有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
日清食品グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、世の中のために食を創造することを追求し、日々、CreativeでUniqueな仕事に取り組み、Globalな領域で、「食」を通じて世界の人々にHappyを提供することで、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、2016年度からの5ヵ年を対象とする「中期経営計画2020」を策定いたしました。
本中計の目標達成に向けて以下5つの戦略を遂行し、収益性の追求を徹底します。
① グローバルブランディングの促進
海外の収益性向上のため、自社の強みが活かせる高付加価値商品のカップヌードルの海外展開を加速し、海外販売食数において1.5倍の成長を目指し、収益の向上につなげます。明確化したターゲット (一定の生活水準を満たした若者) に対して、デザイン、フレーバー、プロモーションの各施策でアプローチを徹底する事で、効果的かつ効率的にマーケットへの浸透を促進してまいります。
② 海外重点地域への集中
市場自体の魅力 (即席めん市場規模・成長性)、当社の勝機 (事業基盤の強さ及び短~中期でのカップ型商品等の高付加価値製品市場拡大可能性) の2つの観点から、BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国) を重点地域として設定し、当該地域における確実な利益成長を実現します。中国では成長する収益率の高いカップヌードルの販売エリア拡大をさらに進めてまいります。インドでは都市部での袋めんの成長に加え、急増する中間富裕層に向けてカップヌードルの強化も推進してまいります。ブラジル、ロシアに関しましては、ともにNo.1シェアの確固たる基盤を活かし、高付加価値商品のカップめん市場拡大を図り、さらなるシェア獲得と利益を目指してまいります。
③ 国内収益基盤の盤石化
人口減少及び人口・消費者構成変化に影響されない事業モデルを構築すべく、マーケティングを軸とした国内市場の深耕と、省人化及び食の安全性の向上を可能にする工場高度化投資を実行し、国内即席めん事業の収益基盤をより盤石なものとしていくことで、「100年ブランドカンパニー」の実現を目指してまいります。
④ 第2の収益の柱の構築
菓子・シリアル事業を第2の収益の柱へと成長させるため、国内外での取り組みを強化します。各社のさらなるブランド成長に加え、技術シナジーによる連携強化、海外事業展開、M&Aの活用を行い、持分法適用会社である提携先も含めて売上高1,000億円規模を目指してまいります。また、低温事業・飲料事業におきましても、前中計期間までに進めてきたブランドの浸透を背景に、国内でのさらなる利益成長を目指してまいります。
⑤ グローバル経営人材の育成・強化
これまでの積極的投資によりプラットフォームの強化は進み、成長をサポートする体制を整えることができました。今後は選抜型社内大学やダイバーシティの推進、及び海外トレーニー制度の強化などによるグループ内での人材育成施策と、外部からの人材登用との両輪で経営人材を増やし、グローバル経営を加速してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
本中計では、「グローバルカンパニーとしての評価獲得」の要件として、「本業で稼ぐ力」と「資本市場での価値」を重視した指標を下表のとおり設定しております。
なお直近の業績及び事業環境を受けて、数値目標(KPI)のうち、売上収益を4,800億円(当初目標5,500億円)、営業利益を425億円(同475億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益を300億円(同330億円)に見直しました。
(注)1 調整後EPS = (営業利益±その他収益・費用-税金費用-非支配持分に帰属する当期利益)
÷期中平均発行済株式数(自己株式控除後)
2 時価総額1兆円を将来の通過点としてとらえ、企業価値の向上に引き続き努めてまいります。
(4)経営環境
今後の見通しにつきましては、国内および欧米諸国における雇用・所得環境の改善を背景とし、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、中国の景気減速等、海外経済における不確実性が高まり、先行きに対する懸念が広がっております。
このような環境の中、当社グループは、2016年度からの5ヵ年を対象とする「中期経営計画2020」に基づき、「本業で稼ぐ力」と「資本市場での価値」の向上を徹底してまいります。
① 当社グループにおけるサステナビリティの捉え方
当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」という理念のもと、気候変動や高齢化、人口増といったESG課題/国際連合が掲げるSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を成長の機会と位置付け、環境配慮型容器の開発や健康志向に応える商品の提供等で、社会により貢献できる企業を目指してまいります。2018年9月にはESGへの取組みが評価され、世界的なESG投資の株価指数「Dow Jones Sustainability Indices」における「Asia/Pacific index」の構成銘柄に選ばれました。グループ理念の基となる創業者精神を具現化する当社グループのCSV(Creating Shared Value、共有価値の創造)経営に取り組むことで、社会価値と経済価値の双方を追求し持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
② 中期経営計画2020
現在、2016年度からの5か年を対象とした「中期経営計画2020」を掲げ、グローバルカンパニーの評価獲得に向けた5つの戦略を遂行しています。当中計については「(2)経営戦略等」に記載しております。
(ア) 戦略テーマと進捗
グローバルブランドを促進するため、「カップヌードル」を中心とした高付加価値商品の販売に注力し、重点地域であるBRICsでの売上は伸びています。「国内収益基盤の盤石化」では、引き続きシニア、健康、女性、若者ニーズの掘り起こしで国内即席めん市場を深耕しており、2018年度は「チキンラーメン」ブランドが過去最高の売上となりました。また2018年10月には最新鋭の設備とIoT技術の活用で、安全性と生産性を追求した「次世代型スマートファクトリー」関西工場が稼働しました。
「グローバル経営人材の育成・強化」では、経営の中核を担う人材を育成する企業内大学「グローバルSAMURAIアカデミー」や選抜された若手社員を早期に海外拠点へ派遣する海外トレーニー制度等を実施しています。
(イ) 2020年に向けて
直近の業績及び事業環境を受けて、数値目標(KPI)のうち、売上収益を4,800億円(当初目標5,500億円)、営業利益を425億円(同475億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益を300億円(同330億円)に見直しました。
国内収益基盤のさらなる盤石化と、「カップヌードル」のグローバルブランディングを中心として海外事業を拡大し、グローバルカンパニーとしての評価獲得を目指すという「中期経営計画2020」の方向性に変わりはありません。
時価総額1兆円を将来の通過点としてとらえ、企業価値の向上に引き続き努めてまいります。
③ 非財務情報の創出価値
当社グループ理念の実現を可能にする価値創造プロセスについて、当社グループが活用する資本を持続的に循環させることで、事業の成長(経済価値)と社会価値の提供が増幅していく構造となっています。
当プロセスでは、次の5つのステップが理念の実現につながっていきます。
(ア) INPUT(自社で活用する資本):
自社で活用する資本として、当社グループがこれまで培ってきた資本(財務資本、知的資本、人的資本な
ど)を投入し、ガバナンスを効かせ、
(イ) INNOVATION(自社事業によるイノベーション):
強みである即席めん事業等を行い、
(ウ) OUTPUT(製品・サービス):
「安価でおいしい食品」を「持続可能な容器」で世の中に送り出し、
(エ) OUTCOME(製品・サービスの直接的な影響):
日清食品グループ独自の社会的価値を創出しています。たとえばカロリーや糖質・脂質が半分の「カップヌ
ードル コッテリーナイス」などを販売することで、生活習慣の改善により予防可能な疾患「非感染性疾患」
の対策に貢献しております。
(オ) IMPACT(OUTCOMEの積み重ねにより実現する社会への価値)
こういった事業を通して創出した独自の社会的価値が積み重なれば「食が足りて初めて、世の中が平和になる」という創業者精神の実現につながります。この一連のプロセスを循環させることで、グループの持続的成長を目指す、これが日清食品グループの価値創造プロセスです。
また、各取組みで創出する社会的価値をSDGs目標と紐づけています。
④ 当社グループが創出する社会的価値の一例
(ア) 環境負荷の少ない容器の採用・開発
当社グループは、2008年4月に「カップヌードル」の容器を石油由来のポリスチレン素材から、紙素材のECOカップへと変更しました。紙はバイオマスの1つで、燃焼時にCO2が発生しますが、木が成長する過程でCO2を吸収するため、ライフサイクル全体でCO2は増加せず、地球に優しい資源です。ECOカップに変更することで、CO2排出量を従来比で22%削減できます。
現在、海洋プラスチックごみをはじめとした新たな環境問題がクローズアップされています。当社グループは、環境負荷低減により一層貢献する新しい容器作りを目指して研究を続けています。
(イ) 持続可能な農業を推進
日清食品㈱は、関西工場において、即席めん業界では国内初となる認証パーム油の使用を2019年3月より開始しました。認証パーム油とは、森林破壊防止や生物多様性保全、人権に配慮して生産、加工されたパーム油のことで、ニッシンフーズ (USA) Co.,Inc. 、ニッシンフーズKft. (ハンガリー) が生産する商品は、2016年までに認証パーム油への切り替えが完了しております。日清食品㈱が関西工場で使用を開始したことにより、当社グループ全体で使用しているパーム油の20%以上が認証パーム油となります。
(ウ) 健康志向に応える商品開発
当社グループは、カロリーカットや減塩、低糖質、食物繊維や栄養素の配合等、健康志向に応える商品開発に取り組んでいます。主力の「カップヌードル」ブランドでは、通常の「カップヌードル」よりもこってり濃厚なのに、カロリーは約半分の「カップヌードル コッテリーナイス」を発売した他、食の機能性を追求した様々な健康食品を「日清食品ウェルネス」ブランドで展開しています。今後も、当社グループはおいしさと健康をお届けする商品ラインアップを充実してまいります。
⑤ その他トピックス
(ア) 「次世代型スマートファクトリー」の稼働
2018年10月に稼働を開始した日清食品㈱の関西工場は、「次世代型スマートファクトリー」として最新鋭の設備を導入し、IoT技術を活用することで自動化、効率化を図っています。
品質管理を強化するために、集中監視・管理室を設置し、設備、品質管理カメラ、電気、水道、人等、工場内のすべての情報を画面上で一元管理できる体制を構築しています。
また、ロボット技術を活用することで、これまで人の手で行っていた確認、検査、原材料や容器等の移動を自動化し、人が介在しない作業工程を確立することで人為的ミスのリスクを低減するとともに、効率化を図ることで労働生産性を向上させています。
これらの取り組みにより、商品の安全性と生産性の向上を実現しています。
(イ) 培養肉の開発
培養肉とは、動物の個体からではなく、細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のことで、家畜を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低いことや、畜産のように広い土地を必要とせず、厳密な衛生管理が可能等の利点があるため、従来の食肉に替わるものとして期待されています。
近年、世界中で培養肉の研究が行われていますが、そのほとんどが、ミンチ肉を作製する研究です。当社と東京大学生産技術研究所との研究グループは、肉本来の食感を持つステーキ肉を培養肉で実現する目標に向け、筋組織の立体構造を人工的に作製する研究に取り組み、世界で初めてサイコロステーキ状の大型立体筋組織の作製に成功しました。
(ウ) 働き方改革や社員の健康に対する取り組み
a.社員が健康に働ける労働環境の整備
社員の心身の健康保持・増進や、ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みが評価され、「健康経営優良法人2019」の大規模法人部門 (ホワイト500) に認定されました。
b.女性人材の活躍推進
仕事と家庭を両立しながらも、継続就業しやすい環境整備、能力開発やキャリア形成の支援等の女性人材への多面的な取り組みが評価され、「準なでしこ」に選定されました。
c.子育て支援
「働き方改革の推進」と「仕事と家庭の両立支援」の取り組みが評価され、優良な子育てサポート企業として、「プラチナくるみん」の認定を受けました。
(エ) 企業の社会的責任に対する取り組み
当社グループは、グローバルカンパニーの評価獲得に向けて、企業の社会的責任について国内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすため、必要な方針等を策定するとともに、当社ウェブサイトにて公開しております。直近では、以下の方針を新たに公表いたしました。
・2019年2月 日清食品グループ税務方針
・2019年3月 日清食品グループ人権方針
・2019年5月 日清食品グループ贈収賄防止基本方針
引き続き、企業の社会的責任を深く自覚し、日常の業務遂行において、関係法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践するよう努めてまいります。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容
当社は、主に、食品事業を行う事業会社を傘下に有する持株会社であり、これらの事業会社を通じて、即席袋めん、カップめん、チルドめん、冷凍めんを主とするめん類の製造販売を中核に、菓子、乳酸菌飲料の製造販売を展開しております。
当社は、創業者の掲げた「食足世平」、「食創為世」、「美健賢食」及び「食為聖職」の4つの言葉を変わることのない創業の価値観と捉え、グローバルに「食」の楽しみや喜びを提供することで、社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念とし、その体現を目指しております。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、当社の「会社の支配に関する基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を定めるとともに、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みとして、2007年6月28日開催の第59期定時株主総会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「買収防衛策」といいます。)について、株主の皆様のご承認をいただき導入し、その後、3年毎に更新してまいりました。
当社は、買収防衛策の導入以降においても、中期経営計画の策定やその着実な実行による企業価値の向上、自社株買い・増配等の株主還元の充実、コーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んでまいりました。また、2007年の買収防衛策導入以降の当社を取り巻く経営環境の変化や買収防衛策を巡る近時の動向を注視しつつ、買収防衛策の取り扱いについて、毎年、取締役会や経営諮問委員会で慎重に議論を重ねてまいりました。その結果、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、当社における買収防衛策の必要性が相対的に低下したものと判断し、当社は2017年12月6日開催の取締役会にて決議し、買収防衛策を廃止いたしました。
③ 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
当社は、買収防衛策廃止後も引き続き、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、株主の皆様が大規模買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努め、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(1)経営方針
日清食品グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、世の中のために食を創造することを追求し、日々、CreativeでUniqueな仕事に取り組み、Globalな領域で、「食」を通じて世界の人々にHappyを提供することで、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、2016年度からの5ヵ年を対象とする「中期経営計画2020」を策定いたしました。
本中計の目標達成に向けて以下5つの戦略を遂行し、収益性の追求を徹底します。
① グローバルブランディングの促進
海外の収益性向上のため、自社の強みが活かせる高付加価値商品のカップヌードルの海外展開を加速し、海外販売食数において1.5倍の成長を目指し、収益の向上につなげます。明確化したターゲット (一定の生活水準を満たした若者) に対して、デザイン、フレーバー、プロモーションの各施策でアプローチを徹底する事で、効果的かつ効率的にマーケットへの浸透を促進してまいります。
② 海外重点地域への集中
市場自体の魅力 (即席めん市場規模・成長性)、当社の勝機 (事業基盤の強さ及び短~中期でのカップ型商品等の高付加価値製品市場拡大可能性) の2つの観点から、BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国) を重点地域として設定し、当該地域における確実な利益成長を実現します。中国では成長する収益率の高いカップヌードルの販売エリア拡大をさらに進めてまいります。インドでは都市部での袋めんの成長に加え、急増する中間富裕層に向けてカップヌードルの強化も推進してまいります。ブラジル、ロシアに関しましては、ともにNo.1シェアの確固たる基盤を活かし、高付加価値商品のカップめん市場拡大を図り、さらなるシェア獲得と利益を目指してまいります。
③ 国内収益基盤の盤石化
人口減少及び人口・消費者構成変化に影響されない事業モデルを構築すべく、マーケティングを軸とした国内市場の深耕と、省人化及び食の安全性の向上を可能にする工場高度化投資を実行し、国内即席めん事業の収益基盤をより盤石なものとしていくことで、「100年ブランドカンパニー」の実現を目指してまいります。
④ 第2の収益の柱の構築
菓子・シリアル事業を第2の収益の柱へと成長させるため、国内外での取り組みを強化します。各社のさらなるブランド成長に加え、技術シナジーによる連携強化、海外事業展開、M&Aの活用を行い、持分法適用会社である提携先も含めて売上高1,000億円規模を目指してまいります。また、低温事業・飲料事業におきましても、前中計期間までに進めてきたブランドの浸透を背景に、国内でのさらなる利益成長を目指してまいります。
⑤ グローバル経営人材の育成・強化
これまでの積極的投資によりプラットフォームの強化は進み、成長をサポートする体制を整えることができました。今後は選抜型社内大学やダイバーシティの推進、及び海外トレーニー制度の強化などによるグループ内での人材育成施策と、外部からの人材登用との両輪で経営人材を増やし、グローバル経営を加速してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
本中計では、「グローバルカンパニーとしての評価獲得」の要件として、「本業で稼ぐ力」と「資本市場での価値」を重視した指標を下表のとおり設定しております。
なお直近の業績及び事業環境を受けて、数値目標(KPI)のうち、売上収益を4,800億円(当初目標5,500億円)、営業利益を425億円(同475億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益を300億円(同330億円)に見直しました。
| 区分 | 2021年3月期 | ||
| 見直し前 | 見直し後 | ||
| 本業で稼ぐ力 | 売上収益 | 5,500億円 | 4,800億円 |
| 営業利益 | 475億円 | 425億円 | |
| 資本市場価値 | 親会社の所有者に 帰属する当期利益 | 330億円 | 300億円 |
| ROE | 8.0% | 8.0% | |
| 調整後EPS(注1) | 330円 | 284円 | |
| 時価総額 | 1兆円 | (注2) | |
(注)1 調整後EPS = (営業利益±その他収益・費用-税金費用-非支配持分に帰属する当期利益)
÷期中平均発行済株式数(自己株式控除後)
2 時価総額1兆円を将来の通過点としてとらえ、企業価値の向上に引き続き努めてまいります。
(4)経営環境
今後の見通しにつきましては、国内および欧米諸国における雇用・所得環境の改善を背景とし、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、中国の景気減速等、海外経済における不確実性が高まり、先行きに対する懸念が広がっております。
このような環境の中、当社グループは、2016年度からの5ヵ年を対象とする「中期経営計画2020」に基づき、「本業で稼ぐ力」と「資本市場での価値」の向上を徹底してまいります。
① 当社グループにおけるサステナビリティの捉え方
当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」という理念のもと、気候変動や高齢化、人口増といったESG課題/国際連合が掲げるSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を成長の機会と位置付け、環境配慮型容器の開発や健康志向に応える商品の提供等で、社会により貢献できる企業を目指してまいります。2018年9月にはESGへの取組みが評価され、世界的なESG投資の株価指数「Dow Jones Sustainability Indices」における「Asia/Pacific index」の構成銘柄に選ばれました。グループ理念の基となる創業者精神を具現化する当社グループのCSV(Creating Shared Value、共有価値の創造)経営に取り組むことで、社会価値と経済価値の双方を追求し持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
② 中期経営計画2020
現在、2016年度からの5か年を対象とした「中期経営計画2020」を掲げ、グローバルカンパニーの評価獲得に向けた5つの戦略を遂行しています。当中計については「(2)経営戦略等」に記載しております。
(ア) 戦略テーマと進捗
グローバルブランドを促進するため、「カップヌードル」を中心とした高付加価値商品の販売に注力し、重点地域であるBRICsでの売上は伸びています。「国内収益基盤の盤石化」では、引き続きシニア、健康、女性、若者ニーズの掘り起こしで国内即席めん市場を深耕しており、2018年度は「チキンラーメン」ブランドが過去最高の売上となりました。また2018年10月には最新鋭の設備とIoT技術の活用で、安全性と生産性を追求した「次世代型スマートファクトリー」関西工場が稼働しました。
「グローバル経営人材の育成・強化」では、経営の中核を担う人材を育成する企業内大学「グローバルSAMURAIアカデミー」や選抜された若手社員を早期に海外拠点へ派遣する海外トレーニー制度等を実施しています。
(イ) 2020年に向けて
直近の業績及び事業環境を受けて、数値目標(KPI)のうち、売上収益を4,800億円(当初目標5,500億円)、営業利益を425億円(同475億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益を300億円(同330億円)に見直しました。
国内収益基盤のさらなる盤石化と、「カップヌードル」のグローバルブランディングを中心として海外事業を拡大し、グローバルカンパニーとしての評価獲得を目指すという「中期経営計画2020」の方向性に変わりはありません。
時価総額1兆円を将来の通過点としてとらえ、企業価値の向上に引き続き努めてまいります。
③ 非財務情報の創出価値
当社グループ理念の実現を可能にする価値創造プロセスについて、当社グループが活用する資本を持続的に循環させることで、事業の成長(経済価値)と社会価値の提供が増幅していく構造となっています。
当プロセスでは、次の5つのステップが理念の実現につながっていきます。
(ア) INPUT(自社で活用する資本):
自社で活用する資本として、当社グループがこれまで培ってきた資本(財務資本、知的資本、人的資本な
ど)を投入し、ガバナンスを効かせ、
(イ) INNOVATION(自社事業によるイノベーション):
強みである即席めん事業等を行い、
(ウ) OUTPUT(製品・サービス):
「安価でおいしい食品」を「持続可能な容器」で世の中に送り出し、
(エ) OUTCOME(製品・サービスの直接的な影響):
日清食品グループ独自の社会的価値を創出しています。たとえばカロリーや糖質・脂質が半分の「カップヌ
ードル コッテリーナイス」などを販売することで、生活習慣の改善により予防可能な疾患「非感染性疾患」
の対策に貢献しております。
(オ) IMPACT(OUTCOMEの積み重ねにより実現する社会への価値)
こういった事業を通して創出した独自の社会的価値が積み重なれば「食が足りて初めて、世の中が平和になる」という創業者精神の実現につながります。この一連のプロセスを循環させることで、グループの持続的成長を目指す、これが日清食品グループの価値創造プロセスです。
また、各取組みで創出する社会的価値をSDGs目標と紐づけています。
④ 当社グループが創出する社会的価値の一例
(ア) 環境負荷の少ない容器の採用・開発
当社グループは、2008年4月に「カップヌードル」の容器を石油由来のポリスチレン素材から、紙素材のECOカップへと変更しました。紙はバイオマスの1つで、燃焼時にCO2が発生しますが、木が成長する過程でCO2を吸収するため、ライフサイクル全体でCO2は増加せず、地球に優しい資源です。ECOカップに変更することで、CO2排出量を従来比で22%削減できます。
現在、海洋プラスチックごみをはじめとした新たな環境問題がクローズアップされています。当社グループは、環境負荷低減により一層貢献する新しい容器作りを目指して研究を続けています。
(イ) 持続可能な農業を推進
日清食品㈱は、関西工場において、即席めん業界では国内初となる認証パーム油の使用を2019年3月より開始しました。認証パーム油とは、森林破壊防止や生物多様性保全、人権に配慮して生産、加工されたパーム油のことで、ニッシンフーズ (USA) Co.,Inc. 、ニッシンフーズKft. (ハンガリー) が生産する商品は、2016年までに認証パーム油への切り替えが完了しております。日清食品㈱が関西工場で使用を開始したことにより、当社グループ全体で使用しているパーム油の20%以上が認証パーム油となります。
(ウ) 健康志向に応える商品開発
当社グループは、カロリーカットや減塩、低糖質、食物繊維や栄養素の配合等、健康志向に応える商品開発に取り組んでいます。主力の「カップヌードル」ブランドでは、通常の「カップヌードル」よりもこってり濃厚なのに、カロリーは約半分の「カップヌードル コッテリーナイス」を発売した他、食の機能性を追求した様々な健康食品を「日清食品ウェルネス」ブランドで展開しています。今後も、当社グループはおいしさと健康をお届けする商品ラインアップを充実してまいります。
⑤ その他トピックス
(ア) 「次世代型スマートファクトリー」の稼働
2018年10月に稼働を開始した日清食品㈱の関西工場は、「次世代型スマートファクトリー」として最新鋭の設備を導入し、IoT技術を活用することで自動化、効率化を図っています。
品質管理を強化するために、集中監視・管理室を設置し、設備、品質管理カメラ、電気、水道、人等、工場内のすべての情報を画面上で一元管理できる体制を構築しています。
また、ロボット技術を活用することで、これまで人の手で行っていた確認、検査、原材料や容器等の移動を自動化し、人が介在しない作業工程を確立することで人為的ミスのリスクを低減するとともに、効率化を図ることで労働生産性を向上させています。
これらの取り組みにより、商品の安全性と生産性の向上を実現しています。
(イ) 培養肉の開発
培養肉とは、動物の個体からではなく、細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のことで、家畜を肥育するのと比べて地球環境への負荷が低いことや、畜産のように広い土地を必要とせず、厳密な衛生管理が可能等の利点があるため、従来の食肉に替わるものとして期待されています。
近年、世界中で培養肉の研究が行われていますが、そのほとんどが、ミンチ肉を作製する研究です。当社と東京大学生産技術研究所との研究グループは、肉本来の食感を持つステーキ肉を培養肉で実現する目標に向け、筋組織の立体構造を人工的に作製する研究に取り組み、世界で初めてサイコロステーキ状の大型立体筋組織の作製に成功しました。
(ウ) 働き方改革や社員の健康に対する取り組み
a.社員が健康に働ける労働環境の整備
社員の心身の健康保持・増進や、ワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みが評価され、「健康経営優良法人2019」の大規模法人部門 (ホワイト500) に認定されました。
b.女性人材の活躍推進
仕事と家庭を両立しながらも、継続就業しやすい環境整備、能力開発やキャリア形成の支援等の女性人材への多面的な取り組みが評価され、「準なでしこ」に選定されました。
c.子育て支援
「働き方改革の推進」と「仕事と家庭の両立支援」の取り組みが評価され、優良な子育てサポート企業として、「プラチナくるみん」の認定を受けました。
(エ) 企業の社会的責任に対する取り組み
当社グループは、グローバルカンパニーの評価獲得に向けて、企業の社会的責任について国内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすため、必要な方針等を策定するとともに、当社ウェブサイトにて公開しております。直近では、以下の方針を新たに公表いたしました。
・2019年2月 日清食品グループ税務方針
・2019年3月 日清食品グループ人権方針
・2019年5月 日清食品グループ贈収賄防止基本方針
引き続き、企業の社会的責任を深く自覚し、日常の業務遂行において、関係法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践するよう努めてまいります。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容
当社は、主に、食品事業を行う事業会社を傘下に有する持株会社であり、これらの事業会社を通じて、即席袋めん、カップめん、チルドめん、冷凍めんを主とするめん類の製造販売を中核に、菓子、乳酸菌飲料の製造販売を展開しております。
当社は、創業者の掲げた「食足世平」、「食創為世」、「美健賢食」及び「食為聖職」の4つの言葉を変わることのない創業の価値観と捉え、グローバルに「食」の楽しみや喜びを提供することで、社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念とし、その体現を目指しております。
また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。
② 不適切な支配の防止のための取組み
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、当社の「会社の支配に関する基本方針」(以下「基本方針」といいます。)を定めるとともに、基本方針に照らして不適切な者による支配を防止するための取り組みとして、2007年6月28日開催の第59期定時株主総会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下「買収防衛策」といいます。)について、株主の皆様のご承認をいただき導入し、その後、3年毎に更新してまいりました。
当社は、買収防衛策の導入以降においても、中期経営計画の策定やその着実な実行による企業価値の向上、自社株買い・増配等の株主還元の充実、コーポレートガバナンスの強化に積極的に取り組んでまいりました。また、2007年の買収防衛策導入以降の当社を取り巻く経営環境の変化や買収防衛策を巡る近時の動向を注視しつつ、買収防衛策の取り扱いについて、毎年、取締役会や経営諮問委員会で慎重に議論を重ねてまいりました。その結果、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、当社における買収防衛策の必要性が相対的に低下したものと判断し、当社は2017年12月6日開催の取締役会にて決議し、買収防衛策を廃止いたしました。
③ 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
当社は、買収防衛策廃止後も引き続き、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式の大規模買付を行おうとする者に対しては、株主の皆様が大規模買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努め、金融商品取引法、会社法その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。