする場合、当該不動産について自ら調査を行う他、宅地建物取引業者が作成する重要事項説明書等の関係書類の調査、売主に対する資料の徴求を行い、かつ、建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質の有無、隣地との境界等について、信頼のおける中立の建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からの建物状況評価報告書(エンジニアリングレポート)、地震リスク評価報告書等を取得し、欠陥及び瑕疵又は契約内容との不適合の有無を精査します。しかし、本投資法人による不動産の取得に際して行われる上記の調査には限界があり、提供される資料の内容、依頼を受けた専門家の能力、売主やその前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な書面等の範囲及び時間的な制約等から、不動産に関する欠陥・瑕疵又は契約内容との不適合について事前に全てを認識することができるとの保証はありません。したがって、本投資法人による取得の後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵又は契約内容との不適合等が判明する可能性があります。
このような場合には、当該欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等を理由として不動産の資産価値が減耗することを防ぐために買主である本投資法人がその補修その他の措置を取ることになり、予定しない補修費用等が発生し、売主からかかる費用の賠償や補償が得られないと、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該欠陥、瑕疵又は契約内容との不適合等の程度によっては、補修その他の措置を取ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
旧民法上、不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵があった場合については、上記と同様のリスクがあります。また、民法上、売買の目的物が特定物であるか、不特定物であるかにかかわらず、不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権売買契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵又は種類、品質又は数量に関する契約の内容との不適合について旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約内容との不適合の程度によっては、補修その他の措置を取ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
加えて、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(注)原則として、2020年3月31日以前に締結された契約及び発生した債権については旧民法に基づく瑕疵担保責任の規定が適用され、2020年4月1日以後に締結された契約及び発生した債権については民法改正法による改正後の民法に基づく契約不適合責任の規定が適用されます。したがって、2020年3月31日までの売買契約を締結した不動産関連資産については2020年4月1日以降も旧民法の瑕疵担保責任の規定が適用されます。旧民法上の瑕疵担保責任は、買主が特定の不動産等を購入する場合、不動産等に隠れた瑕疵がある場合には、売主に対して契約の解除、損害賠償又は代金減額を請求することができるというものであり、民法上の契約不適合責任は、売買の目的物が特定物であるか否かにかかわらず、また、隠れた瑕疵か否かにかかわらず、引き渡された目的物の種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものがある場合には、売主に対して契約の解除、損害賠償、代金減額又は追完(目的物の修補、代替物の引渡、不足分の引渡による履行の追完をいいます。)を請求することができるというものです。瑕疵担保責任又は契約不適合責任の間には上記のほかいくつかの相違点が存在しますが、本投資法人の場合、不動産関連資産の売買に関する契約において、瑕疵担保責任及び契約不適合責任の内容について特約で修正し、かつ、別途、表明保証責任により売主が負担する責任の範囲を詳細に合意しますので旧民法の瑕疵担保責任の規定が適用されるのか民法の契約不適合責任の規定が適用されるのかによって有意的な違いが生じないことが多いと考えられます。
(エ)土地の境界等に係るリスク
我が国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに実質的な障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(オ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
本投資法人が不動産を保有する場合には、本投資法人の主な収益は、本投資法人が直接保有する不動産の賃料収入です。また、本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合には、本投資法人の主な収益は、不動産信託受益権に基づく信託の純利益の配当ですが、その主たる原資は、不動産信託受託者が原資産たる不動産についてテナントとの間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。
このような不動産の賃料収入に影響を与える主なリスクは、以下のとおりです。
a.不動産の稼働状況に係るリスク
不動産の稼働率は、事前に予測することが困難であり、予想し得ない事情により低下する可能性があります。
一般的な賃貸借契約では、契約期間を2年程度とするものの、テナントからの一定期間前の予告により期間中いつでも解約でき、また、期間満了時までに解約の意思表示がなされれば更新されない(意思表示がない場合には自動的に2年程度の期間をもって契約が更新される)ものとされています。このような場合、テナントは、契約期間中であっても賃貸借契約を終了させることが可能であり、かつ、期間満了時に契約の更新がなされる保証もありません。契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果賃料収入が減少する可能性があります。
期間の定めのある賃貸借契約においてテナントに中途解約権を付与していない場合、テナントは、使用の有無にかかわらず、当該賃貸借契約の有効期間中は賃料を支払う義務を負担するのが原則ですが、契約が早期に解除され、テナントが退去した場合、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が認められない場合もあります。なお、賃貸人からの賃貸借契約(後記「c.賃料の減額に係るリスク」に記載の原則的な定期建物賃貸借契約の場合を除きます。)の更新拒絶及び解除は、正当事由の存在が認められる場合を除いて困難であることが多いのが実情です。
本投資法人においても、一部のテナントを除き、上記のような一般的な条件の賃貸借契約を締結し、又は承継することは避けられません。したがって、解約が増加し、又は更新がなされないことにより稼働率が低下し、不動産から得られる賃料収入が減少して、投資主に損害を与える可能性があります。また、解約が多く発生する場合、上記収入の減少のみならず、退去するテナントへの敷金・保証金の返還等が必要となり、十分な積立金が留保されていない場合には、新たな資金調達を余儀なくされ、その結果、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、賃貸借契約で期間内の解約を制限し、違反についての違約金条項を置くこともありますが、違約金の額その他の状況によっては、裁判所によって違約金が一部減額される、又はかかる条項の効力が否定される可能性があります。
b.テナントの信用力及び賃料不払いに係るリスク
賃貸借契約が終了しない場合においても、テナントの財務状況が悪化し、又はテナントが破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払いが滞る可能性があります。このような延滞された賃料等(場合により原状回復費用その他の損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超えると、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。特に、全賃料収入のうち特定のテナントからの賃料収入が占める割合が小さくない場合においては、当該テナントが賃料の支払能力を失った場合には、当該不動産の賃料収入に与える影響が大きくなります。
また、賃貸人が賃貸借契約上の債務の履行を怠った場合には、テナントは賃料不払いをもってこれに対抗することができるため、テナントが賃貸人側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払いをもって対抗する可能性もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入が減少し、投資主に損害を与える可能性があります。新規のテナントを入居させるに当たっては、その信用力について調査を行いますが、かかる調査が完全であるとは限らず、また、入居後に財務状況が悪化することもあり、リスクを完全に防ぐことはできません。
c.賃料の減額に係るリスク
上記のとおり、テナントとの一般的な賃貸借契約では2年程度の期間毎に契約が更新され、その都度賃料が改定される可能性があります。賃貸借契約の期間が比較的長期間である場合もありますが、このような契約においては、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行う旨の定めがなされることがあります。また、契約期間中であっても、賃料相場の下落その他の様々な事情により、テナントから賃料減額の請求を受け、これに合意することを余儀なくされることがあります。また、本投資法人が保有する不動産と競合すると思われる不動産の賃料水準が全般的に低下した場合には、新たに入居するテナントとの間で締結される賃貸借契約における賃料の額が従前の賃料の額と比べて低下するとともに、上記のような賃料減額の可能性もより増大することになり、本投資法人の賃料収入の減少をもたらす可能性があります。
さらに、テナントは、定期建物賃貸借契約において賃料減額請求権を排除する特約がある場合を除いては、借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)に基づく賃料減額請求をすることができます。当事者間で変更後の金額について協議が調わない場合には、賃貸人は、減額を相当とする裁判が確定するまで、テナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払いを請求することができます。但し、その間に賃貸人が実際に支払いを受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付してテナントに返還しなければなりません。したがって、テナントから賃料減額請求権の行使があった場合には、賃貸人としては、この利息支払いのリスクを避けるために従前の賃料を減額して請求をせざるを得ない場合もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入が減少するため、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
これに対し、借地借家法に定める一定の要件を満たして締結された定期建物賃貸借契約においては、当事者間の合意により、上記賃料増減額請求権を排除することができます。もっとも、定期建物賃貸借契約においてテナントが契約期間の定めにかかわらず早期解約した場合、契約上の当然の権利として又は違約金条項に基づく権利として、残期間の賃料全てについて必ずテナントに対して請求できるか否かは、未だ事例の蓄積が乏しいため定かでありません。特に、残期間の途中で新たなテナントが見つかり、賃料収入が得られることとなった場合には、その効力が制限される可能性があります。なお、そもそも契約上、違約金の額が一定期間の賃料に対応する分だけに限られている場合もあります。また、定期建物賃貸借契約では、通常の賃貸借契約に比べて契約期間中の賃料収入の安定が期待できますが、他方で賃料が低く抑えられる傾向にあり、特約の定め方によっては一般的な賃料水準が上昇する場合でもそれに応じた賃料収入の増加を期待することができない等、不利益な面もあります。さらには、契約締結の方法又はこれをめぐる事情の如何によっては、借地借家法に定める一定の要件を満たしていないと判断され、定期建物賃貸借契約であることが否定される可能性があります。
なお、本投資法人又は信託受託者が賃貸している不動産を賃借人が転貸している場合には、転貸条件が必ずしも賃貸条件と同一ではなく、何らかの理由で本投資法人又は信託受託者が転借人と直接の賃貸借契約関係を有することとなったとき、低額の賃料を甘受せざるを得ない可能性があります。
d.テナントの獲得競争に係るリスク
不動産関連資産は、競合する不動産の新築、リニューアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益が悪化する場合があります。需給のバランスが崩れた場合や、立地条件や建物仕様等の点で本投資法人の不動産関連資産に優る競合不動産がある場合、その傾向は顕著になるものと予想されます。
(カ)マスターリースに係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人(マスターリース会社)に一括して賃貸することがあります。このように、マスターリース会社に当該不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人又は信託受託者は、当該不動産に入居する転借人(エンドテナント)を自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があります。
また、パス・スルー型マスターリース契約の場合、エンドテナントの信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、マスターリース会社が転貸借契約上の転貸人としての債務の履行を怠った場合には、エンドテナントは賃料不払いをもってこれに対抗することができるため、エンドテナントがマスターリース会社側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払いをもって対抗する可能性もあり、その場合には当該不動産から得られる賃料収入にも悪影響を及ぼすこととなります。
一方、賃料保証型マスターリース契約においては、マスターリース会社の財務状況の悪化等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
マスターリース契約上、マスターリース会社の倒産や契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合、本投資法人が所有者として、エンドテナントとの間の転貸借契約及び旧マスターリース会社のエンドテナントに対する権利及び義務等を承継することが必要となる場合があります。このような場合、本投資法人がエンドテナントに対して、賃貸人たる地位を承継した旨を通知する前に、エンドテナントが旧マスターリース会社に賃料等を支払った場合、本投資法人はエンドテナントに対して賃料請求ができないおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を与える可能性があります。また、転貸借契約に基づきマスターリース会社に敷金・保証金等が預託される場合であって、これらが本投資法人又は信託受託者に預託されないときは、マスターリース会社の倒産により、本投資法人又は信託受託者がエンドテナントから敷金返還請求を受けるおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を与える可能性があります。
(キ)PM会社、BM会社等に係るリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理が成功するか否かは、PM会社やビルメンテナンス会社(BM会社)等(以下「PM会社等」と総称します。)の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、PM会社等の業務遂行能力に大きく依拠することになります。特に、オフィスや居住用施設に比べて商業施設及びホテルのテナント候補は限定されており、テナントとの良好かつ強固な関係を有するPM会社を選定し、そのリーシング能力を活用することが重要となります。
本投資法人は、ザイマックスグループの有する不動産マネジメント力を活用した適切なポートフォリオ運営、安定成長を目指しています。そのため、本書の日付現在、本資産運用会社は、原則として、ザイマックスグループをPM会社等に選定する方針としていますが、ザイマックスグループの人的・財産的基盤が今後も優良であるとの保証はなく、業務遂行能力が低下した場合等においては、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等が生じる可能性があります。また、ザイマックスグループとの関係性が悪化し、適切に不動産マネジメントノウハウの提供やPM会社等としての業務の提供を受けられなくなった場合には、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(ク)不動産の運用費用の増加に係るリスク
不動産の運用に関する費用においては、不動産管理費用、減価償却費、保険料、水道光熱費等、金額が比較的固定されたものが多いため、賃料が減少した場合、かかる費用の減少が実行できないことにより、本投資法人の利益が大きく減少することがあります。また、経済全般のインフレーション、人件費や水道光熱費の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用又は備品調達等の管理コストの上昇、修繕費の負担、各種保険料の値上げ、公租公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性もありますが、その場合に、不動産関連資産からの収入がこれに対応して増加するとの保証はありません。
(ケ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震、火災や風水害等の天災地変その他の事象によって、毀損、滅失又は劣化する可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した箇所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少し、費用が増加することで本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、評価額が下落するおそれもあります。
そこで、本投資法人は、火災等の災害や事故等による建物の損害及び収益の減少、対人・対物事故による第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、運用資産の特性に応じた適切な損害保険(火災保険、施設賠償保険等)を付保する方針としています。こうした保険によって、予期せざるリスクが顕在化した場合にも、かかる保険による保険金を充てることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。但し、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故(戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされません。)が発生する可能性、又は保険会社が当該保険会社の財務状況の如何にかかわらず保険金を完全に支払わず、若しくは支払いが遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の保有する不動産のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本投資法人は、我が国における地震による災害の影響度の甚大性とその発生の可能性に鑑み、ポートフォリオ全体に与える影響及び保険の実効性を考慮し、PML値が15%超の各物件について、火災保険及び利益保険の特約として地震保険を付保することを検討します。但し、地震保険を付保しても人的被害の賠償については、保険でカバーされないこともあります。また、個々の物件の具体的事情により、保険の提供が受けられず、当該物件につき地震保険を付保できない可能性もあります。
(コ)建築基準法等の規制に係るリスク
不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法等の規制に服します。このような規制には建物の構造等自体に関するものと、建築確認申請義務等の手続に関するものがあります。その他、不動産は、都市計画法(昭和43年法律第100号、その後の改正を含みます。)(以下「都市計画法」といいます。)、道路法(昭和27年法律第180号、その後の改正を含みます。)、航空法(昭和27年法律第231号、その後の改正を含みます。)、文化財保護法(昭和25年法律第214号、その後の改正を含みます。)、海岸法(昭和31年法律第101号、その後の改正を含みます。)等の様々な規制のもとにあり、さらに国の法令に加えて、各地方公共団体の条例や行政規則等によって、建築に制限が加わったり、駐車場の附置義務、住宅の附置義務、福祉施設の附置義務が課される等の他、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。これらの規制は、随時改正・変更されており、その内容によっては、不動産の管理費用等が増加したり、増改築や再建築の際に、既存の建物と建蔽率や容積率等の点で同様の建物が維持できない可能性もあります。
建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります。例えば、建築基準法は、耐震基準について1981年にいわゆる新耐震基準を採用し、それ以降に建築されるべき建物にはそれ以前とは異なる耐震基準が適用されています。本投資法人の取得・保有する不動産等には、現行の法令に一部適合していないものの違法とはならない、いわゆる既存不適格の建物を含む場合があります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建蔽率・容積率・高度・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替え自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、不動産の資産価値や譲渡価格が下がり、その結果、投資主に損害を与える可能性があります。また、建物の構造等が適法であっても手続に不備があった場合には、工事のやり直しを余儀なくされ、関連する費用等が増加して、投資主に損害を与える可能性があります。
以上の他、土地収用法(昭和26年法律第219号、その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和29年法律第119号、その後の改正を含みます。)、都市再開発法(昭和44年法律第38号、その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の価値が減殺される可能性があります。また、都市計画法や地区計画の変更により既存の建物が既存不適格となることによって、再建築が制限されることもあります。
(サ)法令等の変更に関するリスク
消防法等その他不動産の建築・運営・管理に影響する関係法令や条例の改正等により、将来的には不動産関連資産の管理費用等が増加する可能性があります。また、建築基準法、都市計画法等の不動産に関する行政法規の改正等、新たな法令等の制定及びその改廃、又は、収用、再開発、区画整理等の事業により、不動産関連資産に関する権利が制限される可能性があります。さらに、環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、不動産関連資産について、大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務、所有者としての無過失責任等が課される可能性もあります。このように、法令又は条例の制定・改廃等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(シ)共有物件に係るリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができるとされているため(民法第249条第1項)、本投資法人が自己の持分を超える使用をした場合には、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対して自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法第249条第2項)。また、共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をする義務を負っているため、本投資法人がその義務に違反したときは、他の共有者に対して損害賠償責任を負い(民法第249条第3項)、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
また、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除きます。)には共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理行為は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものとされています。したがって、特に本投資法人が持分の過半を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。反対に、共有物を使用する共有者があるときであっても、その者に特別の影響がある場合を除いてその者の承諾を得ることなく、持分の過半数によって共有物の使用方法を含めた管理に関する事項を決定することができることから(民法第252条第1項及び第3項)、本投資法人が持分の過半数を有しない状況下で共有不動産を使用している場合に、使用方法の変更によってその使用が妨げられるおそれがあります。さらに、共有物の管理者が選任されている場合において、共有者が共有物の管理に関する事項を決定したときには、共有物の管理者はこれに従ってその職務を行わなければならないものの、仮にこれに反して共有物の管理者が取引を行った場合に、かかる管理者の行為は共有者に対してその効力を生じませんが、取引相手方が善意であれば、かかる取引相手方には取引の無効を対抗することができないことになります(民法第252条の2第3項及び第4項)。
共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権であり、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差押え、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差押えられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払いや返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払い又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等についても、他の共有者が債務を履行しない場合は、同様の問題があります。
また、不動産を共有する場合、他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条第1項本文)を受ける可能性があります。現物による分割が不可能である場合、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させることができない場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります(民法第258条第3項)。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが(民法第256条第1項ただし書)、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます。但し、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。これに対し、共有者間の協定書等において、共有者が共有持分を処分する場合に他の共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物の分割がなされても、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、本投資法人の共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の本投資法人の保有する不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
以上のとおり、共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ス)区分所有建物に係るリスク
区分所有建物とは、区分所有法の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。
区分所有建物の場合、建物及びその敷地(以下「区分所有物件」といいます。)若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法の規定に従い、また、区分所有者間で定められる管理規約その他の規則(以下「管理規約等」といいます。)がある場合にはこれに服します。管理規約は、原則として、区分所有者数及びその議決権(管理規約に別段の定めのない限り、区分所有者の所有する専有部分の床面積の割合)の各4分の3以上の多数決によらなければ変更できません。区分所有者の集会は少なくとも毎年1回開催され、集会の議事は区分所有法又は管理規約等で別段の定めがない限り区分所有者及び議決権の各過半数で決しますが、建替決議等においてはさらに多数決の要件が加重されています。保有資産が区分所有物件の一部であって本投資法人単独では上記決議要件を満足できない場合、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を十分に反映させることができない可能性があります。また、区分所有者間での管理規約等又は権利関係に関する紛争が発生する危険もあります。
さらに、他の区分所有者が自己の負担すべき区分所有建物の共有部分に係る公租公課、修繕費又は保険料等の支払い又は積立を履行しない場合、本投資法人が保有資産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。これらの場合、本投資法人は、他の区分所有者に係る立替払金の償還を請求することができ、かかる請求権については区分所有法により担保権(先取特権)が与えられていますが、当該他の区分所有者の資力の如何によっては、償還を受けることができない可能性があります。
各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の区分所有者が変更される可能性があります。これに対し、管理規約等において、区分所有者が専有部分(所有権の共有持分その他の敷地利用権(以下に定義します。)を含みます。)を処分する場合に他の区分所有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合には、本投資法人が専有部分を取得する場合や処分する場合には、かかる手続を履践する(又は売主により履践される)必要があります。
また、各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に賃貸し、その他使用収益することができます。また、他の区分所有者による建物への変更工事や内装の変更等により、本投資法人の専有部分を含む建物全体が建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となる可能性があります。本投資法人の保有資産である専有部分の価値や収益は、このような他の区分所有者による使用収益の状況によって影響を受ける可能性があります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利(所有権の共有持分等)を敷地利用権といいますが、区分所有法は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止し、不動産登記法(平成16年法律第123号、その後の改正を含みます。)は敷地権の登記の制度を用意しています。しかし、敷地につき、敷地権の登記がなされていない場合には、専有部分と敷地利用権を分離して処分されたときに、その処分の無効を善意の第三者に主張することができません。
また、区分所有建物の敷地が数筆の土地であり、各区分所有者が、これらの土地の一部について、単独で敷地利用権を有している場合(いわゆる分有形式)には、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが可能とされています。分離処分がなされると、区分所有物件を巡る権利関係が複雑になるため、既に述べた不動産に係る流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(セ)借地権に係るリスク
本投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物の両方ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払い等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望する価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合に、本投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号、その後の改正を含みます。)又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が借地権に先立ち対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し、又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払いを要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
その他、本書の日付現在、本投資法人の保有資産には該当するものはありませんが、地方自治法(昭和22年法律第67号、その後の改正を含みます。)(以下「地方自治法」といいます。)に定める地方公共団体がその普通財産を貸し付けた場合、その貸付期間中であっても、当該地方公共団体において公用又は公共用に供するため必要が生じたときは、普通地方公共団体の長はその契約を解除できるとされています(地方自治法第238条の5第4項)。したがって、地方公共団体から土地その他の資産を賃借した場合、本投資法人は、その契約に違反がない場合であっても解除されることがあり、その場合には本投資法人の資産運用及び収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ソ)開発物件に係るリスク
本投資法人は、原則として、取得時点において稼働している物件に投資を行います。しかし、将来、運用ガイドラインに定める投資方針に従って、竣工後に不動産等を取得するためにあらかじめ開発段階で当該不動産等の売買契約等を締結する可能性及び竣工前の不動産等を取得する可能性があります。かかる場合、既に稼働中の物件を取得する場合に比べて、a)開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見され、これらが開発の遅延、変更又は中止の原因となる可能性、b)工事請負業者の倒産又は請負契約の不履行により、開発が遅延、変更又は中止される可能性、c)開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性、d)天災地変により開発が遅延、変更又は中止される可能性、e)行政上の許認可手続により開発が遅延、変更又は中止される可能性、f)開発過程において事故が生じる可能性、g)竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られない可能性、h)その他予期せぬ事情により開発が遅延、変更又は中止される可能性等のリスクがあります。これらの結果、竣工後における物件からの収益が本投資法人の予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、予定されていない費用、損害又は損失を本投資法人が被る可能性があり、そのため本投資法人の収益等が重大な悪影響を受ける可能性があります。
(タ)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地物件を取得することがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶し、かつ、本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条等)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に予測することは困難であり、借地権者の行う時価での建物買取請求により時価での建物の買取りを請求される場合であっても、買取価格が本投資法人の希望する価格以下となる保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払いが、敷金及び保証金等で担保される範囲を超えて延滞する等の場合は本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地契約において賃料等の借地契約の内容について定期的に見直しを行うこととされている場合には、賃料の改定により賃料が減額されると、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性や利用する地下水に有害物質が含まれている可能性は否定できず、かかる有害物質が埋蔵又は含有されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや浄化等が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号、その後の改正を含みます。)に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
特に、物流施設の立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、上記リスクは他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります。
また、建物について、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材又は設備が使用され、又は過去に使用されていた可能性があります。かかる場合には、当該建物の価値が下落する可能性があります。また、かかる有害物質の有無を検査する必要が生じたり、有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接的に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
また、環境関連法令につき、将来不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され又は無過失責任を問われることとなる可能性があります。
さらに、原子力発電所の事故等により、保有不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該不動産の収益性やその価値が大幅に減少する可能性があります。その他、原子力発電所の事故処理に長期間を要することとなる場合、当該不動産の所在する地域だけでなく、不動産市場や金融市場、さらには日本経済全体も影響を受けることとなり、それがひいては本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ツ)水質汚濁防止法上の特定施設に関するリスク
本投資法人が不動産等を取得する場合において、当該不動産等に、浄化槽、厨房施設及び入浴施設等の水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号、その後の改正を含みます。)(以下「水質汚濁防止法」といいます。)に規定される特定施設が設置されている場合があります。
水質汚濁防止法によれば、特定施設の設置者は、排水基準に適合しない排出水を排出するおそれがある場合には、都道府県知事により汚水等の処理の方法等の改善や特定施設の使用若しくは排出水の排出の一時停止を命ぜられることがあり、また、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質等を含む水等が排出され又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときには、有害物質等を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずべき義務を負い、これを講じない場合には、都道府県知事により応急の措置を命ぜられることがあります。さらに、有害物質に該当する物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な限度において、地下水の水質の浄化のための措置を命ぜられることがあります。これらの場合、本投資法人に多額の費用の負担が生じる可能性があります。加えて、かかる有害物質が含まれた排水の排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透をした者は、無過失責任を負うものとされていることから、特定施設において事故等が生じた場合には、本投資法人が第三者に対して多額の損害を賠償する義務が発生する可能性もあります。
これらの結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主が損失を被る可能性があります。
(テ)埋立地に関するリスク
本投資法人の運用資産及び今後取得する資産には、埋立地に立地するものが含まれる場合があります。埋立地に所在する不動産には、埋立に使用した土壌に有害物質が含まれている等の理由により、土地に有害物質が含まれている可能性があります(当該土地に有害物質が含まれる場合のリスクの詳細は、前記「(チ)有害物質又は放射能汚染等に係るリスク」をご参照ください。)。また、埋立地は沿岸部に所在することも多く、津波、高潮その他の災害、海面上昇等による被害を受ける可能性もあります。さらに、埋立地の地盤は、軟弱である可能性があることから、当該土地上の建物について、不等沈下その他の沈下を生じる可能性がある他、地震の際には液状化による沈下や毀損等の被害を生じる可能性もあります。これらの理由により当該不動産が被害を受けた場合、予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性がある他、当該不動産の価値が下落する可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受け、投資主が損失を被る可能性があります。
(ト)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度設計又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出権又は再エネクレジット等を取得する等の負担を余儀なくされる可能性があります。また、近年、本投資法人に対するテナントや投資主等からの評価としてESGに対する取組みは重要性を増しており、法令又は条例等により本投資法人が温室効果ガスの削減義務を負わない場合であっても、場合によっては、本投資法人は、本投資法人のESGにかかる評価を維持・向上させるための追加的な支出等を行ったり、中長期的な視点に基づく投資主価値の最大化のため、本投資法人の収益性の向上が短期間では見込まれない投資等を行うことがあります。
(ナ)不動産の所有者責任に係るリスク
土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています。したがって、本投資法人の保有する不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。本投資法人の投資対象であるホテルは、人を宿泊させるという特質から、第三者、特に宿泊客の生命、身体又は財産等を侵害する危険性も想定されます。
本投資法人は、保有不動産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険を付保する方針ですが、保険契約に基づいて支払われる保険金の上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故が発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
(ニ)テナント集中に係るリスク
本投資法人の運用資産である不動産が単一又は少数のテナントに賃貸される場合、テナントの営業状況、財務状況の悪化等による賃料支払いの遅延や賃料の減額の要求に応じざるを得ないことにより、本投資法人の収益等に影響を与える可能性があります。また、単一又は少数のテナントに賃貸される物件からかかるテナントが退去した場合には、一度に多額の敷金等の返還を余儀なくされ、かつ、稼働率が急激に低下するため、一時的に当該不動産の収益が急激に悪化すること、また、場合によっては多額の減損損失の計上が必要となることがあります。もっとも、そのようなテナントがマスターリースの形態を用いた運用不動産におけるサブレッシーである場合は、当該テナントの退去が直ちにマスターリース契約の終了に繋がるとは限りませんが、その場合においてもかかるテナントの退去を受けてマスターレッシーがマスターリース契約の更新に際して更新しない等の判断に至る可能性は否定できません。なお、不動産が土地である場合は、一続きの土地が一括して賃貸されるものと予想されますので、建物の場合に関する上記と同様のリスクが存在することになります。
また、セール・アンド・リースバック方式により取得した不動産で、テナントが自社の本社等として一棟借りしている建物について、当該テナントの当該建物からの退去に伴い当該本社仕様となっている建物を一般テナントビル仕様に改装する場合は、多額の費用を要することが予想され、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす場合があります。さらに、テナントが倒産した場合、双方未履行の双務契約としてテナントの管財人が解除権を行使し、敷金・保証金の返還を求めてくる可能性があります。この場合の解除権の行使は法律で認められたものであるため、本投資法人は、違約金条項があっても違約金を取得できない可能性があります。当該テナントが相対的に賃料収入の大きなテナントである場合は、本投資法人の収益が重大な悪影響を受ける可能性があります。広い面積を一度に賃借するテナントを誘致することは困難な場合があり、また、複数のテナントを探して稼働率を回復させるのに時間を要する可能性があり、場合によっては賃貸条件の緩和を求められ、かかる期間の長期化又は賃貸条件の悪化により、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ヌ)テナントの業態の偏りに関するリスク
オフィスの場合、景気の動向に左右されるオフィスビル需要に大きく影響を受けるといえ、かかる要因により、本投資法人の収益は悪影響を受ける可能性があります。その他オフィス特有のリスクについては、後記「(ネ)オフィスに係るリスク」をご参照ください。
商業施設の場合、その立地条件により、テナントの業態を大きく変更することは困難であることが多く、保有資産のテナントの業態が、総合スーパーマーケット、百貨店等の特定の業態に偏った場合には、当該業態が、消費性向の変化に伴い小売業としての競争力を失うことにより、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。また、テナントが退去した際に、用途に応じた構造の特殊性から、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。その他商業施設特有のリスクについては、後記「(ノ)商業施設に係るリスク」をご参照ください。
ホテルの場合、用途に応じた構造の特殊性からテナントの業態を大きく変更することが困難であることが多く、また、経済の動向、消費性向の変化に伴い、収益力が減退するときには業務の撤退・縮小を余儀なくされることもあり、そのような場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、テナントが退去した際に、用途に応じた構造の特殊性から、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。その他ホテル特有のリスクについては、後記「(ハ)ホテルに係るリスク」をご参照ください。
物流施設の場合、元々個別企業の実需を前提に施設が設置されることが多く、立地、規模、仕様等が物件毎に異なっており、テナントや用途が相対的に限定される傾向があるという特徴があります。そのため、実需の個別企業の収益力が減退したり、事業内容が変化したとき、賃貸借条件に悪影響が及んだり、業務からの撤退を余儀なくされることがあり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ネ)オフィスに係るリスク
一般的にオフィスの賃料は、景気の動向により大きく変動するため、好況期には賃料収入は増加し、不動産価格も高騰することが見込まれる一方、不況期には賃料収入は減少し、不動産価格が下落する可能性があります。また、他のアセットと比較して、賃貸借契約の賃貸借期間が比較的短く設定される場合があり、その場合には、他のオフィスビルとの競合が生じやすくなることから、稼働率の減少、賃料の減額を余儀なくされる可能性があり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(ノ)商業施設に係るリスク
商業施設は、賃貸期間が長期にわたることが多く賃料の安定性が比較的高い反面、テナントが独自の仕様に内装、設備等を整えた上で利用することが多いため、既存テナントの退出後新規テナントの入居までの間やフロア、店舗位置の入替えの間に、相当期間の改装期間が必要となる場合があり、かかる改装期間中においては、次期入居予定のテナントや対象テナントから賃料を得られない場合もあるため、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。さらに、商業施設において核となる大規模テナントは、賃貸借期間が長く賃貸借解約禁止期間が設定されている場合もあり、退去する可能性は比較的低いものの、万一退去した場合、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。また、商業施設のテナントの収益性は、近隣の商圏からの顧客動向や人口動態、さらには地域特性にも影響され、かつ、個人消費を含む日本経済全体の景気動向にも影響される可能性があるため、それらが悪化した場合には、テナントの撤退のおそれや賃料の下方圧力となる場合もあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(ハ)ホテルに係るリスク
本投資法人の投資対象にはホテルが含まれますが、ホテルには、前述のリスクに加えて、他の用途の不動産に比べ、以下のような特有のリスクがあります。
一般的にホテルの賃貸借契約の賃貸借期間は比較的短期なものから10年以上の長期のものまであり、また、賃料も固定のものからオペレーターの売上げに連動するものまで様々な内容のものがあり、それら契約条件如何によりホテルを用途とする不動産に係る賃料収入は影響を受けることがあります。また、賃貸借契約ではなくオペレーターとの間で運営委託契約を締結する場合もあり、この場合、当該ホテルからの収入はホテル運営収益に連動することになるため、季節的要因、経済的要因等によりその収入が大きく変動するおそれがあります。
ホテルは、装置産業としての性格が強く、また、運営に当たり高度な知識が要求されることから、経済の動向や他のホテルとの競合に伴いホテルの収益力が減退するときには、テナントがホテルの営業から撤退し、退去することがあります。既存テナントが退去した場合、代替テナントとなり得る者が少ないために、代替テナントが入居するまでの期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
さらに、ホテルは、一般に、競争力維持のため、家具、什器、備品、装飾品及び厨房機器等、ホテル運営に必要な資産を定期的に更新する等の設備投資が必要になるところ、かかる設備投資の可否及び成否により売上げが影響を受ける場合があります。また、ホテル事業は労働集約的・資本集約的な事業であることから、固定負担が重く損益分岐点が高い場合が多く、売上げ上昇時の収益性の向上が見込みやすい反面、売上げ減の場合の利益落ち込みのリスクが相対的に高いといえ、売上げが減少した場合には本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ヒ)フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産又は信託受益権を取得するに当たり、いわゆるフォワード・コミットメント等を行うことがあります。売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産又は信託受益権の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払いにより、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(フ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力を勘案の上、賃貸借契約を締結するか否かを決定し、締結後もPM会社を通じてその利用状況を管理しますが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により、又は、反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する場合等に、当該不動産が全体として悪影響を受けることがあります。このような場合には、当該不動産の価値が減損し、本投資法人の収益に悪影響が及ぶおそれがあります。
加えて、テナントによる建物への変更工事、内装の変更等により建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人がその改善のための費用を負担することを余儀なくされる可能性があります。
(ヘ)売主の倒産等の影響に係るリスク
本投資法人が不動産等を取得した後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産等の売買契約又はその対抗要件具備行為が、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、不動産等は破産財団等に取り戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産等に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、いわゆる真正売買の問題として、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とする売買取引を、その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかも当該不動産等についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われて、弁済金額が切下げられることとなり、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比べて、本投資法人はより大きな損害を受けるおそれがあります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、本投資法人が、不動産等を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります。
以上のとおり、本投資法人又はその売主の売買契約が否認され、詐害行為取消権の行使を受け、又は真正売買性が否定された場合には、本投資法人に損害が生じるおそれがあります。
さらに、本投資法人が売主から不動産を取得すると同時に当該不動産を一括して売主に賃貸する取引(いわゆるセールス・アンド・リースバック取引)等、取引の態様如何によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(ホ)不動産の売却における制限に係るリスク
不動産等の売却については、上記のとおり他の区分所有者や共有者によって契約上その処分について制限が課されることがある他、賃貸借契約において賃借人に対し賃貸借契約期間中は売却をしない旨や土地と建物を分離譲渡しない旨を約したり、第三者に売却する前に賃借人に対して買取りについての優先交渉権を与えたりする場合があります。そのような場合、不動産市場の動向を見ながら最も有利な条件で売却することが難しくなり、本投資法人は、通常であれば得ることができる利益を得ることができなくなるおそれがあります。
(マ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
本投資法人が保有不動産を売却した場合に、当該不動産に瑕疵又は契約内容との不適合があるために、旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負う可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号、その後の改正を含みます。)(以下「宅建業法」といいます。)上みなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、旧民法上負う瑕疵担保責任又は民法上負う契約不適合責任を排除することが原則としてできません。
また、法律の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、物件の性状その他に関する表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負う可能性があります。
これらの法律上又は契約上の表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負う場合には、買主から売買契約を解除され、あるいは、買主が被った損害の賠償その他の対応をしなければならず、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、賃貸不動産の売却においては、旧民法上、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予定外の出費を強いられる場合があります。
(ミ)伝染病・疫病等の影響を受けるリスク
SARS(重症急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)及びCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)などの伝染病・疫病等の国内外における流行等の外的要因により、不動産の正常な運営、管理等が妨げられたり、来訪者の減少等により不動産の収益性が低下し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
⑤ 不動産信託受益権に係るリスク
本投資法人は、不動産、地上権又は土地の賃借権を主な信託財産とする不動産信託受益権を取得することがあります。この場合、不動産信託受託者が不動産の名義上の所有者(又は地上権者若しくは賃借人)となり、信託受益者である本投資法人のために不動産を管理、運用、処分します。信託受益者である本投資法人は、不動産信託受託者に指図をすることによりその運用方針に従った運用を行うこととなります。不動産を直接所有する場合と不動産信託受益権を保有する場合とでは、税務上の取扱い、資産を担保提供する方法等に違いがあります。不動産信託受益権を取得する場合、本投資法人は、以下のような不動産信託受益権特有のリスクを負います。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、新信託法施行と同時に廃止された信託法(大正11年法律第62号、その後の改正を含みます。)を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは、信託の利益を享受する者とされ、信託の収益は、信託交付金等の形で信託受益者に引渡され、信託が終了するときは信託財産全てが交付されます。
他方で、旧信託法のもとでは、信託財産に関する租税、不動産信託受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等(以下「信託費用等」といいます。)は、最終的に信託受益者が負担することになっています(旧信託法第36条第2項)。すなわち、信託受益者は、名義上は信託財産の所有者ではありませんが、信託財産に係る経済的利益及び損失の最終的な帰属主体といえます。したがって、不動産信託受益権を保有する場合も、不動産そのものを所有する場合と同様に不動産に係るリスクを負うことになります。また、不動産信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け又は受益者にその賠償を請求することができます。不動産信託受託者は、かかる信託費用支払いの担保として信託財産を留置することができる他、信託費用未払いの場合には信託財産である不動産を売却することができます。このため、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。新信託法のもとでは、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と不動産信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し不動産信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(イ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
本投資法人が不動産信託受益権を運用資産とする場合において、不動産信託受託者を通じて信託財産たる不動産を処分する場合には、上記の不動産の流動性に係るリスクが存在します。
また、不動産信託受益権を譲渡しようとする場合には、不動産信託受託者の事前の承諾を要求されることがあります。さらに、譲渡する不動産信託受益権については有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券と比較すると相対的に流動性が低いものといえます。また、信託受託者は旧民法上の瑕疵担保責任又は民法上の契約不適合責任を負う可能性がある場合には信託不動産の売却を原則として行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
不動産信託受託者につき破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続が開始された場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法のもとでは、明文の規定はないものの、同法の諸規定や信託財産の独立性という観点から、信託財産が破産財団、再生債務者又は更生会社の財産その他不動産信託受託者の固有財産に属すると解釈される可能性は、極めて小さいものと考えられていました。新信託法においては、信託財産は不動産信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。
但し、不動産、地上権又は土地の賃借権の場合は、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された財産について信託の公示(信託の登記)が必要とされます。
(エ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
不動産信託受託者は、信託業務を行うに当たり、信託受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負い、信託受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。また、受託者が、その権限に属しない行為又は信託財産に属する財産を固有財産に帰属させる等の利益相反行為を行うことにより、本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが、常にかかる権利の行使により損害を回復できるとは限りません。
(オ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
不動産信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。旧信託法のもとでは所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定の一部が準用されます(民法第264条)。新信託法のもとでは信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第105条以下)、不動産信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。
旧信託法では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている不動産信託受益権の変更に当たる行為(その効用の著しい変更を伴わないものを除きます。)には準共有者全員の合意を要し(民法第251条第1項)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条第1項)ものと考えられます。したがって、特に本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
一方、新信託法のもとでは、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。この場合には、他の準共有者全員が承諾しない限り、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができないこととなります。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められているとは限らず、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、旧信託法及び新信託法いずれのもとでも、準共有者は、不動産信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
不動産信託受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、準共有される財産に関する債権債務として不可分債権及び不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差押さえ、又は他の準共有者が不動産信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払いや支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払い又は償還を受けることができない可能性があります。
⑥ 税制に係るリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の会計処理に関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応する体制を取っています。
(ア)導管性要件に係るリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
| 投資法人の主な導管性要件 | |
| 支払配当要件 | 配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること (利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の90%超であること) |
| 国内50%超募集要件 | 投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があること |
| 借入先要件 | 機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。次の所有先要件において同じです。)以外の者から借入れを行っていないこと |
| 所有先要件 | 事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所有されていること又は機関投資家のみによって所有されていること |
| 非同族会社要件 | 事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口総数あるいは議決権総数の50%超を保有されている同族会社に該当していないこと |
| 会社支配禁止要件 | 他の法人の株式又は出資の50%以上を有していないこと(匿名組合出資を含み、一定の海外子会社の株式又は出資を除きます。) |
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務上その全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになったことから、本リスクは軽減されています。
b.資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c.借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件のもとにおける借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d.投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(本投資法人が取得する特定資産のうち不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第28条第4項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(エ)一般的な税制の変更に係るリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑦ 減損会計の適用に係るリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号平成15年10月31日)(以下「減損会計」といいます。)が、本投資法人においても適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の固定資産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。減損会計の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資するかかる匿名組合では、本投資法人の出資金を営業者が不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合や当該不動産等の価値が下落した場合等には、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については、契約上譲渡が禁止若しくは制限されていること、及び確立された流通市場が存在しないことから、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。
⑨ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社の優先出資証券への投資を行うことがありますが、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、さらには導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が投資した当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人に損害が発生する可能性があります。また、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません(注)。優先出資証券の発行をした特定目的会社が自ら土地又は土地の賃借権を取得してその上に建物を建築する場合もあり、そのような場合には、前記「④ 不動産に係るリスク/(ソ)開発物件に係るリスク」に記載のリスクがあります。
(注)本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産に投資することを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合には、本投資法人は、導管性要件(導管性要件の詳細については、前記「⑥ 税制に係るリスク/(ア)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)に抵触することなく保有する意向です。また、規約に基づき中長期の安定運用を目標としているため、取得した優先出資証券につき短期間でその売却を行うことは意図しておりません。但し、売却する方が本投資法人にとってより経済的な合理性があると判断される場合、その売却を行うことがあります。
⑩ 取得予定資産を組み入れることができないリスク
本投資法人は、本書の日付現在保有する資産の運用のみを目的としているものではなく、ポートフォリオの質の向上、ひいては投資主価値の最大化に資するため、規約及び資産運用ガイドラインに基づき、新たな資産取得に向けた市場調査や情報の入手並びに資産譲渡の実現可能性の把握等に努めており、また、必要に応じ、資産取得の検討や関係者との協議を行っています。したがって、今後、本投資法人の行う資産の運用において、本投資法人が本書の日付現在保有する資産以外の資産の取得を行うことがあり得ます。しかしながら、契約締結後資産取得までの間に、かかる契約に定められた一定の条件が成就しないことにより、当該取得予定資産を購入することができず、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が信託受益権として取得予定の資産の一部については、本投資法人による取得に先立ち信託が設定される場合があり、しかし、何らかの理由により、取得予定資産が信託されないこともあり得ます。このような場合、停止条件付信託受益権譲渡契約の停止条件が成就しないとされるため、本投資法人が当該取得予定資産を取得することができず、その結果、投資主又は投資法人債権者は損害を被る可能性があります。
(2)投資リスクに関する管理体制
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下の検証システムを通じ、実効性のあるリスク管理体制を整備し、最大限の効果の発揮に努めています。本投資法人及び本資産運用会社は可能な限り、本投資口又は本投資法人債への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
① 本投資法人の体制
本投資法人は、少なくとも3か月に1回以上役員会を開催し、適宜本資産運用会社の運用状況の報告を受ける他、執行役員は適宜本資産運用会社の運用状況を聴取及び関係書類の閲覧・調査を実施し、本資産運用会社の管理・監督を行います。
② 本資産運用会社の体制
(ア)本資産運用会社は、本資産運用会社の取締役会において審議、決議され、本投資法人の役員会に報告される(但し、変更が、利害関係者との取引制限に関する事項の策定又は変更である場合には、本投資法人の役員会において審議及び承認されます。)運用ガイドラインを遵守するとともに、本資産運用会社のコンプライアンス・マニュアル及びリスク管理規程に基づきコンプライアンス及びリスク管理を行います。
(イ)本資産運用会社は、利害関係人等と本投資法人との間の取引については、原則として、本資産運用会社のリートコンプライアンス委員会、リート投資委員会、取締役会に付され取引に係る議案を審議するものとされています。かつ、利害関係取引に関する自主ルールを定めており、これを遵守することにより利益相反に係るリスク管理を行います。
(ウ)本資産運用会社は、金融商品取引法の改正による、投資法人に係るインサイダー取引規制導入に十分な対応を図るための内部態勢の構築を念頭におき、内部者取引の未然防止についてのインサイダー取引管理規程を定め、役職員等のインサイダー取引(インサイダー類似取引も含まれます。)の防止に努めています。
(エ)本資産運用会社は、リート投資委員会及びリートコンプライアンス委員会を設け、運用に係る年度計画や取得・売却に関する事項を審議することにより、異なる視点からリスク管理を行います。
(オ)本資産運用会社は、コンプライアンスを統括するコンプライアンス・オフィサーが、法令遵守の状況を監視します。
(カ)本資産運用会社は、リスクを管理するため、役員をリスク管理統括責任者とし、コンプライアンス室がリスク管理統括責任者を補佐することにより、本資産運用会社のリスクの所在及びリスクの種類を理解した上で、運用部門の担当者に当該内容を理解・認識させるよう、適切な方策を講じるものとします。公募投資運用部は、投資基準に適合しなくなった不動産がある場合には、当該不動産の入替、売却等について検討を行い、さらに、投資基準に適合しなくなった不動産の状況について、定期的かつ必要に応じ取締役会へ報告するものとします。
(キ)本資産運用会社は、コンプライアンスに関する社内体制を整備し、コンプライアンス上の問題の発生についての対応を講じています。また、コンプライアンス・マニュアルを作成し、コンプライアンス基本方針や役職員等の行動規範を定めるのみならず定期的にコンプライアンス研修を実施します。
(ク)本資産運用会社は、内部監査に関する社内体制を整備し、取締役会の監督に基づく実効的な監視活動を通じて、リスクを特定し、その最小化を図っています。内部監査に関する担当者兼責任者である内部監査責任者は、他の組織及び部署から独立した組織として維持するものとします。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主に損失が生じるおそれがあります。