有価証券報告書-第101期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において判断したものであります。
<中期経営戦略>今後の世界経済は、関税政策をはじめとする米国の政策動向や中東情勢の影響等により、不透明感が高まり、景気の下振れや資本市場の変動等が懸念されます。日本経済についても、世界経済の動向に加えて、物価上昇の継続を通じた個人消費マインドへの影響による景気の下押しリスクが懸念されます。当社グループを取り巻く事業環境につきましても、為替の変動、買鉱条件(TC/RC)の低下や自動車及び半導体関連の需要動向の変化等、厳しい環境が続くことが見込まれます。
こうしたなか、当社グループは、企業価値の向上に向けて、2026年度以降を対象とする中期経営戦略(2026~2028年度)(以下、「中経」といいます。)に基づく諸施策を実行してまいります。
中経においては、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿としております。中経の概要は以下のとおりです。
①基本方針
当社グループは、「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針として掲げます。「未来を創る企業」とは現状の延長線上での成長を目指すのではなく、私たち自身が変革し、社会や産業の持続可能性を支える存在になるという強い決意を示しています。資源循環ビジネスを通じ、限りある資源を最大限に活用、廃棄物を新たな価値へと転換することで、環境負荷の低減と経済的価値の両立を目指します。
中経の成長戦略と重要施策は以下3点です。
第1に、資源循環ビジネスのグローバル展開です。従来日本の製錬所を中心に展開してきた製錬・資源循環ビジネスを、今後は欧米での二次原料製錬所の新設等により、グローバルに拡大します。また、タングステン、超硬製品、及び高機能製品ビジネスのグローバル展開を加速します。
第2に、E-Scrap等の二次原料製錬の拡大とタングステンリサイクル率の向上です。E-Scrap処理量を2035年度までに倍増、タングステン製造拠点でのリサイクル原料比率を2030年度までに100%とすることを目標とします。
第3に、銅精鉱の共同買鉱です。銅精鉱の他社との共同買鉱により銅精鉱製錬の国際競争力強化を図ります。

②事業機会と当社の競争優位
銅精鉱の買鉱条件(TC/RC)は低位推移が見込まれる中、収益性の高いE-Scrapへのシフトは当社の成長に不可欠です。また、銅の需要は脱炭素化等の進展により更なる増加が予測される一方、銅精鉱の供給量には限界があり、E-Scrap等の二次原料の重要性が高まっています。E-Scrapの発生量は世界的に増加傾向、特に欧米では発生量が処理量を継続的に上回ると予測されます。当社は世界トップクラスのE-Scrap集荷・処理能力や家電リサイクルから伸銅品までのバリューチェーンを保有している強みを活かし、E-Scrapの集荷・処理をグローバルに展開、2035年度までに処理量の倍増を目指します。
レアメタルであるタングステンは次世代電池等での需要増が見込まれる一方、一次原料の埋蔵地域は偏在しています。当社グループは、2024年度に独エイチ・シー・スタルク・ホールディング社を買収したことにより、世界最大のスクラップ処理能力を有しています。タングステン製造拠点におけるリサイクル原料比率を2030年度までに100%まで引き上げるとともに収益力の向上を図ります。

③財務目標
2028年度の財務目標は、抜本的構造改革の効果等を織り込み、ROE8%以上、ROIC7%以上、ネットD/Eレシオ0.5倍以下、ネット有利子負債/EBITDA倍率3.5倍以下とします。長期(2029年度以降)では、二次原料製錬の収益貢献本格化等により、ROE10%以上を目指します。なお、ROICは、成長投資の実行段階において一時停滞することも想定し、当社算定のWACC約5%を上回る7%以上を長期目標としています。

④事業戦略
・マテリアル領域(製錬・資源循環)
銅の資源循環では、二次原料製錬への転換を進め、収益性の向上を図ります。銅精鉱処理量は2025年度比で60~70%に減少させる方向で検討する一方、E-Scrapの集荷量及び処理量は2035年度に倍増を目指します。資源循環ループを自ら構築・拡大し、トレーサビリティを確保したリサイクル電気銅やリサイクル伸銅品の安定供給を実現します。グローバル展開に向けた具体策として、集荷面ではサンプリング・分析技術の強化やリサイクラーとの協業を推進します。日本ではE-Scrap処理量拡大のための設備投資を進め、銅精鉱処理量に対するE-Scrap比率最大化に向けた技術開発を加速します。欧州では三菱マテリアルヨーロッパ社で二次原料製錬所の新設を検討し、米国ではExurbanプロジェクトを推進しています。さらに、日本で確立した資源循環スキームやネットワークを海外にも展開し、グローバルでの資源循環ループ構築を目指します。


・マテリアル領域(伸銅品)
資源循環ループにおける顧客との接点として重要な役割を担います。顧客発生スクラップの循環利用を推進し、合金リサイクル技術の高度化を目指します。さらに、付加価値の高い銅合金の開発や、データセンター向けなど新分野の開拓を進めます。

・マテリアル領域(タングステン)
エイチ・シー・スタルク・ホールディング社において、リサイクル量を1.5倍に拡大する設備投資や、米国内リサイクル拠点の新設を検討しています。集荷面では、E-Scrap集荷ルートの活用や、超硬製品事業での使用済み製品の回収強化を図ります。2030年度までに、欧州・米国・アジア・日本でリサイクル率100%体制を目指します。また、超硬製品向けの安定供給とあわせ、電子部品向けタングステン粉など高付加価値製品の拡販を推進します。

・プロダクト領域(超硬製品)
タングステンの資源循環に向けて、各国の販売会社で使用済み製品の回収を強化します。抜本的構造改革として、生産体制の最適化による固定費圧縮を図ります。
販売面では、航空・宇宙・医療・半導体分野に、より高付加価値な製品とソリューションの提供を進めます。地域戦略としては、インドを起点とした拡販を推進します。
・プロダクト領域(高機能製品)
事業内ポートフォリオの組み換えによる資本効率の最適化を実行します。
半導体、xEV、ヘルスケア領域への高付加価値な製品とソリューションの提供、事業内横断の開発推進などにより、収益性と資本効率の向上を目指します。

・資源事業
銅精鉱の安定調達や既存権益の収益性向上に努めます。
マントベルデ銅鉱山では、プラント処理能力の拡張計画を進めており、当社銅鉱石処理量に対して持分銅量比率を拡大することで、低TC/RCによる減益影響の緩和を図ります。また、コバルト、スカンジウム等の副産有価元素の回収技術開発にも取り組んでいます。
・再生可能エネルギー事業
脱炭素社会の実現に向けて、自社消費電力量相当の発電量達成を長期的な目標とし、地熱を中心に新規開発地点の開拓を進めます。

・経営基盤強化
人事戦略:
資源循環ビジネスのグローバル展開に対応した人材の採用・育成・配置を戦略的に実現します。抜本的構造改革を進める中で、生産性と資本効率を高める変革を推進できる人材を後押しし、当社グループ全体の共創と成長を生み出す基盤づくりを進めます。
開発戦略:
サーキュラーエコノミー、GHG削減分野において、新規事業や新技術の創出を目指します。
生産技術開発:
競争力を高め、継続的なイノベーションを支援するために、ものづくり力、エンジニアリング力の強化を図ります。
デジタル戦略:
グローバル標準のIT基盤やセキュリティ強化、AI活用の加速により資源循環ビジネスの拡大に貢献します。
⑤キャピタルアロケーション
2026年度から2028年度の累計で約5,000億円のキャッシュインを見込んでいます。財務規律を維持しつつ、二次原料製錬等、資源循環ビジネスのマテリアル領域を中心とした成長投資を優先的に実施します。
株主還元については、安定的な配当の継続を重視し、DOE2.5%を目途に配当を実施する方針といたします。なお、自己株式取得については、キャッシュ・フローの状況、株価及び財務規律を踏まえ、機動的な実施を検討してまいります。

(ご参考)中期経営戦略(2026~2028年度)期間における株主還元方針
当社は現在、中期経営戦略(2026~2028年度)に基づき、事業の収益力を高めるための抜本的構造改革を進めています。具体的には銅精鉱処理の縮小や二次原料製錬への転換、生産体制や事業ポートフォリオの最適化、ならびに欧州・米国・アジアを中心としたリサイクル原料の集荷体制の構築等に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、投下資本の削減と収益性の改善、財務体質の強化を図るとともに、将来の成長に向けた投資を優先的に進める経営フェーズにあります。
当社は、定款に基づき取締役会決議により剰余金の配当等を行うこととしております。また、当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要目的の一つであるという認識のもと、利益配分については、期間収益、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、決定する方針としております。
このため、中期経営戦略(2026~2028年度)期間中の利益配分については、安定的な配当の継続を重視し、DOE2.5%を目途に利益還元を行う方針としています。なお、自己株式取得については、キャッシュ・フローの状況、株価及び財務規律を踏まえ、引き続き機動的に行うことを検討してまいります。
<重要課題(マテリアリティ)>当社グループは、社会全体の持続可能性(サステナビリティ)が企業活動の将来に重大な影響を与えるとの認識に立ち、企業活動を通じて解決していく重要な社会課題のうち、重要度の高いものをマテリアリティとして特定しています。また、マテリアリティは、経営環境や事業構造の変化を適時適切に捉えて必要な対応を図るべく、継続的な見直しを行っています。
2026年度より開始した中経において、当社グループは「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げています。資源循環ビジネスを通じて、限りある資源を最大限に活用するとともに、廃棄物を新たな価値へと転換することで、環境負荷の低減と経済的価値の両立を図ります。中期経営戦略の検討とあわせて実施した今回のマテリアリティの見直しにあたっては、当社グループの事業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ)と、環境や社会に関する課題が当社グループに与える財務的な影響(財務マテリアリティ)の両面から評価を行いました。あわせて、その結果を事業戦略の方向性とも照らし合わせることで、社会課題への対応と企業価値向上の両立を意識しつつ、総合的に重要性を判断しました。
●資源循環の推進
資源循環ビジネスが中核事業として推進段階にあることを踏まえ、重点テーマをより具体的な事業活動に即した内容へ見直しました。具体的には「二次原料製錬の拡大(グローバル展開)」及び「タングステンリサイクル率の向上」を設定し、資源循環ビジネスの中核となる取り組みを明確化しています。
●人的資本の強化
労働力不足対応や働きやすさといった課題対応型の整理から、人的資本を競争力・価値創出の源泉として捉え直し、「戦略的人材の採用・育成・配置」、「生産性と資本効率を高める変革」、「共創と成長を生み出す基盤づくり」を重点テーマとし、人材施策を事業変革・成長を支える観点で再整理しています。
●高付加価値製品・ソリューション提供/開発・生産技術力の強化
見直し前のマテリアリティ「価値創造の追求」で包括的に整理していた内容を再編し、顧客に提供する価値や収益機会の創出に関わる要素を「高付加価値製品・ソリューション提供」として整理しました。あわせて、それを支える基盤技術や新技術に関わる要素を「開発・生産技術力の強化」に統合し、取り組みの対応関係を明確にしています。
●デジタル戦略の強化
これまで別々に設定していた「DXの深化」と「情報セキュリティの強化」を再整理しました。「AI・デジタルツール活用によるビジネスモデル変革」と「IT・OTセキュリティとレジリエンスの強化」をそれぞれ重点テーマとして設定し、取り組みを推進しています。
有価証券報告書提出日時点のマテリアリティ及び重点テーマは次のとおりです。
<中期経営戦略>今後の世界経済は、関税政策をはじめとする米国の政策動向や中東情勢の影響等により、不透明感が高まり、景気の下振れや資本市場の変動等が懸念されます。日本経済についても、世界経済の動向に加えて、物価上昇の継続を通じた個人消費マインドへの影響による景気の下押しリスクが懸念されます。当社グループを取り巻く事業環境につきましても、為替の変動、買鉱条件(TC/RC)の低下や自動車及び半導体関連の需要動向の変化等、厳しい環境が続くことが見込まれます。
こうしたなか、当社グループは、企業価値の向上に向けて、2026年度以降を対象とする中期経営戦略(2026~2028年度)(以下、「中経」といいます。)に基づく諸施策を実行してまいります。
中経においては、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿としております。中経の概要は以下のとおりです。
①基本方針
当社グループは、「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針として掲げます。「未来を創る企業」とは現状の延長線上での成長を目指すのではなく、私たち自身が変革し、社会や産業の持続可能性を支える存在になるという強い決意を示しています。資源循環ビジネスを通じ、限りある資源を最大限に活用、廃棄物を新たな価値へと転換することで、環境負荷の低減と経済的価値の両立を目指します。
中経の成長戦略と重要施策は以下3点です。
第1に、資源循環ビジネスのグローバル展開です。従来日本の製錬所を中心に展開してきた製錬・資源循環ビジネスを、今後は欧米での二次原料製錬所の新設等により、グローバルに拡大します。また、タングステン、超硬製品、及び高機能製品ビジネスのグローバル展開を加速します。
第2に、E-Scrap等の二次原料製錬の拡大とタングステンリサイクル率の向上です。E-Scrap処理量を2035年度までに倍増、タングステン製造拠点でのリサイクル原料比率を2030年度までに100%とすることを目標とします。
第3に、銅精鉱の共同買鉱です。銅精鉱の他社との共同買鉱により銅精鉱製錬の国際競争力強化を図ります。

②事業機会と当社の競争優位
銅精鉱の買鉱条件(TC/RC)は低位推移が見込まれる中、収益性の高いE-Scrapへのシフトは当社の成長に不可欠です。また、銅の需要は脱炭素化等の進展により更なる増加が予測される一方、銅精鉱の供給量には限界があり、E-Scrap等の二次原料の重要性が高まっています。E-Scrapの発生量は世界的に増加傾向、特に欧米では発生量が処理量を継続的に上回ると予測されます。当社は世界トップクラスのE-Scrap集荷・処理能力や家電リサイクルから伸銅品までのバリューチェーンを保有している強みを活かし、E-Scrapの集荷・処理をグローバルに展開、2035年度までに処理量の倍増を目指します。
レアメタルであるタングステンは次世代電池等での需要増が見込まれる一方、一次原料の埋蔵地域は偏在しています。当社グループは、2024年度に独エイチ・シー・スタルク・ホールディング社を買収したことにより、世界最大のスクラップ処理能力を有しています。タングステン製造拠点におけるリサイクル原料比率を2030年度までに100%まで引き上げるとともに収益力の向上を図ります。

③財務目標
2028年度の財務目標は、抜本的構造改革の効果等を織り込み、ROE8%以上、ROIC7%以上、ネットD/Eレシオ0.5倍以下、ネット有利子負債/EBITDA倍率3.5倍以下とします。長期(2029年度以降)では、二次原料製錬の収益貢献本格化等により、ROE10%以上を目指します。なお、ROICは、成長投資の実行段階において一時停滞することも想定し、当社算定のWACC約5%を上回る7%以上を長期目標としています。

④事業戦略
・マテリアル領域(製錬・資源循環)
銅の資源循環では、二次原料製錬への転換を進め、収益性の向上を図ります。銅精鉱処理量は2025年度比で60~70%に減少させる方向で検討する一方、E-Scrapの集荷量及び処理量は2035年度に倍増を目指します。資源循環ループを自ら構築・拡大し、トレーサビリティを確保したリサイクル電気銅やリサイクル伸銅品の安定供給を実現します。グローバル展開に向けた具体策として、集荷面ではサンプリング・分析技術の強化やリサイクラーとの協業を推進します。日本ではE-Scrap処理量拡大のための設備投資を進め、銅精鉱処理量に対するE-Scrap比率最大化に向けた技術開発を加速します。欧州では三菱マテリアルヨーロッパ社で二次原料製錬所の新設を検討し、米国ではExurbanプロジェクトを推進しています。さらに、日本で確立した資源循環スキームやネットワークを海外にも展開し、グローバルでの資源循環ループ構築を目指します。


・マテリアル領域(伸銅品)
資源循環ループにおける顧客との接点として重要な役割を担います。顧客発生スクラップの循環利用を推進し、合金リサイクル技術の高度化を目指します。さらに、付加価値の高い銅合金の開発や、データセンター向けなど新分野の開拓を進めます。

・マテリアル領域(タングステン)
エイチ・シー・スタルク・ホールディング社において、リサイクル量を1.5倍に拡大する設備投資や、米国内リサイクル拠点の新設を検討しています。集荷面では、E-Scrap集荷ルートの活用や、超硬製品事業での使用済み製品の回収強化を図ります。2030年度までに、欧州・米国・アジア・日本でリサイクル率100%体制を目指します。また、超硬製品向けの安定供給とあわせ、電子部品向けタングステン粉など高付加価値製品の拡販を推進します。

・プロダクト領域(超硬製品)
タングステンの資源循環に向けて、各国の販売会社で使用済み製品の回収を強化します。抜本的構造改革として、生産体制の最適化による固定費圧縮を図ります。
販売面では、航空・宇宙・医療・半導体分野に、より高付加価値な製品とソリューションの提供を進めます。地域戦略としては、インドを起点とした拡販を推進します。
・プロダクト領域(高機能製品)
事業内ポートフォリオの組み換えによる資本効率の最適化を実行します。
半導体、xEV、ヘルスケア領域への高付加価値な製品とソリューションの提供、事業内横断の開発推進などにより、収益性と資本効率の向上を目指します。

・資源事業
銅精鉱の安定調達や既存権益の収益性向上に努めます。
マントベルデ銅鉱山では、プラント処理能力の拡張計画を進めており、当社銅鉱石処理量に対して持分銅量比率を拡大することで、低TC/RCによる減益影響の緩和を図ります。また、コバルト、スカンジウム等の副産有価元素の回収技術開発にも取り組んでいます。
・再生可能エネルギー事業
脱炭素社会の実現に向けて、自社消費電力量相当の発電量達成を長期的な目標とし、地熱を中心に新規開発地点の開拓を進めます。

・経営基盤強化
人事戦略:
資源循環ビジネスのグローバル展開に対応した人材の採用・育成・配置を戦略的に実現します。抜本的構造改革を進める中で、生産性と資本効率を高める変革を推進できる人材を後押しし、当社グループ全体の共創と成長を生み出す基盤づくりを進めます。
開発戦略:
サーキュラーエコノミー、GHG削減分野において、新規事業や新技術の創出を目指します。
生産技術開発:
競争力を高め、継続的なイノベーションを支援するために、ものづくり力、エンジニアリング力の強化を図ります。
デジタル戦略:
グローバル標準のIT基盤やセキュリティ強化、AI活用の加速により資源循環ビジネスの拡大に貢献します。
⑤キャピタルアロケーション
2026年度から2028年度の累計で約5,000億円のキャッシュインを見込んでいます。財務規律を維持しつつ、二次原料製錬等、資源循環ビジネスのマテリアル領域を中心とした成長投資を優先的に実施します。
株主還元については、安定的な配当の継続を重視し、DOE2.5%を目途に配当を実施する方針といたします。なお、自己株式取得については、キャッシュ・フローの状況、株価及び財務規律を踏まえ、機動的な実施を検討してまいります。

(ご参考)中期経営戦略(2026~2028年度)期間における株主還元方針
当社は現在、中期経営戦略(2026~2028年度)に基づき、事業の収益力を高めるための抜本的構造改革を進めています。具体的には銅精鉱処理の縮小や二次原料製錬への転換、生産体制や事業ポートフォリオの最適化、ならびに欧州・米国・アジアを中心としたリサイクル原料の集荷体制の構築等に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、投下資本の削減と収益性の改善、財務体質の強化を図るとともに、将来の成長に向けた投資を優先的に進める経営フェーズにあります。
当社は、定款に基づき取締役会決議により剰余金の配当等を行うこととしております。また、当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要目的の一つであるという認識のもと、利益配分については、期間収益、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、決定する方針としております。
このため、中期経営戦略(2026~2028年度)期間中の利益配分については、安定的な配当の継続を重視し、DOE2.5%を目途に利益還元を行う方針としています。なお、自己株式取得については、キャッシュ・フローの状況、株価及び財務規律を踏まえ、引き続き機動的に行うことを検討してまいります。
<重要課題(マテリアリティ)>当社グループは、社会全体の持続可能性(サステナビリティ)が企業活動の将来に重大な影響を与えるとの認識に立ち、企業活動を通じて解決していく重要な社会課題のうち、重要度の高いものをマテリアリティとして特定しています。また、マテリアリティは、経営環境や事業構造の変化を適時適切に捉えて必要な対応を図るべく、継続的な見直しを行っています。
2026年度より開始した中経において、当社グループは「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げています。資源循環ビジネスを通じて、限りある資源を最大限に活用するとともに、廃棄物を新たな価値へと転換することで、環境負荷の低減と経済的価値の両立を図ります。中期経営戦略の検討とあわせて実施した今回のマテリアリティの見直しにあたっては、当社グループの事業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ)と、環境や社会に関する課題が当社グループに与える財務的な影響(財務マテリアリティ)の両面から評価を行いました。あわせて、その結果を事業戦略の方向性とも照らし合わせることで、社会課題への対応と企業価値向上の両立を意識しつつ、総合的に重要性を判断しました。
●資源循環の推進
資源循環ビジネスが中核事業として推進段階にあることを踏まえ、重点テーマをより具体的な事業活動に即した内容へ見直しました。具体的には「二次原料製錬の拡大(グローバル展開)」及び「タングステンリサイクル率の向上」を設定し、資源循環ビジネスの中核となる取り組みを明確化しています。
●人的資本の強化
労働力不足対応や働きやすさといった課題対応型の整理から、人的資本を競争力・価値創出の源泉として捉え直し、「戦略的人材の採用・育成・配置」、「生産性と資本効率を高める変革」、「共創と成長を生み出す基盤づくり」を重点テーマとし、人材施策を事業変革・成長を支える観点で再整理しています。
●高付加価値製品・ソリューション提供/開発・生産技術力の強化
見直し前のマテリアリティ「価値創造の追求」で包括的に整理していた内容を再編し、顧客に提供する価値や収益機会の創出に関わる要素を「高付加価値製品・ソリューション提供」として整理しました。あわせて、それを支える基盤技術や新技術に関わる要素を「開発・生産技術力の強化」に統合し、取り組みの対応関係を明確にしています。
●デジタル戦略の強化
これまで別々に設定していた「DXの深化」と「情報セキュリティの強化」を再整理しました。「AI・デジタルツール活用によるビジネスモデル変革」と「IT・OTセキュリティとレジリエンスの強化」をそれぞれ重点テーマとして設定し、取り組みを推進しています。
有価証券報告書提出日時点のマテリアリティ及び重点テーマは次のとおりです。
| マテリアリティ | 重要テーマ |
| 資源循環の推進 | 二次原料製錬の拡大(グローバル展開) |
| タングステンリサイクル率の向上 | |
| 人的資本の強化 | 戦略的人材の採用・育成・配置 |
| 生産性と資本効率を高める変革 | |
| 共創と成長を生み出す基盤づくり | |
| 地球環境問題への対応強化 | カーボンニュートラル実現に向けた取り組み強化 |
| 再生可能エネルギーの開発・利用促進 | |
| 高付加価値製品・ソリューション提供 | 新たなマテリアルの創出 |
| マーケティング力、販売力の強化 | |
| 開発・生産技術力の強化 | 基盤技術の強化 |
| 新規事業・新技術の創出 | |
| ものづくり力・エンジニアリング力の強化 | |
| デジタル戦略の強化 | AI・デジタルツール活用によるビジネスモデル変革 |
| IT・OTセキュリティとレジリエンスの強化 | |
| SCQ(※)課題への対応強化 ※Safety & Health(安全・健康最優先)、Compliance & Environment(法令遵守、公正な活動、環境保全)、Quality(『顧客』に提供する製品・サービス等の品質) | 労働災害の未然防止 |
| パンデミックや自然災害への対応 | |
| コンプライアンスの徹底 | |
| グループガバナンスによる内部統制の拡充 | |
| 有害物質の敷地外漏洩防止、環境法令違反撲滅 | |
| 規格外品を発生させないための仕組みの構築と実行 |