有価証券報告書-第81期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/17 15:10
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185項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社を取り巻く劇的な事業環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、当社グループの経済的価値と社会的価値の長期的・持続的な増大を目指すためには、時代によらず変わらない拠りどころを明確にする必要があると考え、当社グループは、理念体系を見直し、「顧客第一」の精神のもと、Purposeとして「大気をまもり、未来をひらく。」を掲げました。
ア. Purpose 大気をまもり、未来をひらく。
私たちの技術と創意を通じて、産業社会の高度化と地球環境との調和を図り、人々の豊かな暮らしに貢献する。
「大気社」という社名には、公害問題が大きな社会課題であった時代に日本において「澄んだ空気を取り戻す」という強い志と、揺るぎない決意が込められています。これからの時代においてもお客さま、そしてその先にある社会に対する志を原動力に、より革新的なソリューションを生み出すことで、産業の高度化と地球環境との調和を絶え間なく追求していきます。
イ. Vision 世界の知を、現場のカタチに。
「グリーンテクノロジー」と「ロボティクスオートメーション」に先端技術を掛け合わせ、エンジニアリング企業として世界中の現場で最適な解を創り出す。
Purpose実現のために、私たちはエネルギー・空気・水の領域で培ってきた「グリーンテクノロジー」や「ロボティクスオートメーション」、そして世界各地の知見とネットワークを掛け合わせたイノベーション創発を通じて、ひとつひとつの現場に求められる答えを、日々具現化してまいります。
(2) 10年プラン2035(2026年3月期-2035年3月期)
当社グループは、2025年5月15日に開示しました10年プランにおいて、2035年のありたい姿として、「Be Engineering for a Sustainable Society」(「持続可能な社会の構築」に貢献するグローバルエンジニアリング企業)を掲げております。広範な産業領域での生産革新の進展と脱炭素などのサステナビリティが問われる中、さまざまな工学分野の要素技術の組み合わせにより、最適なシステムを構築することで、社会課題を解決することが当社グループの使命と考えております。2035年のありたい姿の実現に向けて、「Innovative Engineering」、「Global Inclusion」の2つの指針を掲げました。また、それら2つの指針の下に当社にとっての「8つの戦略的焦点」を定めました。
① 2つの指針
(ア) 「Innovative Engineering」
「さまざまな工学分野の要素技術」を複合化することで求められる機能を発揮するシステム・仕組みを構築し、スマートでカーボンニュートラルな産業発展に貢献する企業を目指します。
・産業領域への注力
エレクトロニクス、自動車、医薬品、データセンターなどの先端産業領域に対するエンジニアリングを強化し、大気社の「原点」である独自性を発揮します。
・「Design, Build & Care」の追求
デザインの提案から施工、アフターケアまで一貫したサービスを提供することで、高付加価値を創造するエンジニアリングを目指します。
・GXとDXの最適化
カーボンニュートラルとデジタル化に挑む企業の生産環境の脱炭素化やスマート化を推進し、最先端技術を駆使したソリューションを提供します。
(イ) 「Global Inclusion」
地球規模(グローバル)の環境・社会課題の解決を目指して世界各地(ローカル)に根差したビジネスを展開し、世界各地の産業・社会・人々と共に繁栄できる企業を目指します。
・グローバルネットワーク
50年をかけて構築した20カ国・30拠点に及ぶグローバルネットワークを活用し、国内外の産業界との信頼関係を強化します。
・グローバル研究開発体制
世界各地域の産業界のニーズに応え、課題を解決するエンジニアリングとバリエーションのある高度技術を提供するため、5つのグローバル研究開発拠点を設置し技術革新に挑みます。
・グローバル&ローカルコミットメント
世界各地の市場ニーズを熟知した人材による事業展開を通じ、地球規模の環境・社会課題の解決に貢献します。
② 8つの戦略的焦点
(ア) 「成長産業」への積極展開
半導体・電子部品、モビリティ、バッテリー、バイオ、医薬品、データセンターなどの成長産業市場に注力し、技術革新と市場ニーズに応えることで事業拡大を図ります。これにより、持続可能な社会を支えるエンジニアリングサービスを提供します。
(イ) グローバルな「地域戦略」
北米、インド、欧州、ASEANなどの海外市場において、求められる技術と製品を提供し、地域特性に合わせた戦略を展開することでグローバルな競争力を強化します。
(ウ) 「非日系企業」の開拓
当社グループの「技術ケイパビリティ」の「見える化」、独自の技術・ノウハウの「標準化」を通してグローバルに成長を遂げる非日系企業の開拓を進めます。それにより日系企業中心の顧客ポートフォリオの変革を目指します。
(エ) 「知的資本」の増強
産業・社会のCO2削減に貢献する新技術を駆使した新しい事業の開発による「GXエンジニアリング技術」の高度化と、自動車向け塗装システム事業で培った先進的なファクトリーオートメーション技術による「DX・オートメーション技術」の高度化を通して、広範な産業領域における「グリーン化」と「スマート化」に貢献します。
(オ) 「人的資本」の増強
「急増するビジネス機会」への対応力を強化するため、「人的資本の拡充(数的・質的)」と「ビジネスプロセスの合理・効率化」を図ります。
(カ) 「事業推進・モニタリング体制」の強化
成長戦略会議やデジタル・イノベーション委員会の新設、デジタル戦略委員会の機能強化、ROIC経営のグループ全体への浸透等により、事業推進とモニタリング体制を強化します。
(キ) 「グループグローバル経営基盤」の強化
「グローバル共通システム基盤」の導入や、「ITガバナンス体制」の強化、「アセアン地域管理部」の新設などの取り組みにより、グローバルにガバナンスの強化を図ります。
(ク) DX戦略
データ分析とシミュレーションを活用した新しい価値の提供、海外拠点間の連携・共創による活性化、業務プロセス改善による業務効率化と高収益化を推進します。
(3) 目標とする経営指標
10年プラン2035及び中期経営計画の財務・非財務目標は、以下のとおりであります。
項目実績
(2026年3月期)
予想
(2027年3月期)
中期経営計画
(2028年3月期)
中期経営計画
(2031年3月期)
中期経営計画
(2035年3月期)
受注工事高3,517億円3,305億円2,960億円
完成工事高2,861億円3,070億円3,365億円4,000億円5,000億円超
経常利益247億円250億円227億円
親会社株主に帰属する
当期純利益
155億円180億円158億円
自己資本利益率(ROE)10.1%11.0%10.3%11.0%12.0%以上
自己資本比率56.1%40%以上
配当政策(DOE)4.5%(4.0%)4.5%(4.0%)4.5%(4.0%)4.5%5.0%以上
自己株式取得50億円50億円50億円
政策保有株式の対純資産比率21.1%15%-20%15%以下
CO2排出量(スコープ1・2)
(2022年度比)
26%削減42%削減53%削減
CO2排出量(スコープ3)
(2022年度比)
15%削減25%削減35%削減
従業員数5,525名7,200名

※ 赤字は見直し後の数値目標、カッコ内は2025年5月時点の目標数値
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2035年のありたい姿の実現に向け、2026年3月期から始まる中期経営計画を「変革に向けた再構築」の3年間と位置づけ、財務戦略の実行、成長戦略の実行、成長戦略を支える制度・体制の整備を経営課題と定めております。
① 財務戦略の実行
最適な資本バランスを考慮しつつ、政策保有株式の売却、投資前営業キャッシュフロー、分配可能資金、借入金による資金を活用し、将来のキャッシュ創出力を強化するための成長投資、基盤インフラ投資、また、株主還元として配当、自己株式取得を着実に実施してまいります。
(単位:億円)
区分項目金額
キャッシュ
イン
政策保有株式の売却50
基礎キャッシュフロー(投資前営業キャッシュフロー)515
分配可能資金(現預金)または借入金の活用165
キャッシュイン 合計730
キャッシュ
アウト
成長投資事業成長投資(R&D、新規事業関連投資等)65
キャピタルアロケーション(M&A等) ※220
デジタル成長投資70
成長のための人的投資25
成長投資 合計380
基盤インフラ投資35
配当165
自社株買い150
キャッシュアウト 合計730

※キャピタルアロケーションの地域別内訳
日本70億円
北米70億円
インド50億円
欧州20億円
ASEAN10億円
合計220億円


② 成長戦略の実行
(ア) 環境システム事業
市場戦略としては、半導体・電子部品市場におけるプレゼンスの維持と向上を目指しています。半導体分野では、九州や東アジアでのプロジェクト体制強化、精密温調機器ソリューションの提供を進めます。電子部品分野では、水再利用事業への参入、エネルギーマネジメント事業の強化、海外電気事業の強化を図ります。それらを支える取り組みとしては、日本では人的リソースの増強と最適化、生産性向上、協力会社との関係強化を推進し、ASEANでは組織体制の強化としてシンガポールに統括部を設置し、情報共有や人的リソースの強化、技術イノベーション拠点の設立を進めます。さらに、カーボンニュートラルに向けたGXエンジニアリング技術開発を推進し、エネルギーソリューションの高度化、資源循環対応の強化、環境規制対応の強化を図ります。
(イ) 塗装システム事業
四輪および非四輪市場におけるプレゼンス維持・向上を目指しています。四輪市場では、グリーンファクトリー化によるドライ加飾技術の実用化、四輪車OEMへの積極展開、スマートファクトリー化によるオートメーション技術の高度化、欧州顧客ポートフォリオの拡大を推進します。非四輪市場では、四輪市場で磨いてきた塗装技術、カーボンニュートラル技術の他産業への展開として、環境システム事業との営業シナジーで産業空調領域のスマート化に貢献していきます。多品種少量生産のスマートファクトリー化、ドライ加飾適応市場の探索、デジタルツイン技術によるコンサルティングからアフターメンテナンスまでの一貫したサービス提供、GHG排出量の削減提案による工場運営コンサルティングの実現を図ります。中でもバッテリー産業においては、環境システム事業と塗装システム事業の技術シナジーを活用し、増加するバッテリー工場建設需要に応える新しい製造ライン構築方法を提案し、新たな価値を創造します。
(ウ) 新規事業
事業開発本部のもと、調査~研究開発~営業~事業開発まで一貫して担う切れ目のない体制を確立し、中長期的な事業化実現に向け、各プロセスの連動を強化してまいります。事業開発基盤の強化を図るとともに、社内外ネットワークによる多様な技術の融合を通して、技術、産業分野、地域の3つの側面から「未知・未開拓領域」の探索を進めます。具体的には、熱エネルギー・排気処理、サーキュラーエコノミー(循環経済)への貢献、CO2回収などの環境・社会課題を解決する「新しい事業」を推進します。
③ 成長戦略を支える制度・体制の整備
・「事業推進・モニタリング体制」の整備
成長戦略会議やデジタル・イノベーション委員会の新設により経営資源配分戦略とデジタル戦略の監督・執行を強化するとともに、デジタル戦略委員会に①全社BIM戦略、②グローバルコミュニケーション、③ITガバナンス・情報セキュリティ、④AI積極的活用、⑤電子購買の「5つの専門部会」を設け、デジタル戦略を推進してまいります。
・グローバルガバナンスの強化
海外関係会社のナショナルスタッフのトップ(CEO)をグループ経営に参画させる「グループ執行役員制度」、成長投資などの投資インセンティブを高め長期的な投資を継続推進するための「新管理会計制度」、「グローバル共通システム基盤」の導入などによりグローバルガバナンスの強化を図ります。
・グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築
グローバル人材ポートフォリオマネジメントの構築に向け、まずASEANから海外拠点の人材データベースを構築・運用します。技術カルテによる可視化とマネジメントを実現し、効率的な運用を目指します。新卒およびキャリア採用では、奨学金制度や大学連携、スカウティングを活用し、専門人材を獲得します。さらに、海外向け人材育成体制の強化、魅力ある評価・報酬制度の整備、ロイヤリティ・エンゲージメント向上のための施策を推進し、グローバルな人材基盤を強化します。

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