有価証券報告書-第83期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 13:12
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研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、企業業績に対して即効性のある技術、商品の開発、各種技術提案に直結した技術の開発、中長期的市場の変化を先取りした将来技術の研究、開発技術の現業展開と技術部門の特性を生かした技術営業、総合的技術力向上のための各種施策からなっており、社会経済状況の変化に対し機動的に対応できる体制をとっている。
当連結会計年度は、研究開発費として2,581百万円投入した。
当連結会計年度における主な研究開発活動は次のとおりである。
(1) 土木事業
① 高速道路リニューアルプロジェクトの主力商品「コッター床版工法」
NEXCO各社が進める高速道路リニューアルプロジェクト(総事業費約3兆円)において、橋梁床版取替工事は、その50%強(事業費約1兆6,500億円)を占める同プロジェクトの主要工事である。当社は、急速施工、省人化、取替性の改善など生産性の向上を目的に、コッター式継手を用いた橋梁用プレキャストPC床版であるコッター床版を開発した。本工法は、熟練工を不要とし、床版の99%プレキャスト化が品質向上に大きく寄与している。福島県広野町発注の灰作橋長寿命化工事に採用し、その有効性を実証した。今後は2019年1月に受注したNEXCO東日本発注の東北自動車道十和田管内高速道路リニューアル工事の4橋梁での採用を予定し準備を進めており、そのうち2橋梁については、継手の軽量・コンパクト化を進めた新製品投入を予定しており、現在開発を進めているところである。
② 地震被害を受けたトンネルの補修に「T3パネル工法」を適用
T3パネル工法は、東日本旅客鉄道株式会社研究開発センターと共同で開発したトンネルはく落防止工法である。鉄道において、現在でも100年近く経過したトンネル(主にレンガトンネル)が供用されており、今後、はく落、ひび割れなどの変状の発生が予想される。本工法は、トンネル形状に加工した鋼製支保工に高じん性セメントボードを主材料とした薄型パネルを固定する構造により、トンネル覆工のはく落防止を図るものである。当工法の特徴は、内空をできるだけ侵さない薄型構造で耐荷力が高いことである。当工法専用に開発した機械であるTカッターを用いて施工した覆工面の溝にT形の鋼製支保工をはめ込む構造としており、内空への飛出量を抑えている。また薄型パネルは、セメントボードに曲率加工を行い、表面にアラミド繊維を接着させており、剛性及びじん性が高められている。このT型支保工と薄型パネルの組み合わせにより、無筋コンクリートあるいはレンガが厚さ40㎝程度はく落した場合にも耐える構造となっている。当社は、2016年の熊本地震でトンネル覆工にはく落・ひび割れが発生した、豊肥本線立野トンネル(立野~赤水駅間)において本工法を適用し、トンネル補修工法としての有効性を実証した。
③ 山岳トンネルにおけるAI技術の活用
山岳トンネルでは、掘削の際に地山の観察結果をもとに岩判定を行い、実施する支保パターンを確定している。この方法は判定者の経験に負うところが多く、掘削を一旦止めることにもなるため、作業負担や工程遅延などが課題であった。こうした課題に対し、当社は、2017年より長崎大学、五大開発株式会社と共同で、AI技術を活用しトンネル掘削時に得られるビックデータの分析・関連付けを行い、切羽前方地山の予測精度を向上させる研究を継続してきた。予測結果に基づいて最適な支保パターンが選定可能なシステムが構築できれば、施工管理の効率化、技術の継承に寄与することが期待される。国土交通省は、新技術導入促進(Ⅱ)型の技術提案テーマとして、「AI等を活用したトンネル切羽等の地山判定手法」を求める工事を発注しており、当社はこれらのうち日下川新規放水路(吐口側)工事、湯野上3号トンネル工事を受注し、トンネル切羽画像を用いたAIによる地山判定を行った。具体的には、発破孔やロックボルト孔等の削孔データを採取し、切羽画像とともにAI分析を行い、発破掘削においては風化変質や割れ目の頻度の分析の正当性が高いこと、機械掘削においては素掘り面の状態の正当性が高いことが確認された。今後は、さらなるデータ採取・分析を継続し正答率を向上させるとともに、他のトンネルでもデータ採取・分析を行い、本格的な実用化を目指していく。
④ 小断面トンネル施工機械の開発
トンネルの断面積が10㎡程度の小断面トンネルを新設掘削する際は、一般的にレール方式のNATM工法が採用されるが、汎用施工機械の老朽化と新規製作の敬遠により機械台数が逼迫しているのが現状である。当社ではトンネル施工時における生産性の向上と作業環境の改善並びに安全性の確保を目的とした「次世代トンネル施工システムの開発」を進めており、その一環として、小断面トンネルに特化した施工機械群を開発するKITプロジェクトを進めている。KITプロジェクトとは、Kumagai Innovative Tunnel Projectの略称で、従来には無い革新的な技術開発を目指すプロジェクトとして命名した。当プロジェクトは、一連のトンネル施工機械群をシステム的に構築することを目的とし、①1ブーム式削孔機械 ②遠隔爆薬装填装置 ③土砂掘削・積込機械 ④土砂搬送トレンローダー ⑤一体型吹付機械 の5機種をもって、小断面施工の欠点を補完すべく遠隔操作や自動運転並びにガイダンス機能等を採り入れる新規開発を行っている。2015年に開始した当プロジェクトは、いよいよ各機械が完成する予定である。完成した機械は、技術研究所内に設けた模擬トンネルにおいて実用化に向けた機能試験や検査を重ねた後、施工現場へ投入する予定である。
⑤ 無人化施工VR技術の開発
自然災害現場での無人化施工は、二次災害を防ぐための有効な手段となっている。オペレーターは、運転席に搭載したオペレーター目線のカメラ映像と現場全体を把握するために設置した定点カメラの俯瞰映像を頼りに遠隔操作室で操作している。操作に利用するそれらの映像は、モニター上の2次元情報であり、オペレーターは実際の建設機械の傾きや振動などを把握することは困難である。そこで、遠隔操作室内にいるオペレーターに、建設機械内のオペレーター目線の映像と建設機械の傾きや振動、音をリアルタイムにオペレーターに提供することで、搭乗操作に近い感覚で遠隔操作が可能な安全かつ効率の高い無人化施工VR技術を開発した。この無人化施工VR技術は、東京工業高等専門学校で開発したスポーツ観戦システム「シンクロアスリートⓇ」を応用し、建設機械側に360度カメラと加速度センサーを設置し、運転席内からの映像と音に加え、建設機械の動きを遠隔操作室にリアルタイムに伝送する。遠隔操作室では、映像をVRヘッドマウントディスプレイ等に表示し、音を再生すると共に操縦席が取り付けられたモーションベースで動きを再現する。この技術により、遠隔操作でありながら、実際に搭乗した状態に近い環境をオペレーターに提供することが可能となった。今後は技術の改良に加え、遠隔操作における作業効率のさらなる向上を目指し、実際の運用に向け開発を進めていく。
⑥ コンクリート温度ひび割れ抑制対策技術「注水併用エアクーリング工法」
コンクリート構造物の施工においては、水和熱の上昇による温度ひび割れ抑制対策を行うことが重要である。当工法は、従来のエアーによるクーリング工法をベースとし、送風時に少量の水を加えることによる気化熱冷却効果で、冷媒となるエアーの温度を低下させ、コンクリートの温度上昇抑制効果を高めるものである。通水によるクーリング工法と比較すると温度上昇抑制効果は若干劣るが、従来のエアーによるクーリング工法と比較して温度上昇抑制効果は高く、冷却設備が小規模で済み、コストが抑えられるのが長所である。2015年に開発して以来、函渠や橋脚など比較的中規模な構造物に対し試験施工を行っている。当工法の特長は、気化熱冷却効果を高めるため、注水をミスト(粒径100μm程度)化し、エアーの風速と注水流量を管理しながら噴霧することである。現在、稼働中も含めて当社で9現場、社外で1現場実績があり、発注者も国土交通省やNEXCOから民間工事までと幅広く使用されている。この期間に特許権取得と新技術情報提供システム(NETIS)の登録も完了した。今後は、コンクリートの温度ひび割れ抑制対策技術としてさらに普及させ、使用実績を増やしていく予定である。
(2) 建築事業
① 地盤アンカー工法におけるアンカー定着層確認技術の開発
地盤アンカー施工時に削孔用ケーシングに与える給進力、回転力及び打撃力を計測して得られる総貫入エネルギーを算定し、総貫入エネルギーの値をもとに定着層への到達確認を行う技術を開発した。地盤アンカーは山留め壁などの仮設構造物に加え、建築物などの本設構造物にも用いられているが、所定の引張抵抗力を確保するためには、アンカーの定着体(注)を良質な地盤である定着層に設置する必要がある。定着層はボーリング調査により設定しているが、施工時には地上に排出される削孔水及びスライムの目視確認と、削孔機の振動や削孔スピードなどによる確認を併せて行っている。しかし、施工時の確認は地層によっては困難な場合があることや、オペレータの感覚に頼ることが多く記録に残らないという欠点があった。そこで、削孔用ケーシングに与える給進力、回転力及び打撃力を計測し、それらの値から総貫入エネルギーEDの算定を行い、その深度分布をもとに定着層を確認する手法を用いた本技術を開発した。これにより、定着層に傾斜あるいは凹凸が予想される場合を含め、地盤アンカーの施工時に定着層の確認を1本毎に行うことが可能となった。今後は、当社の既開発工法であるSTK-Ⅱアンカー工法(大口径鉛直型本設地盤アンカー工法)や山留め壁などに用いる仮設地盤アンカー(定着層がN値20以上の砂質土地盤である斜め地盤アンカーなど)への適用も検討していく予定である。なお、今般、STK-Ⅱアンカー工法の設計施工指針に本技術を追加し、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第11-08号 改定2)を取得している。
(注) 地盤アンカーを構成する部位のうち、地盤との摩擦抵抗力を期待する部分。
② 「木造CLT床の2時間耐火構造」の大臣認定取得
中大規模の木造建築を念頭にCLT(注1)床の1時間及び2時間耐火構造の大臣認定を取得した。今回、認定を取得したCLT床は、荷重支持部(芯材)の木材(CLT)の周囲に「燃え止まり層(注2)」を設置し被覆した独自の木質耐火構造を考案しており、燃え止まり層は断熱耐火パネルを普通硬質せっこうボードの間に組み込んで積層している。その結果、燃え止まり層の厚さを、最も薄い場合、1時間耐火構造で41㎜、2時間耐火構造で63㎜と従来工法と比べてスリム化することができた。また、表面仕上げ材は室内における様々な仕様が選択可能であり、お客様及び設計者のニーズに対応することができる。当社は、今後需要が高まると予測される中大規模の木造建築の実現に向けて技術開発を進めており、全ての建築物において使用できる防・耐火性能を保持する木質耐火部材の開発及び大臣認定の取得を目指している。今般CLT床について1時間と2時間の耐火構造の大臣認定を取得したことにより、CLT床とCLT壁は、1時間耐火構造であれば最上階から4階層まで、2時間耐火構造であれば最上階から全ての階において使用することが可能となった。今後は、柱と梁の1~3時間耐火構造の大臣認定について1年以内の取得を目指しており、今回のCLT床を含む、柱、梁、床、壁の1時間から3時間の木質耐火構造を有した部材を「断熱耐火λ-WOOD(ラムダ-ウッド)」の名称で展開するとともに、さらなる研究開発を進めていく。
(注)1 CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)は、複数枚のラミナ(ひき板)を木材の繊維方向が直交するように積層させて作った木質構造パネル。
2 燃え止まり層とは、荷重支持部材(CLT)の外側にある燃焼を停止させる層である。その基本性能の確認では、載荷加熱した際の構造安全性や、芯材表面が炭化しない(焦げていない)こと、非加熱側に燃え抜けないことなどが必要とされる。
③ 「木造CLT複合壁の遮音性能」の大臣認定取得
当社は、今後需要が高まると予想される中大規模の木造建築の実現に向けて技術開発を進めているが、共同住宅などでは高い水準の空気音遮断性能が要求されており、これまで高い遮音性能を持つCLTを用いた複合壁や複合床の開発を行ってきた。今般、当社が開発した木質耐火部材「断熱耐火λ-WOOD」シリーズのCLT耐火壁(注1)にふかし壁を施したCLT複合壁が遮音性能の大臣認定を取得し、JISの評価上最高値である遮音等級Rr(注2)-60を達成した。本開発の特徴は、①ふかし壁による低音域共鳴透過(注3)の低減及び幅広い周波数の空気音遮断性能を高める仕様、②実際の木造建築における部材取り合い部分の納まりに起因する遮音性能低下を想定し、試験体には実際の取り合い部を再現した仕様、③床及び壁をともに乾式工法とし、湿式工法による養生期間の短縮、施工の合理化を図り、さらに全体の重量も軽減させる仕様である。上記仕様の試験体を用いて、一般財団法人建材試験センターにおいて性能評価試験を実施し、JIS規格の空気音遮断性能として遮音等級Rr-60を達成した。さらに、「界壁の遮音性能」に関する大臣認定についても同時に取得した。今後は一昨年開発したCLT複合床乾式工法による床衝撃音遮断性能(Lr-45相当(注4))と合わせて、高い遮音性能を有した中大規模の木造建築物への採用を目指す予定である。また、構造、耐火、遮音を含め、総合的に中大規模の木造建築物への適用に向けた研究開発を進めていく。
(注)1 CLTを荷重支持部材(芯材)とし、普通硬質せっこうボードと、断熱耐火パネルの積層構造の被覆により燃え止まり層を被覆した当社開発の木質耐火部材「断熱耐火λ-WOOD」を用いた仕様の壁。「1時間耐火構造」に関する大臣認定を取得済み。
2 RrはJIS A 1416:2000「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」及びJIS A 1419-1:2000「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法-第1部:空気音遮断性能」の実験室で求めた遮音性能。JIS A 1419-1ではRr-30からRr-60まで規定されている。
3 二重構造の場合に板同士が中空層の空気を介して共振し、低音域の遮音性能(透過損失)を低下させる現象のこと。
4 Lr相当は、CLT床単体の測定がJISで規定されていないため、残響室で床単体の重量床衝撃音(標準重量衝撃源)の測定結果をJIS A 1419-2にプロットして数値化し、相当値として表現したものである。
④ 微生物を利用したCO2変換技術の開発
CO2を原料に化成品原料であるエチレンを微生物反応によって生産する技術を開発した。エチレンは石油や石炭から生産されるのが主流であり、生産に伴い大量のCO2を排出するとされている。CO2からエチレンを生産することが可能になれば、CO2排出量の大きな削減効果が期待できる。さらに、CO2化学という産業分野の創出も期待され、持続可能な低炭素及び炭素循環型社会の実現に大きく貢献できると考えられる。今般、地球温暖化対策やSDGsの観点から「脱炭素」が世界的な潮流になっている。当社は、CO2排出量削減、低炭素及び炭素循環型社会実現に寄与し得る技術として、人工光合成・藻類利用などとは違う新しいバイオプロセスによるCCU技術開発に取り組み、鉄酸化細菌を利用してCO2を原料に主要化成品原料となるエチレンを生産する技術を開発した。CO2を炭素源として生育する鉄酸化細菌(Acidithiobacillus ferrooxidans: AF-WT)にエチレン生成酵素(EFE)遺伝子を導入し、CO2利用エチレン生産鉄酸化細菌組換え株(AF-rEF1)の構築に成功した。この組換え株(AF-rEF1)に高濃度CO2を封入し培養した結果、エチレン生産が認められた。また、鉄酸化細菌は電気培養技術(電力中央研究所特許技術)を適用することで、菌体密度を高密度化することが可能である。この電気培養技術を活用した通電型培養装置(エチレン製造装置)を製作した。通電型培養装置の電子供給による還元力の付与により、CO2の変換効率を高めることができると考えられる。電気培養には大きな電力は不要であり、CO2を原料として使用するだけでなく、生産プロセスにおいてもCO2排出量削減効果が期待できる。これら開発技術をもとに、CO2有効利用の基盤技術として特許「エチレン生産方法及びエチレン製造装置」(特開2019-154435)を出願した。現段階ではエチレンの生産性はまだ低く実用化には課題も多い。今後は高効率なエチレン生産システムの開発にさらに取り組む予定である。なお、茨城大学及び芝浦工業大学と共同研究契約を締結、さらに、一般財団法人電力中央研究所を加えた4機関で秘密保持契約を締結し、研究開発体制を強化した。
⑤ 集合住宅に使用されている乾式二重床の音環境に関する手引書「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」、「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」を発刊
当社は信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと、泰成株式会社、フジモリ産業株式会社、野原産業株式会社、万協株式会社及び有限会社音研の各社で組織する床衝撃音研究会として、集合住宅に使用されている乾式二重床の音環境に関する手引書「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」及び技術者向けの小冊子「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」を発刊した。「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」は、2007年6月に音環境に対する乾式二重床の性能をQ&A形式で分かりやすく解説した手引書として初版を発刊している。今般6年ぶりに改訂を行った3版(電子データ提供)では、最新の乾式二重床に関する知見(特に環境に配慮し合板を用いない乾式二重床)、実建物における床衝撃音遮断性能のデータの追加、集合住宅の基本設計から竣工までの間に音環境上配慮すべき事項及び読者からの質問をもとに見直し等を行っている。また床衝撃音研究会では、デベロッパー、設計事務所、建設会社などの技術者向けの小冊子「シリーズ 建築の音環境入門」を2008年11月から発刊している。読者からの意見や要望を取り入れながら、「読みやすくわかりやすい内容」と「適度なボリューム」を編集方針に掲げて制作しており10周年を迎える。本シリーズでは、これまで乾式二重床についても多く取り上げてきたことから、今回の「シリーズ建築の音環境入門 10周年記念号」では、「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」の改訂3版の概要を紹介する特集号とした。今後もこれらの発行物を集合住宅の乾式二重床に関する重要なツールとして位置付け、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していくと同時に、読者の評価・意見を参考にしながらより良い手引書としていくことを目指していく。
(3) 子会社
株式会社ガイアート
① 小粒径縦溝低騒音舗装(5mmTOP)の開発
大都市では低騒音舗装としてマップ工法が実施されていることが多いが、マップ工法は施工機械が大きく信号機等のある個所では施工が困難であることや、骨材飛散抵抗性が若干小さいことが懸念されている。これらのことをカバーできる低騒音舗装工法として、小粒径縦溝低騒音舗装の開発を行った。室内での検討を終了し、同社の子会社が運営する白糸ハイランドウエイで試験施工を実施して、路面騒音測定結果が目標の88dB以下となることを確認した。
② 移動式たわみ測定装置(MWD)の実用化に関する共同研究
舗装の効率的な管理に向けて、定期的な点検・維持修繕が求められている。現在、構造的な舗装の健全度を調べるためには、FWDによるたわみ測定が一般的に用いられるが、交通規制が必要であり定期的な点検には適さない。そのため、2つの公的機関、1つの大学、同社を含む5つの民間企業で、走行しながらたわみを測定できる移動式たわみ測定装置の実用化に関する共同研究に取り組んでいる。試作した移動式たわみ測定装置によるデータ収集、解析を白糸ハイランドウエイで実施したところ、FWDの測定結果と同様の結果が得られ、移動式たわみ測定装置が舗装の構造点検に使用できる可能性が高いことを確認した。