有価証券報告書-第100期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 13:59
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【項目】
124項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の業績回復に加え雇用情勢の改善もあり、緩やかな景気回復基調が続いたが、一方で円安による消費財の輸入コストの上昇などもあり、個人消費の回復に遅れが見られた。
世界経済(連結対象期間1-12月)については、米国では雇用情勢の改善に加え、原油安の影響もあり個人消費が堅調に推移し、欧州では景気に若干の持ち直しが見られた一方、アジアでは中国において景気の拡大テンポは緩やかになった。
当社および当社グループにおいては、水産物市況は総じて高値で推移し、食品事業においては国内で円安による原材料や加工製品などの輸入コストの上昇があった。
このような状況下で当連結会計年度における営業成績は、売上高は 6,384億35百万円(前期比341億85百万円増)、営業利益は181億10百万円(前期比41億78百万円増)、経常利益は213億92百万円(前期比90億31百万円増)、当期純利益は102億77百万円(前期比65億22百万円増)となった。
セグメントの概況は次のとおりである。
(単位:百万円)
売上高前期増減前期比営業利益前期増減前期比
水産事業284,88430,985112.2%6,2971,273125.3%
食品事業296,95414,270105.0%7,5934,832275.0%
ファイン事業25,324△3,25388.6%4,556△3,00460.3%
物流事業14,215343102.5%1,671114107.4%
その他17,055△8,16067.6%851△36570.0%
全社経費---△2,8601,32868.3%
合計638,43534,185105.7%18,1104,178130.0%

① 水産事業
水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>水産事業では売上高は2,848億84百万円(前期比309億85百万円増)となり、営業利益は62億97百万円(前期比12億73百万円増)となった。
漁撈事業:前期比で増収、増益
<日本>・かつおの販売価格が低迷したが、ぶりなどの漁獲が好調に推移した。
<南米>・南だらの漁獲が低調に推移したが、白身魚の販売価格は上昇した。
養殖事業:前期比で増収、増益
<日本>・ぶりは、「若ぶり」(注1)の販売が好調であったことに加え、年間を通して販売価格も堅調に推移した。
・まぐろは、販売数量は増加したが、オーストラリア、メキシコなどからの輸入増加により販売価格が低迷した。
<南米>・鮭鱒の販売価格は高値で推移し、生残率の改善もあり大幅な増益となった。
加工・商事事業:前期比で増収、減益
<日本>・鮭鱒、えびなど水産物市況は、年間を通して堅調に推移した。
<北米>・すけそうだらの漁獲好調と、助子生産量の増加に加え、すりみの販売価格も上昇した。
<ヨーロッパ>・えび・白身魚など主要取扱魚種が高値で推移した。
<アジア>・シンガポールの水産品買付・販売事業において、回収可能性の低い債権に対し、貸倒引当金を計上した。
② 食品事業
食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>食品事業では売上高は2,969億54百万円(前期比142億70百万円増)となり、営業利益は75億93百万円(前期比48億32百万円増)となった。
加工事業:前期比で増収、増益
<日本>・円安の影響により、原材料や加工製品などの輸入コストの上昇があったが、ねり製品・魚肉ソーセージの販売は好調に推移した。
<北米>・家庭用冷凍食品会社は、工場集約や重点アイテムへの傾注などにより収支が改善した。
・業務用冷凍食品会社は、主要原材料の価格が高値で推移するなか、大手レストランチェーン向けの販売数量増加と価格改定により収支が改善した。
<ヨーロッパ>・フランスにおいて、チルド製品の販売が伸長したことに加え、生産性も向上した。
チルド事業:前期比で増収、増益
<日本>・コンビニエンスストア向けチルド弁当やサラダなどの販売が伸長し、生産性も向上した。
③ ファイン事業
ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注2)、機能性食品(注3)、および医薬品、診断薬の生産・販売を行っている。
<当連結会計年度の概況>ファイン事業では売上高は253億24百万円(前期比32億53百万円減)となり、営業利益は45億56百万円(前期比30億4百万円減)となった。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>・薬価改定による粗利の減少に加え、後発品使用促進策などによる販売数量の減少があった。
・機能性食品において、通販事業拡大を目指して広告宣伝費を投入したが、販売数量が伸び悩んだ。
<臨床診断薬、医薬品>・臨床診断薬での価格競争の激化に加え、医薬品では消費税率引上げによる駆け込み需要の反動の影響などにより苦戦した。
④ 物流事業
物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>物流事業では売上高は142億15百万円(前期比3億43百万円増)となり、営業利益は16億71百万円(前期比1億14百万円増)となった。
・電力料や運送費などのコスト増加があったが、保管料収入などが増加した。
(注1)産卵時期を早めることで春から夏に旬を迎える養殖ぶり。夏場でも品質の良いぶりの出荷が可能となった。(「黒瀬の若ぶり」は当社が保有するブランド名。)
(注2)主に食品素材や化粧品素材向けとなるEPA・DHA、グルコサミン、コレステロール、オレンジラフィー油など。
(注3)特定保健用食品「イマーク」・「イマークS」やEPA・DHA、グルコサミンなどのサプリメント。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益211億78百万円(前期比100億83百万円増)、減価償却費158億77百万円(前期比9億71百万円減)、売上債権の減少17億10百万円(前期比1億58百万円減)、たな卸資産の増加88億22百万円(前期比10億2百万円増)、未払費用の増加18億19百万円(前期比42億93百万円増)などの結果、228億38百万円の収入(前期比47億16百万円収入増)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
共和水産株式会社のまき網漁船の建造、食品加工工場の製造設備などの有形固定資産の取得による支出159億22百万円(前期比26億75百万円増)などにより121億35百万円の支出(前期比4億46百万円支出増)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の増加18億30百万円(前期比55億4百万円増)、長期借入れによる収入153億17百万円(前期比42億73百万円減)、長期借入金の返済による支出240億84百万円(前期比27億26百万円減)などにより、78億60百万円の支出(前期比40億18百万円支出減)となった。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、170億71百万円(前期比32億70百万円増)となった。