有価証券報告書-第100期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/30 9:30
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167項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。
特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 貸倒引当金
貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。
② 退職給付費用および債務
退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。
④ 棚卸資産の評価
棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき処理を行っております。評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績
当期はウクライナ情勢の長期化など多様化した地政学リスクや、世界的な金融引き締め政策などにより、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、ウィズコロナのもとで景気が持ち直していくことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響が発現するなど、今後も国内外の情勢の動向を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループは生活必需品である食品を製造する企業としての使命を果たせるよう、従業員の安全と健康に引き続き最大限の配慮をし、できる限り商品の供給を継続すべく取り組んでまいりました。また、当期から開始した新たな「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に取り組みました。また、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業については、売上・利益とも大きく伸張したことに加え、パキスタン、米国、ベトナムなど積極的なM&Aに着手しております。
一方で、世界的な需要の高まりや円安の影響、およびウクライナ情勢の不透明感が加わり、原材料・エネルギー価格および物流コストにおいては、従前の環境とは大きく異なる水準で上昇しました。加えて、2022年11月から飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げが行われたことにより、一段のコストアップが進みました。これらに対し、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどによるコスト吸収に努めました。しかしながら、価格改定後の数量減や生活者の消費動向の変化等の影響を受けたこと等により、増収ながらも減益の結果となりました。
<当期の主な取り組み事項>当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、3つの基本方針のもと取り組みを進めております。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。
当期は、当社グループが新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
- 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
・「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
- 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
- ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
- 海外事業の拡大(既存事業の拡大、NutriCo Morinaga (Private) Limited(パキスタン)、Turtle Island Foods, Holdings, Inc.(米国)の株式取得、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(ベトナム)の株式譲渡契約等の決議など)
- 主にBtoB事業(業務用乳製品)を中心とする、感染症による環境変化に対応した販売活動の促進
- 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
(2022年5月稼働:利根工場ドリンクヨーグルト設備増設、2024年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築)
- サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
(本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透、当社グループ初となるグリーンボンド発行など)
これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の提供に努めました。特に主力食品事業は上期を中心に価格改定後の数量減、国内における消費動向の変化の影響を大きく受けたものの、業務用乳製品などの拡販によるBtoB事業の拡大、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業の伸長などもあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、世界的な需要の高まりや円安の影響、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げなどによる、原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受けました。これに対し、価格改定やプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどを推進し、また、海外事業の貢献もありましたが、大きなコストアップを吸収することができず、全体では前年を下回りました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約17億円を支出いたしました。
連結売上高525,603百万円(前年比4.4%増)
連結営業利益23,939百万円(前年比19.6%減)
連結経常利益25,218百万円(前年比19.0%減)
親会社株主に帰属する当期純利益16,875百万円(前年比50.0%減)

(その他重要経営指標)
売上高営業利益率 4.6%
ROE(自己資本利益率) 7.9%
海外売上高比率 11.3%
セグメント別の状況は、次のとおりです。
(単位:百万円)
売上高前年比営業利益前年比
食品事業502,3064.9%増33,41512.7%減
その他の事業30,2300.6%増2,12923.5%減
消去または全社△6,933△11,604
合計525,6034.4%増23,93919.6%減

食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など
その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など
(参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別業績概況
① 栄養・機能性食品事業:原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受け、価格改定の取り組みを進めました。また、健康ニーズの高まりを背景に、引き続き機能性ヨーグルト拡大の取り組みを進め、「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」などが堅調に推移しヨーグルトは増収となりました。流動食などを扱うクリニコ社の増収もあり、事業全体としても増収となりました。
利益面では、原材料・エネルギー価格の上昇の影響を受け、ヨーグルト、育児用ミルク、宅配専用商品などの価格改定やプロダクトミックスの改善、コスト削減に努めましたが、事業全体では減益となりました。
栄養・機能性食品事業 売上高123,682百万円(前年比0.5%増)
栄養・機能性食品事業 営業利益5,578百万円(前年差3,523百万円減)

② 主力食品事業:原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受け、チーズ、アイス、「森永の焼プリン」、飲料などの価格改定や、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の拡大に努めましたが、上期中心に価格改定後の数量減や、国内における消費動向の変化の影響もあり、事業全体では減収減益となりました。
主力食品事業 売上高170,232百万円(前年比6.1%減)
主力食品事業 営業利益5,137百万円(前年差5,625百万円減)

③ BtoB事業:構成比の高い業務用乳製品において、感染症による環境変化への対応や価格改定を進めたことなどから、事業全体では増収となりました。また、健康ニーズの高まりから、当社の保有する菌体をはじめとする機能性素材への高い関心も継続しております。
利益面においては、増収効果はありましたが、原材料・エネルギー価格の上昇の影響などにより前年を下回りました。
BtoB事業 売上高93,159百万円(前年比13.4%増)
BtoB事業 営業利益1,498百万円(前年差1,150百万円減)

④ 海外事業:育児用ミルクや菌体の輸出などが堅調に推移し、乳原料を製造販売するMILEI GmbH(ミライ社)では原料市況の上昇に対応し価格転嫁を進めました。円安の進行もあり事業全体でも増収となりました。
利益面では、グローバル規模での原材料・エネルギー価格の上昇の影響や、パキスタン、米国、ベトナムにて新たに着手したM&Aなど成長のための費用投下などがありましたが、MILEI社の寄与や育児用ミルクや菌体などの増収効果、円安の進行もあり事業全体では増益となりました。
海外事業 売上高59,355百万円(前年比35.3%増)
海外事業 営業利益10,143百万円(前年差3,860百万円増)


生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
食品事業399,081+0.5
その他の事業3,371△2.1
合計402,453+0.4

(注) 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
食品事業----
その他の事業7,763△20.13,788+17.9
合計7,763△20.13,788+17.9

③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
食品事業502,306+4.9
その他の事業30,230+0.6
セグメント間の内部売上高または振替高△6,933
合計525,603+4.4

(3)財政状態
当連結会計年度末の資産の部は、「現金及び預金」が減少した一方、流動資産の「その他」や「のれん」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、263億2千7百万円増の4,851億1千6百万円となりました。
負債の部は、「未払法人税等」が減少した一方、「コマーシャル・ペーパー」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、72億2千9百万円増の2,579億9千1百万円となりました。
純資産の部は、「利益剰余金」や「為替換算調整勘定」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、190億9千8百万円増の2,271億2千4百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の44.9%から45.9%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の4,554.84円から4,927.30円になりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ208億8千5百万円減の193億8千2百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益237億1千9百万円がキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額171億6千2百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ338億3千5百万円支出増の254億6千3百万円の支出となりました。主な要因は、固定資産の取得により195億8千7百万円の支出があったことなどによります。
これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ547億2千万円減の△60億8千1百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ474億4千8百万円支出減の29億2千5百万円の収入となりました。主な要因は、長期借入金の返済により81億6百万円の支出があった一方、コマーシャル・ペーパーの増加により100億円の収入があったことによります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ25億1千万円減の209億7千6百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
自己資本比率(%)38.741.643.944.945.9
時価ベースの自己資本比率(%)43.047.463.551.544.5
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)6.43.83.02.55.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)24.538.054.653.427.3

自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2021年3月期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。
当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関10行と総額300億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。

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