有価証券報告書-第8期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 16:00
【資料】
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【項目】
140項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2025年4月1日付の商号変更に伴い、当社グループの目指すべき姿や大事にしたい価値観等を整理し、理念体系を以下のように刷新いたしました。
<パーパス>キノコのチカラ、ミライのセカイ
<コーポレートアイデンティティ>雪国で磨いた技術や探求心をベースにきのこの新たな可能性を結集し、世界の健康を創造する企業
・私たちは、世界の健康を創造します。
・地域社会との調和を育みながら、すべてのステークホルダーとともに未来への価値を紡ぎ、持続可能な共生の世界を実現します。
・高い独自性をもった技術をベースに、原価を下げ、バリューチェーンの環境負荷を軽減し、高い付加価値を見出します。
・地域や事業領域のボーダーを越えて、ステークホルダーや社会の課題解決に臨みます。
・自然への敬意をもって、その恩恵に感謝します。
・高い倫理観とチャレンジ精神をもって、社会課題と向き合います。
・自然の恩恵であるキノコの無限の可能性を引き出し、私たちにしかできない、キノコを起点とした様々な価値を創造します。
・個を磨き、オープンマインドに行動します。
・プレミアムな活動で、周囲に感動を与えます。
・人々と世界の健康に貢献します。
(2) 中長期的な経営戦略等
当社グループは、中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)を策定し、2023年12月19日付で公表しております。
〈中期経営計画の基本方針〉
これまで掲げてきた中長期ビジョンである「プレミアムきのこ総合メーカーとしてグローバルに展開し成長する」は変更せず、事業環境変化に対し適切に対応するため「高収益を実現する収益基盤の再構築」、「海外新規拠点の統合と更なる事業展開」を中期経営計画の更新方針として戦略の見直しを図りました。これにより、今回の中期経営計画においては以下の3つの基本方針のもと事業展開を行い、目標達成のため取り組んでまいります。
A.国内きのこ市場:既存のプレミアム事業の強化と新たな事業創出
・既成のプレミアムポジショニングを強化し他産地との差別化を進め、消費者の品質志向ニーズを着実に捉え、国内事業の更なる強化を図る
・他産地にないプレミアムアイテムの販売を強化し、更に生きのこ事業以外の新規事業も本格的に着手する
B. ビジネスプロセス: 聖域無き全プロセスの合理化
・全社横断的なBPRによって事業プロセスの改善を行い、コスト削減を実現
・新規投資による省人化と省エネの推進
C. グローバル展開:新たに取得した海外企業のPMI(経営統合)と他のターゲットの探索
・当社のノウハウを生かして、取得した海外企業の更なる業績拡大を目指す
・国内の事業強化の進展や地政学的リスクを考慮し、追加買収の可能性を追求
・オーガニック戦略は、アジアに加え欧米地域での自社製品販売も検討
〈定量目標(連結ベース)〉
項目2028年3月期(計画)条件が整った場合の
アップサイド計画 ※1
売上収益420億円超600億円超
海外売上収益比率6~7%前後30%前後
コアEBITDAマージン ※218%前後18%前後
投下資本利益率(ROIC)10%前後-

※1 国内の事業強化進展状況や地政学的リスクを考慮し、前提条件が整えば、主に海外事業進展・拡大を目指す計画をアップサイド計画としております。
※2 コアEBITDAマージン:コアEBITDA ÷ 売上収益
コアEBITDA:IFRSの営業利益からIAS第41号「農業」適用による影響額、その他の収益及び費用、一時的な収益及び費用を除外したものに減価償却費及び償却費を加算したもの
なお、各施策の詳細につきましては、2023年12月19日付にて公表いたしました「中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期)説明資料」をご覧ください。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的な増収・増益と企業価値向上を目指す観点から、当社グループの業績を評価するために有用な財務指標として、コア営業利益、コアEBITDA、コアEBITDAマージンを採用しております。
(4) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く環境は、国内においては少子高齢化に伴う人口減少等により、食品市場全体は縮小傾向が続いております。加えて、国内労働人口の減少により、労働力確保の困難さが一層顕著となるなど、社会構造的な要因による課題を抱えております。また、エネルギー価格関連コストの上昇は落ち着きつつある一方、原材料費の高騰や円安といった原価上昇要因は継続すると見受けられ、企業活動に対する圧迫要因となっております。
このような環境の中、当社グループは、中期経営計画に基づき、急激な事業環境の変化に的確に対応するとともに、国内での事業基盤を更に強化し、中長期はグローバル展開を推進することでプレミアムきのこ総合メーカーとして成長し続けることを目指して事業展開を図ってまいりました。本中期経営計画の詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な経営戦略等」に記載のとおりであり、以下の点を今後の事業展開における対処すべき課題と認識し、解決に向けて重点的に取り組んでまいります。
① 高収益を実現する事業基盤の再構築
当社は、まいたけ、エリンギ・ぶなしめじにて長年培ってきた当社の生産技術・ノウハウ、販売力を、本しめじ、はたけしめじ、マッシュルームにも活かし、プレミアムきのこ総合メーカーとしての基盤確立に努めております。食料品等の物価上昇が続き、消費者の節約志向の継続、選別消費の傾向から、当社は、プレミアム戦略を軸とした着実な成長を図る必要があります。ベース事業である国内きのこ市場については更なる高収益化に向けアイテム構成を見直しつつ、利便性を加えた新設計の商品も拡充し、顧客満足度と収益性の向上を両立いたします。また、プレミアムイメージに更に磨きをかけるべく、CM・デジタル・パッケージを連動した、高級感のある立体的なプロモーションを継続展開するなど他産地との差別化を図ってまいります。そのほか、当社がこれまで築き上げてきた当社独自の広範囲かつ強固な直接取引を引き続き活用してまいります。また、既存事業だけにとらわれることなく、さらにニッチ・プレミアム事業の拡大として国内生産のマッシュルーム等希少性の高いアイテムの拡充、加えて、きのこ原料を使用する代替肉と組み合わせた新規事業領域の拡大などを進めてまいります。これら戦略の確実な実行は、企業価値向上には必須であると考えております。
② コスト削減のための企業活動全般にまたがる効率化の推進
原材料費の高騰や円安といった原価上昇要因の緩和が見通せない中、全社横断的なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)によって、事業プロセスの改善を行い、コストの上昇を売上収益の上昇が上回る事業構造の構築を進めております。本取り組みは生産部門や営業部門といったセクショナリズムの中では最大限の効果を発揮することができないため、既存プロセスや慣例等にとらわれず、DXの活用も検討しつつ全社横断的に聖域なき全プロセスの合理化に取り組んでまいります。
③ 海外新規拠点の統合と更なる事業展開
世界的な健康意識の高まりを受け、海外のきのこ生産量は安定成長が見込まれております。海外きのこ市場における生産・販売の自社基盤の構築及びきのこ栽培及び周辺領域での事業機会の獲得は、当社グループの持続的成長のため重要となります。オーガニック戦略としては北米、欧州、アジアをターゲットとし、国内で培った独自のチャネルモデルで販売開拓のスピードを加速しつつアライアンスも検討してまいります。インオーガニック戦略としては、2023年12月に株式を取得しましたオランダ企業に対し着実なPMIを継続的に実施し、国境を越えて優れた技術や製品を共有し、グループ全体の競争力を強化してまいります。そのほか、戦略展開に応じて追加買収の可能性も探索してまいります。
また、当社グループの持続的な成長と社会課題の解決に向けて取り組むべき重要なテーマ(マテリアリティ)として7つを特定し、それぞれに施策の方向性と目標を定め、取り組みを進めております。マテリアリティを含むサステナビリティ活動の詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりであります。