有価証券報告書-第95期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:42
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3.重要な会計方針
連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、特段の記載が無い限り、記載されているすべての期間に適用された会計方針と同一であります。
(1)連結の基礎
当連結財務諸表は、当社、子会社、関連会社及び共同支配企業の財務諸表に基づき作成しております。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。一部の子会社では親会社の報告期間の末日で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しておりますが、当該子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を統一することが実務上不可能である子会社、また、現地における会計システムを取り巻く環境や事業の特性などから仮決算を行うことが実務上不可能である子会社が含まれております。当該子会社の報告期間の末日と親会社の報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはなく、決算日の差異により生じる差異期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っております。子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と、対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。当社グループ内の債権債務残高及び取引並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
② 関連会社及び共同支配の取決め
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配は、契約上の取決めにより、関連性のある活動に係る意思決定について、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配の取決めは、共同支配を有する当事者の権利及び義務に基づいて、共同支配事業又は共同支配企業のいずれかに分類されます。共同支配事業とは、共同支配を有する当事者が、当該取決めにより生じた資産に対する権利及び負債に対する義務を有している場合の共同支配の取決めであり、共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が、当該取決めの純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。
関連会社及び共同支配企業への投資は、取得時に取得原価で認識し、持分法を用いて会計処理しております。当社の連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日の異なる持分法適用会社への投資が含まれております。当該持分法適用会社の報告期間末日と当社グループの報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはなく、決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っております。
当該持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社グループ持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から控除しております。
共同支配事業への投資については、共同で保有する資産に対する持分を含む自らの資産、共同で負う負債に対する持分を含む自らの負債、共同支配事業から生じる産出物に対する持分の売却による収益及び共同支配事業による産出物の売却による収益に対する持分並びに共同で負う費用に対する持分を含む自らの費用を認識します。
③ 企業結合及びのれん
企業結合は、取得法を適用して会計処理をしております。被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日の公正価値で測定しております。のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。企業結合で移転された対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の取得日における公正価値の合計で計算しております。
当社グループは非支配持分を公正価値若しくは被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分相当額で測定するかについて、企業結合ごとに選択しております。取得関連費は発生した期間に費用として処理しております。
なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
(2)外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。決算日における外貨建貨幣性項目は、決算日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の算定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に再換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品、及び為替リスクにかかるキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から生じた換算差額のうちヘッジが有効な部分については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の財政状態計算書の資産及び負債は、その財政状態計算書の日現在の為替レートで、純損益及びその他の包括利益を表示する各計算書の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートで換算しております。当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分した期の純損益に振り替えております。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資であります。
(4)金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融資産について、純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、償却原価で測定される金融資産に分類しております。当社グループは当初認識においてその分類を決定しております。通常の方法による金融資産の売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っております。
純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、当該金融資産に直接帰属する取引費用を公正価値に加算した金額で測定しております。
ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初測定しております。
(a)償却原価により測定される金融資産
次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b)公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定される金融資産に分類しております。
公正価値で測定される金融資産のうち資本性金融商品については、個々の資本性金融商品ごとに、当初認識後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行う場合を除き、純損益を通じて公正価値で測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a)償却原価により測定される金融資産
償却原価により測定される金融資産は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融収益の一部として当期の純損益で認識しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
償却原価により測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定しており、公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については金融収益の一部として当期の純損益で認識しております。
(ⅲ)金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定される金融資産の回収可能性に関し、期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
当初認識後に信用リスクが著しく増大していない金融資産については、12ヶ月以内の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。当初認識後に信用リスクが著しく増大している金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。ただし、営業債権等については、常に全期間の予想信用損失で貸倒引当金を測定しております。予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値に基づいて測定しております。
債務不履行の発生リスクに変化があり信用リスクが著しく増大しているか否かの評価を行う際には、支払期日の経過情報のほか、債務者の経営成績の悪化の情報等も考慮しております。
金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断しております。
債務不履行に該当した場合、又は発行者若しくは債務者の著しい財政的困難が存在する場合、信用減損しているものと判断しております。
金融資産が信用減損している証拠がある金融資産については、総額での帳簿価額から貸倒引当金を控除した純額に実効金利を乗じて利息収益を測定しております。
以後の期間において、信用リスクが減少し、その減少が減損を認識した後に発生した事象に客観的に関連付けることができる場合には、以前に認識された減損損失の戻入れを純損益で認識します。
なお、貸倒引当金は償却原価で測定される金融資産から直接控除しております。
(ⅳ)金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る権利を移転し、かつ当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しております。
② 非デリバティブ金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融負債について、償却原価で測定される金融負債に分類しております。この分類は、金融負債の当初認識時に決定しております。償却原価で測定される金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(ⅱ)事後測定
当社グループは、償却原価で測定される金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクをヘッジするために、為替予約、金利スワップ、商品先渡契約等のデリバティブを利用しております。取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びにヘッジを実施するにあたってのリスク管理目的及び戦略について文書化を行っております。ヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し、ヘッジ会計の要件を満たすかどうかについて、ヘッジ開始時及びその後も継続的に評価しております。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。ヘッジ会計の要件を満たさない一部のデリバティブは、公正価値の事後的な変動を純損益で認識しております。ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブは、その公正価値の変動について、以下のように会計処理しております。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象資産又は負債の公正価値の変動とともに、純損益で認識しております。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、その他の包括利益で認識しております。ただし、デリバティブの公正価値の変動のうち、ヘッジの非有効部分は純損益で認識しております。
その他の資本の構成要素に累積された金額は、ヘッジ対象が純損益に影響を与える期に純損益に組み替えております。
なお、公正価値ヘッジ、キャッシュ・フロー・ヘッジとも、デリバティブがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了又は行使された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
④ 組込デリバティブ
銅精鉱等の販売契約には、出荷時の仮価格条項が含まれており、最終的な価格は将来の一定期間のロンドン金属取引所(LME)の銅価格の月平均価格に基づき決定されます。このような仮価格販売は、価格決定月を限月とした商品先渡の性質を有する販売契約と考えられ、主契約を銅精鉱等の販売とする組込デリバティブを含んでおります。出荷後の価格精算過程に関連した当該組込デリバティブは、主契約の対象が金融資産のため、IFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」という)に基づき、主契約から分離することなく、一体のものとして会計処理しております。
仮価格販売に係る収益は、受取対価の公正価値を見積った上で認識し、報告期間の末日において再見積りを行っております。出荷時点と報告期間の末日における公正価値の差額は、収益の調整額として認識しております。
(5)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価又は正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で測定しております。棚卸資産の取得原価には購入原価、加工費が含まれており、原価の算定にあたっては総平均法を使用している一部の在外子会社を除き、主として先入先出法を使用しております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額であります。
(6)有形固定資産
有形固定資産の測定方法においては、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び原状回復費用、及び資産計上すべき借入コストが含まれております。有形固定資産(鉱業用地及び坑道を除く)の減価償却は主として定額法、鉱業用地及び坑道については生産高比例法によっております。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な資産の種類別の耐用年数は以下のとおりであります。
建物及び構築物 2-60年
機械装置及び運搬具 2-35年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(7)無形資産及びのれん
① のれん
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。のれんは償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、年次及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損失として認識され、その後の戻入れは行っておりません。なお、のれんの当初認識時点における測定は、「(1)連結の基礎 ③ 企業結合及びのれん」に記載しております。
② その他の無形資産
無形資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しております。無形資産は取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。鉱業権(採掘権)の償却費は、生産高比例法、鉱業権(試掘権)の償却費は、定額法で計上しております。また、ソフトウエアの償却費は定額法で計上しております。これらの資産の償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
鉱業権(採掘権) 生産高比例法
鉱業権(試掘権) 5年
ソフトウエア 5年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8)投資不動産
投資不動産は、賃貸収入又はキャピタルゲイン、若しくはその両方を得ることを目的として保有する不動産であります。投資不動産の認識後の測定については原価モデルを採用しております。
(9)鉱物資源の探査及び評価
鉱物資源の探査及び評価に関連する支出は、法的権利の取得、フィージビリティースタディー完了、商業生産開始の各時点をもって支出の区分とし、フィージビリティースタディー完了前までの支出について、原則費用処理を行っております。ただし、探鉱権等外部から取得した権利は無形資産、採掘機械及び車両等については有形固定資産として認識しております。
(10)剥土コスト
剥土コストは、露天掘り鉱山の開発及び生産段階で生じた、鉱物資源に至る廃土除去のための剥土活動に関わる支出となります。開発段階における剥土活動は鉱物資源へのアクセスのためであることから、当該剥土コストは資産に計上しております。生産段階における剥土コストには、鉱物資源の生産に係るものと将来の鉱物資源へのアクセスの改善に係るものとが含まれております。このため、鉱物資源の生産に係る剥土コストについては、その棚卸資産の一部を構成するものとし、将来の鉱物資源へのアクセス改善に係るものは、一定の基準を満たす場合に剥土活動資産とし、構成要素別に資産計上しております。当該剥土活動資産の減価償却方法には、関連する構成要素の埋蔵量等による生産高比例法が適用されております。
(11)リース
リースは、リース開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しております。
① 使用権資産
使用権資産は取得原価で当初測定しており、取得原価は、リース負債の当初測定の金額、当初直接コスト、原資産の解体及び除去、原状回復コストの当初見積額等で構成されております。
使用権資産の認識後の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
使用権資産は、リース期間又は使用権資産の耐用年数のいずれか短い方の期間にわたり定額法により減価償却を行っております。
② リース負債
リース負債は、リース開始日現在の残存リース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初認識しております。
リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額することにより事後測定しております。
なお、前連結会計年度においては、以下の方針に基づき会計処理しております。
リース契約上、資産の保有に伴うリスク及び経済的便益が実質的にすべて当社グループに移転する場合は、ファイナンス・リースとして分類しております。リース資産は、当初認識時において公正価値又は最低リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で測定しております。当初認識後は、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で償却し、その費用は純損益で認識しております。なお、ファイナンス・リース以外のすべてのリースはオペレーティング・リースとし、リース料はリース期間にわたり定額法にて純損益で認識しております。
(12)非金融資産の減損
当社グループでは、連結会計年度の末日時点で、棚卸資産、繰延税金資産、売却目的で保有する資産、退職給付に係る資産を除く非金融資産の減損の兆候の有無を評価しております。減損の兆候がある場合に、各資産の回収可能価額の算定を行っております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積った将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した利率を用いております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額より低い場合にのみ、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、純損益として認識しております。過年度に減損を認識したのれん以外の資産又は資金生成単位については、連結会計年度の末日時点において過年度に認識した減損損失の減少又は消滅している可能性を示す兆候の有無を評価しております。そのような兆候が存在する場合には、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れは、直ちに純損益として認識しております。
(13)売却目的で保有する資産
非流動資産又は処分グループの帳簿価額が、継続使用よりも主として売却取引により回収が見込まれる場合には、売却目的で保有する資産に分類しております。1年以内での売却可能性が高く、現状で直ちに売却することが可能であることを上記分類の要件としております。
売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループは、その帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定します。売却目的保有に分類された資産のうち有形固定資産や無形資産について、減価償却又は償却は行っておりません。
(14)従業員給付
① 確定給付制度
確定給付債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定しております。割引率は、連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。ただし、確定給付制度が積立超過である場合は、確定給付資産の純額は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としております。確定給付制度に係る負債又は資産の純額の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金へ振り替えております。
② 確定拠出制度
確定拠出型の退職後給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として認識しております。
(15)引当金
過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
(16)政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られる場合に認識しております。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しております。資産に関する補助金は、資産の取得原価から補助金の金額を控除して資産の帳簿価額を算定しております。
(17)資本
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、その支払対価を資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(18)収益
当社グループでは、IFRS第9号に基づく利息及び配当収益等を除き、以下の5ステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足につれて)収益を認識する。
収益は、顧客との契約における履行義務の充足に従い、一時点又は一定期間にわたり認識しております。通常の営業活動における物品の販売による収益は、物品に対する支配が顧客に移転した時点で履行義務が充足されるものであり、引渡し時点で収益を計上しております。
(19)金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、主に受取利息、受取配当金、支払利息、デリバティブ金融商品の公正価値の変動、為替差損益等から構成されます。
受取利息、支払利息及び社債利息は、実効金利法を用いて発生時に認識します。
(20)法人所得税
法人所得税は当期税金と繰延税金との合計額であります。
① 当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、決算日までに制定又は実質的に制定されたものであります。純損益として認識される当期税金には、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を含んでおりません。
② 繰延税金
繰延税金は、決算日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
以下の場合には、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・企業結合で生じたのれんの帳簿価額がその税務基準額よりも小さい場合を除き、のれんの当初認識から一時差異が生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から一時差異が生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、当社が一時差異の解消時期をコントロールすることができ、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、決算日における法定税率又は実質的法定税率及び税法に基づいて一時差異が解消される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
当社及び一部の国内子会社は、当年度中に連結納税制度の承認申請を行い、翌年度から連結納税制度が適用されることとなったため、当年度より税効果会計について連結納税制度の適用を前提とした会計処理を行っております。
(21)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。

注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3.重要な会計方針
連結財務諸表において適用する重要な会計方針は、特段の記載が無い限り、記載されているすべての期間に適用された会計方針と同一であります。
(1)連結の基礎
当連結財務諸表は、当社、子会社、関連会社及び共同支配企業の財務諸表に基づき作成しております。
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、当社グループの連結財務諸表に含まれております。一部の子会社では親会社の報告期間の末日で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しておりますが、当該子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を統一することが実務上不可能である子会社、また、現地における会計システムを取り巻く環境や事業の特性などから仮決算を行うことが実務上不可能である子会社が含まれております。当該子会社の報告期間の末日と親会社の報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはなく、決算日の差異により生じる差異期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っております。子会社に対する所有持分の変動で支配の喪失とならないものは、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と、対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されております。当社グループ内の債権債務残高及び取引並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
② 関連会社及び共同支配の取決め
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。
共同支配は、契約上の取決めにより、関連性のある活動に係る意思決定について、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配の取決めは、共同支配を有する当事者の権利及び義務に基づいて、共同支配事業又は共同支配企業のいずれかに分類されます。共同支配事業とは、共同支配を有する当事者が、当該取決めにより生じた資産に対する権利及び負債に対する義務を有している場合の共同支配の取決めであり、共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が、当該取決めの純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。
関連会社及び共同支配企業への投資は、取得時に取得原価で認識し、持分法を用いて会計処理しております。当社の連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日の異なる持分法適用会社への投資が含まれております。当該持分法適用会社の報告期間末日と当社グループの報告期間の末日の差異は3ヶ月を超えることはなく、決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っております。
当該持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、被投資企業に対する当社グループ持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から控除しております。
共同支配事業への投資については、共同で保有する資産に対する持分を含む自らの資産、共同で負う負債に対する持分を含む自らの負債、共同支配事業から生じる産出物に対する持分の売却による収益及び共同支配事業による産出物の売却による収益に対する持分並びに共同で負う費用に対する持分を含む自らの費用を認識します。
③ 企業結合及びのれん
企業結合は、取得法を適用して会計処理をしております。被取得企業における識別可能な資産及び負債は取得日の公正価値で測定しております。のれんは、企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額、及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能な資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定しております。企業結合で移転された対価は、取得企業が移転した資産、取得企業に発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び取得企業が発行した資本持分の取得日における公正価値の合計で計算しております。
当社グループは非支配持分を公正価値若しくは被取得企業の識別可能な純資産に対する非支配持分相当額で測定するかについて、企業結合ごとに選択しております。取得関連費は発生した期間に費用として処理しております。
なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
(2)外貨換算
① 外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レート又はそれに近似するレートで機能通貨に換算しております。決算日における外貨建貨幣性項目は、決算日の為替レートで、公正価値で測定される外貨建非貨幣性項目は、当該公正価値の算定日の為替レートで、それぞれ機能通貨に再換算しております。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて公正価値で測定される資本性金融商品、及び為替リスクにかかるキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段から生じた換算差額のうちヘッジが有効な部分については、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体
在外営業活動体の財政状態計算書の資産及び負債は、その財政状態計算書の日現在の為替レートで、純損益及びその他の包括利益を表示する各計算書の収益及び費用は、為替レートが著しく変動している場合を除き、期中平均為替レートで換算しております。当該換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。在外営業活動体が処分された場合には、当該営業活動体に関連した換算差額の累計額を処分した期の純損益に振り替えております。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資であります。
(4)金融商品
① 非デリバティブ金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融資産について、純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産、償却原価で測定される金融資産に分類しております。当社グループは当初認識においてその分類を決定しております。通常の方法による金融資産の売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っております。
純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、当該金融資産に直接帰属する取引費用を公正価値に加算した金額で測定しております。
ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初測定しております。
(a)償却原価により測定される金融資産
次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(b)公正価値で測定される金融資産
償却原価で測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定される金融資産に分類しております。
公正価値で測定される金融資産のうち資本性金融商品については、個々の資本性金融商品ごとに、当初認識後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択を行う場合を除き、純損益を通じて公正価値で測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a)償却原価により測定される金融資産
償却原価により測定される金融資産は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融収益の一部として当期の純損益で認識しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
償却原価により測定される金融資産以外の金融資産は公正価値で測定しており、公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。なお、当該金融資産からの配当金については金融収益の一部として当期の純損益で認識しております。
(ⅲ)金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定される金融資産の回収可能性に関し、期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
当初認識後に信用リスクが著しく増大していない金融資産については、12ヶ月以内の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。当初認識後に信用リスクが著しく増大している金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。ただし、営業債権等については、常に全期間の予想信用損失で貸倒引当金を測定しております。予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値に基づいて測定しております。
債務不履行の発生リスクに変化があり信用リスクが著しく増大しているか否かの評価を行う際には、支払期日の経過情報のほか、債務者の経営成績の悪化の情報等も考慮しております。
金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断しております。
債務不履行に該当した場合、又は発行者若しくは債務者の著しい財政的困難が存在する場合、信用減損しているものと判断しております。
金融資産が信用減損している証拠がある金融資産については、総額での帳簿価額から貸倒引当金を控除した純額に実効金利を乗じて利息収益を測定しております。
以後の期間において、信用リスクが減少し、その減少が減損を認識した後に発生した事象に客観的に関連付けることができる場合には、以前に認識された減損損失の戻入れを純損益で認識します。
なお、貸倒引当金は償却原価で測定される金融資産から直接控除しております。
(ⅳ)金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅する、又は金融資産からのキャッシュ・フローを受け取る権利を移転し、かつ当社グループが金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合において、金融資産の認識を中止しております。
② 非デリバティブ金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、非デリバティブ金融負債について、償却原価で測定される金融負債に分類しております。この分類は、金融負債の当初認識時に決定しております。償却原価で測定される金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(ⅱ)事後測定
当社グループは、償却原価で測定される金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、金融費用の一部として当期の純損益として認識しております。
(ⅲ)認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクをヘッジするために、為替予約、金利スワップ、商品先渡契約等のデリバティブを利用しております。取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びにヘッジを実施するにあたってのリスク管理目的及び戦略について文書化を行っております。ヘッジ取引に利用したデリバティブがヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際し、ヘッジ会計の要件を満たすかどうかについて、ヘッジ開始時及びその後も継続的に評価しております。
デリバティブは公正価値で当初認識しております。ヘッジ会計の要件を満たさない一部のデリバティブは、公正価値の事後的な変動を純損益で認識しております。ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブは、その公正価値の変動について、以下のように会計処理しております。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象資産又は負債の公正価値の変動とともに、純損益で認識しております。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、その他の包括利益で認識しております。ただし、デリバティブの公正価値の変動のうち、ヘッジの非有効部分は純損益で認識しております。
その他の資本の構成要素に累積された金額は、ヘッジ対象が純損益に影響を与える期に純損益に組み替えております。
なお、公正価値ヘッジ、キャッシュ・フロー・ヘッジとも、デリバティブがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了又は行使された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
④ 組込デリバティブ
銅精鉱等の販売契約には、出荷時の仮価格条項が含まれており、最終的な価格は将来の一定期間のロンドン金属取引所(LME)の銅価格の月平均価格に基づき決定されます。このような仮価格販売は、価格決定月を限月とした商品先渡の性質を有する販売契約と考えられ、主契約を銅精鉱等の販売とする組込デリバティブを含んでおります。出荷後の価格精算過程に関連した当該組込デリバティブは、主契約の対象が金融資産のため、IFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」という)に基づき、主契約から分離することなく、一体のものとして会計処理しております。
仮価格販売に係る収益は、受取対価の公正価値を見積った上で認識し、報告期間の末日において再見積りを行っております。出荷時点と報告期間の末日における公正価値の差額は、収益の調整額として認識しております。
(5)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価又は正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で測定しております。棚卸資産の取得原価には購入原価、加工費が含まれており、原価の算定にあたっては総平均法を使用している一部の在外子会社を除き、主として先入先出法を使用しております。正味実現可能価額とは、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除した額であります。
(6)有形固定資産
有形固定資産の測定方法においては、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び原状回復費用、及び資産計上すべき借入コストが含まれております。有形固定資産(鉱業用地及び坑道を除く)の減価償却は主として定額法、鉱業用地及び坑道については生産高比例法によっております。これらの資産の減価償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な資産の種類別の耐用年数は以下のとおりであります。
建物及び構築物 2-60年
機械装置及び運搬具 2-35年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(7)無形資産及びのれん
① のれん
企業結合から生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しております。のれんは償却を行わず、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、年次及び減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は純損失として認識され、その後の戻入れは行っておりません。なお、のれんの当初認識時点における測定は、「(1)連結の基礎 ③ 企業結合及びのれん」に記載しております。
② その他の無形資産
無形資産の認識後の測定方法として、原価モデルを採用しております。無形資産は取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。鉱業権(採掘権)の償却費は、生産高比例法、鉱業権(試掘権)の償却費は、定額法で計上しております。また、ソフトウエアの償却費は定額法で計上しております。これらの資産の償却は、使用可能となった時点から開始しております。
主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
鉱業権(採掘権) 生産高比例法
鉱業権(試掘権) 5年
ソフトウエア 5年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(8)投資不動産
投資不動産は、賃貸収入又はキャピタルゲイン、若しくはその両方を得ることを目的として保有する不動産であります。投資不動産の認識後の測定については原価モデルを採用しております。
(9)鉱物資源の探査及び評価
鉱物資源の探査及び評価に関連する支出は、法的権利の取得、フィージビリティースタディー完了、商業生産開始の各時点をもって支出の区分とし、フィージビリティースタディー完了前までの支出について、原則費用処理を行っております。ただし、探鉱権等外部から取得した権利は無形資産、採掘機械及び車両等については有形固定資産として認識しております。
(10)剥土コスト
剥土コストは、露天掘り鉱山の開発及び生産段階で生じた、鉱物資源に至る廃土除去のための剥土活動に関わる支出となります。開発段階における剥土活動は鉱物資源へのアクセスのためであることから、当該剥土コストは資産に計上しております。生産段階における剥土コストには、鉱物資源の生産に係るものと将来の鉱物資源へのアクセスの改善に係るものとが含まれております。このため、鉱物資源の生産に係る剥土コストについては、その棚卸資産の一部を構成するものとし、将来の鉱物資源へのアクセス改善に係るものは、一定の基準を満たす場合に剥土活動資産とし、構成要素別に資産計上しております。当該剥土活動資産の減価償却方法には、関連する構成要素の埋蔵量等による生産高比例法が適用されております。
(11)リース
リースは、リース開始日において、使用権資産及びリース負債を認識しております。
① 使用権資産
使用権資産は取得原価で当初測定しており、取得原価は、リース負債の当初測定の金額、当初直接コスト、原資産の解体及び除去、原状回復コストの当初見積額等で構成されております。
使用権資産の認識後の測定は原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しております。
使用権資産は、リース期間又は使用権資産の耐用年数のいずれか短い方の期間にわたり定額法により減価償却を行っております。
② リース負債
リース負債は、リース開始日現在の残存リース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初認識しております。
リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債は、リース負債に係る金利を反映するように帳簿価額を増額し、支払われたリース料を反映するように帳簿価額を減額することにより事後測定しております。
なお、前連結会計年度においては、以下の方針に基づき会計処理しております。
リース契約上、資産の保有に伴うリスク及び経済的便益が実質的にすべて当社グループに移転する場合は、ファイナンス・リースとして分類しております。リース資産は、当初認識時において公正価値又は最低リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で測定しております。当初認識後は、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間で償却し、その費用は純損益で認識しております。なお、ファイナンス・リース以外のすべてのリースはオペレーティング・リースとし、リース料はリース期間にわたり定額法にて純損益で認識しております。
(12)非金融資産の減損
当社グループでは、連結会計年度の末日時点で、棚卸資産、繰延税金資産、売却目的で保有する資産、退職給付に係る資産を除く非金融資産の減損の兆候の有無を評価しております。減損の兆候がある場合に、各資産の回収可能価額の算定を行っております。個別資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。資産又は資金生成単位の回収可能価額は、処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額で測定しております。使用価値は、見積った将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより算定しており、使用する割引率は、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した利率を用いております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額より低い場合にのみ、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、純損益として認識しております。過年度に減損を認識したのれん以外の資産又は資金生成単位については、連結会計年度の末日時点において過年度に認識した減損損失の減少又は消滅している可能性を示す兆候の有無を評価しております。そのような兆候が存在する場合には、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されていなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入れは、直ちに純損益として認識しております。
(13)売却目的で保有する資産
非流動資産又は処分グループの帳簿価額が、継続使用よりも主として売却取引により回収が見込まれる場合には、売却目的で保有する資産に分類しております。1年以内での売却可能性が高く、現状で直ちに売却することが可能であることを上記分類の要件としております。
売却目的保有に分類された非流動資産又は処分グループは、その帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定します。売却目的保有に分類された資産のうち有形固定資産や無形資産について、減価償却又は償却は行っておりません。
(14)従業員給付
① 確定給付制度
確定給付債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用は、予測単位積増方式を用いて個々の制度ごとに算定しております。割引率は、連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。ただし、確定給付制度が積立超過である場合は、確定給付資産の純額は、制度からの返還又は制度への将来掛金の減額の形で利用可能な経済的便益の現在価値を資産上限額としております。確定給付制度に係る負債又は資産の純額の再測定は、発生した期に一括してその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金へ振り替えております。
② 確定拠出制度
確定拠出型の退職後給付に係る費用は、従業員が役務を提供した期に費用として認識しております。
(15)引当金
過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、当該債務を決済するために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
(16)政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られる場合に認識しております。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しております。資産に関する補助金は、資産の取得原価から補助金の金額を控除して資産の帳簿価額を算定しております。
(17)資本
① 普通株式
普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上しております。
② 自己株式
自己株式を取得した場合には、その支払対価を資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合には、帳簿価額と売却時の対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(18)収益
当社グループでは、IFRS第9号に基づく利息及び配当収益等を除き、以下の5ステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する。
ステップ5:履行義務の充足時に(又は充足につれて)収益を認識する。
収益は、顧客との契約における履行義務の充足に従い、一時点又は一定期間にわたり認識しております。通常の営業活動における物品の販売による収益は、物品に対する支配が顧客に移転した時点で履行義務が充足されるものであり、引渡し時点で収益を計上しております。
(19)金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、主に受取利息、受取配当金、支払利息、デリバティブ金融商品の公正価値の変動、為替差損益等から構成されます。
受取利息、支払利息及び社債利息は、実効金利法を用いて発生時に認識します。
(20)法人所得税
法人所得税は当期税金と繰延税金との合計額であります。
① 当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、決算日までに制定又は実質的に制定されたものであります。純損益として認識される当期税金には、その他の包括利益又は資本において直接認識される項目から生じる税金及び企業結合から生じる税金を含んでおりません。
② 繰延税金
繰延税金は、決算日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
以下の場合には、繰延税金資産又は負債を計上しておりません。
・企業結合で生じたのれんの帳簿価額がその税務基準額よりも小さい場合を除き、のれんの当初認識から一時差異が生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における資産又は負債の当初認識から一時差異が生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異に関しては、当社が一時差異の解消時期をコントロールすることができ、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、決算日における法定税率又は実質的法定税率及び税法に基づいて一時差異が解消される期に適用されると予想される税率で算定しております。繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に対して課されている場合、相殺しております。
当社及び一部の国内子会社は、当年度中に連結納税制度の承認申請を行い、翌年度から連結納税制度が適用されることとなったため、当年度より税効果会計について連結納税制度の適用を前提とした会計処理を行っております。
(21)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。