有価証券報告書-第101期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。
特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 貸倒引当金
貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。
② 退職給付費用および債務
退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。
④ 棚卸資産の評価
棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき処理を行っております。評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績
当期はウクライナ情勢の長期化や中東情勢の動向、世界的な金融引き締め政策など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、感染症対策の規制緩和を受けた経済活動の持ち直し、労働需要増加、賃金上昇、インバウンド需要の回復などを受け緩やかな景気回復が続くことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループにおいては前期より開始した「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に継続して取り組みました。
また、海外事業においては、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)事業に加えて、前期に実施したパキスタン、米国、ベトナムでのM&Aによる事業計画を着実に軌道に乗せるべく、中長期での成長を目指した取り組みを進めました。
一方で、原料乳・原材料価格や各種オペレーションコストについては、前期に引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。生乳取引価格においては、2023年4月からの乳製品向け、8月からの飲用・発酵乳用途向けに続き、12月からはバター向けおよびクリーム向けの価格の引き上げが行われ、一段とコストアップが進行しました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。
これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、当期については増収増益となりました。
<当期の主な取り組み事項>当期は「中期経営計画2022-24」の達成に向けた重要な1年と位置付け、各取り組みを推進し、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
・原料乳・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
- 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
・「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
- 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
- 栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
- 海外事業のさらなる成長に向けた取り組みの推進
- 当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業(業務用乳製品)の回復
- 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
(2025年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築、ほか)
- 株主還元の強化
(2023年5月発表:「自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」、 2023年10月および2024年2月発表:「配当予想の修正に関するお知らせ」)
- サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
(本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、 グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など)
これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の提供に努めました。また、価格改定や消費活動回復によるBtoB事業の増収、新規連結した海外子会社の寄与など海外事業の拡大、国内子会社の拡大もあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、原材料価格や各種オペレーションコストを中心に、引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。特に原材料については、2023年4月に乳製品向け、8月に飲用・発酵乳用途向け、12月にバター向けおよびクリーム向けの生乳取引価格の引き上げが行われました。また、2023年4月に実施した東京工場跡地売却にかかる一時的な税負担や、M&Aによるのれん償却費の増加など、新たなコストアップも発生いたしました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、全体では増益となりました。なお、海外事業は前期に大きく拡大したMILEI社の反動減などがあり減益となりましたが、中長期での成長を目指し、引き続き取り組みを推進いたしました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、東京工場跡地売却による特別利益として第1四半期に657億円を計上したこともあり、61,307百万円、前年比263.3%増と大幅増益となりました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約16億円を支出いたしました。
2024年3月期営業利益増減要因

セグメント別の状況は、次のとおりです。
(単位:百万円)
食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など
その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など
(参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績概況
① 栄養・機能性食品事業:ヨーグルトは価格改定に取り組んだほか、健康志向の高まりを背景に「ビヒダスヨーグルト」や「パルテノ」が好調に推移し、機能性ヨーグルトの拡大にも継続して注力しました。また、育児用ミルクなどの栄養食品、流動食などを扱う森永乳業クリニコ社の寄与もあり、事業全体では増収となりました。
利益面では、原材料価格の上昇の影響やオペレーションコスト増加の影響を受けましたが、価格改定やプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努めました。なお、中長期的な成長を見据え、下期を中心にビフィズス菌等のプロモーションを強化したこともあり、事業全体では減益となりました。
② 主力食品事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、事業全体では増収増益となりました。
③ BtoB事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、構成比の高い業務用乳製品において、消費動向の回復に応じた拡販や価格改定を進め、事業全体でも増収増益となりました。また、健康ニーズの高まりから、菌体をはじめとする当社保有の機能性素材への高い関心も継続しております。
④ 海外事業:輸出事業や、大きく拡大した前期からの反動減もあったMILEI GmbH(ミライ社)は減収となりましたが、M&Aにより新たに連結子会社となったNutriCo Morinaga (Pvt.) LTD.(ニュートリコ モリナガ社)、Turtle Island Foods, Inc.(タートル アイランド フーズ社)、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(モリナガ ル マイ社)の寄与もあり事業全体では増収となりました。
利益面では、MILEI社の反動減や原材料価格の上昇の影響、M&Aによるのれん償却費の増加などがあり、事業全体では減益となりました。
生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(3)財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、「現金及び預金」や「建設仮勘定」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、785億5千6百万円増の5,659億9千8百万円となりました。
負債の部は、「コマーシャル・ペーパー」が減少した一方、「未払法人税等」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、246億6千9百万円増の2,838億6千2百万円となりました。
純資産の部は、「利益剰余金」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、538億8千6百万円増の2,821億3千5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.7%から49.0%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,463.65円から3,192.33円になりました。
当社は2023年12月1日付けで株式分割(1株を2株)を実施しておりますが、前連結会計年度期首より当該株式分割が実施されたものと仮定して1株当たり純資産額を算出しております。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ372億円増の565億8千3百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益885億7千1百万円がキャッシュ・フローの収入となり、売上債権の増加額86億3千9百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ506億8千6百万円支出減の252億2千3百万円の収入となりました。主な要因は、固定資産の売却により603億1千万円の収入となり、固定資産の取得により331億4千6百万円の支出となったことによります。
これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ878億8千7百万円増の818億6百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ415億5千万円支出増の386億2千4百万円の支出となりました。主な要因は、長期借入金の返済により137億1千5百万円の支出や自己株式の取得により100億1千2百万円の支出があったことによります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ435億5千2百万円増の645億2千8百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年3月期及び2024年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2021年3月期及び2023年3月期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。
当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関11行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)
①現状認識
PBR1倍水準、ROE8%以上で近年は推移しているものの 、直近は大規模な資産売却影響により株主資本が増加しROE低下要因となっております。株主資本コストは6%程度(CAPMモデルおよび株主・投資家ヒアリングより)と認識しており、これを上回るROEは達成出来ているものの、早期に8%以上へ回復することが重要と考えております。

②改善に向けた方針
当社はグループ10 年ビジョン・中期経営計画2022-24・サステナビリティ中長期計画2030等の方針に沿ってROE(収益性・効率性・財務レバレッジ)や PER(成長期待・非財務指標)向上への取り組みを進めております。ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために「収益力・効率性の向上」「バランスシート方針のアップデート」「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、さらなるROEの向上、 PBRの改善を目指してまいります。
<収益力・効率性の向上>激変する環境下、価格改定の遂行で収益力の回復に注力いたしました。10年ビジョンにおける現中計の位置づけや方向性に変化はなく、方針に合致した取り組みを着実に実行いたします。(次期中期経営計画は2025年春公表予定)

<バランスシート方針のアップデート>従来は財務健全性を重視して参りましたが、今後は財務健全性を担保しつつ、一定程度負債を活用しながら最適資本構成を追求することで資本コストを低減させ、企業価値最大化に取り組みます。

・株主還元の強化
最適資本構成を追求するバランスシート方針に基づき株主還元強化を実施します。年間配当金を60円(2024年3月期)から90円(2025年3月期)へ増配し、自己株式取得は2024年3月期に続き2025年3月期も100億円予定します。

積極的な資本市場との対話・情報開示およびコーポレートガバナンス強化により株主資本コストを低減させていきます。

③キャッシュアロケーション
事業の拡大・体質強化へ投資し、重要課題としての株主還元を実行いたします。(増配+自己株式取得)
さらに、人財活躍推進および資本市場への意識向上に向けた人的投資を実行します。(退職給付・株式給付信託)

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。
特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 貸倒引当金
貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。
② 退職給付費用および債務
退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。
④ 棚卸資産の評価
棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき処理を行っております。評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績
当期はウクライナ情勢の長期化や中東情勢の動向、世界的な金融引き締め政策など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、感染症対策の規制緩和を受けた経済活動の持ち直し、労働需要増加、賃金上昇、インバウンド需要の回復などを受け緩やかな景気回復が続くことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループにおいては前期より開始した「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に継続して取り組みました。
また、海外事業においては、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)事業に加えて、前期に実施したパキスタン、米国、ベトナムでのM&Aによる事業計画を着実に軌道に乗せるべく、中長期での成長を目指した取り組みを進めました。
一方で、原料乳・原材料価格や各種オペレーションコストについては、前期に引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。生乳取引価格においては、2023年4月からの乳製品向け、8月からの飲用・発酵乳用途向けに続き、12月からはバター向けおよびクリーム向けの価格の引き上げが行われ、一段とコストアップが進行しました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。
これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、当期については増収増益となりました。
<当期の主な取り組み事項>当期は「中期経営計画2022-24」の達成に向けた重要な1年と位置付け、各取り組みを推進し、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
・原料乳・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
- 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
・「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
- 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
- 栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
- 海外事業のさらなる成長に向けた取り組みの推進
- 当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業(業務用乳製品)の回復
- 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
(2025年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築、ほか)
- 株主還元の強化
(2023年5月発表:「自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」、 2023年10月および2024年2月発表:「配当予想の修正に関するお知らせ」)
- サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
(本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、 グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など)
これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の提供に努めました。また、価格改定や消費活動回復によるBtoB事業の増収、新規連結した海外子会社の寄与など海外事業の拡大、国内子会社の拡大もあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、原材料価格や各種オペレーションコストを中心に、引き続きさまざまなコストアップの影響を受けました。特に原材料については、2023年4月に乳製品向け、8月に飲用・発酵乳用途向け、12月にバター向けおよびクリーム向けの生乳取引価格の引き上げが行われました。また、2023年4月に実施した東京工場跡地売却にかかる一時的な税負担や、M&Aによるのれん償却費の増加など、新たなコストアップも発生いたしました。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進いたしました。これまでの取り組みをさらに推進させることに努めた結果、全体では増益となりました。なお、海外事業は前期に大きく拡大したMILEI社の反動減などがあり減益となりましたが、中長期での成長を目指し、引き続き取り組みを推進いたしました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、東京工場跡地売却による特別利益として第1四半期に657億円を計上したこともあり、61,307百万円、前年比263.3%増と大幅増益となりました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約16億円を支出いたしました。
| 連結売上高 | 547,059百万円 | (前年比 | 4.1%増) |
| 連結営業利益 | 27,839百万円 | (前年比 | 16.3%増) |
| 連結経常利益 | 28,104百万円 | (前年比 | 11.4%増) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 61,307百万円 | (前年比 | 263.3%増) |
| (その他重要経営指標) | |||
| 売上高営業利益率 | 5.1% | ||
| ROE(自己資本利益率) | 24.5% | ||
| 海外売上高比率 | 11.0% |
2024年3月期営業利益増減要因

セグメント別の状況は、次のとおりです。
(単位:百万円)
| 売上高 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 | |
| 食品事業 | 520,934 | 3.7%増 | 38,119 | 14.1%増 |
| その他の事業 | 31,754 | 5.0%増 | 1,980 | 7.0%減 |
| 消去または全社 | △5,629 | △12,260 | ||
| 合計 | 547,059 | 4.1%増 | 27,839 | 16.3%増 |
食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など
その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など
(参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績概況
① 栄養・機能性食品事業:ヨーグルトは価格改定に取り組んだほか、健康志向の高まりを背景に「ビヒダスヨーグルト」や「パルテノ」が好調に推移し、機能性ヨーグルトの拡大にも継続して注力しました。また、育児用ミルクなどの栄養食品、流動食などを扱う森永乳業クリニコ社の寄与もあり、事業全体では増収となりました。
利益面では、原材料価格の上昇の影響やオペレーションコスト増加の影響を受けましたが、価格改定やプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努めました。なお、中長期的な成長を見据え、下期を中心にビフィズス菌等のプロモーションを強化したこともあり、事業全体では減益となりました。
| 栄養・機能性食品事業 売上高 | 127,281百万円 | (前年比 | 2.9%増) |
| 栄養・機能性食品事業 営業利益 | 5,255百万円 | (前年差 | 323百万円減) |
② 主力食品事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、ビバレッジ、チーズ、牛乳、デザートなどの価格改定や、「マウントレーニア」、アイスなどの高付加価値商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、事業全体では増収増益となりました。
| 主力食品事業 売上高 | 175,256百万円 | (前年比 | 3.0%増) |
| 主力食品事業 営業利益 | 9,024百万円 | (前年差 | 3,887百万円増) |
③ BtoB事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、構成比の高い業務用乳製品において、消費動向の回復に応じた拡販や価格改定を進め、事業全体でも増収増益となりました。また、健康ニーズの高まりから、菌体をはじめとする当社保有の機能性素材への高い関心も継続しております。
| BtoB事業 売上高 | 96,401百万円 | (前年比 | 3.5%増) |
| BtoB事業 営業利益 | 4,461百万円 | (前年差 | 2,963百万円増) |
④ 海外事業:輸出事業や、大きく拡大した前期からの反動減もあったMILEI GmbH(ミライ社)は減収となりましたが、M&Aにより新たに連結子会社となったNutriCo Morinaga (Pvt.) LTD.(ニュートリコ モリナガ社)、Turtle Island Foods, Inc.(タートル アイランド フーズ社)、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(モリナガ ル マイ社)の寄与もあり事業全体では増収となりました。
利益面では、MILEI社の反動減や原材料価格の上昇の影響、M&Aによるのれん償却費の増加などがあり、事業全体では減益となりました。
| 海外事業 売上高 | 60,422百万円 | (前年比 | 1.8%増) |
| 海外事業 営業利益 | 5,996百万円 | (前年差 | 4,147百万円減) |
生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 食品事業 | 424,200 | +6.3 |
| その他の事業 | 4,437 | +31.6 |
| 合計 | 428,638 | +6.5 |
(注) 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
| 食品事業 | - | - | - | - |
| その他の事業 | 12,165 | +56.7 | 6,655 | +75.7 |
| 合計 | 12,165 | +56.7 | 6,655 | +75.7 |
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 食品事業 | 520,934 | +3.7 |
| その他の事業 | 31,754 | +5.0 |
| セグメント間の内部売上高または振替高 | △5,629 | ― |
| 合計 | 547,059 | +4.1 |
(3)財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、「現金及び預金」や「建設仮勘定」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、785億5千6百万円増の5,659億9千8百万円となりました。
負債の部は、「コマーシャル・ペーパー」が減少した一方、「未払法人税等」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、246億6千9百万円増の2,838億6千2百万円となりました。
純資産の部は、「利益剰余金」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、538億8千6百万円増の2,821億3千5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.7%から49.0%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,463.65円から3,192.33円になりました。
当社は2023年12月1日付けで株式分割(1株を2株)を実施しておりますが、前連結会計年度期首より当該株式分割が実施されたものと仮定して1株当たり純資産額を算出しております。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ372億円増の565億8千3百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益885億7千1百万円がキャッシュ・フローの収入となり、売上債権の増加額86億3千9百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ506億8千6百万円支出減の252億2千3百万円の収入となりました。主な要因は、固定資産の売却により603億1千万円の収入となり、固定資産の取得により331億4千6百万円の支出となったことによります。
これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ878億8千7百万円増の818億6百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ415億5千万円支出増の386億2千4百万円の支出となりました。主な要因は、長期借入金の返済により137億1千5百万円の支出や自己株式の取得により100億1千2百万円の支出があったことによります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ435億5千2百万円増の645億2千8百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
| 2020年 3月期 | 2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 41.6 | 43.9 | 44.9 | 45.7 | 49.0 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 47.4 | 63.5 | 51.5 | 44.3 | 47.9 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) | 3.8 | 3.0 | 2.5 | 5.7 | 1.7 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 38.0 | 54.6 | 53.4 | 27.3 | 45.9 |
自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年3月期及び2024年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2021年3月期及び2023年3月期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。
当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関11行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応)
①現状認識
PBR1倍水準、ROE8%以上で近年は推移しているものの 、直近は大規模な資産売却影響により株主資本が増加しROE低下要因となっております。株主資本コストは6%程度(CAPMモデルおよび株主・投資家ヒアリングより)と認識しており、これを上回るROEは達成出来ているものの、早期に8%以上へ回復することが重要と考えております。

②改善に向けた方針
当社はグループ10 年ビジョン・中期経営計画2022-24・サステナビリティ中長期計画2030等の方針に沿ってROE(収益性・効率性・財務レバレッジ)や PER(成長期待・非財務指標)向上への取り組みを進めております。ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために「収益力・効率性の向上」「バランスシート方針のアップデート」「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、さらなるROEの向上、 PBRの改善を目指してまいります。
<収益力・効率性の向上>激変する環境下、価格改定の遂行で収益力の回復に注力いたしました。10年ビジョンにおける現中計の位置づけや方向性に変化はなく、方針に合致した取り組みを着実に実行いたします。(次期中期経営計画は2025年春公表予定)

<バランスシート方針のアップデート>従来は財務健全性を重視して参りましたが、今後は財務健全性を担保しつつ、一定程度負債を活用しながら最適資本構成を追求することで資本コストを低減させ、企業価値最大化に取り組みます。

・株主還元の強化
最適資本構成を追求するバランスシート方針に基づき株主還元強化を実施します。年間配当金を60円(2024年3月期)から90円(2025年3月期)へ増配し、自己株式取得は2024年3月期に続き2025年3月期も100億円予定します。


③キャッシュアロケーション
事業の拡大・体質強化へ投資し、重要課題としての株主還元を実行いたします。(増配+自己株式取得)
さらに、人財活躍推進および資本市場への意識向上に向けた人的投資を実行します。(退職給付・株式給付信託)
