四半期報告書-第97期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/02/13 10:01
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における菓子・食品業界は、緩やかな景気の回復基調はあるものの、少子化や個人消費の伸び悩みによる市場縮小のため企業間の競争は激化し厳しい状況が続きました。
このような環境の下、当中村屋グループは「中期経営計画2015-2017」の最終年度を迎え、中期ビジョン「事業構造改革による現状打破を実行し、収益体質の強化と成長軌道への転換を図る」を実現させるため、売上高拡大に向けた主力商品の強化や新規販路の開拓、生産ラインの再編による効率化の推進に取り組みました。
しかしながら、「笹塚NAビル」の譲渡、不採算店舗の閉鎖等の影響により、当第3四半期連結売上高は、29,787,241千円 前年同期に対し132,009千円、0.4%の減収となりました。
利益面では、営業利益は82,569千円 前年同期に対し450,304千円の減益、経常利益は169,519千円 前年同期に対し433,494千円の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は160,617千円 前年同期に対し200,367千円の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
①菓子事業
菓子事業では、既存販路向けに、2種類のチーズをブレンドした生地に果肉の入った生地を重ねてしっとり焼き上げた「スイートチーズクーヘン」を新発売し、また主力商品「月餅」「うすあわせ」「あんまかろん」「花の色よせ」「こがねはずみ」を改良発売しました。併せて、デイリー品の強化のため、「どら焼 栗あん」「安納芋大福」を新発売し、更にクリスマスイベント対応商品「ホワイトぱいショコラん」を11月より新発売しました。
土産販路では、レトロモダンな洋菓子土産をコンセプトとした新ブランド「東京ガトーつのはず堂」を大丸東京店に催事出店し、好評を博しました。
新宿中村屋ビル地下1階「スイーツ&デリカBonna(ボンナ)新宿中村屋」では、できたての商品をその場で楽しめるイートインコーナーの拡充や、店内厨房で製造するおせち料理の拡販を行いました。
中華まんじゅう類ではCVS販路にて、お餅と明太子、チーズを組み合わせた「明太もちチーズまん」と旨みのあるベーコンと3種類のチーズを使用した「とろ~り濃厚チーズ&ベーコンまん」を新発売しました。
以上のような営業活動を行った結果、菓子事業全体の売上高は21,444,357千円 前年同期に対し841,951千円、4.1%の増収となりましたが、営業利益は1,137,876千円 前年同期に対し119,867千円の減益となりました。
②食品事業
市販食品事業では、純インド式カリー発売90周年キャンペーンの推進、テレビ放映の効果で注目が高まった本格四川シリーズ「麻婆豆腐」の拡販に努めました。また、「ビーフハヤシ」「ビーフシチュー」はリニューアルを実施し、「贅沢洋食シリーズ」として提案強化を図り好調に推移いたしました。
業務用食品事業では、ファミリーレストラン、カフェ、給食、ファストフード業態に向け、カレーソース、スープ、パスタソースなどの提案を積極的に行うとともに、OEM商品の拡大に努めました。
直営レストラン「オリーブハウス」「インドカリーの店」では、商品のブラッシュアップを行い新商品開発も計画的に取り組み、接客においても本部での研修に力を入れてまいりました。
一方で不採算の店舗は閉鎖をし収益改善に努めました。
新宿中村屋ビル地下2階「レストラン&カフェManna(マンナ)新宿中村屋」では、季節商品の「牡蠣と白アワビ茸のカリー」や「コールマンカリー」が好調で客単価増となりました。8階「カジュアルダイニングGranna(グランナ)新宿中村屋」では、新宿中村屋指定飼育鶏のローストチキンをクリスマスに向け訴求、好評を得ました。
以上のような営業活動を行いましたが、食品事業全体の売上高は7,169,293千円 前年同期に対し474,821千円、6.2%の減収となり、営業利益は323,101千円 前年同期に対し52,204千円の減益となりました。
③不動産賃貸事業
不動産賃貸事業では、「新宿中村屋ビル」において、快適で賑わいのある商業空間を提供することで、満室稼動を維持しました。一方、平成29年1月18日に賃貸オフィスビル「笹塚NAビル」を譲渡した要因により、減収・減益となりました。
以上のような営業活動を行った結果、売上高は434,276千円 前年同期に対し542,581千円、55.5%の減収となり、営業利益は130,845千円 前年同期に対しては200,406千円の減益となりました。
④その他の事業
スポーツ事業では、顧客ニーズに応じた多様なメニュー開発・導入を行ない、運営の安定化に取り組みました。また、小型フィットネスジム「NAスポーツクラブA-1EXPRESS」の事業展開を積極的に進め、現在では総合型スポーツクラブ2店舗、小型フィットネスジム7店舗で運営し、会員数を順調に伸ばしております。
以上のような営業活動を行った結果、売上高は739,315千円 前年同期に対し43,443千円、6.2%の増収となりましたが、営業利益は57,149千円 前年同期に対しては19,117千円の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,203,004千円減少し、1,932,001千円となりました。
区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,398,404千円の支出(前年同期は1,349,469千円の支出)となりました。これは主に、仕入債務の増加1,122,868千円、減価償却費814,045千円等による収入があったものの、売上債権の増加による支出2,964,835千円、たな卸資産の増加による支出1,315,249千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,844,329千円の収入(前年同期は1,643,635千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,266,444千円等があったものの、有価証券の償還による収入7,900,027千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、648,930千円の支出(前年同期は1,704,289千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額681,855千円等によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 会社の支配に関する基本方針の内容
上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆様による自由な取引が認められているものであり、当社の株式に対する大規模な買付行為や買付提案がなされた場合においても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。
しかしながら、わが国の資本市場における株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要する恐れがあるもの、対象会社の取締役会や株主の皆様が買付の条件について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
当社は、上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損する恐れのある大規模な買付等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと考えております。
② 基本方針の実現に資する取組みの概要
・当社は厳しい環境の中でも持続的に成長し、ステークホルダーへの収益還元を果たすため、「中期経営計画 2015-2017」の最終年度となる平成29年度は5つの中期経営方針「顧客視点の経営」「強みへの集中」「品質保証の徹底」「生産性の向上」「人材の育成」に基づき、中期ビジョン「事業構造改革による現状打破を実行し、収益体質の強化と成長軌道への転換を図る」の実現と経営目標の達成に向けた取組みを着実に実行していきます。
・当社の強みを最大限に生かし、成長分野への展開を加速させるとともに不採算ビジネスの整理・統合を進めることで全社経営資源の適正な配分を行い、事業構造・収益構造の改革へと結びつけます。また、お客様にご支持いただいている基幹商品をより一層強化することと合わせて、新たな柱となる商品・ビジネスの育成にも注力し、需要拡大に取り組みます。
・将来に向けた積極的な投資と生産機能の再編により物流機能を含めた供給体制の整備を推し進め、生産性の向上と効率化を図ります。そして、食品メーカーとして確固たる品質保証体制を構築していくことで、安全・安心をベースとした付加価値の高い商品の提供に努めます。
・人材育成システムの整備や女性が活躍できる環境の形成など、多方面から人事制度改革を実行することで、企業の基盤となる人的資源を強化していきます。
・「食」に携わる企業として食育活動を通じた地域貢献・地域教育などに積極的に取り組むほか、新宿中村屋ビル内の「中村屋サロン美術館」から発信する文化・芸術活動を通じて、中村屋ならではの社会貢献活動を展開していきます。
③ 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当初平成19年12月25日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(以下
「現プラン」といいます)」を決議し、直近では平成29年6月29日開催の当社第96回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき継続しております。
その概要は以下のとおりです。
イ.当社株式の大規模買付行為等
現プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を大規模買付者といいます。
ロ.大規模買付ルール
大規模買付ルールとは、事前に大規模買付者が取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。
ハ.大規模買付行為がなされた場合の対応
大規模買付者が大規模買付ルールを順守した場合には、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案についての反対意見を表明したり、代替案を提示するなど、株主の皆様を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。
ただし、大規模買付ルールを順守しない場合や、順守されている場合であっても、当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断する場合には、対抗措置の発動を決定することがあります。
ニ.対抗措置の合理性及び公正性を担保するための制度及び手続き
大規模買付ルールが順守されたか否か、あるいは大規模買付ルールが順守された場合でも、大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであることを理由として対抗措置を講ずるか否かについては、当社取締役会が最終的な判断を行いますが、現プランを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の客観性・合理性を担保するため、独立委員会を設置いたします。
当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、独立委員会に対し対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から大規模買付行為について慎重に評価・検討のうえで、当社取締役会に対し対抗措置を発動することができる状態にあるか否かについての勧告を行うものとします。
ホ.現プランの有効期間等
現プランの有効期限は平成32年6月30日までに開催予定の当社第99回定時株主総会終結の時までとします。
ただし、現プランは、①当社株主総会において現プランを廃止する旨の決議が行われた場合、②当社取締役会により現プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。
④ 現プランの合理性の概要
会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための施策であり、まさに会社の支配に関する基本方針に沿うものであります。
また、現プランは、「買収防衛策に関する指針の要件を充足していること」「株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること」「株主意思を反映するものであること」「独立性の高い社外者の判断を重視するものであること」「デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと」等、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
現プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.nakamuraya.co.jp/)
に掲載しております。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は321,356千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があった設備は、次のとおりであります。
平成29年6月に埼玉県入間市に新しい生産拠点として土地及び建物(2,576百万円、83,138㎡)を取得いたしました。
また、新たに計画された主要な設備の新設等については、次のとおりであります。
事業所名
(所在地)
設備の内容投資予定額(千円)資金調達方法着手年月完了予定年月
総額既支払額
武蔵工場
(埼玉県入間市)
新工場の建設10,000,0002,538,433自己資金平成29年10月平成30年8月

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。