有価証券報告書-第99期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:45
【資料】
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【項目】
169項目
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。
(2) 対処すべき課題
当社グループでは、パーパスを基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)である「マテリアルの知恵で“未来”に貢献する、事業創発カンパニー。」を実現するため、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」に取り組んでおります。
この「22中計」の2年目となる2023年度は厳しい経営環境の中、損益・財務指標が原計画値を下回ることとなりましたが、2030年のありたい姿である全社ビジョン実現に向けた戦略は変更せず、各部門において「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」を両立した統合思考経営を実践することで、持続的な企業価値向上の仕組みを構築し、重点施策に取り組んでまいりました。
「社会的価値の向上」については、環境影響、社会関係資本、人的資本、ビジネスモデル・イノベーション、リーダーシップ・ガバナンスの5つの観点で各事業の機会・リスクを評価し、事業の持続可能性を経営判断に活かしました。
「経済的価値の向上」については、両利きの経営(注)1を加速しております。「知の深化」では既存事業におけるポートフォリオの動的管理を進め、2023年度の見直しではセラミックス事業と日本イットリウム株式会社を「価値の強化」から「価値の拡大」へ、ダイカスト事業を「価値の強化」から「価値の再構築」へと変更しました。「価値の拡大」・「価値の強化」においては、社内外シナジーの追求、成長戦略を加速するためのM&Aの活用などを行うと共に、「価値の再構築」では社外ベストオーナーの探索も進めております。「知の探索」では、研究開発と市場共創の機能を持つ事業創造本部への積極的な経営資源投入を行い、全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD®」や次世代半導体パッケージデバイス用「HRDP®」などへの増強投資を実施しました。
また、資本効率を意識した経営として、全社のROIC(投下資本利益率)の向上を図るべく、事業別WACC(加重平均資本コスト)の算出及びそれを上回る適切な事業別ROIC目標(ROICスプレッド)の設定について検討を進めました。
2024年度は、「22中計」の最終年度として、また、次期中期経営計画へ繋ぐ準備期間として、引き続き以下の重点施策を実行してまいります。
機能材料部門では、価値ある高機能製品の提供により、お客様のニーズを満たし、社会の課題解決に貢献するため、コア技術の深化やマーケティング力の向上、環境貢献製品の創出に注力し、既存の事業分野の深掘りと新たな事業機会の探索を進めてまいります。
金属部門では、循環型社会の形成により高まっているリサイクルニーズに応えるべく、当社グループが保有する多様なプロセスを活かした高度なリサイクル製錬ネットワークの追求、さらに脱炭素社会の実現に向けてCO2排出量を削減すべく、一部実施している排出係数が小さい電力会社・電力契約への切替に加え、CO2低減製品・SDGsに貢献する製品の提供等による新たな価格政策、再生可能エネルギー・CO2フリー電力購入等を両輪として新たに検討し、対応してまいります。
モビリティ部門では、CASE(注2)、MaaS(注3)、カーボンニュートラルといった自動車産業の大きな変化・進化を新たなニーズとして常に正面から捉え、お客様に必要とされる価値を提供し、モビリティ社会の実現に貢献してまいります。売上高に占める新製品の比率を高め、技製販の全てにおける深化(商権維持)と新規開拓(新しい製品・事業創出)の推進、短期・中期・長期それぞれのサイクルに合わせた事業シナジーの追求に取り組んでまいります。
事業創造本部では、新たな事業を「持続的」に創造できるようになるために、「事業機会の探索力強化」、「研究開発力の強化」、「基盤の強化」という3つの戦略を掲げ、研究開発と市場共創を軸にした価値創造を図り、事業化推進テーマについては環境の変化に応じてタイムリーに投資と人員の投入を行ってまいります。
本社部門では、監督機能及び業務執行機能の強化並びに経営の透明性の向上等、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでおりますが、2024年6月27日開催の第99期定時株主総会の決議により、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行しております。今後、経営に関する意思決定のさらなる迅速化を図るとともに、取締役会における審議事項を重点化して経営方針・経営戦略の策定などの議論をより充実させ、取締役会の経営に対する監督機能の強化を図ってまいります。
「社会的価値の向上」をさらに加速させるための取り組みといたしましては、2030年度CO2排出量をグローバルで38%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル(Net排出ゼロ)を目標として、カーボンニュートラルロードマップ、LCA(ライフサイクルアセスメント)(注4)、インターナルカーボンプライシング(注5)制度を導入・活用しCO2排出量削減の取り組みを進めております。さらに昨年、経済産業省が推進するGX(注6)リーグ(注7)へ参画、トランジション戦略(注8)を策定し、公表しました。4つのアプローチ(省エネルギー/省資源、エネルギー・燃料転換、電力低炭素化、オフセット/イノベーション)によりカーボンニュートラル社会実現に貢献してまいります。
また、さらなる資本効率を意識した経営を実践するために、事業別WACC(加重平均資本コスト)と事業別ROIC目標(ROICスプレッド)を設定したうえで、企業価値向上への意識付けやROICの社内浸透を進め、各所社でROIC向上に必要な指標の設定と対応(ROICツリー等)を進めるとともに、業務執行取締役・常務執行役員の業績指標への効率性の指標(ROIC等)の導入を行なってまいります。
厳しい経営環境ではありますが、以上の取り組みを実行することにより、統合思考経営への変革を遂げ、ステークホルダーの皆様と共に地球を笑顔にすることを目指してまいります。
(注)1 両利きの経営:「既存事業の効率化と絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。
2 CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の略で、自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す造語。
3 MaaS:ICTを活用して交通をクラウド化し、マイカー以外の全ての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとして捉え、シームレスに繋ぐ「移動」の概念。
4 LCA(ライフサイクルアセスメント):製品やサービスのライフサイクル(原料の採取、社内製造・加工過程、さらにその製品の使用、消費、廃棄プロセス)を通じた環境への影響を定量的に評価する手法。
5 インターナルカーボンプライシング:自社基準で二酸化炭素(CO2)に価格を設定してその排出量を費用換算し設備、開発投資判断の参考とするもの。
6 GX(グリーントランスフォーメーション):気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量を削減しようという世界の流れを経済成長の機会ととらえ、排出削減と産業競争力向上の両立を目指す取り組みのこと。
7 GXリーグ:カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群が、GXを牽引する枠組み。
8 トランジション戦略:CO2排出量削減を着実に進めるための取り組みやガバナンス等に関する長期的な戦略。
[目標とする経営指標]
このような状況の下、創業150年を迎える22中計最終年度である2024年度(2025年3月期)の業績予想は、入手可能な外部の情報等を踏まえ、次のとおりであります。
2024年度連結業績
予想値(A)目標値(B)増減
(A)-(B)
売上高(億円)6,4007,250△850
経常利益(億円)350600△250
フリーキャッシュ・フロー(億円)100370△270
ROE(自己資本当期純利益率)(%)7.714.0△6.3
自己資本比率(%)44.350.0△5.7
Net D/Eレシオ(倍)0.570.420.15

Net D/Eレシオ:有利子負債から現金及び預金を差し引いて、それを自己資本で割ったもの。
主な前提諸元
予想値(A)目標値(B)増減
(A)-(B)
亜鉛LME価格($/t)2,7003,000△300
為替(円/US$)14512025

上記の業績予想につきましては、2024年5月21日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の予想数値と異なる場合があります。
中期経営計画「22中計」の進捗状況につきましては、当社ホームページのIR・投資家情報に、2024年5月21日付で掲載されております「22中計進捗説明会資料」をご参照下さい。
https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=7ZpslJ12dQ0%3d&tabid=100&mid=826&TabModule819=

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