有価証券報告書-第96期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。
(2) 当連結会計年度の振り返り
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)のパンデミックによって、当社グループの海外拠点も一部で操業停止を伴う大きな制限を受ける等、市場環境の悪化を背景とした需要低迷に伴う業績悪化により、収益や資金に与える影響が不透明な状況でスタートしました。
このような中、2020年度の業績に与える影響につきましては、COVID-19の終息及び需要の回復時期についての予測は困難であったことから、2020年5月29日現在において入手可能な一定の仮定の条件に基づく影響額を試算し、当該影響を考慮していない当初の会社想定計画に、当該影響額を加味する方式で業績予想値を算出しました。期初における業績予想値と当連結会計年度の実績については、次のとおりであります。
前提諸元
※銅LME価格(ロンドン金属取引所)については、2020年1月から12月を対象期間として記載しております。
主要製品の動向
非鉄金属相場が想定を上回って推移したこと及びそれに伴う在庫要因の好転、主要製品の販売量は、第2四半期以降、自動車市場の持ち直し等を背景に回復基調で推移したことに加え、持分法による投資損失の改善、受取配当金の増加があったこと等により、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、期初における業績予想値に比べ増加しました。
(3) 中期経営計画「19中計」の進捗と成長戦略
COVID-19が世界的にまん延する一方で、気候変動の進行の影響とみられる多くの災害が発生しており、温室効果ガス排出削減が喫緊の課題となっております。これらが他の問題と複雑に関連しながら、より大きな社会課題となる中で改めてSDGs の背景にある危機感と「Transforming Our World」を意識するところです。
当社グループでは、長期的視点で世界が抱える課題に立脚した環境・社会の課題を、事業を通じて解決する経営(以下、「統合思考経営」)による変革を進めることで、COVID-19による危機だけではなく将来発生する危機に対しても変化に強い企業体になることができると考えております。当社グループにとって、サステナビリティは戦略であり、短期主義に陥ることなくバリューチェーンに関わる人々、地球やこれから生まれてくる未来の世代のことを考え、ステークホルダーとともに行動していく、そうした企業グループを目指しております。
当社グループは、「機能材料、金属、自動車部品の3事業を核に、成長商品・事業を継続的に創出し、価値を拡大し続けている会社」を2024年のありたい姿とし、この実現のために「19中計」としてサステナビリティへの取り組みを各事業の取り組みと結びつけた経営を進め、成長基盤の変革に取り組んでまいりました。
2021年度は、「19中計」の最終年度として、また、次期中期経営計画へ繋ぐ準備期間として、引き続き以下の重点施策を実行してまいります。
機能材料事業では、Society5.0(注)1を実現する5G(注)2やIoT、CASE(注)3、MaaS(注)4等に伴う関連分野の市場拡大と高度化の流れにおいて、銅箔事業、機能性粉体事業、セラミックス事業を中心として事業機会の拡大を期待しており、メリハリある経営資源の分配によって、これら関連市場への拡販を推進いたします。また、排ガス浄化触媒では、GPF触媒(注)5を含む技術開発の強化と四輪車向けへの拡販に注力してまいります。
金属事業では、リサイクル原料の増処理、副産物の回収に努めてまいります。2020年4月には、パンパシフィック・カッパー株式会社を含めた銅合弁事業の運営体制を見直し、当社の直接的な銅製錬所の運営を再開しました。短期的には、銅・貴金属ネットワークの再構築によるリサイクル原料の増集荷・増処理を実行すると共に、中長期的には亜鉛・鉛及び銅・貴金属の融合による「新たな製錬ネットワーク」におけるシナジーの再構築を通じて、リサイクル製錬の競争力を深化いたします。
また、カセロネス銅鉱山を含む銅鉱山事業は、事業ポートフォリオ最適化の観点から権益を譲渡いたしました。今後は、他の事業への経営資源の投入を通じて、更なる企業価値向上に努めてまいります。
ドアラッチを主力とする自動車部品事業では、機能設計力の強化、設計品質の向上、ものづくり及び購買コスト競争力の更なる拡充を継続し、不断の収益改善を図ってまいります。同時に、CASE、MaaSの時代に呼応したドアシステム製品の本格受注に向けた戦略的な開発投資や体制を充実することで、新規モデルの受注実現への確度向上を目指します。
本社部門では、2020年4月に研究開発と市場共創の機能を持つ「事業創造本部」を設置しました。事業創造のための基盤を整え、競争優位を確たるものとして、自社の研究開発と社外パートナーとの共創を促進し、環境・社会課題に対応するイノベーションを創出いたします。また、2021年4月には「サステナビリティ推進部」を設置いたしました。これまでも持続可能な企業体への変革に向けて取り組んでまいりましたが、今後はサステナビリティへの取り組みを各事業の取り組みと結びつけた全社活動として加速させ、統合思考経営による変革を推し進めてまいります。
引き続き、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、資本効率を意識した経営を実践するとともに、当社独自の技術や経験を活かすことで、継続的に新たな成長商品・事業の創出を実現し、「持続的成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めてまいります。
(注)1 Society5.0:2016年1月に内閣府から発表された科学技術政策の一つで、IoTによりサイバー空間とフィ ジカル空間を連携し、全ての物や情報、人を一つにつなぐと共に、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のこと。
2 5G:大容量、ハイスピード通信が可能となる第5世代の通信方式。
3 CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の略で、自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す造語。
4 MaaS:ICT を活用して交通をクラウド化し、マイカー以外の全ての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスに繋ぐ「移動」の概念。
5 GPF触媒:Gasoline Particulate Filterの略で、これまでの有害ガスの無害化に加え、カーボン系パーテ ィクル(スス)を捕集するための四輪車向けガソリンエンジン用触媒。
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「19中計」において、計画の最終年度となる2021年度(2022年3月期)の業績目標を連結経常利益370億円、連結自己資本比率40%、連結自己資本当期純利益率(ROE)10%としております。
(主な前提条件:亜鉛LME価格2,400$/t、銅LME価格295¢/lb、為替110円/US$)
COVID-19の感染拡大が続いている中、当社グループにおいては、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しておりますが、経済・企業活動に広範な影響を与える可能性があり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難なことから、現時点で入手可能な外部の情報等を踏まえた2021年度(2022年3月期)見通しは、次のとおりであります。
(注)上記の業績予想につきましては、2021年5月11日現在において入手可能な情報及び仮定の条件に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の予想数値と異なる場合があります。
中期経営計画「19中計」進捗と成長戦略の詳細につきましては、当社コーポレートサイト(https://www.mitsui-
kinzoku.com/)のIR・投資家情報に、2021年5月18日付で掲載されております「中計進捗説明会資料」をご参照下さい。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。
(2) 当連結会計年度の振り返り
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)のパンデミックによって、当社グループの海外拠点も一部で操業停止を伴う大きな制限を受ける等、市場環境の悪化を背景とした需要低迷に伴う業績悪化により、収益や資金に与える影響が不透明な状況でスタートしました。
このような中、2020年度の業績に与える影響につきましては、COVID-19の終息及び需要の回復時期についての予測は困難であったことから、2020年5月29日現在において入手可能な一定の仮定の条件に基づく影響額を試算し、当該影響を考慮していない当初の会社想定計画に、当該影響額を加味する方式で業績予想値を算出しました。期初における業績予想値と当連結会計年度の実績については、次のとおりであります。
| (金額:億円) | |||
| 2020年度連結業績 | |||
| 当連結会計年度実績 (A) | 期初における業績予想 (B) | 増減 (A)-(B) | |
| 売上高 | 5,229 | 4,700 | 529 |
| 営業利益 | 511 | 100 | 411 |
| 経常利益 | 512 | 10 | 502 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 447 | 60 | 387 |
前提諸元
| 実績 (A) | 予想値 (B) | 増減 (A)-(B) | |
| 亜鉛LME価格($/t) | 2,419 | 2,000 | 419 |
| 鉛LME価格($/t) | 1,867 | 1,600 | 267 |
| 銅LME価格(¢/lb)※ | 280 | 251 | 29 |
| インジウム価格($/kg) | 184 | 170 | 14 |
| ロジウム価格($/Toz) | 14,514 | 8,721 | 5,793 |
| 為替(円/US$) | 106 | 107 | △1 |
※銅LME価格(ロンドン金属取引所)については、2020年1月から12月を対象期間として記載しております。
主要製品の動向
| 実績 (A) | 予想値 (B) | |||||||
| 上期 | 下期 | 年間 | 上期 | 下期 | 年間 | |||
| 二輪向け排ガス浄化触媒 | 販売量 | 指数 | 89 | 125 | 107 | 77 | 133 | 105 |
| 四輪向け排ガス浄化触媒 | 販売量 | 指数 | 92 | 123 | 108 | 87 | 124 | 106 |
| キャリア付極薄銅箔 | 販売量 | 指数 | 148 | 142 | 145 | 128 | 127 | 127 |
| 自動車部品 | 売上高 | 億円 | 342 | 468 | 810 | 320 | 400 | 720 |
| 指数:2019年第1四半期実績を100とした場合の指数 | ||||||||
非鉄金属相場が想定を上回って推移したこと及びそれに伴う在庫要因の好転、主要製品の販売量は、第2四半期以降、自動車市場の持ち直し等を背景に回復基調で推移したことに加え、持分法による投資損失の改善、受取配当金の増加があったこと等により、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は、期初における業績予想値に比べ増加しました。
(3) 中期経営計画「19中計」の進捗と成長戦略
COVID-19が世界的にまん延する一方で、気候変動の進行の影響とみられる多くの災害が発生しており、温室効果ガス排出削減が喫緊の課題となっております。これらが他の問題と複雑に関連しながら、より大きな社会課題となる中で改めてSDGs の背景にある危機感と「Transforming Our World」を意識するところです。
当社グループでは、長期的視点で世界が抱える課題に立脚した環境・社会の課題を、事業を通じて解決する経営(以下、「統合思考経営」)による変革を進めることで、COVID-19による危機だけではなく将来発生する危機に対しても変化に強い企業体になることができると考えております。当社グループにとって、サステナビリティは戦略であり、短期主義に陥ることなくバリューチェーンに関わる人々、地球やこれから生まれてくる未来の世代のことを考え、ステークホルダーとともに行動していく、そうした企業グループを目指しております。
当社グループは、「機能材料、金属、自動車部品の3事業を核に、成長商品・事業を継続的に創出し、価値を拡大し続けている会社」を2024年のありたい姿とし、この実現のために「19中計」としてサステナビリティへの取り組みを各事業の取り組みと結びつけた経営を進め、成長基盤の変革に取り組んでまいりました。
2021年度は、「19中計」の最終年度として、また、次期中期経営計画へ繋ぐ準備期間として、引き続き以下の重点施策を実行してまいります。
機能材料事業では、Society5.0(注)1を実現する5G(注)2やIoT、CASE(注)3、MaaS(注)4等に伴う関連分野の市場拡大と高度化の流れにおいて、銅箔事業、機能性粉体事業、セラミックス事業を中心として事業機会の拡大を期待しており、メリハリある経営資源の分配によって、これら関連市場への拡販を推進いたします。また、排ガス浄化触媒では、GPF触媒(注)5を含む技術開発の強化と四輪車向けへの拡販に注力してまいります。
金属事業では、リサイクル原料の増処理、副産物の回収に努めてまいります。2020年4月には、パンパシフィック・カッパー株式会社を含めた銅合弁事業の運営体制を見直し、当社の直接的な銅製錬所の運営を再開しました。短期的には、銅・貴金属ネットワークの再構築によるリサイクル原料の増集荷・増処理を実行すると共に、中長期的には亜鉛・鉛及び銅・貴金属の融合による「新たな製錬ネットワーク」におけるシナジーの再構築を通じて、リサイクル製錬の競争力を深化いたします。
また、カセロネス銅鉱山を含む銅鉱山事業は、事業ポートフォリオ最適化の観点から権益を譲渡いたしました。今後は、他の事業への経営資源の投入を通じて、更なる企業価値向上に努めてまいります。
ドアラッチを主力とする自動車部品事業では、機能設計力の強化、設計品質の向上、ものづくり及び購買コスト競争力の更なる拡充を継続し、不断の収益改善を図ってまいります。同時に、CASE、MaaSの時代に呼応したドアシステム製品の本格受注に向けた戦略的な開発投資や体制を充実することで、新規モデルの受注実現への確度向上を目指します。
本社部門では、2020年4月に研究開発と市場共創の機能を持つ「事業創造本部」を設置しました。事業創造のための基盤を整え、競争優位を確たるものとして、自社の研究開発と社外パートナーとの共創を促進し、環境・社会課題に対応するイノベーションを創出いたします。また、2021年4月には「サステナビリティ推進部」を設置いたしました。これまでも持続可能な企業体への変革に向けて取り組んでまいりましたが、今後はサステナビリティへの取り組みを各事業の取り組みと結びつけた全社活動として加速させ、統合思考経営による変革を推し進めてまいります。
引き続き、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、資本効率を意識した経営を実践するとともに、当社独自の技術や経験を活かすことで、継続的に新たな成長商品・事業の創出を実現し、「持続的成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めてまいります。
(注)1 Society5.0:2016年1月に内閣府から発表された科学技術政策の一つで、IoTによりサイバー空間とフィ ジカル空間を連携し、全ての物や情報、人を一つにつなぐと共に、AI等の活用により量と質の全体最適をはかる社会のこと。
2 5G:大容量、ハイスピード通信が可能となる第5世代の通信方式。
3 CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の略で、自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す造語。
4 MaaS:ICT を活用して交通をクラウド化し、マイカー以外の全ての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスに繋ぐ「移動」の概念。
5 GPF触媒:Gasoline Particulate Filterの略で、これまでの有害ガスの無害化に加え、カーボン系パーテ ィクル(スス)を捕集するための四輪車向けガソリンエンジン用触媒。
(4) 目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「19中計」において、計画の最終年度となる2021年度(2022年3月期)の業績目標を連結経常利益370億円、連結自己資本比率40%、連結自己資本当期純利益率(ROE)10%としております。
(主な前提条件:亜鉛LME価格2,400$/t、銅LME価格295¢/lb、為替110円/US$)
COVID-19の感染拡大が続いている中、当社グループにおいては、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しておりますが、経済・企業活動に広範な影響を与える可能性があり、また、今後の広がり方や収束時期等を予想することは困難なことから、現時点で入手可能な外部の情報等を踏まえた2021年度(2022年3月期)見通しは、次のとおりであります。
| 2021年度 見通し(A) | 2021年度 原計画(B) | 増減 (A)-(B) | |
| 連結経常利益(億円) | 350 | 370 | △20 |
| 連結自己資本比率(%) | 36.9 | 40.0 | △3.1 |
| 連結ROE(%) | 10.6 | 10.0 | 0.6 |
| 前提諸元 | |||
| 2021年度 見通し(A) | 2021年度 原計画(B) | 増減 (A)-(B) | |
| 亜鉛LME価格($/t) | 2,700 | 2,400 | 300 |
| 銅LME価格(¢/lb) | 350 | 295 | 55 |
| 為替(円/US$) | 105 | 110 | △5 |
(注)上記の業績予想につきましては、2021年5月11日現在において入手可能な情報及び仮定の条件に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の予想数値と異なる場合があります。
中期経営計画「19中計」進捗と成長戦略の詳細につきましては、当社コーポレートサイト(https://www.mitsui-
kinzoku.com/)のIR・投資家情報に、2021年5月18日付で掲載されております「中計進捗説明会資料」をご参照下さい。