有価証券報告書-第112期(2025/04/01-2026/03/31)
②戦略
当社は、気候変動対応を持続的成長に不可欠な重要経営課題と位置付け、企業価値向上に直結する戦略策定に取り組んでいる。その一環として、気候変動による事業活動及び中長期的成長への影響を把握するため、シナリオ分析を用いてリスクと機会の特定を継続実施している。
<シナリオの設定>国際エネルギー機関(IEA)及び、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照し、今世紀末までに産業革命以前と比較して世界の平均気温上昇が「1.5℃」又は「4℃」となる場合を想定した2つのシナリオを選定している。
●「1.5℃シナリオ」 …気候変動に対し厳しい対策が取られ、2100年時点において、
産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ
●「4℃シナリオ」 …気候変動への厳格な対策が取られず、2100年時点において、
産業革命時期比で4℃程度気温が上昇するシナリオ
これらのシナリオを踏まえ、移行リスク及び機会の評価には1.5℃シナリオを、物理リスクの評価には4℃シナリオを主に適用し、事業への影響を網羅的に分析・評価することで、引き続き気候変動に対する事業のレジリエンス強化に努めている。
シナリオの分析結果
■時間軸の定義
気候変動リスク及び機会の顕在化が想定される時間軸を「短期・中期・長期」に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
■影響度の定義
気候変動リスク及び機会の影響度を「大・中・小」の3段階に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
当社は、気候変動対応を持続的成長に不可欠な重要経営課題と位置付け、企業価値向上に直結する戦略策定に取り組んでいる。その一環として、気候変動による事業活動及び中長期的成長への影響を把握するため、シナリオ分析を用いてリスクと機会の特定を継続実施している。
<シナリオの設定>国際エネルギー機関(IEA)及び、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照し、今世紀末までに産業革命以前と比較して世界の平均気温上昇が「1.5℃」又は「4℃」となる場合を想定した2つのシナリオを選定している。
●「1.5℃シナリオ」 …気候変動に対し厳しい対策が取られ、2100年時点において、
産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ
●「4℃シナリオ」 …気候変動への厳格な対策が取られず、2100年時点において、
産業革命時期比で4℃程度気温が上昇するシナリオ
これらのシナリオを踏まえ、移行リスク及び機会の評価には1.5℃シナリオを、物理リスクの評価には4℃シナリオを主に適用し、事業への影響を網羅的に分析・評価することで、引き続き気候変動に対する事業のレジリエンス強化に努めている。
シナリオの分析結果
| 区分 | 気候変動がもたらす影響 | 時間軸 | 影響度 | 対応策 | ||
| リスク | 移行 | 法 規 制 ・ 政 策 | CO2排出量(車両・重機などの燃料)に対して炭素税が課される事によるコスト増加 | 中期~ 長期 | 中 | ・省エネ設備の導入促進 ・ハイブリッド車やEV車の導入 促進 ・再生可能エネルギーへの切り替 え ・カーボンクレジットの購入 |
| サプライヤーへの炭素税導入に伴う建設資材への炭素価格転嫁による調達コストの増加 | 中期~ 長期 | 中 | ・サプライチェーン全体での排出 量削減の取組促進 | |||
| 技 術 | 環境負荷の低い建設資材の採用必要性の発生による調達コストの増加 | 中期~ 長期 | 中 | ・価格転嫁策の検討 | ||
| 省エネ対策のための自社設備の改修(低消費電力設備の導入・改修など)によるコスト増加 | 短期 | 小 | ・省エネ設備の導入促進 ・補助金・インセンティブの活用 ・省エネクレジットの購入検討 | |||
| 市 場 | 顧客の環境配慮要件の高度化に伴う低炭素設計・施工における技術力・提案力不足による受注機会(売上)の減少 | 中期 | 中 | ・低炭素設計・施工の技術の向上 ・低炭素設計・施工の実績蓄積 | ||
| 物理 | 急 性 | 災害の激甚化により自社施設や工事現場が被災し、営業停止を余儀なくされることによる売上の減少 | 短期~ 長期 | 大 | ・ハザードマップを利用した用地 の選定 ・事業継続計画の策定と実行 ・防災設備の強化 ・火災保険(地震)への加入 | |
| 慢 性 | 平均気温上昇を背景とした、労働環境悪化(熱ストレス・熱中症)に伴う作業効率低下によるコスト増加 | 短期~ 長期 | 中 | ・安全衛生方針の策定と徹底した 管理 ・就労環境の改善に向けた設備の 導入、働き方改革の実施 ・遠隔地においてもストレスのな い現場管理環境の整備 ・配電工事用ロボットなどの省力 化技術・ICTの活用及び改 善、適用範囲の拡大 | ||
| 区分 | 気候変動がもたらす影響 | 時間軸 | 影響度 | 対応策 | |
| 機会 | 資 源 効 率 | 低炭素車両の導入による燃料コストの減少 | 中期 | 中 | ・低炭素車両導入のための予算確 保、段階的な導入 ・省エネ設備の導入促進 ・ハイブリッド車やEV車の導入 促進 |
| 省エネ対策のための自社設備の改修による運用コストの減少 | 中期 | 小 | ・省エネ設備の導入促進 ・エネルギー効率のモニタリング と継続的改善 ・災害時の電源確保を含めた太陽 光パネル・蓄電池の設置 | ||
| エ ネ ル ギ | 源 | 太陽光発電や蓄電技術の導入・拡大による電力購入コストの減少 | 中期 | 中 | ・災害時の電源確保を含めた太陽 光パネル・蓄電池の設置 ・拠点事業所への完全自家消費型 省エネ発電の導入促進 | |
| 製 品 及 び サ | ビ ス | ZEB市場の拡大や省エネルギー設備の需要増加による関連工事売上の増加 | 中期~ 長期 | 中 | ・ZEBのリニューアルに関する 技術の開発・運用 ・省エネルギー設備の開発・実用 化推進 ・需要増加への請負体制の強化 ・関連工事の営業力強化 | |
| EV車の普及による充電ステーションなど関連設備工事の需要増加による売上の増加 | 中期~ 長期 | 小 | ・需要増加への請負体制の強化 ・最適な省エネシステム提案の促 進、営業力強化 | ||
| 再エネ設備導入強化による売上増加に伴う売電関連の売上の増加 | 中期~ 長期 | 小 | ・需要増加への請負体制の強化 ・最適な省エネシステム提案の促 進、営業力強化 | ||
| 災害リスク回避に寄与する防災・減災、国土強靭化のための補修補強工事、地盤改良工事などの社会インフラ整備、建物のメンテナンス・リニューアル工事の需要増加による売上の増加 | 短期~ 長期 | 大 | ・BCP・防災・減災に関連する 技術開発の推進 ・災害に対する建物・工場の移転 情報の早期入手体制の構築、営 業力強化 | ||
| カーボンニュートラル実現に向けて、建物のリニューアル需要増加による売上の増加 | 中期~ 長期 | 中 | ・市場動向調査の実施と自社サー ビスへの反映 ・サステナブルマーケティングや コミュニケーションの強化 ・関連工事の営業力強化 | ||
| 市 場 | 再生可能エネルギーの拡大による発電設備における売上の増加 | 短期~ 長期 | 大 | ・エネルギーミックスを踏まえた 注力分野選択 ・関連プロジェクトへ積極的に参 画し、実績蓄積、営業力強化 ・需要増加への請負体制の強化 | |
■時間軸の定義
気候変動リスク及び機会の顕在化が想定される時間軸を「短期・中期・長期」に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
| 時間軸 | 期間 | 採用した理由 |
| 短期 | 1~3年 | 中期経営計画の期間を「3年間」と定めていることから、これに合わせた期間を短期の時間軸として採用 |
| 中期 | 4~6年 | 中長期経営目標(売上高)で掲げているSDGsゴール(2030年度)やGHG排出量削減目標の中期目標年度である2030年度に合わせた期間を中期の時間軸として採用 |
| 長期 | 7~26年 | 中長期経営目標(売上高)で掲げている創立100周年を迎える節目の2044年度やGHG排出量削減目標のネットゼロ目標年度である2050年度に合わせた期間を長期の時間軸として採用 |
■影響度の定義
気候変動リスク及び機会の影響度を「大・中・小」の3段階に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
| 影響度 | 定義 |
| 大 | ・リスク:売上や利益が大幅に減少し、事業継続や市場シェアに深刻な影響を及ぼす。 ・機会:売上や利益が大幅に増加し、新市場の獲得などで市場シェアが大きく広がる。 |
| 中 | ・リスク:売上や利益、市場シェアが一部減少し、事業運営に影響する可能性がある。 ・機会:売上や利益が増加し、新規顧客の獲得などで市場シェアが広がる可能性がある。 |
| 小 | ・リスク:売上や利益、市場シェアへの影響は軽微で、事業運営に大きな支障はない。 ・機会:影響は小さいが、一部事業で効率性やブランド力が向上し、競争力維持に貢献する。 |